2019年4月11日(木)から4月21日(日)まで、東京のシアタートラムで上演される、ミュージカル『いつか~one fine day』。病死した妻への想いを整理できず、胸の内に悲しみを抱えたまま生きる男、「夏目テル」を演じる藤岡正明さんのインタビュー後半です。
――原作で感じられた、役同士のあまり近くない関係性、距離感は今作にもあるのでしょうか?
どうするんだろうなというのはありますね。原作が『One Day』というタイトルで、舞台のタイトルは『いつか~one fine day』となっています。“one day”は、直訳すると“ある日”。でも、“いつか”っていうのは、“いつかのあの日”っていう過去の意味もあれば、“いつの日か”っていう、未来のことでもある。“one fine day”っていうのは、“とある素敵な1日”ということだと思うんですけど、“いつかそんな素敵なところへ行けますように”なのか、“いつか体験したあの素敵な時間”ということなのか、両方あると思うんですね。僕の演る「テル」にとっては、それは妻を失う前と後、皆本さんの「エミ」で言えば、交通事故に遭う前と後、もっと言うと、交通事故に遭う「前日」の前と後ということでもあって、とても遠い距離があるというか。
――過去と未来の遠い時間を表していて、どちらも“いま”ではないんですね。
登場人物たちがなにかを変えたいと思って行動して、このミュージカル『いつか~one fine day』では、一体どういうエンディングになるのかというのが、すごく大きなひとつのポイントなんだろうなと思っています。
――原作映画とは違う形のエンディング、ミュージカル版としての新たな解釈での結末がある、…かもしれない?
原作映画を見たときに、「なんでその決断に行くんだろう?」、それほどまでに彼女と分かり合えたのか? …って思ったら、違うような気がするなぁと。じゃあ、それほどまでに自分の妻と、「エミ」を重ねてしまったのか?とか、さまざま考えるんですけど…。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、この作品で「テル」を演じることの魅力や、小林タカ鹿さんが演じられる上司の「クサナギ」について、さらに「ただ泣いてデトックスしてよ、じゃなく、とても良い、さまざまなメッセージを込めた作品にするために、しっかり取り組んでいきます」という思いを語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■手堅いよね、楽だよね、みたいな役だと、とたんに楽しみじゃなくなる(笑)
■(クサナギは)社会で生きていくために一番バイタリティのある真っ当な人
■たとえば、食品ロスを減らせたらと、賞味期限の短いものを手にとるように
■使命感に燃えてこの作品に取り組んでいるので、是非応援していただけたら
<ミュージカル『いつか~one fine day』>
【東京公演】2019年4月11日(木)~4月21日(日) シアタートラム
公式サイト
https://www.consept-s.com/itsuka/
企画・製作・主催:conSept
※『いつか~one fine day』の出演者全員と演出家の板垣恭一さんが出演し、この作品の楽曲お披露目とトークを行なうプレイベントが、3月22日(金)19時から東京都内で開かれます。50名様ご招待。応募締め切りは2019年3月8日(金)です。
<『いつか~one fine day:プレイベント~トーク&ソング』>
開催日:2019年3月22日(金)19時
会場:東京都内(当選者にのみご案内)
出演:『いつか~one fine day』出演者全員&演出家・板垣恭一
参加費:無料 50名様ご招待
応募資格:公式からチケットを購入された方(抽選先行でも一般でも)
応募方法:手元に届いた「シール」に「叶えたい願い」を書いて、ハッシュタグ「#いつか」「#one_fine_day」でSNSに投稿し、conSeptのInstagramかTwitterのアカウント(いずれも@consept2017)をフォロー(当選者への連絡のため)
応募締め切り:2019年3月8日(金)
詳しくはこちら:
https://www.consept-s.com/blog/itsuka_blog/2019/02/26/876/
<関連リンク>
conSept 公式Twitter
https://twitter.com/consept2017
藤岡正明 公式サイト
https://fujiokamasaaki.officialsite.co/
藤岡正明 公式ブログ
https://ameblo.jp/fujioka-masaaki/
藤岡正明 Twitter
https://twitter.com/Tsukune_Toro
- 『いつか~one fine day 2021』DVDとCDを完全受注生産、10月3日まで予約受け付け 2021年9月14日
- 「コンプライアンスが厳しい時代に対応した業界に」、板垣恭一インタビュー(下) 2021年6月8日
- 「大変だけど、明日はあるよ」、『いつか~one fine day』板垣恭一インタビュー(上) 2021年6月7日
- 「冒険的な挑戦」、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』小西遼生・伊礼彼方(上) 2022年9月25日
- スターが日替わりで登場するバラエティショー『THE PARTY in PARCO劇場』、2022年11月開催 2022年9月13日
- 「クサく聞こえるかもしれないですけど」、『Musical Lovers 2022』藤岡正明(下) 2022年5月29日
※藤岡正明さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月7日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■手堅いよね、楽だよね、みたいな役だと、とたんに楽しみじゃなくなる(笑)
――少なくとも藤岡さん的には、映画からは、そこのところが。
越え辛かったんですよね。でも「自分が演るんだったら、どう演るかな?」というところで、すごく興味があったというか。役者の仕事って、表現をすることだと思うんですけど、表現をするためには、「感情」というものを「線」で結んでいかないといけないんですよね。
――そうですね。その線のおかげで、私たち観客も迷わずに物語に添うことが出来るのだと思います。
ひとつひとつの感情の線を一本の線につなげていく作業というのをしなきゃいけなくて、というのが役者の仕事だとしたら、この作品はそこが見えなかったことが面白かった、っていうんでしょうか。
――感情の線をつなげる作業が見えなかったことが面白かった。
「つながるのかなぁ? 自分で演ったときに。いや、つながんないかもしんないぞ!」。でもつながらないときに、自分は役者としてどう解決するんだろう、と。もしかして、僕が演るテル本人も「わかんないけど、こうなっちゃったんだよね」だったとしたら、「あ、そうか。テル自身も、わかんないけどこうなっちゃったんだ。うん、でもなんかそれはワカル」って、(お客さまに)言ってもらえるところまでいけるのかどうか、っていう。
――先が見えない、そこに「テル」を演じることの魅力をお感じになった。
「自分に合っているし、手堅いよね、楽だよね」みたいな役だと、途端に楽しみじゃなくなるというか(笑)。
「あ、そうだよね、ここは全然予想つく」みたいなことよりも、「え? これどうするんだろう!?」っていう方が、生きてる心地がするっていうか。
――観客側としても、今回の「テル」役は、普通のサラリーマンではあっても、重い背景背負っていて、一体どうなるのかは予想できない。でも、恐らく今まで観たことのない藤岡さんを拝見できるのは間違いないという期待感があります。
実際「落ち込んでます」っていう、芝居は出来ないんですよ。だって、なんとか社会復帰して仕事しているサラリーマンの設定なので、「わー、この人落ち込んでんだろうな」っていう風には見せられないじゃないですか。だからどちらかというと多分僕が苦手とするタイプの役だとは思うんですよね。
■(クサナギは)社会で生きていくために一番バイタリティのある真っ当な人
――テルの会社でのシーンもあると思いますが、小林タカ鹿さん演じられる上司の「クサナギ」は、テルと違って非情なるリアリストというか、なんというか。
考え方が違いますね。
――このクサナギの言動は、藤岡さんとしてはどうお感じになりましたか?
いや、でもこれはひとつの側面だと思うので。というか、大半そういう風に生きていかないと社会で取り残されていくわけで。今回たまたま保険の調査員で、交通事故で植物状態の女性に対して、「示談やってこい」みたいな話になっているから悪い感じに見えますけど(笑)。たとえば「演劇界」として考えたら、タカ鹿さんの役が舞台のプロデューサーだとして、プロデューサーの仕事っていうのは、次もちゃんと舞台が出来るように売上残さなきゃいけないわけだから(笑)。「…だとしたらこのぐらいのギャラで、こういう風にオファーして、ステージまわり、音響、照明、スタッフには、この額で泣いてもらうしかないな」とかいうようなことを計算しなきゃ、舞台っていうのは成立しないわけで。
――おっしゃるとおりです(汗)。
ある意味で言ったら、社会で生きていくために一番バイタリティのある真っ当な人が、このタカ鹿さんの役だっていうことなんですよね。だから、全然悪者じゃない筈なんですよ。
■たとえば、食品ロスを減らせたらと、賞味期限の短いものを手にとるように
――そう考えると、クサナギの言動は特異なわけではないですね。
シンプルな考え方で言うと、たとえば卵を買うとして、賞味期限が1日長いものを選ぶのか、それとも1日短い、前日に出た卵を買うのか。タカ鹿さんのクサナギは1日賞味期限の長い卵を買うタイプなんですよ。で、実は僕は、食品ロス、食料廃棄というのを、ちょっとでも減らせたら良いよねと思うから、どうせ使うんだから賞味期限の短いものを手に取るようにしてるんです。
――なるほど! 食品ロスにまでは思い至りませんでした…。
自分自身の生活ということだけをみるんだったら、賞味期限は長いに越したことはないわけですから。それが、このタカ鹿さんの役、クサナギだと思ったら、そうなんだろうなと。多分僕が演るテルという役も、もともとそちら側の筈なんですよ。だけど、エミと出会って自分自身の過去を振り返りながら、自分が、こう…要は賞味期限の短いのを取る人になっていった、みたいな(笑)。
――もともとは違ったはずなのに、紆余曲折を経て、賞味期限の短いのを取る人になった!
ですかね。なんかね。ちょっとすごく、すごく特殊な表現になってしまって申し訳ないんですけど(笑)。
――いえいえ、食材と向き合う「居酒屋まさ」(藤岡さんのファンイベントのひとつ)のマスターならではの、とても現実的なお話でした!
■使命感に燃えてこの作品に取り組んでいるので、是非応援していただけたら
――最後にご覧になるお客様へのメッセージをお願いします。
これから稽古に入っていって、曲もこれから取り組んでいくという状態なので、一体どんな作品になるかというのは、正直、まだ空気を掴むような状態なんですけれど、板垣さんはじめ、キャストもそうですし、僕自身もそうですけど、とても使命感に燃えてこの作品に取り組んでおります。プロデューサーの宋さんもそうですけども、この作品を絶対良いものにして、なにかを届けるんだ、ただ泣いてデトックスしてよ、じゃなく、とても良い、さまざまなメッセージを込めた作品にするために、しっかり取り組んでいきますんで、是非期待してもらいたいですし、またこういう作品を応援してもらうことで、日本の演劇、ミュージカルの世界も、どんどん活性化していくと思うので、ミュージカルがお好きであれば、是非観に来て応援していただきたいなと思います。
※藤岡正明さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは4月7日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
記事を読ませていただき、観劇するのがとても楽しみになりました。
新しい藤岡さんが拝見できるであろうテルという役に期待しています。
そして、初めて舞台を観させていただくキャストの皆さまにも期待しております。観劇回数が増えそうですね(笑)