「The SharksがNYにいる理由、愛を表現したい」、渡辺大輔&廣瀬友祐対談(下)

渡辺大輔さん(左)と廣瀬友祐さん(右)=撮影・岩村美佳

2020年2月1日(土)から3月10日(火)まで、IHIステージアラウンド東京にて上演される『ウエスト・サイド・ストーリー』〔日本キャスト版〕Season2に、ベルナルド役でダブルキャストで出演される、渡辺大輔さんと廣瀬友祐さんの対談後半です。『ロミオ&ジュリエット』では共にティボルトを演じたおふたりですが、作品のなかで同じようなポジションの役を、ベルナルドとして、どう演じようとしているのか語ってくださいました。(この対談インタビューは2019年12月末に実施したものです)

渡辺大輔さん(左)と廣瀬友祐さん(右)=撮影・岩村美佳

渡辺大輔さん(左)と廣瀬友祐さん(右)=撮影・岩村美佳

――『ロミオ&ジュリエット』のティボルトと『ウエスト・サイド・ストーリー』のベルナルドは、作品全体のなかでのポジションは似ていると思いますが、今作っているベルナルドという役についてはどんな人物として、取り組んでいますか?

廣瀬:僕は今のところ想像するに、めっちゃ大ちゃん(渡辺)なんだよね。大ちゃんと共通点が多い。

渡辺:本当?

――ぜひ、その具体的なところをお聞かせください。

廣瀬:なんだろうな。具体的に言葉で言うと難しいですね。先頭にいて安心できたり、プライドが高くて、でも、周りから慕われて、という部分だったり。言葉では難しいですが、ベルナルドというものがどうなのか、プエルトリコ人がどうなのかなど、今、テーブルワークでバックボーンをすごく話されるので、そういうものを聞いていると、すごく渡辺大輔とかぶるものを感じるんですよね。

渡辺:僕は逆に、ティボルトはヒロっぽいなと思っていました。

――なるほど。確かにおふたりの気質は全然違うなと感じています。

渡辺:『ウエスト・サイド・ストーリー』におけるベルナルドという役どころを通してすごく思うのは、学生時代のノリや思っていたことが、すごくベルナルドとかぶります。僕もけんかをしましたから。ヤンチャなグループ同士が1対1でタイマンを張るみたいなこともありましたし。

廣瀬:勝った?

渡辺:いや、邪魔が入るの…。

廣瀬:クラプキ、シュランク警部だ。

渡辺:そう。これは演目だから、仲間同士で引っ張りあいながら助けながら逃げますよね。エニィバディズがトニーを引っ張りながら1幕が終わるじゃないですか。今の自分だったら成長した分、冷静になれるんですが、当時は若さ故にそれがわからないんですよね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『ロミオ&ジュリエット』のティボルトと『ウエスト・サイド・ストーリー』のベルナルドの違いや、『ウエスト・サイド・ストーリー』の中で対立するThe SharksとThe Jetsの違いについて、IHIステージアラウンド東京と他の劇場で、舞台に立った時に感じる違いなどについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■廣瀬:ベルナルド「殺すつもりがなかった」、ティボルトには少なからずあった

■渡辺:ベルナルドは愛の塊みたいな人 廣瀬:The Sharksは愛を知っている人たち

■渡辺:日記のように動いて次の日になる、横にスライドしていくストーリー

■渡辺:The Sharksの愛をもっと深めたい 廣瀬:覚悟は決めている

<ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2>
【東京公演】2020年2月1日(土) ~ 2020年3月10日(火) IHIステージアラウンド東京
公式サイト
https://www.tbs.co.jp/stagearound/wss360_2/

<関連リンク>
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廣瀬友祐さん=撮影・岩村美佳

廣瀬友祐さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■廣瀬:ベルナルド「殺すつもりがなかった」、ティボルトには少なからずあった

――若さですかね。

渡辺:そのときの自分の思考、考えでしかないですし、自分がこうしたい、あれを食べるみたいな。無謀なくらいに自分の気持ちだけで突っ走っていた時期もあるのですごく似ているなと思います。

――そこは一緒ということですもんね。

渡辺:10代の頃って万国共通なんですね。

――彼らもそうですもんね。殺そうと思って戦っているわけではないですもんね。

渡辺:だから、普段冷静であり、すごく優しい目で周りを見てくれたり、逆にかばってくれるチノみたいな人がスイッチ入ってしまうと、止められない。この物語でも殺すつもりはなかったのに、たまたまですよね。ロミジュリとも、そういうところは似ているのかなと思います。ティボルトも最終的には錯乱状態で、殺す気はなかった。「こいつら、いなくなれ」とか「ロミオ、いなくなれ」とは思っていて、いなくなれば住みやすい世界や、ジュリエットが自分のものになるという思いもありつつ、刺してしまってから「あれ?」と、ちょっと冷静な自分がいるみたいな。でも、ベルナルドもたまたまですから。それは、運命とは言いたくないですが、このストーリーは、そういう風に思ってしまうしかないですよね。

――当時のティボルトだったときの思考も思い出しながら話してくださったのが、面白いですね。ロミジュリのことを伺ったわけではないのに、あのときはこうだったという思考が回って、話している。 今、ティボルトとベルナルドは別物ですか?

廣瀬:別物かな。大ちゃんが話していたのに、乗っかるのであれば、僕の場合はベルナルドに関しては「殺すつもりがなかった」というのが大きいかなと。ティボルトとベルナルド。これからアプローチしていくやり方として、そこにひとつ最終的な答えがあるというのは、だいぶん役づくりとして変わってくるだろうと思います。という考えが、僕的にはあるかな。

――「殺すつもりはなかった」というのは、ティボルトは殺すつもりが少しあったということですか?

廣瀬:僕の場合は、そうですね。あったと思います。刺してしまう瞬間の殺意が、ティボルトには少なからずあったかな。ベルナルドに関しては、やはりアクシデントという意味合いが強い。そこにいくまでのアプローチが変わってくるだろうなというところはありますね。

渡辺大輔さん(右)と廣瀬友祐さん(左)=撮影・岩村美佳

渡辺大輔さん(右)と廣瀬友祐さん(左)=撮影・岩村美佳

■渡辺:ベルナルドは愛の塊みたいな人 廣瀬:The Sharksは愛を知っている人たち

――でも、その違いは大きいですよね。

渡辺:ティボルトはロミオを刺すつもりが、マーキューシオを刺してしまう。そこまでは本当に「ロミオを殺してしまえば」という自分の世界しか見えていなかったが、刺してしまったあとは、自己暗示をかけながら「俺は悪くない。やってやったぞ」と言い続けるしかなかったんだと思います。ベルナルドは愛の塊みたいな人で、血の繋がりとか関係なく、人を愛せ、人を心から守れる人。自分の命を張ってでも突っ込んでいける人なのかなと思います。本当に、そこが全然違うなと思います。ベルナルドは、仲間もいたりと孤独ではないですし。

――そうですね。ベルナルドの温かさについては、廣瀬さんはどう思われますか?

廣瀬:「殺すつもりはなかった」というところに、つながるのかなと思いますね。守りたい物があって、愛すべきものがたくさんあって、掴みたい夢があるなかで、悲劇が起きてしまう。やはり、この作品のメッセージでもあると思いますし、政治や社会、時代において、若者も大人もそうですが、こういう犠牲がある。特にThe Sharksは愛というものを自分たちも受けてきたし、The Jetsに比べたら、愛を知っている人たちだと思うから、つらいですよね。

渡辺大輔さん(右)と廣瀬友祐さん(左)=撮影・岩村美佳

渡辺大輔さん(右)と廣瀬友祐さん(左)=撮影・岩村美佳

■渡辺:日記のように動いて次の日になる、横にスライドしていくストーリー

――招聘版かSeason1はご覧になりましたか?

渡辺・廣瀬:はい。

――360度回る劇場の、“街感”はいかがですか?

渡辺:錯覚で舞台と客席どっちが動いているかわからなくなりました。実際に客席側が回るのを体験したんですが、舞台上からの景色は客席で観るものと全然違いました。とてもうまく作られたステージだと思いました。日記のように動いて、次の日になるみたいな。

――「日記のように」って、おもしろいですね(笑)。

渡辺:次の日とか、何時間後みたいな感じで、時間軸が横にスライドしてストーリーが観られるというのは、おもしろいですし、特にウエストサイドは合っているんじゃないかと思いますね。

――廣瀬さんはいかがですか?

廣瀬:全体的に後ろの方が観やすいと思いますね。やる側として、この間初めて顔合わせで裏動線を含めて見たときに、とにかく裏動線が大変そうだなと思いました。

渡辺:(笑)。

廣瀬:おもしろかったのが、他の劇場と違うと思ったのが、バミリが当てにならない。普通の劇場は景色が変わらないので、役者の立ち位置などを、いろいろな景色の角度から捉えたりするんですが、動くから自分の立ち位置がわからなくなると言っていて、ただでさえ決められた場所に立つのが苦手だから、気をつけようと思いました。

(一同笑)

渡辺大輔さん=撮影・岩村美佳

渡辺大輔さん=撮影・岩村美佳

■渡辺:The Sharksの愛をもっと深めたい 廣瀬:覚悟は決めている

――Season1ご覧になっている方、まだご覧になっていない方など、いろいろだと思いますが、自分がこの作品をどう見せていこうと思っているか、どう観てもらいたいかなど、最後に一言いただけたらと思います。

渡辺:同じ内容でも、キャストが変わると感情のとらえ方、ちょっとした動きに違いが出るように、全体の世界観も変わってくると思います。そして、ダブルキャストなので、ぜひ両方を観ていただけると、より深く楽しめるんじゃないかと思います。自分たちは招聘版でも、Season1でもやっていないような表現の仕方だったり、演出上でのThe Sharksの愛をもっと深めたいと思っています。家族愛をテーマに、The Sharksがなんのためにアメリカのニューヨークに来ているのかなどを、わかりやすく表現したいなと今の時点では思っています。今の時代だからこそ、一人でも多くの方に観ていただきたい作品です。よろしくお願いします。

――ありがとうございます。廣瀬さん、お願いします。

廣瀬:同文です。

渡辺:付け加えるところ、あるでしょ(笑)。

廣瀬:いや(笑)。でも、本当に楽しみ方は人それぞれにあると思います。ここ最近のミュージカルにおいては、ダブルキャストやトリプルキャストのいろいろな組み合わせで観られるというのが一番、お客様も楽しいんじゃないかなと思います。このIHIステージアラウンド東京は、来たことがある人はわかるだろうし、初めの人も驚くだろうし、この劇場にも驚いてほしいです。『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2で、このベルナルドという役が、まずこの時点では日本人でいえば4人生まれます。自分としてはとにかく、まさか自分が出演するとは考えていなかった作品に出演することになり、すごく恐怖と不安でいっぱいでした。でも、「やる」と首を縦に振った時点から覚悟は決めているので、とにかくやれることを精一杯やって、しっかり稽古をして、怪我に気をつけながら、できる限りの最高のパフォーマンスを目指して、廣瀬友祐なりのベルナルドを作ります。そして、よりいろいろな組み合わせで観たときに楽しんでいただけるような『ウエスト・サイド・ストーリー』をなんとか頑張って、稽古に励みたいと思いますので、ぜひその結果を豊洲に観に来ていただけたらと思います。

渡辺:作品を知らない方でも足を伸ばして観に来ていただけたら「 おもしろいじゃん」ってなると思います。

廣瀬:でも、本当に知らない人でも楽しめるものだと思うから、ぜひお越しください。待っています。

――ありがとうございました。

渡辺大輔さん(右)と廣瀬友祐さん(左)=撮影・岩村美佳

渡辺大輔さん(右)と廣瀬友祐さん(左)=撮影・岩村美佳

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“「The SharksがNYにいる理由、愛を表現したい」、渡辺大輔&廣瀬友祐対談(下)” への 9 件のフィードバック

  1. パンダうさぎ より:

    1度観るとクセになる舞台とは、まさにこのウエストサイドストーリーだと感じました。ニューヨークのあの時代が、実にリアルに表現されて、映画でも拝見しましたが、本当に素晴らしいと思います。ウエストサイドストーリーは、シーズン3もあります。またあの場所に行きたいと思います。

  2. はちこ より:

    ベルナルドへの思いやティボルトとの共通点、違いなど、ロミジュリに続いてWキャストを務めたお二人にしか出来ない貴重なお話を聞けて嬉しいです。
    今回のインタビューでも仲の良さがとても伝わってきましたし、改めて素敵な関係性だなと思いました。お写真も色気がありつつ、ラフでほのぼのとした雰囲気がとっても好きです!
    この記事をきっかけに、お二人のベルナルドの違いや、違う組み合わせでも見たいと思ったのでまた劇場に足を運ぼうと思います。

  3. ちゅん より:

    ステアラは構造的にどうしても傾斜が緩いので、身長がないと後方は観辛いときも多々…(長身の方が羨ましい)。
    でも確かに、1幕終わりの舞台の使い方など全体を見渡せる位置で味わいたいんですよね。(S1の印象ですが)
    色んな角度から回るマンハッタン楽しみたいと思います。

  4. maika より:

    お二人のティボルトを拝見しているので、ティボルトに対する意見の違いが、舞台に現れていたのが納得できました。
    WSSは初めて見るのですが、ロミジュリをなぞっているけど全く違う作品なんだなと実感しました。
    ますます観劇が楽しみになりました。
    そしてお二人の間にある信頼関係が感じられる対談で、ほっこりしました。

  5. なおりん より:

    お二人のベルナルドに対する捉え方の違いが、舞台でどう表現されるのか?楽しみです。
    回る劇場は初めてなので混乱しないようにしなくては…後方が見易いのですね!キャストの皆さんのお顔がよく見られるので前の席がいいなと思ってたのですが、良かった~真ん中より後方ですよ!貴重な情報です。

  6. kazuo より:

    またしても貴重なお話がたくさん聞けて嬉しいです!
    お二人とも真面目ですね…
    ここで聞かせていただいたお話を思い出しつつ明日拝見しようと思います
    ですが…後ろの席の方が観やすいとか…
    今回珍しく前方をいただけて喜んでいたのですが…(笑)

  7. やまと より:

    似た状況のベルナルドとティボルトの共通点や相違点、今回のWSSでのおふたりの表現ががぜん楽しみになるお話をありがとうごさいます。
    season1との違いにも期待して観に行こうと思います♪

  8. ヨッシ- より:

    お二人の対談、待ってました💕
    【ロミジュリ】のティボルトの時もそうでしたが…役に対する思い、捉え方が違うので面白いです。
    どんな違いが出て来るのか…お二人のベルナルドを観てみたい!
    胸板…やっぱり渡辺大ちゃんは、いじられキャラなんですね (笑)
    たくさんの素敵な お写真もありがとうございました❣️

  9. Chika より:

    ティボルトのことも合わせてのお話が伺えるなんて!ヒロくんコンビで伺えるなんて‼️読みながら『うんうん、そうだったもんねそうだったもんね😢😢』と脳内でロミジュリ再生までさせていただきました。しかも素敵な素敵な写真と共に。アイデアニュースさま、ありがとうございますありがとうございます。

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