「芝居人生真ん中の作品」、『アルジャーノンに花束を』矢田悠祐インタビュー(上)

矢田悠祐さん=撮影・NORI

ダニエル・キイス原作、荻田浩一さん脚本・演出の、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』が2020年10月15日(木)から11月1日(日)まで、博品館劇場で上演されます。2017年から主人公、チャーリィ・ゴードンを演じる矢田悠祐さんに、今回の再演についてお話いただきました。

矢田悠祐さん=撮影・NORI
矢田悠祐さん=撮影・NORI

――再演のお話を聞いたときのお気持ちは?

とても嬉しかったです。自分自身、好きな作品なので。今回劇場は変わりますが、作品の素晴らしさをすでに知ってるので、楽しみの方が大きかったです。

――矢田さんにとって『アルジャーノンに花束を』という作品は?

自分の芝居人生における真ん中にある、核になる作品だと思います。

――主演作品で再演は?

主演で再演というのは初めてですね。同じ作品で、僕が主演で、演出の荻田さんも同じですが、今回新しく参加する俳優の方もいらっしゃるので、楽しみです。

――脚本や演出は、前回から変化はありそうですか?

アリス・キニアン役の水夏希さんの新曲があったり、曲の変更もあります。今はこういう時期なので、他のカンパニーでも、公演時間を短くしたり、工夫をされていると聞きますが、「アルジャーノン」も、よりミニマムに、かつ分かりやすくという感じになっているんじゃないかなと思います。

――稽古はどんな感じで?

1から創っているという感覚です。荻田さんからは、前回と同じことをやると「違う」と言われたりします。

――前回と同じことをやると「違う」と。

求めてもらえるハードルが前回よりも結構上がっているんです。求められるものは高度になっているかなっていうのは感じます。

――前回は「1日にダメ出しが100個ぐらい」あってとおっしゃっていましたね。

ありました、前回は(笑)。今はとりあえず形を作ってる段階なので、そこまではないですけど、細かいところは細かく言っていただいています。まず自分で事前に創ってから、こういうのはどうかなって思ってやってみて、そこから修正していくという感じです。

――前回、特に印象深かったことはありますか?

初めての主演でしたから、一番最後のカーテンコールで真ん中に立つというのは初めてだったので、それが印象深くはあります。あとは、ただ必死だったなっていう記憶しかないですね。普通に役者やっていて、3年くらいかけて学ぶことを、一気にこの期間で詰め込んでいただいたというぐらい、色々勉強することがあったので、とても憶えています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、再びチャーリィ・ゴードンに向き合って気付いたことや、役と自分との距離などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。10月9日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、前回も共演された皆さんと再会されての想いや、コロナによる自粛期間中のインスタライブなどについても伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■目が覚めた瞬間から脳みそが活性化してて、通しができるくらい覚醒してました

■演出家の方からの本当に細かい注文や調整にチャレンジするのが面白い

■自分が変わってなくても、周りの見る目が変わったら、それは変わっている

■役で感じていることなのか、自分で感じることなのか、結構ごっちゃになる

<ミュージカル『アルジャーノンに花束を』>
【東京公演】2020年10月15日(木)~11月1日(日) 博品館劇場
公式サイト
https://music-g-h.com/stage/algernon/

<関連リンク>
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矢田悠祐さん=撮影・NORI
矢田悠祐さん=撮影・NORI

※ここから有料会員限定部分です。

■目が覚めた瞬間から脳みそが活性化してて、通しができるくらい覚醒してました

――凝縮された時間だったんでしょうね。

先日、荻田さんに「よくあのときワーーーッってなんなかったね」みたいに言われました。稽古が終わるのは、僕がもう覚えきれなくなったら終わり、ぐらいな感じだったので(笑)。

――覚えきれなくなったら終わり。

「あ、じゃあ今日は終わりです!」みたいな感じで、毎日パンパンに詰め込んでもらいました。

――限界まで詰め込んで…。

本当にそうでしたね。いま思うと。

――朝が怖くなかったですか?

そういう次元じゃなかったです。「なんとかしないと」って。目が覚めた瞬間から脳みそが活性化してて、通しができるくらい覚醒してました。チャーリィ・ゴードンみたいですね、ホントに(笑)。

――ほかの作品でもそうなんですか?

主演のときは、そういうふうになりがちですね。

矢田悠祐さん=撮影・NORI
矢田悠祐さん=撮影・NORI

■演出家の方からの本当に細かい注文や調整にチャレンジするのが面白い

――再びチャーリィ・ゴードンに向き合われて、新たに気付いたことは?

気付いたことは…周りがちょっと見られるようになっているのかなというのはあります。でも、チャーリィ・ゴードンって、周りが見えていないみたいな人なので、それでも良かったんですよ。それでも良かったんですけど、今回はまだ詰められるなっていうところ、隙間とかが見えてきたかなって感じがします。稽古前は、前回精一杯やったなと思ったところから始めているので、これ以上なにを考えるのかなと思ったんですけど、稽古が始まってみると全然考えることがあって。あと、ちょっとずつ演出が変わって、印象が変わります。台詞は一緒でも考えることが違ったりするので、大枠は一緒でも、もう一回組み立てているような、一回バラしてもう一回そこから組み立てて、ちょっと違う形になっていってるっていう感じがしています。

――この3年間のご自身の経験は活きていますか?

そうですね。前よりは余裕を持って、取り組めているかなというのがあります。でも全然まだ言われますから、「こうして、こうして、こうして」って。それをクリアするのがまた楽しかったりします。演出家の方によって、演出の仕方は全然違うと思いますけど、本当に細かい注文や調整、そういうのを求めてもらえるので、そこにチャレンジするのが面白いですね。

矢田悠祐さん=撮影・NORI
矢田悠祐さん=撮影・NORI

■自分が変わってなくても、周りの見る目が変わったら、それは変わっている

――チャーリィは手術前後で別人のように大きく変わりますが、演じる上で難しさは?

別人のようである、という感じですよね。これは結構、核心的な部分かもしれないですが、自分が変わってなくても、周りの見る目が変わったら、それは変わっているっていうことですよね。現実の世界でもありますけど、自分が思っている自分と、周りが見てる自分というのが必ずしもイコールではないっていうのは。でもチャーリィは頭脳が高度になって行くので、人との接し方や対人関係とかが変化していきます。ただ…無理やり造られた頭脳なので、どこかズレている。そういうところを細かく演っていくのが面白いところです。

――無理やり造られた頭脳…。

情緒面が追いついていかないというか、心が発達する前に、知識ばかり入って来たので、論理的思考になってしまう。荻田さんがおっしゃったんですけど、「AIみたいに答えを出す」。だから、それが良い悪いは別として、言ってることは正しいんですけど、人から見たら「性格に難がある」ように思われるのかもしれないですね。

――難しそうですね。

状況を把握できるけど、人間的感情として、なんと言えば良いか判らないとか。難しいです。でも演ってる方としては、難しいより、楽しいですね。

矢田悠祐さん=撮影・NORI
矢田悠祐さん=撮影・NORI

■役で感じていることなのか、自分で感じることなのか、結構ごっちゃになる

――演じられる役と、ご自身との距離は?

アルジャーノンやハムレット(2019年)のように、“その人の人生” みたいな話の場合は、没頭したいという思いがあります。だから舞台をハケているときも、ずっと集中していられればなと思います。

――ハケてるときも、ずっと。

アルジャーノンは、特に感じました。3時間ぐらいある作品で、ほぼずっと出てて、常に細かな感情を考えながら演っていくと、最後の方になると、役で感じていることなのか、自分で感じることなのか、結構ごっちゃになるっていうのはありました。初めての感覚でしたね。1日2公演やっていると、チャーリィ・ゴードンでいる時間が、1日の中で6時間くらいあるわけです。

――1日2公演で6時間。

今回は、ずっと1日2公演です。

――荻田さんが“主役に負担がかかる公演” とSNSで発信されていました。

そもそもチャーリィがどんどん“成長して朽ち果てていく” という話なので、ホントに消耗するんです。この公演日数で乗り切るために、どう表現でカバーできるのか。荻田さんも「ここは叫んで創るのは簡単やけど、そうじゃない方向にしよう」という風に、いろいろ考えてくださっていて。ただその分、薄くなったら意味がないので、バランスはやっぱり難しいですね。役者としては消耗した方が分かり易いけれど、「そうじゃないところを目指そう」っておっしゃってました。

矢田悠祐さん=撮影・NORI
矢田悠祐さん=撮影・NORI

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“「芝居人生真ん中の作品」、『アルジャーノンに花束を』矢田悠祐インタビュー(上)” への 2 件のフィードバック

  1. ゆみ より:

    全公演が終了してから改めてインタビューを読み返しています。
    矢田さんが粉骨砕身して挑んだ素晴らしい舞台でした。
    インタビュー内で矢田さんが、チャーリィがどんどん成長して朽ち果てていくストーリー、と話されていたのが印象的だったのですが、本当にそのとおりでした。
    悲しさ、やるせなさも感じつつひと掴みの幸福も感じられるラストシーンに感動しました。
    こちらのインタビューを読んでから拝見したのも良かったです。
    また矢田さんのインタビューをぜひ宜しくお願い致します(^^)

  2. もこ より:

    インタビューから、矢田さんの『アルジャーノンに花束を』に対する意気込みと作品を本当に愛しているのだなと感じました。前回がとても大変だったのが伝わってきましたし、それを経て沢山進化するのだろうなと観劇するのがわくわくしています。稽古の段階からとても楽しんでいると思えたので、舞台上で今回はどんなチャーリィになるのか楽しみです。

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