板垣恭一さん脚本・作詞・演出のミュージカル『いつか~one fine day』が、4月11日~21日まで、東京・シアタートラムで上演されます。イ・ユンギ監督の2017年最新作、映画『One Day』を原作にした本作で、妻に先立たれた過去を持つ男、「夏目テル」を演じる藤岡正明さんにインタビューしました。
――今回の作品は、イ・ユンギ監督の映画が原作ですね。映画をご覧になったときの印象はいかがでしたか?
『One Day』という映画なんですが、実体のないヒロインに遭遇したあと、いきなりパタッと倒れるみたいな描写があって(笑)。でもきっと感動系に持って行くだろうから、よくある普通の泣かせたい韓流の空気かな? と、思ったんですね、最初は。でも見ているうちに、強いメッセージ性みたいなものを感じて、社会派な部分というのが大いにあるなと思って。そこに惹かれたという部分と最後のエンディングで僕が演じる役がとる決断、なんでこの人、ここに至ったんだろう?って、良い意味で腑に落ちなかったんですね。それがすごく引っかかったというか、自分がこれを演じるとしたら、どうするんだろうな、演ってみたいなと思いましたね。
――映画から「人間の尊厳を強く感じました」と作品公式blogのインタビューでもお話されていましたね。
もっと言うと、ひとりの人が自分らしく生きるということにもつながると思います。
――ご出演をお決めになったのは、作品の持つメッセージ性にも惹かれて?
そうです。まずこの作品を、どうやってミュージカルにするんだろうと思って(笑)。演出が板垣さんだから、一緒に仕事をしてみたいと思ったのもありますし、この作品がどうなるのか正直全く想像つかなかったんですけど、板垣さんだからきっとなんとかなるような気がする(笑)。
――板垣さんと、いずれお仕事をしたいと思っていらしたんですね。
はい。してみたいなと。板垣さんはとても多才な方ですが、ご挨拶させていただいたときに、温厚で柔和という印象を受けました。でも、板垣さんとお仕事をしたことのある俳優から、かなり厳しい一面も持ってらっしゃる方だということも聞いているので、「その顔を見てみたいな」と(笑)。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、台本を読んでの印象や登場人物などについて、インタビュー前半で伺った内容の全文と写真を掲載しています。3月8日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、原作の映画と今回のミュージカルの関係や、小林タカ鹿さんが演じられる上司の「クサナギ」などについて伺ったインタビューの後半の全文を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■稽古場で一番演じているのは演出家。胸を借りるつもりで板垣さんとやりとりしたい
■変えようとしているというところに、板垣さんなりの思いが、大いにあるんだろうと
■いろんなものを飛び越えていけるエミでも、触れたいのに、触れられない距離がある
■「なんか、そういうんじゃない表現ないの?」って、よく思ってしまうんです
<ミュージカル『いつか~one fine day』>
【東京公演】2019年4月11日(木)~4月21日(日) シアタートラム
公式サイト
https://www.consept-s.com/itsuka/
企画・製作・主催:conSept
※『いつか~one fine day』の出演者全員と演出家の板垣恭一さんが出演し、この作品の楽曲お披露目とトークを行なうプレイベントが、3月22日(金)19時から東京都内で開かれます。50名様ご招待。応募締め切りは2019年3月8日(金)です。
<『いつか~one fine day:プレイベント~トーク&ソング』>
開催日:2019年3月22日(金)19時
会場:東京都内(当選者にのみご案内)
出演:『いつか~one fine day』出演者全員&演出家・板垣恭一
参加費:無料 50名様ご招待
応募資格:公式からチケットを購入された方(抽選先行でも一般でも)
応募方法:手元に届いた「シール」に「叶えたい願い」を書いて、ハッシュタグ「#いつか」「#one_fine_day」でSNSに投稿し、conSeptのInstagramかTwitterのアカウント(いずれも@consept2017)をフォロー(当選者への連絡のため)
応募締め切り:2019年3月8日(金)
詳しくはこちら:
https://www.consept-s.com/blog/itsuka_blog/2019/02/26/876/
<関連リンク>
conSept 公式Twitter
https://twitter.com/consept2017
藤岡正明 公式サイト
https://fujiokamasaaki.officialsite.co/
藤岡正明 公式ブログ
https://ameblo.jp/fujioka-masaaki/
藤岡正明 Twitter
https://twitter.com/Tsukune_Toro
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※藤岡正明さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは4月7日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■稽古場で一番演じているのは演出家。胸を借りるつもりで板垣さんとやりとりしたい
――板垣さんの厳しいお顔を?(笑)。
厳しいって言ったらヘンなんですけど、ある種とても温厚で柔らかくて、どことなく飄々とされているけど、でも強(こわ)い一面があるのかな?って。
演出家って稽古場をプロデュースしてる人なんですよね。もっと言うと、稽古場で一番演じているのは演出家だと思ってて。この世代の演出家の人は、年齢的にこれからガンガンお仕事されていくと思うし、これまでかなり経験を積まれてきてもいると思うので、板垣さん然り、鈴木勝秀さん然り、鈴木裕美さん然り、そのあたりの人にたぶん僕は、いろんなものを、貰っているんだろうなと思う。板垣さんは、紛れもなくその世代の、今まで長くやってこられた力のある演出家のお一人だと思っているので、リスペクトの意味も込めて、胸を借りるつもりで板垣さんとやりとりしたいなと思っています。
■変えようとしているというところに、板垣さんなりの思いが、大いにあるんだろうなと
――台本をお読みになっての印象はいかがですか?
第1稿という形であがってきたものを読ませていただきました。原作では、今回の作品の役名で言うと、僕が演じる「テル」という役と、皆本麻帆さん演じる「エミ」という役、この二人のことがとても大きく描かれています。「エミ」の友人や、お母さんとか、他の登場人物も、ビビッドに描かれてはいるんですけど、この作品はやりようによっては、二人芝居か、あるいは三人位の芝居でも成り立つ可能性がなくもないような作品なんです。
それが、舞台としての『いつか~one fine day』では、描き方はまったく変わっていて、このキャストが居て然るべきものなんだなっていう風にしっかり感じられるものになっています。なので、そういった意味では、もし原作をご覧になって、この舞台を観に来てくださる方が居たとしても、ストーリーとしての道筋は近い部分はあるんですけど、原作とはかなり違うものになっているので、新鮮に観ていただけるんじゃないかと。
――ラストがどうなるのかは、今はまだお話いただけないとは思いますが、たどる道はそんな原作とかけ離れたものではないのですね。
そうですね、エミのお母さん、友人も登場するし、僕(テル)で言うと仕事関係の上司や後輩も登場します。
――作品の公式サイトによると、荒田至法さん演じる「トモヒコ」は、原作にないオリジナルの登場人物ですね。そこに板垣作品ならではの仕掛けがありますか?
荒田至法が演る役というのは、エミの友人ですが、「言葉という意味のメッセージ」というよりは、その人の存在自体の持つメッセージ性というのを大いに持っていて、とても大事な良い役だと思います。
■いろんなものを飛び越えていけるエミでも、触れたいのに、触れられない距離がある
――作品公式blogのインタビューでは、作品の印象を「役と役の関係性が基本的にあまり近くない」とお話されていましたが、役同士の距離感、関係性をどう表現されるのかに興味が湧きます。
皆本さんの演る「エミ」という役が、植物状態という設定なんですが、その植物状態のはずのエミが目の前に立って居る。その状況は、幽体離脱的なものがテルにだけ見えているということなのか、そこをどういう風にしていくのかは、稽古で模索すると思うんですけど、少なくとも実在していない、ほかの人に見えていないものがテルにだけ見えている。だから僕の中では、このエミだけはきっといろんなものを飛び越えていけるんだろうと思うんです。
――登場人物個々人の間の距離、たとえばパーソナルスペースのような壁を?
そうですね。ただ、そのエミですら、たとえばお母さんとの向き合い方とかは、触れたいのに、きっと触れられない距離だと思うんですね。
■「なんか、そういうんじゃない表現ないの?」って、最近よく思ってしまうんです
――たぶんそうなのかもしれません。物理的にも、心理的にも。
僕(テル)で言うと、原作を見ると、病死した妻「マキ」、亡くなった奥さんに対してのことで、「ハーッ…」と嘆息してしまう状況もあるんですけど、僕が演じるテルという人が、その後抱え続ける「闇」という部分であったり、もっと言うと、妻が病気になったことで崩壊していく部分であったり、そういうのも含めて、“触れられない「なにか」”、“触れたくても、触れられない、「なにか」”っていうのが、(登場人物)個々に存在している気がしていて、それが僕は良いなと思っているんです。最近、そういう方が好きなんでしょうね、僕が。
――視覚的にも分かりやすい、ベタッとした距離ではなくて、一定の距離を保たざるを得ない「なにか」がある関係性というか。ところで客席隅々にその見えない「なにか」を感じてもらえるようにするというのは、ハードルが上がる気がします。
ただ、お客さまを引き込むことが出来たら、理想かもしれないんですけど、“お客さまに想像してもらう”というのは、とても大事だろうなと思っているので。なにかを表現して「こういうものなんです。この人はこういう感情なんです」なんて、(お客さまに)100パーセントわかってしまったら、そんなつまんないことはないと思うんです。
――そうですね。観客に想像の余地を与えてもらえる芝居のほうが、楽しさが増す気がします。
たとえば“キスをしました”とか、“ベッドシーンがあります”とかってなると、そこでわかる情報がハッキリとしすぎてて、「なんか、そういうんじゃない表現ないの?」って、よく思ってしまうんですよね、最近(笑)。
※藤岡正明さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは4月7日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
インタビューありがとうございます。正直原作映画の結末にショックを受けていたので、このインタビューのおかげで ちょっと安心しました。楽しみに初日を待てそうです。
藤岡正明さんのインタビューありがとうございます。ミュージカル界では稀有な、普通に生きる人としての美しさや力強さを歌とお芝居で表現される大好きな俳優さんです。『いつか~one fne day』ますます楽しみになりました。