2019年10月21日(月)から11月1日(金)まで全10回、NHK FMで放送されるオーディオドラマ、青春アドベンチャー『紺碧のアルカディア』の作者、並木陽さんのインタビュー、後半です。小説とオーディオドラマの脚本の違いなどについて伺いました。
――実際書いてみて小説とドラマの脚本を書くことの大きな違いってどこにありますか
いちばん違うなと思うのは連続性ですかね。小説は基本的にすべて自分で言葉で説明しなくてはならないというふうに感じていて、その上で小説は読み手の気持ちを映し出すことによって物語が流れていくので、地の文も含めてずっと連続性を保ちながら書かなくちゃいけない、書くべきところを飛ばして気持ちの流れがプチッと切れたような感じが生じてはいけないと私は思っているんです。それが、オーディオドラマだと言葉による以外の要素がたくさんあるし、想像で補う余地を残してそこを楽しんでもらわなくちゃいけないので、全部説明しなくてもいい、してはならないというところが、難しいと思いつつやりがいを感じているところです。
――セリフで説明してはいけないところや逆に説明しないとわからないところがありますよね。その加減は難しくなかったですか?
脚本を書きはじめたときに教えていただいたのは「情報は高いところから低いところに流れる」ということで、その情報を知っている人と知らない人が会話するのであれば情報開示は自然だけれど、お互いにとって知っていることは(会話に出すと)おかしいぞ、ということでした。
――その辺の加減が難しいということですね
そのとおりです。
――ここに音楽を入れるとか、音を入れるとかそういうのを指定しますか?
前作「暁のハルモニア」はリュートがあったので、物語上特に意味がある音楽などは指定しました。あとはおまかせですね。
――セリフとト書きくらい?
そうですね。あとはSE(効果音)ですね。ト書きのかわりにSEが入るという感じです。自分の中でここに音が入るというところは気づいたらどんどん入れますが、それは実際に入るSEの一部に過ぎないので、あとはおまかせです。
――ちなみに「紺碧のアルカディア」で推しのキャラクターはいますか?
全員推しです(笑)。この世界に生きているすべての人たちに、名も無き兵士にいたるまで思い入れが生まれてしまったような感じです。
――実際に書いたものが動くというか、形に?
命を持ってそこにいるんですよ、本当に。感情が伴う、本当に生きた、血の通った生身の人間として。それは「斜陽の国のルスダン」のときも「暁のハルモニア」の時も感動したんですけど、音の世界の中に人々が生きてそのまま立ち現れるというのがオーディオドラマのすごく魅力的なところだと感じています。
――リスナーの方に一言お願いします。
今回の「紺碧のアルカディア」は東地中海が舞台ということで、ロマンティシズムがたっぷりのドラマになっているのではないかと思っています。歴史の大きな流れの中で、友情と策謀とそして愛と野望、いろんなものが渦巻く物語になっていると思います。キャストのみなさんの熱演をどうぞお楽しみに。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、並木陽さんが小説を書き始めたきっかけ、次回作の構想、本を作ってみたいという方へのアドバイスなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■納得行くものが書けるようになったのは、大学で文芸サークルに入ってから
■(最初に読むなら?)「ノーサンブリア物語」がおすすめ。いちばん面白いはず
■二年くらい書いているお話がありまして、それを世に出したいと祈っています
■(本を作ってみたいという方にアドバイスを)お友だちになりましょう(笑)
<NHK FM 青春アドベンチャー『紺碧のアルカディア』>
待っているがいい、愛しい黄金の都よ……おまえは私のものだ!
【1-5回】2019年10月21日(月)~10月25日(金) 午後9時15分~午後9時30分
【6-10回】2019年10月28日(月)~11月1日(金) 午後9時15分~午後9時30分
「聴き逃し」配信は、放送翌日の正午~1週間限定で配信。
<関連リンク>
並木陽 Twitter
https://twitter.com/namicky24
並木陽 作品一覧
https://privatter.net/p/3491109
『紺碧のアルカディア』のページ
https://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2019017.html
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※並木陽さんのサイン入り書籍「斜陽の国のルスダン」1冊を、有料会員1名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは11月17日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※こちらは、amazonで販売されている並木陽さんの著書「斜陽の国のルスダン」です。
※ここから有料会員限定部分です。
■納得行くものが書けるようになったのは、大学で文芸サークルに入ってから
――小説を書き始めてどのくらいですか?
歴史小説を書く人になりたいと思ったのは、たぶん高校一年生とかそのくらいだとは思うんですが、ただ憧れるだけだった時代がすごく長いので。
――実際に書き始めたのは?
高校もいちおう文芸部に入っていたんですが、納得の行くものが書けるようになったのは大学に入って文芸サークルに入ってからです。文学フリマとかテキストレボリューションズなどの文芸イベントにお世話になるようになったのはわりと最近というか、2015年ぐらいだと思います。
――そんなに最近でしたっけ?
そうです、そうです。2015年の春に唐橋史さんが刊行された「世界史C」という歴史小説アンソロジーが、まだ同人活動にあまり経験がない人を優先的に公募してつくりますという形で企画されていて、同人イベントに出るのに憧れていたので、そういう企画ならぜひと「マインツのヴィルヘルム」という作品で参加させていただいたのが最初です。
■(最初に読むなら?)「ノーサンブリア物語」がおすすめ。いちばん面白いはず
――文芸イベントで今までに何作発表されてますか?
上下巻を1と数えると6作品くらいじゃないかと思います、個人誌で。
――文芸イベントなどで販売されている並木さんの作品の中で、いちばん最初に読むとしたらなにがいいですか?
「ノーサンブリア物語」上下巻をいつもおすすめしています。
――その理由は?
「斜陽の国のルスダン」で知ってくださった方は多いと思うんですけど、「ノーサンブリア物語」はその後で書いたということもあり私の中ではいちばんよく書けたと思っていまして、これがいちばん面白いはずと思っています。
■二年くらい書いているお話がありまして、それを世に出したいと祈っています
――これからどういうものを書きたいかや、目指しているものがあればお聞かせください。
歴史物語が好きなので、これからもどういう媒体、どういう形であってもずっと歴史物語を書いていきたいなという以外に望みはありません。小説の形でも、あるいは今後ももし機会をいただけるならオーディオドラマの形でも。
――機会があれば文芸イベントなどにも参加されますか?
文学フリマ東京やテキストレボリューションズにはこれからも参加しますし、新刊を出せればいいなと思います。
――次回作の構想はありますか?
ここ二年くらいずっと書いているお話がありまして、それを完成させたい、世に出したいと祈っているのですが。
■(本を作ってみたいという方にアドバイスを)お友だちになりましょう(笑)
――こういう本を作ってみたいという方にアドバイスを。
お友だちになりましょう(笑)。自分も歴史物語を書いてみたいという方は、歴史の中には自分で想像で作り出せる以上に凄いエピソードだったりとか、こんな出来事があったなんて、こんな人がいたなんてというのがたくさんあるので、歴史の本を通じて、これを書きたいっていうお話に、この人のことを書きたいっていう人に、巡り合えるといいですね。
※並木陽さんのサイン入り書籍「斜陽の国のルスダン」1冊を、有料会員1名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月17日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。