「ついにきた、と」、『シークレット・ガーデン』松田凌インタビュー(上)

松田凌さん=撮影・岩村美佳

トニー賞の脚本賞・助演女優賞・装置賞を受賞したミュージカル『シークレット・ガーデン』の日本版初上演が、2018年6月11日(月)に、日比谷・シアタークリエで開幕し、神奈川、福岡、兵庫でも上演されます。この作品に、植物や動物と心が通じ合える若い庭師のディコン役で出演する松田凌さんに、稽古がはじまったタイミングでインタビューしました。本格的なミュージカル出演は初めてとなる松田さんに、その思いを伺いました。(上)(下)に分けてお届けします。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

――歌稽古は始まったところということですが、実際始動してみて今の気持ちはいかかですか?

ついにきたなと。本格始動したなと、歌を歌うとより感じるので、ここからだなという気持ちは強いです。

――出演が発表になった際のブログなどで、「恐れ多い」「いまだかつてないくらい怖い」と書いていましたが、オーディションから出演が決まるまで、どんな気持ちでしたか?

選んで頂けるとは思っていなかったですね。『シークレット・ガーデン』という日本初演の作品で、オリジナルキャストのディコンを選ぶということで、半ば新しい世界に出会えたらいいなという思いで、受けさせて頂きました。まさか自分が選ばれるとは思っていなかったので、選んで頂くまではものすごくいい意味でフラットだったというか。違う作品の本番中のマチソワの間に、マネージャーさんから決まったと電話がかかってきたんですが、楽屋を走り回りましたね。嬉しくて。

――(笑)。

まさかでしたから。オーディションを受けさせて頂く段階で、企画書は見せて頂いていました。シアタークリエで、東宝の作品であること。実力があって、有名な方が出演される。その中で「あなた誰ですか?」って、自分が入るわけないと思っていたんです。

――出演者の並びがすごいですよね。

(チラシを見て)もう、このチケット料金が書いてある横くらいに僕を載せてくれるだけで全然嬉しいのに(笑)。

――むしろ目立っちゃうかも(笑)。

もしくは公演スケジュール表の点に僕をちょこっと入れてくれればいいという感じなのに(笑)。それくらい自分からかけ離れた世界だったので、白羽の矢を立てて頂いたというのは、すごく嬉しいですが、正直なところ今までにないくらいの責任感や重圧みたいなものは感じています。でも、これまでも重圧を感じるような作品をたくさんやってきましたし、そういう重圧を乗り越える力はもっているはずなので、自分に発破をかけるという意味であえて言葉にしています。正直幕が明けてみないと越えられるかどうかは分かりませんが、ディコンという役で『シークレット・ガーデン』のキャストの一人として、自分も力添えできたらと思います。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、作品の印象やディコンという役について、『TENTH』でも共演した石丸幹二さんと石井一孝さんについて語ってくださった内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6月5日掲載予定のインタビュー「下」では、大切にされているご家族や、芝居への思いなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■いつも乗り越えたではなくて、ギリギリ乗り越えてなんとかなので

■あまり芯が弱いわけではないのかなと、自分の中では思っています

■ディコンの純粋な気持ちと自分の純粋な気持ちがお芝居で重なるかも

■石丸幹二さんと石井一孝さんは、劇場を支配する力がすごい。とてつもない

<ミュージカル『シークレット・ガーデン』>
【東京公演】6月11日(月)~7月11日(水) 日比谷・シアタークリエ
【神奈川公演】7月14日(土)~7月16日(月) 厚木市文化会館
【福岡公演】7月20日(金)~7月21日(土) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【兵庫公演】7月24日(火)~7月25日(水) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

<関連ページ>
シアタークリエ『シークレット・ガーデン』のページ
http://www.tohostage.com/secretgarden/
ミュージカル 『シークレット・ガーデン』公式twitter
https://twitter.com/secret_toho
松田凌オフィシャルブログ「Ruhe-f」
https://ameblo.jp/matsuda-ryo
松田凌オフィシャルファンサイト
https://matsuda-ryo.com

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※松田凌さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは6月27日(水)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■いつも乗り越えたではなくて、ギリギリ乗り越えてなんとかなので

でも、本当に今までも大変な作品しかなかったので、常に心にはそういう思いがありました。

――常に高い山がそびえているような感じですか?

ようやく高い山を越えたと思ったんだけど。

――また現れたわけですね(笑)。

でも、そういうところが好きなんですよ。だから、今回選んで頂いて、ものすごく嬉しいですね。

――きっとその高い山を越えちゃうから、次の山が来るんでしょうね。これが乗り越えられたら、次これを出してみようかみたいな(笑)。

いつも乗り越えたではなくて、ギリギリ乗り越えてなんとかなので。今回もすごくご迷惑をおかけすると思いますし、修正しなければいけない部分は多いと思います。

――発表になったときに「おお!」と思いました。それで松田さんにインタビューしたいと思いました(笑)。

ありがたいです。

――多くの方が驚いたと思うんです。

思ったと思いますよ。「誰や?こいつ」と。

――逆に、みなさんワクワクされていると思います。

今まで自分を役者として認知してくださっているお客様も、作り手のみなさんも、役者のみなさんもそうですし、そういう違和感ではありませんが、驚きは嬉しいですね。常にそうありたいと思うので。

――なるほど。

自分の中であまり役者としての枠組みを決めたくないので。役者だからって「この作品に出たい、出続けたい」というよりは、僕はなんでもやりたいから。わがままで欲深いんです(笑)。それを自分が叶えていくということに実感、やりがいを感じたりもするので、そういって頂けると嬉しいですね。

――そういう意味ではもってこいの作品ですね。

そうですね。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

■あまり芯が弱いわけではないのかなと、自分の中では思っています

――燃えますか?

燃えられる分だけ燃えるんですが、燃やすための燃料は常にボロボロです。心の燃料は常にボロボロです。

――ブログなどを拝見しながら、一見穏やかそうに見えるのに、心は熱いんだろうなと思いました。

そうですね。割と中身は暑苦しいのかもしれないですね。

――選ぶ言葉も向かう感じがすごくするなと思って。

あまり芯が弱いわけではないのかなと、自分の中では思っていますね。

――今、歌稽古が始まったということですが、『TENTH』で歌いましたよね。

はい。

――今の時点で作品の印象はどう思っていますか?

やはりミュージカルの本場であるアメリカでトニー賞の脚本賞を獲っているこの作品は、多くの方々の心に残る、心を動かすと思っています。自分も台本を読ませて頂いて、ここまで美しい物語があるんだなと。その美しさの中に嫌な気持ちがまったくなかったので、なにか今の現代にとって、ある種必要な作品なんじゃないかと思うんですよね。忘れてしまいがちなことを思い出させてくれるし、気づけないことを気づかせてくれる。みんなが目をつむるようなことをちゃんと各キャラクター、役柄を通して綺麗にみていこうという勇気ももらえますし、なにか今こういう時代だからこそ、必要な作品なんじゃないかと思いますよね。

――100年前のイギリスが設定ということで、その世界観もすごく新鮮じゃないですか?

新鮮ですね。これまで海外戯曲もあまりやったことがなかったので。フェードルか、『クロードと一緒に』という作品で海外の戯曲をやらせて頂いたんですが、今回はおそらく3作目ぐらいだと思います。時代背景までしっかり描かれている海外の作品はあまりなかったので、楽しみです。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

■ディコンの純粋な気持ちと自分の純粋な気持ちがお芝居で重なるかも

――翻訳物ミュージカルはよくご覧になったりしますか?

あまり観れていなくて。今年ニューヨークに行こうと思っていたんですが、仕事が入ってしまって行けなくて。もちろん仕事を頂けるのは有り難くて大切なのですが、僕はこの作品が始まる前にどうしても行きたくて、本場でミュージカルを観たかったんです。それは少し後悔していますが、僕もミュージカルに多く触れてきたわけではないので、観たい気持ちは強いです。アメリカ、イギリス、韓国まですばらしい方々、作品がたくさんあるので、もっと観たいと思います。

――今、興味が高まっている感じですね。

そうですね。自分がミュージカルに出ることになって、より興味は湧いています。ミュージカルに対しての意欲はすごく強いと思います。

――今回のディコン役は何歳の設定なんですか?

16、7歳くらいの青年です。

――植物や動物と心が通じ合える、明るい若者で庭師ですよね。その役については、演じる上でどんな風に考えていますか?

妖精みたいな子なんですよ。

――妖精?

植物や動物たちと会話ができたり、自然がこの子の家のようなもので。

――なるほど。自然の中での生活が普通なんですね。

その中で生きている人だから、ディコンという役は人であって人でないような(笑)。ただ、メアリーやコリンの心に寄り添う役なので、そういった面では重要な役柄だと思います。でも、あまり変に僕の中でこねくりまわすようなことはしたくなくて、自分が思うように、思うままにやっていくことがディコンに通じると思っています。なにか考え抜いて役を作るというよりも、すばらしいキャストの方々と演じていく中で、自分がディコンとして演じるならこういう風になっていくという感じ。おそらくディコンの純粋な気持ちと自分の純粋な気持ちがお芝居で重なったりもするかもしれないので、そういったものは大切にしていきたいと思いますね。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

■石丸幹二さんと石井一孝さんは、劇場を支配する力がすごい。とてつもない

――今、おっしゃっていたすばらしい共演者のみなさんにはもう、お会いになりましたか? 石丸(幹二)さんと石井(一孝)さんとは『TENTH』でご一緒されていましたよね。

はい、ご一緒させて頂きました。昆(夏美)さん、リッキーくんには先日お会いして、(池田)葵ちゃんと(上垣)ひなたちゃんとは一緒に歌稽古もさせて頂きましたが、花總(まり)さん、鈴木(葵椎)くんとはまだお会いしていないんです。石鍋(多加史)さん、笠松(はる)さん、上野(哲也)さんや、ドリーマーズのみなさんにもお会いしました。お会いしたといっても、まだ一度、二度なのでまだ自分の緊張もほぐれていなくて。やはりみなさんがいると緊張しちゃうんですよね。あまり緊張しないタイプなんですが。

――今回は緊張する?

します。なにか粗相のないように。でも、絶対に粗相してしまうんですが。

――(笑)。でも、みなさんにとっても初共演で、きっと松田さんに興味がおありでしょうね。石丸さんと石井さんとは1日とはいえ、ご一緒されていかがでしたか?

僕はその1日だけで好きになってしまったので。

――好きになってしまったんですね(笑)。

単純な言葉でまとめたくないですが、やはり石丸さんも石井さんも一目で人を魅了してしまう方で、さらに歌も素敵だから、ミュージカル界の第一線を走ってらっしゃるんですよね。

――納得されたんですね。

袖で聞いているときも、リハーサルのときも、歌への情熱と、自分が言うのもおこがましいですが、歌への愛みたいなものがすごく届いてしまって。お客様の前で歌っている最中も、何ていうんだろう……。空間であったり、劇場を支配する力がお二人はすごい。とてつもない。そういう尊敬のもと、僕は一番人柄に惹かれてしまいました。歌はもちろんですが、もうそれは愚問というか。石井さんは楽屋に遊びにきてくださって! 初対面なのに(笑)。そのときから「凌くん」って呼んでくれたんです。僕、名前呼ばれるのがすごく好きなんですよ。名前は、親から初めてもらったものじゃないですか。だから、僕は名前を大切にしたいんです。名前で呼ばれることにすごく嬉しさを感じるなかで、石井さんはすぐに「凌くん」って話しかけてくださって、「すごくパッションがいいね」とおっしゃってくださって。飴ばっかりくれるんですけど。

――(笑)。

石丸さんも、ものすごくジェントルマンで紳士的な方。初めてお会いしたのは『TENTH』のときではなくて、ビジュアル撮影のときでした。なんて包容力があるんだろうと思いました。挨拶をしただけで包まれてしまって。この人が座長だったら、自分は大丈夫なのかなって思わせてくれる。だから、お二方も、花總さんも昆さんも、全キャストの方々が、この異端児のような存在をどう受け入れてくれるかという感じですね(笑)。自分もわりと変わっているというか、とがってしまっているところもあるので、あまりみなさまに悪い印象を与えないようにしたいです。

松田凌さん=撮影・岩村美佳

松田凌さん=撮影・岩村美佳

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“「ついにきた、と」、『シークレット・ガーデン』松田凌インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. けい☆ より:

    松田凌さんが、シアタークリエの本格的なミュージカルに、ご出演されると発表された時、飛び上がるほどうれしかったです!!!
    素敵な諸先輩方に愛されながら、大きく花開いて欲しいです。
    歌の美味さでは、なかなか諸先輩達の域には到達出来ないかも知れませんが、今回のお話の中でデュコンという素敵な役を、皆さんと楽しく演じて欲しいと思います。
    とっても、楽しみにしています!

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