「一人一人の苦しさを具体的に」、『ロザリー』木暮真一郎インタビュー(上)

木暮真一郎さん=撮影・NORI

ミュージカル座2020年3月公演『ロザリー』が3月4日(水)から3月9日(月)まで、六行会ホールで上演されます。数々のオリジナル・ミュージカルを創作する山口琇也さんとハマナカトオルさんのコンビによる作品で、神が与えた人間の運命をテーマに、フランス革命に生きた対照的な二人の女性、ロザリーとマリー・アントワネットの人生を描きます。今回は4年ぶりの再演で、出演はロザリー・ラモリエール役が綿引さやかさん、マリー・アントワネット役が尾川詩帆さん、アラン役が木暮真一郎さんと上田隆晴さん(Wキャスト)、ほかのみなさんです。この作品にアラン役で出演する木暮真一郎さんにインタビューしました。

木暮真一郎さん=撮影・NORI

木暮真一郎さん=撮影・NORI

<ストーリー>(公式サイトより、一部中略・後略)
幕が上がると、舞台は1793年のパリ。革命裁判所の法廷で、喪服の元フランス王妃マリー・アントワネットに死刑の判決がくだされる。コンシェルジュリーの牢獄で、最期の夜を迎えるアントワネットに付き添う牢番の女中ロザリー。「今まで私のことを、どう思っていたのです?」とたずねた元王妃に、ロザリーは「憎んでおりました。」と答える。その夜、アントワネットとロザリーは、初めて心を開き、互いの人生を語り合うのだった。(中略)。理不尽な封建社会で貧しい農民の娘に生まれたロザリーは、幼くして父を領主に殺され、母は自殺という不幸な生い立ちを送った。幼なじみのアランは農村に幻滅し、ルソーの思想に共鳴して都会に赴く。姉のフランソワーズは、生きるため貴族に関係を持たれて妊娠し、一人息子ピエールを産む。ロザリーはフランソワーズと一緒に田舎を出て、マルグリートが経営するパリの売春酒場で賄いとして働き始めるが、ある夜、ロザリーは店を訪れたバスチーユの看守長ドローネに陵辱され、看守長を刃物で切りつけてセーヌ川に身を投げる。ロザリーの投身を目撃した情報屋のジャン・ポールは、革命派の仲間アランに知らせ、ロザリーを救って革命派の隠れ家にかくまう。こうして、ロザリーは貴族を憎むようになり、旧時代の象徴として、ルイ16世とマリー・アントワネットの打倒を目指し、仲間と共にフランス革命へと突き進む。(後略)。

――ミュージカル座の『ロザリー』出演、いかがですか?

前回の『ロザリー』のアラン役が杉浦奎介くんで、杉浦くんも僕も、2019年の『レ・ミゼラブル』で同じフイイ役を演じました。しかも、杉浦くんは、僕がこの仕事を始めるきっかけになった人で、学生時代に「ミュージカルを学生規模(東京藝術大学のミュージカルサークル「ミュージカルエクスプレス」)でやるんだけど、一緒にやらない?」みたいな感じで参加したのが始まりなので、並々ならぬ関係ではあるんです。だから面白かったですね。「また同じ役を演じるんだ」と。

――アランは、『レ・ミゼラブル』のフイイと同じく、フランス革命の革命家ですね。

僕は『スカーレット・ピンパーネル』にも出演させていただいた(クーポー役)ので、フランス革命は、今回で3作品目です。

――3作品とも革命側で。

『スカーレット・ピンパーネル』は、革命が終わって恐怖政治を行ったロベスピエールの部下のような立場だったので、ちょっと悪役というか…。

――アランは、どんな人物ですか?

農民なんですが、フランスの荒れた社会に怒りを覚えて、結構早い段階で、農民ながら革命に向けて動き出すという人です。農民ですけど、作中ではルソーが好きなのかなと思える台詞があったりするので、思慮深そうな人というイメージを僕は持っているんです。

――主人公のロザリーの幼なじみですね。

でもロザリーを置いて、早い段階で革命を起こそうと、ひとりで行動しちゃうんです。『レ・ミゼラブル』のアンジョルラスじゃないですけど、革命を起こそうという若者たちの中心人物です。ただ『レ・ミゼラブル』で裕福な学生たちが革命に動き出すのとは、またちょっと違うなと。

――農民が革命に動き出すと。

『レ・ミゼラブル』僕が演じたフイイは「ABCカフェ」の一員ですが、ひとりだけ学生じゃないんですよ。もともとは職人で労働階級というか、本当に貧しい中で歴史とかが好きで、自分で勉強して、革命を起こそうという学生の中に入っているので、ちょっと今回のアランとは、立場的には似てるんです。そこの共通点も面白いなと思っています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、アランとロザリーの関係について、ロザリー役の綿引さやかさんと、マリー・アントワネット役の尾川詩帆さんについて、作品が描いているものなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月3日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、『ロザリー』の稽古場の様子のほか、木暮さんが昨年出演した『レ・ミゼラブル』や『SMOKE』について伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■ロマンスですか? いやぁ(笑)。通じ合えるところがあるという感じです

■綿引さやかさんは、芯の強い方だと思います。歌声も強くて、すごく心強い

■尾川詩帆さんは、凛としている。マリー・アントワネット役にピッタリ

■一人一人がひどい目に合うのが具体的に描写されて、結構「うわっ」て

<ミュージカル座『ロザリー』>
【東京公演】2020年3月4日(水) ~2020年3月9日(月) 六行会ホール
公式サイト
https://musical-za.co.jp/stage/%E3%83%AD%E3%82%B6%E3%83%AA%E3%83%BC2020/

<関連リンク>
『ミュージカル座』公式 Twitter
https://twitter.com/m_mzamza
木暮真一郎 Twitter
https://twitter.com/kogushin
木暮真一郎 ORCHARD
http://orchard-net.com/wordpress/?page_id=3307

こちらはミュージカル座の『ロザリー』(2020)公式ページに掲載されている『冴月里実「世界をつくるのは女」~神郡英恵「7月14日」』動画です。

<ミュージカル座『ロザリー』関係年譜>
【1998年4月初演】
出演:ロザリー=伊東恵里・片岡直美、アントワネット=三根陽子・白勢恵、アラン=砂山康之・小澤日出晴、ほか。
【2009年11月、脚本・演出をリニューアルして上演】
出演:ロザリー=青島凛・神郡英恵、マリー・アントワネット=片桐和美・会川彩子、アラン=佐野信輔・谷口浩久、マルグリート=冴月里実、ほか。
2016年10月上演
出演:ロザリー=浦壁多恵、マリー・アントワネット=清水彩花、アラン=杉浦奎介、ほか。
2020年3月上演予定
出演:ロザリー=綿引さやか、マリー・アントワネット=尾川詩帆、アラン=木暮真一郎・上田隆晴、ほか。
(出典:ミュージカル座のあゆみ

<新型コロナウイルスの対応について>(ミュージカル座のリリースより)
いつもミュージカル座を応援頂き誠にありがとうございます。新型コロナウイルスの発生に伴い、ミュージカル座 3 月公演「ロザリー」「ブレイン・ストーム」「スター誕生」公演にて、下記の対策を実施致します。 ご来場されるお客様、何卒ご理解をいただきましてご協力のほどよろしくお願い致します。 ■上演につきましては、感染防止に細心の注意を払いながら上演をする予定でございます。 ■劇場内各所に消毒用アルコールを設置致します。積極的にご利用下さい。 ■会場内ロビー回りのスタッフも、マスク着用・アルコール消毒を行って参ります。マスク着用に関しましては、本来ご来場されたお客様に対し、感謝の気持ちをもって「笑顔で」お出迎えしたい気持ちでいっぱいではございますが、何卒悪しからずご了承下さい。(マスクの中では笑顔でお出迎えさせていただきます。) ■ご来場されるお客様で、風邪・ウイルス感染の自覚症状がない方もマスク着用でのご来場をお願い致します。各公演でもマスクの予備はご用意致しますが、入手困難な時期であり 3 公演連続上演となっているため、出来る限りお客様ご自身でご用意いただけますと幸いでございます。(突如出てしまう咳やくしゃみなどの対策のためハンカチなどもご持参いただきますよう重ねてお願い致します。) ■ご観劇中にお咳が出ているお客様に対しましては、途中退場をお願いする場合がございます。悪しからずご了承下さい。
【面会中止について】 3 月公演共通で、『面会中止』とさせていただきます。 ロビーや客席など狭い場所での面会となり、かなりの混雑が予想され、感染予防といたしましては、面会中止をせざるを得ない状況でございます。本来、ご来場いただきましたお客様には、直接感謝の気持ちをお伝えできる大切な面会の場であり、とても残念ではございますが、出演者にも理解をいただき、ミュージカル座共通取り決めとして面会中止とさせていただきました。誠に残念ではございますが、ご理解・ご了承いただきますようお願い致します。

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※木暮真一郎さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月2日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

木暮真一郎さん=撮影・NORI

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※ここから有料会員限定部分です。

■ロマンスですか? いやぁ(笑)。通じ合えるところがあるという感じです

――ロザリーとアランが幼なじみだった頃のシーンはあるんですか?

あります。

――2人の間には、幼なじみ以上のロマンス的なものがあったりするのですか?

いやぁ…(笑)。普通なんかあるじゃないですか。でも台本には、あんまりそうは描かれていないので。

――純粋に幼なじみ?

特に意識はしてないかもしれないですね。

――成長したロザリーに再会してからは?

ただの幼なじみだったのが、一緒に革命に動き出すというので、同じ境遇で生きてきたからこそ通じ合えるところがあるという感じですね。

木暮真一郎さん=撮影・NORI

木暮真一郎さん=撮影・NORI

■綿引さやかさんは、芯の強い方だと思います。歌声も強くて、すごく心強い

――ロザリー役の綿引さやかさんとは初共演ですか?

はじめてですね。ロザリーにピッタリというとあれですけど、やっぱり芯の強い方だと思います。歌声も強くて、意志の強さを感じる佇まいだったりするので、すごく心強いというか。

――心強い。ロザリーとして戦う綿引さんの姿を見て、力をもらえるような?

それはすごくあると思いますね。ロザリーとは、結構シーン的には会わないんですよ。早めにアランが都会に出て行ってしまったりして、で、そのあと紆余曲折があったりした上で再会するので。でも、その再会してからの心強さというか(笑)。再会した時点で同志であり、なんだったらもう、民衆を引っ張って行くような存在になっているので。僕がと言うよりは、ロザリーがみんなを扇動している。もちろんそういう側面もあるんですけど。

――アランはロザリーを支える立場でしょうか。

そうですね。僕の立場的にはそうだと思います。ロザリーは “民衆の女神” みたいな革命の象徴になっていますし。僕はみんなにそれを煽る、みたいな。どちらかというと、そうだと思います。

木暮真一郎さん=撮影・NORI

木暮真一郎さん=撮影・NORI

■尾川詩帆さんは、凛としている。マリー・アントワネット役にピッタリ

――マリー・アントワネット役の尾川詩帆さんは、いかがですか。

共演はないのですが共通の友人も多くて、歳もほぼ同じくらいなんです。立ち姿というか、佇まい、存在が綺麗で凛としている方ですね。「マリー・アントワネット」って、もうすごい役じゃないですか。でも彼女はピッタリだなと思います。

――この作品に参加されて、フランス革命やマリー・アントワネットのイメージは変わりましたか?

結構。『ロザリー』というタイトルですが、マリー・アントワネットの描写がすごく多くて、最後に結構大きいソロナンバーもあったりするので、フライヤーもそうですけど、まさにこの二人が主役、みたいな。本当に細かく半生が描かれているんです。この時代の宮廷には華やかなイメージがありますけど、マリー・アントワネットに関わらず、この作品は他の革命の作品に比べても、結構むごいなと。本当にみんな悲惨なんですよ。

木暮真一郎さん=撮影・NORI

木暮真一郎さん=撮影・NORI

■一人一人がひどい目に合うのが具体的に描写されて、結構「うわっ」て

――みんな悲惨…。

一人一人、登場人物がみんなひどい目に合っていく。他の作品は民衆が飢えて苦しんでいる、みたいなものは、大勢の民衆がガーッと出てきて苦しんでいたり、怒っている姿というのが描かれることは多いと思うのですが、もう、一人一人が本当にひどい目に遭っていくのが、具体的に描写されているんです。深刻に重く物語が進んで、それぞれが辛いというか、それぞれ悩んだり苦しんだりしている。しょうがないこともあるじゃないですか。悪事を働いて、盗みだったり、それこそギロチンとかもそうですけど、それが、すごい結構遠慮なく描かれていたりするので…。

――客席が衝撃を受ける感じで?

僕は前回観劇して、結構「うわっ」って思いましたね。他の革命の作品に比べて、ショックは大きかったかもしれないですね。

木暮真一郎さん=撮影・NORI

木暮真一郎さん=撮影・NORI

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