「ちゃんと力点があって放物線を描くような言葉を」、村井國夫・小西遼生対談(下)

村井國夫さん(左)と小西遼生さん(右)

2022年4月7日(木)に、東京・日生劇場で開幕する、ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』に出演する、ジェイコブ役の村井國夫さんとファラオ役の小西遼生さんの対談インタビュー、後編です。「下」では、音楽や演出のこと、これまでに共演経験もある小西さんと村井さんならではのお話、村井さんが「言葉」について考えられていること、カンパニーのメンバーの素晴らしさやお客さまへのメッセージについて伺った内容を紹介します。

村井國夫さん
村井國夫さん
小西遼生さん
小西遼生さん

(※このインタビューは、3月末に実施したものです)

ーー村井さんは、この作品の音楽についていかがですか?

村井:一つ一つが刺激的な音楽で、とても素晴らしいですね。物語を喋るというより、夢を表すというような感覚です。ジョセフの歌はバラードだし、小西のファラオが歌うロックンロールもあるし。なんでロック?となりそうなところだけど。

小西:聖書の中に登場するファラオは、そもそもかなり破天荒なんです。それ故に、ロックという遊び心なのかも。

村井:音楽的に本当に楽しい作品ですよね。聴いていて楽しいですし。こんなにも、聴いていて楽しいというのは、なかなか珍しいなと感じています。『ジーザス』を作る前のロイド=ウェバーさんなので、いろいろなことを試しているんだろうなと音楽から感じます。

ーー歌う時には、どのように感じられていますか?

村井:僕は、ほとんど歌わないですよ。

小西:村井さんはいつも歌いたくないって言いますけど、そんなことないですよね!(笑)。

村井:(笑)。だって、下手なんだよ。難しいんだよね、今回のは。

小西:村井さんの歌声を聴きたいですもん。

村井:小西くんのファラオのロックンロールは本当にいいですよ。ロック?と思いながら見てますけどね(笑)。

ーーファラオは「満を持して出てくる」という雰囲気ですよね。

村井:そう。「おまちどうさま」というタイミングでね。

ーー今回、演出ではどのような表現がされるのでしょうか? 例えば、ビジュアル的なことなど、教えてください。

小西・村井:美しいですよ。

小西:演劇的に考えられていて、すごくシンプルで人力な感じです。そこがいいんですよ。ほぼ「素の舞台」みたいなところで演じるシーンが多いです。絵本の中の物語に見えるような仕掛けもあります。

村井:最初は、学校で観せるための作品として、ロイド=ウェバーさんが作っていたということもあり、「子どもに話を聞かせる」という演出があります。子どもが夢を見て「ジョセフ、もっと話を聞きたい」と言うシーンがあるんですよ。プロジェクションマッピングなどを使うのではない演出が楽しいですね。観ていると、ドキドキするし、子どもが観るときっと喜ぶだろうなあと思います。お子さんにも観ていただきたいですね。

ーーロイド=ウェバー作品の演出は定められていることが多いですが、この作品の演出は、ダレンさんの発想に一任されていると伺いました。

小西:今回、子どもたちがずっと舞台の上にいるのですが、それもダレンさんがアレンジした演出なんです。舞台のどこかしらで、ナレーターと一緒に物語を観ているという。そうすることによって舞台上で起きる全ての物語が子供たちに向けられてるとわかります。そして「こういうことが起こったよ。じゃあ、ここから何を学ぶ?」と、ナレーターが子どもに言っている内容がお客さまに伝わると、物語の奥行きが出てとても有機的になるんじゃないかなと思います。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、これまでに共演経験もある村井さんと小西さんならではのお話、村井さんが「言葉」について考えられていること、小西さんとジョン・ケアードさんのエピソード、カンパニーのメンバーの素晴らしさやお客さまへのメッセージについて伺った内容など、インタビューの後半の全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■村井:ちゃんと力点があって、放物線を描くような言葉をかけることを大事にしたい

■村井: 日本語の場合は子音が大事なんだよね。 海外の作品は、そこを上手く伝えなきゃ

■小西:「このメンバーが揃っていて、この人、ソロ歌わないの?」というぐらい贅沢

■小西:考えるのではなく、身体で感じる楽しさがある作品 村井:とにかく楽しんで

<ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』>
【東京公演】2022年4月7日(木)~4月29日(金・祝) 日生劇場
【愛知公演】2022年5月5日(木・祝)~5月7日(土) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
【大阪公演】2022年5月12日(木)~5月16日(月) オリックス劇場
公式サイト
https://www.josephthemusical.jp/

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■村井:ちゃんと力点があって、放物線を描くような言葉をかけることを大事にしたい

ーー今日はせっかくの対談なので、これまでに共演されてきたお二人ならではのことも教えてください。

村井:小西くんの舞台は、初共演以来、観ていますよ。芝居に変なところもないし、日本語もちゃんとできていますよね。僕は最近、70歳を過ぎてから特に、日本語にうるさくなってきたんですよ。「ちゃんと力点があって、放物線を描くような言葉をかける」ということを大事にしたいんです。最近は、語尾が乱れる人も多くて。日本語をもっと大事にして欲しいなと思うのだけど、小西くんは、昔からそういうところがない。ちゃんとしているんです。

小西:村井さんみたいな方がいるおかげで、勉強させていただいてます! 僕が言葉の大切さを実感したのは、ジョン・ケアードさんの作品に出演させていただいたときなんです。

ーーレミゼの時でしょうか?

小西:それもありますが、特に『十二夜』の時です。ミュージカルではない作品だったこともあり、ジョン・ケアードさんの日本語の響きに対してのこだわりがとても繊細で明確で。日本語の響きの美しさを意識するきっかけとなりました。周りにも、村井さんのような身を持って教えてくれる先輩方もいらっしゃいましたし。今も先輩方に沢山教っています。

■村井: 日本語の場合は子音が大事なんだよね。 海外の作品は、そこを上手く伝えなきゃ

村井:ジョンさんは、Playということを、「遊ぶんだ」と言うよね。発想をもっと、俳優自身が豊かに持った上で、遊ぶことが大切だと。

小西:はい。ずっと変わらない大切なことだなと思います。以前、誕生日に、ジョンさんが僕にプレゼントをくれたんですよ。それが日本の寺社仏閣や庭園などの日本の建築についての本だったんですが、「こういうものに興味を持つといいよ」ってジョンが言ってくれたんです。それは日本文化を理解し愛し、豊かな発想を膨らませることに繋がると思いました。

村井:俳優っていうものはね、言葉に敏感じゃなくちゃダメなんだよ。言葉だけで、人に伝えるのだから。音楽に助けられてやっているんじゃダメだ。音楽は、とても力強いものだからね。言葉はやっぱり、大事にしないと。日本語の場合は、子音が大事なんだよね。英語と日本語の表現はまた違うから、海外の作品は、そこを上手く伝えなきゃ。

小西:日本語に直すときの難しさ、ありますよね。

村井:でも、今回の歌詞はききやすいですよ。翻訳の方が、メロディーに合わせて言葉を選んでいらっしゃるのを感じます。

■小西:「このメンバーが揃っていて、この人、ソロ歌わないの?」というぐらい贅沢

小西:そして今回も、メンバーが豪華なんですよ。全員で、ほとんど全部の歌を歌っているので迫力がありますね。

村井:いやもう、すごいよ! ジョセフの兄弟や妻たち皆がすごいよ。

小西:この贅沢なメンバーが必要なのは納得なのですが、「このメンバーが揃っていて、この人、ソロ歌わないの?」というぐらい贅沢です。

村井:上手い人ばかり揃っているね。

小西:今回の作品は、各人が、ちゃんと力を持っていないといけないというプロデューサーの考え方のもとで作られています。

■小西:考えるのではなく、身体で感じる楽しさがあるカラフルな作品 村井:とにかく楽しんで

ーーお話をずっと伺っていたいのですが、最後、読者の方へメッセージをお願いします。

小西:ダレンさんは、毎日のように「なぜ、今この作品をやるべきか」と話してくれます。そして決めつけるのではなく、毎回、まずはこちらが考えたものを、楽しそうにみながら、この作品に混ぜる様々な色を見つけています。そのカラフルさは、考えるだけでなく、身体で感じられる作品として、お客さまに届くのかなと思います。歌詞や台詞の中の、単語やワンセンテンスだけがパッと耳に入ったときでも、「今これが必要だな」と感じていただける言葉があると思います。そして何より、劇場で皆さんに思い切り楽しんで頂きたいです。

村井:みなさん、とにかく楽しんで下さい! 小西先生がおっしゃる通りでございます!

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“「ちゃんと力点があって放物線を描くような言葉を」、村井國夫・小西遼生対談(下)” への 4 件のフィードバック

  1. じゅんこ より:

    いつも、興味深い内容で楽しませていただいてます。これからも宜しくお願いいたします。

  2. ぽち蔵 より:

    (上)に続いてとても心に届く対談でした。
    お二人の真摯さに頭が下がります。
    大千穐楽まで無事の公演をお祈り申し上げます!

  3. ロゼ より:

    素晴らしいお二人の貴重な対談。
    宣伝というよりも、本当に考えとか、言葉をされていることとか、他のインタビュー記事ではお見掛けしない。
    今回も興味深く読ませて頂きました。
    次に観るとき、言葉を意識して観ちゃいます。
    素敵な記事をありがとうございました!

  4. みゆき より:

    村井さんの「日本語を大事に」というお話の説得力。佇まいと意識された言葉があるからこその存在感の素晴らしさ。その大きな姿をお手本にされている小西さんがこれから年を重ねてどんな役者さんになっていくのかますます楽しみになる対談でした。

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