【2020年3月27日、編集部追記】
大阪公演につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、会場である近鉄アート館が、3月末まで行われるすべての公演を中止となり、劇場と一部日程を変更して実施されます。詳細は公式サイトをご確認ください。
青木豪さんの上演台本・演出によるシェイクスピア喜劇『十二夜』が、2020年3月20日(金・祝)から東京・本多劇場で、3月29日(日)から大阪・近鉄アート館で上演されます(当初は3月6日開幕予定でしたが新型コロナウイルスの影響で、3月6日(金)~3月19日(木)の公演は中止となりました)。出演は、ヴァイオラ役の前山剛久さん、オーシーノ役の新納慎也さん、オリヴィア役の納谷健さん、ほかのみなさん。“神社で人々が遊んでいる様子”をコンセプトに上演された2013年の初演でも上演台本・演出を担当した青木豪さんにインタビューしました。※このインタビューは開幕日変更が決まる前に実施したものです。
――キーヴィジュアルがとても面白いですね。皆さん上半身は普通に扮装写真、腰から下はトランクス姿(笑)。
そうそう。これは僕じゃなくてデザイナーと制作チームのアイディアなんですよ。新納慎也くんが「これ、下半分を折っておけば良かったのに」って。めくってトランクスが出てきたらより面白かったね、と(笑)。
――(笑)。2013年の初演との違いは、どういうところでしょうか。
とにかくキャスティングですね。2013年のときは「D-BOYS」を中心とした「D-BOYS STAGE」でやらせていただいていたんです。せっかく「ワタナベエンターテインメント」さんなので、僕から、もう絶対ミッキー・カーチスさんにお願いしたいって言って(笑)。『KAMIKAZE TAXI』(1995年)という映画に出演していたミッキーさんがすごい好きだったので、「一度、ご一緒できるものならば」と思って懇願して、ミッキーさんと坪倉由幸さん以外は「D-BOYS」の若い俳優でやりました。今回は、前山剛久くんと『お気に召すまま』(2016年)でご一緒したときの女性役が良かったのと、その後、『刀剣乱舞』(2018年・2019年)でブレイクしたという話を聞いたので、「いまだ、組むならば!」と思って(笑)。
ちょうど、劇団四季で『恋におちたシェイクスピア』(2018年)を演出させていただいて、あれは物語自体が『十二夜』で終わるのですが、『十二夜』は楽しかったし、ちょうど(渡辺)ミキさんと、「じゃあ、あれを前ちゃん(前山剛久さん)とやれないかな」と、最初は四方山話みたいな感じで始まったものが実現した感じです。初演のメンバーもとても良かったんですけど、前ちゃんが変わるわけだから、他もみんな全部変わった方が良いかな、と。坪倉さんは「D-BOYS」じゃないというのもあって続投なんですけど、まったく同じ再演というのもなかなか出来辛いし、今回は「Dステ」公演でもないので、それだったら前回とは違うものを、ということで、いま組んでみたい方々にお声掛けしました。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ヴァイオラ役の前山剛久さん、オーシーノ役の新納慎也さん、オリヴィア役の納谷健さんら出演者のほか、スタッフについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月5日(木)掲載予定のインタビュー「下」では、小学生時代にぬいぐるみ劇団の木馬座から、宝塚歌劇団、劇団四季などの作品を観るようになった青木豪さんの幼い日々から、男子校で演劇部に入っていた高校時代、2012年にイギリスに留学して感じた英国と日本の演劇をめぐる状況の違いなどについて語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■ヴァイオラ役の前山くんと話しながら、どうやったらピュアな女性になっていくかなと
■オーシーノ役の新納さんは、自分を客観的に見て、笑えるところを制御しながらできる人
■オリヴィア役の納谷くんは身体能力が高くて、ワイヤーアクションのような芝居に
■西洋の芝居をやるときは笠松さんに音楽を頼みたいなと。松岡さんは本質をわかってくださった
<舞台『十二夜』>
【東京公演】2020年3月20日(金・祝)~22日(日) 本多劇場
(※新型コロナウイルスの影響で3月19日(木)までの公演は中止となりました)
【大阪公演】2020年3月29日(日)~31日(火) 近鉄アート館(中止)
(※会場日時変更)2020年3月29日(日)~30日(月)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
※開場は開演の45分前。
※3月30日(月)19:00に予定されていたアフターイベントは中止とさせていただきます。
※3月31日(火)13:00公演は中止とさせていただき、該当チケットはお振替対象チケットとなります。
公式サイト
https://12th-night.westage.jp/
<キャスト>
ヴァイオラ:前山剛久
オーシーノ:新納慎也
オリヴィア:納谷健
セバスチャン:三好大貴
マルヴォーリオ:坪倉由幸
フェステ:清水宏
アントーニオ:木場允視
フェイビアン:根本大介
船長/ヴァレンタイン:宮澤和之
マライア:阿南健治
サー・アンドルー・エイギュチーク:春海四方
サー・トービー・ベルチ:小林勝也
【楽隊】ギター:助川太郎、アコーディオン:佐藤芳明
<関連リンク>
青木豪オフィシャルサイト
http://www.gring.info/aoki.html
株式会社キューブ 青木豪
http://www.cubeinc.co.jp/members/prf/028.html
- 「ちゃんと力点があって放物線を描くような言葉を」、村井國夫・小西遼生対談(下) 2022年4月8日
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※ここから有料会員限定部分です。
■ヴァイオラ役の前山くんと話しながら、どうやったらピュアな女性になっていくかなと
――いま組んでみたい方々ということなんですね。キャストの得意とするジャンルがとてもバラエティに富んでいます。
そうですね。ヴァイオラは前ちゃんありきで、ミキさんと話しながら。僕自身は、わりと雑食というか、根が演劇オタクなのでいろいろなジャンルを観てきたのですが、なんとなくお客さまは、ジャンルで住み分けている感じがするので、この機会に「雑食もどうぞ!」という気持ちですね。だから各界から「この役だったら、この人が良いな」というイメージで選びました。「ちょっと今回はシェイクスピアだからやめよう」とか、「会話劇だからちょっと重そうだな」、とかじゃなくて、いろいろ面白い芝居があるので、是非観てくださいっていうようなつもりで、いろんな方面からという感じですね。
――演出家としてヴァイオラ役の前山剛久さんに期待されていることは?
前山くんは、品が良くて素直なところが魅力だと思うので、そこが前面に出て来たらという風に思ってます。船が難破して、女性を名乗ると危ない目に合いそうだから、公爵さまのところに男装して入るという役柄で、まだ恋ってものもしていないし、そういう意味で、“まっさらな状態の娘が生き残っていく” っていう話なので。だからその辺を、前ちゃんともいろいろ話しながら、どうやったらそういうピュアな女性になっていくかなと。結構他のキャストが手練ればかりだから(笑)。
――たしかに(笑)。
「ド真ん中がピュアっていうのが一番、なんか見えるよね」、っていう話をしてますね。
■オーシーノ役の新納さんは自分を客観的に見て、笑えるところを制御しながらできる人
――ヴァイオラが恋に落ちるオーシーノ役の新納慎也さんについては?
僕が以前脚本を書いて、蜷川幸雄さんが演出した「音楽劇『ガラスの仮面〜二人のヘレン〜』」(2010年)という作品で、紫のバラの人(速水真澄役)を新納さんが演っていたんです。新納さんはしゃべるとすごい気さくで、オモシロおじさんなんだけど、ナルシスティックな公爵をどうすれば笑えるのかというところを、自分を客観視してちゃんと制御しながらできる人だなと感じています。そこを是非前面に、って言って、稽古で毎日いろんなことをやってもらっています。台詞自体も、なんだソレ?! っていうのもいっぱいありますよね。…なんでこの人(オーシーノ)がみんなに慕われているんだろう?(笑)。
■オリヴィア役の納谷くんは身体能力が高くて、ワイヤーアクションのような芝居に
――たしかに(笑)。そして、オーシーノ公爵が恋い焦がれるオリヴィア役は納谷健さんです。
納谷くんは、「納谷くんがいいよ」って話を人から聞いて、会ってみてとても前向きだし、それと前山くんに対して、ちょっと小さい人が欲しかったんですよ。2人とも女性だけど、ヴァイオラに対して、オリヴィアはちょっと小さめな人が良いなと思っていて。その方が、オリヴィアがヴァイオラに惚れるシーンで、男女差みたいなものが出るなという感じがしたので。それで会ってみたら、彼はすごく身体能力が高くて、筋肉がメチャメチャ張っている(笑)。でも芝居の中ではその高い身体能力を生かした芝居をお願いしていて、ほとんどワイヤーアクションのような芝居になっています(笑)。
――オリヴィアのワイヤーアクション!?
ワイヤーないのにね(笑)。ワイヤーアクションのように見えるという。
――どんな芝居か楽しみです(笑)。もうおひとり女性役、マライア役の阿南健治さんについてもお願いします。
マライアは初演を加治将樹くんが演っていたのですが、もともとマライアって、ゴツい人が良いなと思っていたら、たまたま神社で見かけたんですよ、阿南さんを(笑)。
――神社ですか!?
マライアは誰にしようってミキさんといろいろ考えていたところに、阿南さんに神社でお会いして。『十二夜』は舞台設定を神社に置いているので「マライア、阿南さんだ!」と。阿南さんが化粧したら、絶対に面白いと思って。
――キャスティングで悩んでいたところに神社で会われた、…これはもうお導きですね!
そうですね、神のお導きで。「東京サンシャインボーイズ」の頃から拝見していましたし。加冶くんは若くてゴツい感じだったから、アレに対抗するには相当にゴツい人を持ってこないといけないと思って。
■西洋の芝居をやるときは笠松さんに音楽を頼みたいなと。松岡さんは本質をわかってくださった
――『十二夜』で使用される楽曲は全て笠松泰洋さんのオリジナルですか?
そうです。
――この作品に携わられている、翻訳の松岡和子さん、音楽の笠松泰洋さんとの出会いは? 蜷川幸雄さんとのご縁も関係していたのでしょうか?
蜷川さんのお陰でというか、蜷川さんがいらっしゃったんだなぁという感じなんです。僕が劇団「グリング」時代に書いた『吸血鬼』(2009年)を、茅野イサムさんの演出で、ネルケプランニングさんがPARCO劇場で上演されて(『吸血鬼』2010年)。そのときに笠松さんが音楽を担当されていたのですが、蜷川幸雄さんの音楽を笠松さんがずっとやっていらっしゃったから、お名前と曲はなんとなく存じ上げていました。それで紹介していただいて、そのときの曲も良かったので家に帰ってから笠松さんのブログを読んだんです。そしたら、”クラシックというのは、もともとサロンで1回だけ聴かせるだけだったから、そもそもメロディーがキャッチーじゃないと人の心に残らない。それが複雑化していって、どんどん1回で聴いて覚えられないようなものになっていった。だけど本来の姿は、そもそももっとメロディアスでキャッチーなものだと思う” というようなことを書かれていて、それがすごく心に残ったので「次回何かでご一緒に」と話していました。最初は…『ヴェニスの商人』(2011年)だったのかな? シェイクスピアとか西洋の芝居をちゃんとやるときは、笠松さんに音楽を頼みたいなと思って、そのときから組み始めた感じです。蜷川さんの作品で、すごく印象に残った曲があり「どなたが書いてるんだろうな」と思ったら笠松さんだったというのが印象に残っているので、確かに蜷川さんからのご縁かもしれないですね。
松岡さんとのご縁は、僕が「演劇集団 円」に書いた『東風(こち)』(2005年)という作品が最初です。それは『テンペスト』を下敷きにしている伊豆大島の民宿の話なんですけど(笑)。それを松岡さんが観てくださって、「これって『テンペスト』みたいね」という話をされて、「そうなんですよ!」って。それでお話が始まりました。そこからですね。
――松岡さんが「テンペストみたいね」とおっしゃったというお話をお聞きして、青木さんが脚本・演出をされた『星の王子さま』の一節、“蛇に飲まれた象の絵” が、ふっと浮かびました。
本質をいきなりわかってくださったので、親しくなれたという。でもそういうのありますよね。自分がわかってもらいたいところをわかってくださる人とは、そんな感じですよね。
※青木豪さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月4日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。