中川晃教さんのインタビュー後半です。有料部分では、音楽への思いや、ミュージカルを観客とともに育てていくことへの思いなど、愛が詰まったお話をたっぷりと聞かせてくれました。ミュージカルを作りたいと言い続けているその本音の部分や、海宝直人さんとの対談の際に伺った「行ききりたい」という思いについてもさらに話しています。ミュージカルを愛するみなさんにぜひ読んで頂きたい内容になっています。※【2019年3月13日追記】この記事は、有料部分の例としてみなさまに見ていただけるように、記事の全文を無料で読んでいただける状態にしました。
ーーオリジナル楽曲、ミュージカルナンバー、昔の名曲など、様々な楽曲構成とのことですが、そのバランスなどどのように考えているのでしょうか?
自分のオリジナルの世界だけを届けたいというのは偏見というか、それでは視野が狭いと思うんです。あの韓国のミュージカルフェスに来たお客様が、日本からきた全然違う僕を観たときに、歓声を上げてくれる。歌を聴いたときに、この人上手いとか、この人いい声だなとか、そういう収穫できる場所ってコンサートしかないと思っています。なぜなら舞台は役であり作品だから。そこが僕がやり続けてきたコンサートのなかで芯にあって、それを意識してやってきています。
ミュージカルナンバーも、昔からの名曲も、日本の今の音楽シーンのなかでどちらもやれるのは稀有なことであり、責任を感じることで、真摯に向き合っていきたいと思っています。自分が歌いたい曲を歌うのではなく、今までやってきた音楽活動のなかで、伝承されていることを語り繋いでいくべきですし、いい曲は歌うべきだと感じているから、日本のポップスもセットリストに入れています。今回「個人授業」を歌いますが、これはフランキー・ヴァリの発声が応用できた曲なんです。また、岩谷時子さんのメモリアルコンサートに出演させて頂きましたが、歌謡曲に近い、ああいう曲が好きなお客様が聴いてきた日本の音楽に、トワングが活かせることがわかったんですね。「個人授業」のオリジナルは子供が歌っていましたが、大人の僕はトワングを使うと歌えるんです。僕が関わってきたミュージカル作品は、シンガー、歌手というところが活かされる役が多かったからだと思いますが、音楽の流れと今の時代の流れが合流したことが、コンサートのなかで見せられたらいいなと思いました。
ーー新曲も披露するとのことですが、この忙しいスケジュールのなかで、いつ曲を作っているんですか?
とにかく曲づくりをすごくしたくて。コンサートって、自分の日常に近いプライベートの時間みたいなんですよね。
※こちらは、コンサートのリハーサルより、「相対性理論」と「別れるときに思うこと」の一部の動画です。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ミュージカルを観客とともに育てていくことへの思い、ミュージカルを作りたいと言い続けているその本音の部分、海宝直人さんとの対談の際に伺った「行ききりたい」という思いなどについて語ってくださった、インタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■大抜擢されてはじまった僕のミュージカル。憧れや目指すものを忘れたくない
■フランキー・ヴァリを経験した後のコンサートじゃないと届けられない歌を
■お客様が作品をみて良かったと思ってくれた裏側の原因を、いくつ作れるか
■僕にしか描けない、誰も想像できない、ミュージカルを作りたい
■本当の意味で、シンプルに「楽しかった」と思ってもらえることが嬉しい
<中川晃教コンサート2018『I Sing ~Wonderful Wonder~』>
【東京公演】2018年11月16日(金) 開演19:00 (予定)
会場:Bunkamuraオーチャードホール
チケット:S席¥8,640 A席¥6,480 (全席指定/税込)
Bunkamuraオーチャードホールのページ
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20181116.html
<関連リンク>
中川晃教オフィシャルサイト
http://www.akinori.info/
中川晃教オフィシャル Twitter
https://twitter.com/nakagawa1982aki
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※中川さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは12月13日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)
※【2019年3月13日追記】この記事は、有料部分の例としてみなさまに見ていただけるように、記事の全文を無料で読んでいただける状態にしました。
※ここから有料会員限定部分です。
■大抜擢されてはじまった僕のミュージカル。憧れや目指すものを忘れたくない
僕は音楽もプライベートのなかにあるものだから、コンサートで新曲を発表するとなったときに、締切ができるから焦りもありますが、今はそれが逆に、できることならミュージカルと音楽の配分を逆転させたいくらい、本当は書きたい思いがずっとあって。だから苦じゃないんですよね。次の日の朝を考えないで、曲作りを夜までやっていた20代の頃が、今戻ってきている感じというか。名古屋公演の前の2日間と、久留米公演の前日に書きました。だから、もうずっと考えていますね。妄想してます(笑)。
ーー『ジャージー・ボーイズ』を観たミュージカルファンではない人達と話していると、素晴らしかったという感想とともに、中川さんはすでに頂点を極めた、行ききった人的な認識をされているんだなと感じるんです。ご自身ではそういう見方をされることについてどう思いますか?
まだまだ先を見ている感覚ですから、そんなことは自分では感じていないです。山の向こうにまた山があるような…。僕は、自分自身がミュージカルスターになりたいと憧れてミュージカルをやりはじめた訳ではなくて、大抜擢して頂いて、ミュージカルの世界に入ることができました。それから、逆にミュージカルが、自分自身の夢を思い出させてくれたりしました。真摯に現場や作品、人と向き合っていくなかで、色々なものが積み上がってきています。それは、夢や希望を持ったり、何か憧れるものや目指すものであったりする、そういうものを忘れたくないなと、今まさに感じている感覚なんです。
僕が行ききる場所はミュージカルではなく、自分の人生じゃないですか。だからお客様に届けている世界で行ききるのは当然のことで、そこで行ききったと自分が思うときがくるとしたら、それは次のステージが明確にみえている時だと思うんです。そういう意味で、今まではもっと世界を目指そうと思っているだけでしたが、もし世界を目指すレベルがあまりに大仰だとしても、例えばその現場のなかでみんなが何を目標ともってとか、そういう大小では表現しきれない、ミュージカルの現場が教えてくれた、そういうところに真摯に向き合っていくなかで生み出すもの、気持ちの部分。なぜミュージカルをやっているのか技術や経験だけでは片付けられない、自分が片足をすごく突っ込んで、片足だけで終えることもできたけれど、そうではなくその道のなかでプロを目指すんだと思わせてくれたミュージカルの世界に、それだけ希望や魅力を感じているからだと思うんですよね。
オリジナルミュージカルを作りたいというのは、自分のなかで目標としていますが、実際にはシンガーソングライターとして曲を作ったりする、音楽が自分の日常の一番ほっとする瞬間なんです。ミュージカルの舞台に立っている時も自分の日常ですが、それだけでは均衡が取れないと思えるように導いてくれたのも、ミュージカルとの出会いなのかなと思ったときに、ミュージカルを書くという夢を持たせてくれている、今の自分の高い目標に向かって突き進む中川晃教を見てほしいですし、そこには国境とか概念とかそういうものに縛られているものだけではない何かがあるから、多岐にわたってチャレンジしようと思うモチベーションがあるということも、どこかで気づいてもらえるときがきたらいいなと思います。
■フランキー・ヴァリを経験した後のコンサートじゃないと届けられない歌を
自分のコンサートがそのひとつだと思いますし、ミュージカル作品を通して興味を持ってくれた人が、僕の歌が聴きたいと思って足を運んでくれるコンサートができたら嬉しいです。今回のインタビューのなかで、さらに興味を持ってもらえるような自分になれたらいいなと思いました。僕がミュージカルを作りたいと思ったのはなぜなのか。ミュージカルをやっていて思ったことなのか、世界のミュージカルを観て単純にファンとして思ったことなのか。そうではなくてもっと自分の人生のなかでミュージカルが実はエネルギーの源だからなんです。その曲を聴けば、その劇場に行けば、その作品の上演が決まってまだ半年あるけれど、決まったことだけで自分が半年間頑張れる気がするとか、そういう支えや夢であり、それが僕にとってのミュージカルなんです。そういうところも含めて歌で感じてもらえるようにしたいなと思っています。
コンサートだけでなくテレビ番組で歌うのも同じです。どんな歌を歌おうが、ミュージカルが僕に光をくれて、そこで中川晃教を育ててくれたお客様がいるから、やっぱり今の自分の考え方や感じることがあるというのを、今一度感じあえるコンサートにしたいなと思いますし、そういう活動をこれからもしていきたいと思います。何が自分にとって喜びなのかを、歌を通して、歌い方、表現、フランキー・ヴァリを経験してその後にやるコンサートで何が変わったのか、もっと声が出るようになっているのか、そういうことも今じゃないと歌を通して届けられないと思うんですよね。自分にとって一番のミュージカルという場所が教えてくれた、気づかせてくれた夢や力を、今度は自分自身が余すことなく、コンサートでなければ届けられない歌にぜひ触れてもらえたら嬉しいです。
■お客様が作品をみて良かったと思ってくれた裏側の原因を、いくつ作れるか
ーー一方通行ではない、ミュージカルを通してお互いに感じあえるって素敵なことですよね。それを再び感じ合えるのがコンサート。
これはリップサービスではいえないことで、実感なんですよね。お客様が何を思っているかは、僕らには本当はわからなくて。でも、少なくとも作品をみて良かったと思ってくれた裏側には、必ず原因があるわけじゃないですか。その原因をいくつ作れるかということ。その原因を問題とするならば、問題を解く能力や答えはみんなが持っていて、でも問題を持っていないと何もはじまらないんですよね。成功が目標なのか、自分が目標なのか、そういうことのための問題が時にマイナスだったり、つまらないことだったり、自分には関係ないと他人事だったり。人間はそれぞれに移ろいゆくなかでも向き合って今の最高を届けるのが、僕にとって舞台に対する誠実だと教えてもらいましたし、今もそれを信じています。
それをより感じるタイミングにきているから、その結果みなさんが感じていることが、良かったとか、良くなかったという感想も含めて、盛り上がるときに起爆剤となることもあるじゃないですか。そうやってお互いに育てあっているところに愛を忘れないでほしいと思うんです。やりっぱなしではなく、見っぱなしでもなく、日本の様々なミュージカルシーンや、さらに世界、そのすべてにお互いに愛を注入していけたら。どの俳優のファンも、作品のファンも、劇団のファンも、制作会社のファンも、僕らからしたらすべての方々が届ける相手じゃないですか。それは初めて観てくださるお客様も同じで、さらにマスを広げるためにはどうしたらいいのかと考えます。
■僕にしか描けない、誰も想像できない、ミュージカルを作りたい
ーー『ジャージー・ボーイズ』盛岡公演を、約2000席ある大きなホールの2階席で拝見したとき、オペラグラスを持っていない、ミュージカルを見ることが当たり前ではない地元のお客様が盛り上がっている様を見て、伝わるんだと感動しました。あれは東京で舞台を観ていても経験できないことで、何も知らない人が楽しんで帰るってすごいことだなと感じました。
そうですよね。お客さんの世代もぴったりでしたよね。だから本当に岩手(盛岡)も勿論、全国各地に行った作品が『ジャージー・ボーイズ』で良かったと思うんですよ。だからこそ、すべてのお客様が聴きにいきたい、観にいきたいと思ってもらえるような舞台に立ち続けたいというのが一番です。でも、自分だけが頑張るということがそこに繋がるかというと、そうではない気がしています。その作品に自分が必要とされて呼ばれた時に、観ているお客様達が良かったと思えることを、ひとりでは作れません。お客様が喜んでくれることのためには全てのかかわる人が、そのことだけに真剣になった方が、絶対にお客様が出す最後の答えはどちらにしてもいいんじゃないかと思っているんです。
ーー海宝直人さんとの対談の際、モチベーションの話を伺ったときに、「行ききりたい」という話をしていましたよね。
「作品のなかで行ききりたい」というのと、「自分自身が行ききりたい」というのは違うんですよね。例えば、フランキー・ヴァリでいえば、あと少しで行ききれる感じはするんですよ。奢りではなく、掴める感じがするんです。再演までの2年間でやってきたことと、再演の幕が開いてから毎日やっていることで、どんどん気づいて精度が上がっていくんです。でも、自分は上がっていっても、ハーモニーが上がるかといえば、これはみんなの問題じゃないですか。そういう意味では最後まで行ききれないんですよね。だから、ミュージカルの世界だけでは、自分は行ききれないんですよ。
じゃあ、自分にとってそれは何かというと、ミュージカルを作ることで、これは僕にしか描けない、誰も想像できない、はやく書いてよとしかいえないことじゃないですか。でも、僕からすればそれをやると思えるのは行ききりたいと思える自分にしか想像できないというか。いうだけでは始まらない、今の自分のなかでの行ききっていないんだ、まだやらないといけないこと、勉強しないといけないことが沢山あるんだという意識にもなれる。
■本当の意味で、シンプルに「楽しかった」と思ってもらえることが嬉しい
ミュージカルに出会えたことで、今の自分が本当に目指す目標が高く持てている、そこに喜びを感じている自分がいるから、同じようなお客様を見た時にすごく幸せになれるんです。それは例え自分のファンじゃなくても、誰かに必死になっている気持ちが素敵だと思いますし、共に共通するミュージカルに対してみんなが夢をみること。それは僕にとって『ジャージー・ボーイズ』が教えてくれたことです。その思いがみなさんに伝われば嬉しいですし、その思いがもっともっと増していくように、盛り上がっていくために、僕はミュージカルをもっと頑張りたいと思っています。本当の意味で、最後に拍手を頂いたときに「ありがとう」と頭を下げて答えたいのは、実はすごくシンプルなところで、「楽しかった」と思ってもらえることが嬉しいです。そこにただただ誠実に、真面目に、これからも向き合いたいと思わせて頂いています。
※中川晃教さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは12月13日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)
この中川晃教さんインタビューの「上」は、こちらです(全文無料公開しています)。
https://ideanews.jp/backup/archives/67143
コンサートでの幸せな時間を思い出しながらこの記事を読み返しています。
自分自身が観客で居続けることはもちろんですが、中川さんの熱い想いを知るにつけ、もっともっと多くの人に届くようにと願わずにはいられません。
自分も観客として育てていただいている、ということは盛り上げることに一役買える日が来る?
夢のある話です!
でもそんなこととは関係なく、オーチャードホールでのコンサートは純粋に楽しめるものでした。
深く考えることを強要されるわけではない。でも、考える側でいたい!と、この記事を読んで思いました。
コンサートから1週間過ぎて、改めてインタビュー記事を読ませていただき、「総体」がわかった気がします。
中川さんの熱い思いから溢れ出す言葉がぎっしり詰まったこの記事をこれからも読み返したいです。
色々な気づきをいただける記事をこれからもお願いします。有難うございました。
コンサートは本当に幸せな時間で、今もじっくり心で味わっています。
先日のオーチャードホールでのコンサートに行って来ました。
ずっとJB三昧でしたがあっきーの歌声を聞いた瞬間やっぱりこの声が大好きなんだと改めて感じました。
こちらのインタビュー記事を最後まで読んで更にあの時の感動が蘇って来た気がします。
ずっと先延ばしにしていた有料会員登録でしたが思い切って登録して良かった。
素敵なインタビューと動画をありがとうございました。
先日のオーチャードコンサートから数日経ちました。
韓国でのゲスト出演、JBでの地方公演にとても刺激を受けたようで今までとは違うアッキーを見たようでした。
そんないろんなことを感じとっての新曲(family)がとてもとても心に沁みこんで涙が込み上げてきました。
やっぱり、アッキーは歌うこと、歌で表現することが素晴らしいんだと思いました。
リハーサル動画を何度も何度も 見て聞いてコンサート参戦!わかっていた曲でも次から次にびっくり箱のように驚かされる展開♪ スゴイです♪
新曲がまた意外!切り口の曲!
行ってみないとわからない楽しさ!
なんですが… 記憶が…薄くなってく…
この動画貴重です♪
仁川でのSMFに参加して、観客から大きな声援を受ける中川さんを見て
日本にもいるんだぞ!!
と誇らしい気持ちになりました^ ^
あの短い時間の中で、たくさんの刺激を受けて、これからの自分に還元していこうとする姿に感動しました。音楽を、ミュージカルを愛する中川さんがこれからさらにどんな活躍をされていくのか?
とにかく楽しみで仕方ありません。素晴らしいインタビュー記事をありがとうございました!
ここ何年かで一番感動したインタビューです。
今年からファンになったので、シンガーソングライターで始まった方なのに、ミュージカルでの活動が始まり、多くの葛藤があったのではないか?と思ってました。
両方大切にされてるのは応援していくうちに理解してきましたが、このインタビューでここまでミュージカルも大切にし、観客やファンの思い等多くのことに気づいていて、大きな視野をもって活動されてるとは思ってませんでした。
この文章を読むにつれ、とても素敵な人のファンになったという幸福感でいっぱいになりました。
いつもありがとうございます。
願いが叶うように、改めて微力ながら応援していきたいと思ってます。
素敵なインタビューをありがとうございました。
中川さんの溢れる想いがステキなインタビュー上・下と、貴重なリハーサル動画をありがとうございます。
私自身、ミュージカルが好きで中川さんの出演する作品を度々観ている内に、もっともっとこの人の歌声を聴いてみたい!と出演作やコンサートに足を運ぶようになりました。
歌声に勿論魅了されているのですが、いつも変わらぬ真摯な姿勢とミュージカル愛・音楽愛、それを様々な形で客席側にも届けて共有してくださる愛の溢れる方だなって感じています。
今回もJBがキッカケで初めてコンサートに来る友人がいるので、一緒にその瞬間を共有出来る事にもワクワクしています。
「その作品の上演が決まってまだ半年あるけれど、決まったことだけで自分が半年間頑張れる気がする」
それって客席のこちら側のファンが常々持ってる気持ちで、同じ思いを中川さんが持って下さってる事を知れて、驚きと共に嬉しい気持ちになりました。
音源化されていない去年の新曲も動画ありがとうございます!
宝物です。(^^)