「『瞑るおおかみ黒き鴨』は役柄と自分が重なって」、松田凌インタビュー(下)

松田凌さん=撮影・岩村美佳

2018年6月11日(月)に、日比谷・シアタークリエで開幕するミュージカル『シークレット・ガーデン』日本版初演に、植物や動物と心が通じ合える若い庭師のディコン役で出演する出演する松田凌さんのインタビュー後半です。有料部分では、大切にされているご家族や、芝居への思いなどについて伺いました。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

――これまで同世代の若者たちとご一緒されることの方が多かったですよね。

そうですね。自分よりも先輩方、兄さん方とやることも多かったですが、おそらく子役の子とお芝居するのが初めてなんです。ドラマなどで少し絡んだことはあるんですが、ここまで舞台上でお芝居をさせて頂くことはなかったので、こんなお兄ちゃんで大丈夫かなと。

――彼女たちもプロですからね(笑)。

だから、逆に怖いんですよ。稽古場で僕と接しているときはニコニコしてるけど、僕が歌いだしたら、すごく睨まれるんじゃないかなって。

――(笑)。

その場合は、近くのいい焼肉とかに連れていって、契約を結ぼうかなと。

――(笑)。

「『でも、松田さんすごく頑張ってますよ』って(スタフォード・)アリマさんに伝えるんだよ」とか、「プリキュア好き?」って。中学校3年生ぐらいで、ものすごく子役というわけではないので。女優さんであり、俳優さんですよね。自分が兄さん風吹かせることもあまりできないので、仲良くしてくれたら嬉しいなと思います。

――役自体もそういう関係性でもありますしね。

そうですね。僕のことをタメ口で、冗談交じりにののしってくれたりすると、やりやすいです。

――(笑)。楽しみですね。不安半分、楽しみ半分みたいな(笑)。

「あ、大丈夫です」って言われちゃうと(笑)。僕はもう、「はい」って。

――心が傷ついちゃうんですね(笑)。

もう出ないかもしれないです(笑)。役者界から身を引く可能性が……冗談ですが(笑)。だから、すごく楽しみですね。年齢の高低差があって、この作品を通じて家族のような人たちが多いので、本当に嫌われたくない。もうそれが怖いんです。公演数が多いですし、地方公演もありますし、嫌われたくない……! 俺、多分3回は泣くもん(笑)。

――(笑)。ちょうど、家族というお話が出ましたが、松田さんのブログなどを拝見していて、ご家族をすごく大切にしていらっしゃるんだろうなと思いました。そういう意味で合致するものがあったりしますか?

自分にとって家族ってお芝居より、唯一優先してしまうかもしれないものですね。“かも”ですが、家族以外には芝居より優先するものはないですね。仕事と天秤にはかけられませんが、“人生にとってなくてはならないもの”と問われたら、家族以外にないです。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、大切にされているご家族や、芝居への思いなどについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■‟ファミコン”です。多分、弟も同じ気持ちで、みんな家族が好きという感じ

■(中村半次郎役は)刺す針が細くとがっていたので、それを削ぎ落として

■えぐるのか、ささやくのか。ニュアンスの違いももっと出せればおもしろい

■『シークレット・ガーデン』は、今の時代に必要な作品だと思うんです

<ミュージカル『シークレット・ガーデン』>
【東京公演】6月11日(月)~7月11日(水) 日比谷・シアタークリエ
【神奈川公演】7月14日(土)~7月16日(月) 厚木市文化会館
【福岡公演】7月20日(金)~7月21日(土) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【兵庫公演】7月24日(火)~7月25日(水) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

<関連ページ>
シアタークリエ『シークレット・ガーデン』のページ
http://www.tohostage.com/secretgarden/
ミュージカル 『シークレット・ガーデン』公式twitter
https://twitter.com/secret_toho
松田凌オフィシャルブログ「Ruhe-f」
https://ameblo.jp/matsuda-ryo
松田凌オフィシャルファンサイト
https://matsuda-ryo.com

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松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■‟ファミコン”です。多分、弟も同じ気持ちで、みんな家族が好きという感じ

――小さい頃からそういうご家族だったんですか?

より強くなっていきましたね。両親は子供の頃に離婚しているんです。親父も好きなんですが、家庭環境もあり、お袋が女手一つで育ててくれていたので、小さい頃からその思いは強かったです。自分が大人になるにつれて色々なことが分かってきて、色々なものが自由になってくると、双方のことが分かってきたりするので、どちらも愛していますが、やはり母親、ばあちゃん、じいちゃん、あと弟に対しての愛は、僕多分、異常ですね。だから、マザコンであり……

――じゃあ、ファミコンですね。

ファミコンです。おっしゃる通りですね。僕もよく使うんですが、ファミコンです。家族全員好きですね。多分、弟も同じ気持ちなので、家族自体がみんな家族が好きという感じです。弟と一緒にカラオケに行って、家族の歌を歌って泣きますからね。

――それくらい家族愛の強い松田さんが出演する『シークレット・ガーデン』は、家族愛の物語じゃないですか。そういう意味でも、作品に呼ばれたかもしれないですね。

そうですね。僕は、作品を通して、みなさんのことが好きになると思います。ただ、重複するんですが、みなさんに嫌われたくない(笑)。

――(笑)。これまでの作品と違うような立ち位置で、カンパニーも家族みたいな感じで、すごくエネルギーを注力していくなかで、どんな意識でいますか?

さっきおっしゃって頂いたような、自分の熱さがどう作用するのか分からないですが、お芝居についてはしっかりやります。でも、元がこんな感じなので、ヘラヘラ見られがちなんです。若い子だなと思われるのは、少し懸念しています。

――お話を伺っていて、そういう感じはしないですけどね。

破天荒さが出てしまうと、「君、もうちょっとしっかりするんだ」と言われてもおかしくない人間性なので。怒ってくれた方が嬉しいんですが、それは気をつけていこうと思います。

――きっと大丈夫だと思います。

そう見られがちなので、気をつけようと思います。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

■(中村半次郎役は)刺す針が細くとがっていたので、それを削ぎ落として

――ひとつ伺いたかったのが、やはりこれまでのキャリアで、初舞台初主演でスタートされていたり、結構目立つこともあったと思うんですが、色々拝見している中で『瞑るおおかみ黒き鴨』の中村半次郎役が素晴らしすぎて。

えー! 嬉しい!

――あの作品で「松田さんすごい!」と強くインプットされたんです。2.5次元作品も多いし、若者とやる作品も多いですが、これはみなさんよくご存知のお話ですが、スズナリで舞台を始めてみてこのお仕事を志したんですよね。その根本の、お芝居が好きなんだなというのがあの舞台からも伝わってきました。お芝居についても少し伺いたいと思って。

難しいですね。芝居に対するというか、本当に正直な話、今26歳になってみてキャリアなんて全くないんですが。

――このお仕事をはじめて7年くらいですか?

そうですね。役者としてまだ7年くらいですが、なぜお芝居をしているのかよく考えるんですよ。なぜ俳優という職業をしているのか、すごく考えるときがあって。でも、答えがないんですよね。きっと見つからないと思うけれど、それでここの世界から離れることはないですし、僕には役者としての道しかないんですが、なんでお芝居やっているんだろうと思うことが最近多くて。

――急に思い始めたんですか?

1〜2年前から思っていたんですが、なにかを網羅したわけでもないし、ひとつの作品に完全燃焼したわけでもないんです。でも、こういう気持ちがまた自分を作りあげるかどうかも分からないですが、ちょっとした虚無感というか、ぽっかり上の空になることが多くて。熱い思いでひた走ってきたというか、気づいたら後ろを振り返ったら守らなければいけないものがたくさんあったり、ちゃんと自分が役者としてだけではなく、一般男性として成人男性として生きていく力をつけていかないといけない。人生を通して、役者として生きなければいけない職業を選んだのであれば、お芝居について芝居が好きで楽しくてやっているって、これ以上のことはないんです。でも、それ以外のことも考えていかなければ、自分の人生は色づいていかないんじゃないかって。

――楽しいだけじゃだめだってことですね。

そうですね。やりたいことがあるなら、やりたくないこともやらなければだめだと思いますし、上手くいきすぎる人生ほど疑った方がいいとも思います。そういう人生を考えた上で、今の自分の気持ちだけじゃ単色になってしまう。もうちょっと色とりどりな世界を見てみたいですし、役者という枠組みを超えて、色々なことに挑戦したいです。2足、3足のわらじを履くということではないですが、趣味として、色々なものを見ていかなければいけないなと。その中で、人として生きていく中で、最低限のことは学んでおきたい。それが役者に通じることもあると思うんです。

――地に足をつけてという感じですね。

よりちゃんとしたいです。そこから得られるものはあるから。語学を学ぶなら、それが活きることもあるだろうし、絵を描くんだったら絵の表現がお芝居に繋がることもあるだろうし。もちろん、それこそ音楽、ミュージカルをやる立場だったら音楽を進めてもいい。なにか芝居という枠組みにとらわれず、人生を彩るためのものをもっと確かめていきたいなって思います。その中で自分は、人生の中で一番の支柱はお芝居。だから、半次郎をやっているときもすごく思いました。これで朽ち果ててもいいかなって。

――そんなに!

ただ、今までも刺す針はものすごく太いものではなく、細くとがっていたので、それを削ぎ落としながらいければいいかなと。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

■えぐるのか、ささやくのか。ニュアンスの違いももっと出せればおもしろい

――その「刺す針」はお芝居に対してですか?

難しいですが、お客様に対してかな。届けるものがその時々なんですが、半次郎を演じる上で、やはり役柄と自分の元々もっているものが重なるときって、自分にとって爆発力みたいなものが生まれるんです。その爆発力をダイレクトに伝える瞬間もあれば、1本の針を刺すように痛いところを突く時もある。えぐるのか、ささやくのかというようなニュアンスの違いも、役者として第3の目としてもっと出せればおもしろいと思います。考えだすと止まらなくなってしまうので、自分のお芝居の計算はあるにせよ、ほかはすべて身を任せる形なんですが、ただそういった部分も含めて楽しくなってきましたね。もっとお芝居の深い部分を知りたくなった。

――なるほど。その針が、私も刺さったのかもしれないですね(笑)。

そうかもしれないですね(笑)。

――だからあのとき、すごい!って思ったのかもしれません。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

■『シークレット・ガーデン』は、今の時代に必要な作品だと思うんです

――それでは、最後に読者の方にメッセージをお願いします。

『シークレット・ガーデン』という作品は、今の日本にとって必要な作品だと思います。観て頂いた方に、この作品から届けられるメッセージがすごく大きいと思います。作品を経て、みなさんに新しい毎日を送って頂くために、自分もしっかり演じられるように精進しますので、ぜひ劇場に確かめにきて頂けると嬉しいです。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

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“「『瞑るおおかみ黒き鴨』は役柄と自分が重なって」、松田凌インタビュー(下)” への 2 件のフィードバック

  1. meme より:

    (上)・(下)共に読ませていただきました。松田さんの写真があまりにも爽やかでキラキラしていて眩しかったです。記事を読んで、謙虚だなって思う部分が沢山ありました。新たな事に挑戦するって熱い気持ちがひしひしと伝わってきたのと応援したいって気持ちが自然と湧きました。ディコン、観させていただきました!本当にぴったりの役で最高でした!!(下)の記事は、岩村さんのインタビュー内容が面白く、自分自身まで色々考えさせられる内容だったのが、とても興味深かったです。岩村さんの素敵なインタビューとフォトに毎回感謝しているのとこれからも楽しみにしています。

  2. ToMaTo より:

    松田凌さんの舞台は何度か拝見して、素敵なお芝居をする人だと思っていましたが、歌声は聞いたことがなく、勝手に歌は苦手な人なのかな…と思っていました。(失礼で申し訳ありません!) でも、歌唱披露を聴いて、素直で伸びやかな、とても好感の持てる歌声だと認識を新たにしました。『シークレット・ガーデン』、なんとかチケットを入手して拝見したいと思います。

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