「栗山民也さんを、うならせたい」、舞台『カリギュラ』谷田歩インタビュー(上)

谷田歩さん=撮影・NORI

アルベール・カミュ“不条理三部作”のひとつ『カリギュラ』。菅田将暉さんの主演で、新国立劇場 中劇場にて2019年11月9日(土)より開幕します。東京公演後は、福岡、兵庫、宮城での上演が予定されています。非情な独裁者カリギュラの忠臣、エリコン役の谷田歩さんに、作品についてお話をうかがいました。

谷田歩さん=撮影・NORI

谷田歩さん=撮影・NORI

――『カリギュラ』公式サイトのコメントを拝見しました。今回は初共演の方ばかりだそうですね。

秋山菜津子さんだけ、ドラマ(TBS『家族狩り』2014年)で1度共演したんですよ。僕は悪い役でした。でもほんと一瞬で。それ以外は全員、テレビでしか拝見したことがないです。

――「彼(菅田将暉さん)がどういうカリギュラを作ってくるのかすごく楽しみです」とコメントされていました。

コメントしてから初めて顔合わせして、大分印象が変わりましたね。菅田くんは、初顔合わせした時にいい意味で、もう本当に…なんて言うんだろう、目がもう…するどくて、最初から「もう、役を作ってるのかな」というくらいの目つきでしたね、顔合わせの時から。やればやるほど菅田君に合ってるんですよ。あの風貌というか、ルックスと、発する台詞。性格はまだまだこれからでしょうけど、でもそういう台詞とマッチしてて、すごいいいですよ。だから、“愛のために人を殺していく人” なんだなというのが、出てます。

――愛のために人を殺す…!?

この間、“カリギュラにとって、殺人は愛である”というのを、栗山民也さんがおっしゃってました。いい言葉だなと思って。なんて言うんだろう、究極の愛ですよね。「手に入らねぇんだったら、殺してしまえばいい」みたいな。カリギュラの場合は、それとはまた違うんですけどね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、谷田さんが考えるこの作品のテーマについて、岩切正一郎さんの翻訳、栗山民也さんの演出、共演者について話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。11月8日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、谷田さんが演じるエリコンの心情について、虐待と担任の先生と犯罪などに例えてわかりやすく説明してくださったお話や、「普通の状態で観ないほうがいいと思います」などのお話が出たインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■『死んだほうが幸福じゃん』っていう感じの愛ですよね、カリギュラは。怖いけど

■岩切さんの翻訳だから、分かりやすくなってるのかも。発しやすいし、聞こえやすい

■栗山さんは、どういう理由で動いてるのか自分たちで決めてと。見つけてって

■高杉真宙がすごいのは、ダメ出しを栗山さんの目を見ながらリフレインすること

<『カリギュラ』>
【東京公演】2019年11月9日(土)~11月24日(日) 新国立劇場 中劇場
【福岡公演】2019年11月29日(金)~12月1日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【兵庫公演】2019年12月5日(木)~12月8日(日) 神戸国際会館こくさいホール
【宮城公演】2019年12月13日(金)~12月15日(日) 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

特設サイト
https://caligula.jp/

<関連リンク>
『カリギュラ』公式 HP
https://horipro-stage.jp/stage/caligula2019/
J.CLIP
http://www.j-clip.co.jp/actor/tanida-ayumi/
谷田歩 Twitter
https://twitter.com/tani3rd

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谷田歩さん=撮影・NORI

谷田歩さん=撮影・NORI

※ここから有料会員限定部分です。

■『死んだほうが幸福じゃん』っていう感じの愛ですよね、カリギュラは。怖いけど

――作品のテーマとは、また違うということですか?

そう、テーマは違う。「死ねばいいのに」っていうことですよ、カリギュラは。

――その「死ねばいいのに」は、いわゆる負の感情からではなく?

そうじゃなくて、愛ですよ。「おまえ、そんなこともできないんだったら、死んじゃったほうが幸福じゃない?」っていうほうですね。「そんなこともできないで、これから人生何十年も生きていくんだったらさ、死んだほうが幸福じゃん」という感じの愛ですよね、カリギュラは。優しいんですよ。

――例えば、目の前の人が苦しむのを嫌う優しさではなく。

そういうことではないです。彼の琴線に触れる人が死んでいくんじゃないですか、っていう愛ですよ。

――なんと言うか、一方的な怖さがありますね。

そうですね、怖いけど、僕、それこそ何年も前に『カリギュラ』(2007年)観ましたけど、そのときは難しい作品という印象が残って。でもいざやってみたら、本当に単純な物語なんですよ。一瞬「えっ?」と思う言葉も入ってくるから分からなくなるけど、でも、実は台詞は易しい簡単なことしか言ってない。だから観やすいと思うんです。

谷田歩さん=撮影・NORI

谷田歩さん=撮影・NORI

■岩切さんの翻訳だから、分かりやすくなってるのかも。発しやすいし、聞こえやすい

――今回の脚本は、岩切正一郎さんの翻訳ですね。

岩切さんの翻訳だから、分かりやすくなってるのかもしれないですね。岩切さんは詩的というか、フランス文学の人だから。発しやすいし、聞こえやすいし、というのがあるかもしれないです。

――演出は栗山民也さん、翻訳は岩切正一郎さんというと、『フェードル』『トロイ戦争は起こらない』(共に2017年)と同じですね。谷田さんにとっては、馴染みあるお二方では?

馴染みはあります。岩切さんに対してはありますね。

――栗山さんは?

栗山さんは、なんか…恐ろしい存在ですね。僕が考えていることの上を超えてくるから。…うならせたいなぁ、と思いますよ。

――うならせたいということは、認めさせたいというか、認めてもらいたい?

そうですね、認めさせたいというか。何も言わせなくしたいですね。

谷田歩さん=撮影・NORI

谷田歩さん=撮影・NORI

■栗山さんは、どういう理由で動いてるのか自分たちで決めてと。見つけてって

――ちなみに、今回の『カリギュラ』において、栗山さんからはなんと?

いっぱいありますよ! 稽古入ってからも、全員に言えることですけども、まずミザンス、動きを決めるんですよ。そこからの肉付けは自分たちで考えてくれっていうような毎回そういう演出ですね。役者にもよりますけど。菅田くんはじめ、秋山さんにしても、全員ミザンスを決めてから、“ここからここまで動く動機とかは、役者で考えて” と。でも栗山さんの中には、そこからそこまで動く動機というのはもうできてるんですよね。だから、どういう理由で動いてるのか、“どういう理由で、この台詞の時にここまで動いて、ここからの台詞は直線で、また斜めに入って” みたいな感じで自分たちで決めてと。決めてというか、見つけてってことですよね、きっと。

谷田歩さん=撮影・NORI

谷田歩さん=撮影・NORI

■高杉真宙がすごいのは、ダメ出しを栗山さんの目を見ながらリフレインすること

――カンパニー内のキャストの年齢、経歴それぞれと思いますが、栗山さんは同じアプローチをされるのですか?

多少言い方は違うけれど、でも、言ってることは同じだと思います。ベテランでも、若手でも。例えば高杉真宙(シピオン役)がすごい偉いなって思ったことがあって、その場で栗山さんからダメ出しされたことをリフレインするんですよ。例えば、栗山さんが「助けて、助けて」って言ったら、「助けて」って、その場で一生懸命リフレインするんです。ダメ出しを書き取るんじゃなくて、その場で栗山さんの目を見ながら言ってる。わからないところがあったら、その場でやってみて、「こういうことですか」って。そういうのとかは、偉いなと思います。

――聞いた瞬間に分からなければ聞く。

そうですね。栗山さんって聞きやすいんですよ。答えてくれるし、ちゃんと言葉を持っている人なので。

谷田歩さん=撮影・NORI

谷田歩さん=撮影・NORI

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