辺野古から大浦湾につながる海域の写真を長年撮り続けている沖縄の写真家、牧志治(まきし・おさむ)さんの写真を展示する「おきなわ写真展 ”子や孫に残したい海” ~辺野古・大浦湾~」が、2017年5月22日から大阪市中央区の「Cafe×dining マガタマ」で開かれています(6月18日まで)。6月4日には、大阪の写真展会場で牧志さんの「お話会」がありました。当日の様子を取材しましたので、紹介します。
沖縄の海の中でも、生物多様性を誇る豊かな海が、辺野古から大浦湾につながる海域です。辺野古のイノー(礁池)と呼ばれる浅瀬から、起伏の激しい海底が深いところでは80メートルに達する大浦湾。牧志さんは、新基地建設反対の抗議船船長で、プロのダイバーで、ダイビングチームレンボーの代表でもあります。
大阪の会場に展示された牧志さんの写真は、色鮮やかでダイナミック、時にユーモラス。海の青や緑、サンゴの赤や黄色、魚のオレンジやベージュなど、いつまでも見ていたい美しさです。
沖縄まで行けないという方、特に関西地方に住んでおられる方、チャンスです。毎日11時から21時までオープンのカフェで、食事をしながら、あるいはお茶やコーヒーを楽しみながら、ゆっくりと沖縄の海の写真をご覧ください。
<おきなわ写真展 ”子や孫に残したい海” ~辺野古・大浦湾~>
期間:2017年5月22日(月)~6月18日(日) 11時~21時
会場:Cafe×dining マガタマ
住所:大阪市中央区玉造1丁目4番14号
アクセス:JR/地下鉄「玉造」駅 徒歩1分
電話:06(6765)8911
ホームページ:http://www.magatama.net/
<関連サイト>
ジュゴン保護キャンペーンセンター
http://www.sdcc.jp/top.html
■沖縄の写真家らの雑誌「ドキュメント ぬじゅん(NUJUN) 」創刊
牧志さんら沖縄県内の写真家有志でつくる「まぶいぐみ」は、2017年1月、写真雑誌「ドキュメント ぬじゅん(NUJUN) -沖縄写真・まぶいぐみ」を創刊しました。「まぶいぐみ」は、これまで「戦後70年沖縄写真まぶいぐみ」や「ドキュメントぬじゅん巡回展」などの写真展を企画している沖縄県内の写真家の集まり。「ドキュメント ぬじゅん(NUJUN)」は、年6回刊行を予定しており、創刊号は、墜落したオスプレイを海中からとらえた牧志さんの写真が圧巻、必見の1冊です。県外の私たちこそが手に取り、隅々までみるべき写真ばかりです。
<ドキュメント ぬじゅん(NUJUN) -沖縄写真・まぶいぐみ>
定価500円(税込み) 2017年1月25日創刊 年6回隔月発行
発行元:「時の眼-沖縄 批評誌N27」編集室
電話:090(8292)1398
編集:「まぶいぐみ」実行委員会
メール:document.nujun☆gmail.com(☆を@に)
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<有料会員限定部分の小見出し>
■「陸上の抗議と海上の抗議の違いはね」牧志治さんのお話
■昨年12月のオスプレイ墜落スクープ写真
■写真誌「ぬじゅん」創刊について
- 「子や孫に残したい海 ~辺野古・大浦湾~」、大阪で6月18日まで写真展 2017年6月10日
- 「逃げられない場所に基地が来たらどうなる?」、『標的の島 風かたか』全国で上映 2017年3月26日
- 沖縄・米軍新基地建設反対で逮捕された山城博治さん、勾留5ヶ月で保釈 2017年3月19日
- 沖縄・辺野古の米軍新基地建設反対、抗議船から見た冬の海の風景は 2017年3月5日
- 刑事法の大学教授ら64人・アムネスティなど、山城博治さんの釈放求め声明 2017年2月23日
※アイデアニュース有料会員(月額300円)1名さまに、抽選で「ドキュメント ぬじゅん 創刊号」をプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは6月24日(土)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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昨年、高江で行われた新川川自然観察会でご一緒した牧志さんは、自然を愛し、どんな小さな命も大切にする心優しい方でした。長年、辺野古・大浦湾を撮影し続けてきた牧志さんは、この海が壊されることに心を痛め、新基地建設に抗議するために行動を続けています。「反対運動」「阻止行動」ということには興味や関心がない人であっても、あるいは「基地は必要」と思っている人であっても、牧志さんの写真を見れば、この海にコンクリートブロックを入れ、豊かに育っているサンゴを壊し、たくさんの海の生き物の家を奪う理不尽さに気が付くと思うのです。
■「陸上の抗議と海上の抗議の違いはね」牧志治さんのお話
辺野古のキャンプシュワブの前に集まって、工事車両のトラックなどを米軍基地の中に入れまいとする陸上抗議行動と、船やカヌーを出して、海の工事に直接抗議する海上抗議行動がありますが、牧志さんは6月4日、こう話されました。
「陸上で抗議している人たちと海で抗議している人たちの違いはね。どんなに海上保安官とかと激しく対峙していても、どこかで解放されているところがあるんです。辺野古・大浦湾は優れた海で、人間を包み込むところがあるので救われてる。だから、抗議に来ている人たちは県外から来られている方も結構いるんです。辺野古・大浦湾に魅せられて、通ってきてくれているというふうに僕は思っています。そういう人を生み出すほどの、豊かな海なんです」
■昨年12月のオスプレイ墜落スクープ写真
2016年12月、オスプレイが沖縄県名護市安部ギミ崎の海岸に墜落。事故の現場の写真を見れば、明らかに事故による墜落でしたが、沖縄防衛局は「不時着」「着水」という表現を用い、沖縄の新聞以外のマスメディアがそれに追随するという事態がおきました。海岸など、地上からの写真はいろいろありましたが、牧志さんが撮った海中のオスプレイを捉えたスクープ写真は、「神様が撮らせてくれた」と牧志さんが表現するほど、衝撃的な写真でした。
2016年12月14日の「琉球新報」には、”海底で機体バラバラ 沖縄名護、救難用信号液にじみ出す“ と題された記事が載り、12月15日、産経新聞には”オスプレイ、海中にひしゃげた破片 沖縄市の写真家が撮影“ という記事が載りました。他にも日本経済新聞や毎日新聞など、たくさんの新聞が牧志さんの写真を掲載し、「事故は不時着というより墜落だ」という牧志さんの言葉を引用しています。
■写真誌「ぬじゅん」創刊について
写真雑誌「ぬじゅん」を創刊したのは、2015年に写真家有志で発足した「まぶいぐみ」実行委員会。「ぬじゅん」は、キャプションを排し、沖縄の「いまここ」で起きていることを写真の力で伝えていく雑誌です。
“まぶいぐみ”とは、沖縄の言葉で、「まぶい」=「魂」、「ぐみ」=「込め」。すなわち、「魂(まぶい)込(ぐ)み」と訳され、落ちた「まぶい」を元に戻すことと考えられています。沖縄では、驚いたりショックを受けたりすると、魂(まぶい)を落としてしまうと言われているので、魂を体にもどす儀式が必要。それが”まぶいぐみ”というわけです。
創刊号には、発刊について、「まぶいぐみ」実行委員会から以下のような挨拶が書かれています。
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「まぶいぐみ」実行委員会は2015年に発足し、「戦後70年沖縄写真まぶいぐみ」展、「コザ暴動プロジェクト(コザ、東京、大阪)」、「まぶいぐみ連続写真展」を開催してまいりました。
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2017年、「まぶいぐみ」は、ギャラリーからもう一歩外に出て、沖縄をとりまく現状、現場そのものに身を投じ、写真の力を発揮していこうと思います。
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辺野古新基地、高江ヘリパッドの建設強行に代表されるように、沖縄の軍事基地化は、民意を無視する形で進んでいます。墜落したオスプレイも原因究明のなされぬままに沖縄住民の頭上に飛行を再開しました。1972年日本復帰前後の激動の沖縄と、現状はまったく変わらないどころか、ますます悪化しているとも言えるでしょう。
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阿波根昌鴻さんの例を引くまでもなく、戦後の沖縄写真は、軍事権力が沖縄の人々に向ける暴力の「証拠」、人々の抵抗の「記録」を伝える行為として、写真家の系譜をつなげてきました。沖縄が続けてきた平和を求める「闘争」の現場に、いま、写真が何かの力を与えることはできないか。東京や大阪で開催した「ゴザ暴動プロジェクト」の会場でも、もっと沖縄の「現場」を写真で伝えてほしいという声がありました。
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「まぶいぐみ」は、沖縄の「いまここ」で起こっていることを記録し発信し、写真の力を沖縄の力に変えていくアクションとして、『ドキュメント ぬじゅん(NUJUN) ー沖縄写真・まぶいぐみ』を刊行します。沖縄写真が「脱政治化」され、沖縄イメージの商品として扱われていることとは一線を画し、インターネット全盛の中で写真が単なる「イメージ」となって無数に浮遊するこの時代に、あえて紙媒体を選んで写真の感触を伝えていこうというチャレンジでもあります。
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発刊日2017年1月25日
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※ぬじゅんー沖縄語で「抜く、撮る」こと
※アイデアニュース有料会員(月額300円)1名さまに、抽選で「ドキュメント ぬじゅん 創刊号」をプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは6月24日(土)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。