レノアちゃん、チャリティラン出場。 最後の50メートルは自分で歩いてゴール

ゴールするレノアちゃんと見守るお父さん、野村さん=撮影・松中みどり

2018年6月3日、第3回滋賀YMCAインターナショナル・チャリティラン2018が行われました。中学2年生になったレノアちゃんこと古池玲乃愛ちゃんが初参加、最後の50メートルを自分の足で歩いてゴールテープを切りました。嬉しい一日の報告です。

ゴールまであと50メートル、歩行器に乗り代え、自分の足で進むレノアちゃん=撮影・松中みどり

ゴールまであと50メートル、歩行器に乗り代え、自分の足で進むレノアちゃん=撮影・松中みどり

チャリティランは、滋賀県にある「希望が丘文化公園・陸上競技場」で開催されました。障がいのある人もない人も、大人も子どもも参加して楽しく走る催しです。個人部門とチーム部門に分かれていて、レノアちゃんが出場したのは、「宣言タイム」というチーム部門です。タイムを競う個人レースに対して、事前にチームごとに走る時間を申告し、その宣言タイムと実走タイムの誤差で順位を競うという趣向です。

お父さんと一緒に走るレノアちゃん=撮影・松中みどり

お父さんと一緒に走るレノアちゃん=撮影・松中みどり

この日のレノアちゃんの伴走者は、お父さん、レノアちゃんの座位保持装置を作った株式会社PASのスタッフ、友人、YMCAのボランティア、野村さんの取材に来た男性という多彩な5名。バギーに乗ったレノアちゃんを交代で押しながら走りました。そして最後の50メートル、歩行器に乗り代えたレノアちゃんは、PASの野村寿子さんと一緒に自分の足でゴールを目指しました。レノアちゃんのお母さん・古池敦子さんに出場の経緯などをききました。

――もともとレノアちゃんはマラソンに出ようと思っていた?

2年前から夢だったの。今回伴走してくれた人のおひとり西田昭子先生は、友人でもあり、レノアの先生なんです。プールでの指導や学習の指導をして下さっていて、去年は西田先生のサポートで、レノアは“イルカと泳ぐ夢”を実現しました。今年は“マラソン大会に参加して自分の足で歩いてゴールする”夢を実現できたんです。夢を夢で終わらせず、行動に移して、本当に出来るということを示すことが出来ました。

――このチャリティランにした理由は?

障がいのある人だけが出るマラソンじゃなかったから、それがいいなあと思って。いろんな人が一緒に参加することに意味があるから。それが当たり前のことになって欲しいし、私たちもそうやって当たり前に、楽しく社会参加していきたいと思っています。

――レノアちゃんの伴走者は多彩でしたね。

直前になって野村さんの取材の人が走ってくれることになって、お父さんも「1キロ走ろうかな」って言ったのが前の晩だったし。でもかえって良かったと思っています。いろんな人に支えてもらっていることが実感できて嬉しかった!

――チーム名「レジリエンス」の由来は?

私が名づけました。レジリエンスって、「困難を乗り越える力」という意味だけど、「いざというときに協力し合う人間力」という意味もあると聞いたので、仲間で助け合うチームの名前にしたの。心と体のサポートをして下さる西田先生や、最後まで歩行器の調整をして一緒に歩いて下さった野村さんとPASの皆さん、YMCAの方々、皆さんのおかげで今日のレノアの成長があるから。

――この日のみんなにぴったりの名前でしたね。

こちらは当時の様子を撮影した動画です(撮影・松中みどり)。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ゴールテープを切った後、表彰されたレノアちゃんの様子などをレポートしています。メダルを、オリンピック金メダリストのように噛んでいる写真、ぜひご覧ください。

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■ゴールできると信じてたけど、50メートルも行けるとは思わなかった

■チームレジリエンス、まさかの最下位

■レノアちゃん、メダル獲得

<関連ぺージ>
第3回 滋賀YMCA インターナショナル・チャリティーラン2018
株式会社PASピーエーエス

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■ゴールできると信じてたけど、50メートルも行けるとは思わなかった

トラックフィールドを交代で4キロ走る「宣言タイム」部門で、レノアちゃんは半分の2キロをバギーに乗って伴走者と一緒に走りました。残りの2キロは参加者がひとりで走ってタスキをつないだわけです。整備された競技場とはいえ、バギーで2キロ揺られたら、相当疲れたことと思います。筆者が初めてレノアちゃんに出会った数年前なら、普通に移動するときも、体をバギーにしばりつけるようなベルトが必要だったのです。

ところが、PASの野村寿子さんに見てもらい、オーダーメイドの補装具などを使うようになったレノアちゃんは、体幹が鍛えられ、良い姿勢がそのまま楽な姿勢になりました。今回の2キロのランの間、レノアちゃんの体はバギーと一体となり、すっきりと座ったまま駆け抜けていきました。

歩行器に乗りかえて、ゴールテープを切るは「5メートルとか10メートルで」と思っていたお母さんの敦子さんですが、野村さんは「50メートル行けますよ」と笑顔。歩行器に乗りかえるのも、50メートルを行く間も、信頼する野村さんに見守られ、魔法の手で調整をしてもらいます。結果、見事に50メートルを自分の足で進んでゴールしたレノアちゃんでした。

西田昭子さんと一緒に"走る”レノアちゃん=撮影・松中みどり

西田昭子さんと一緒に”走る”レノアちゃん=撮影・松中みどり

ゴールするレノアちゃんと見守るお父さん、野村さん、ビデオをまわすお母さん=撮影・松中みどり

ゴールするレノアちゃんと見守るお父さん、野村さん、ビデオをまわすお母さん=撮影・松中みどり

■チームレジリエンス、まさかの最下位

負けず嫌いのメンバーがそろったチームレジリエンス、参加した部門の趣旨をあまりよく分かっていなかったこともあって、タスキをもらった参加者全員、けっこう全力で走ったために、チームとしては最下位となってしまいました。つまり、最初に宣言した時間と、実際のタイムの差が、参加チームの中で最大。10分以上早くゴールしてしまったのです。ちなみに1位のチームは宣言タイムと実際のタイムの差が3秒だったそうです。

レースが終わり、レノアちゃんを囲んで、伴走者も応援者も笑顔です=撮影・レノアちゃんのお父さん

レースが終わり、レノアちゃんを囲んで、伴走者も応援者も笑顔です=撮影・レノアちゃんのお父さん

■レノアちゃん、メダル獲得

チームとしては最下位でしたが、初めてマラソンに参加し、最後は歩行器に乗って自分の足でゴールしたレノアちゃんに、個人賞が贈られました。スポンサー企業から贈られる Dream as One という賞で、ちゃんとメダルもあります。この時も、野村さんの発案で、表彰台の上に“立って”、賞状とメダルをもらったレノアちゃんでした。

すくっと立って表彰されたレノアちゃん、後ろが野村寿子さん、隣がご両親=撮影・松中みどり

すくっと立って表彰されたレノアちゃん、後ろが野村寿子さん、隣がご両親=撮影・松中みどり

レノアちゃんが受賞したDream as one 賞の賞状=撮影・松中みどり

レノアちゃんが受賞したDream as one 賞の賞状=撮影・松中みどり

もらったメダルをオリンピック選手のように噛んでうながすお母さんとレノアちゃん=撮影・松中みどり

もらったメダルをオリンピック選手のように噛んでうながすお母さんとレノアちゃん=撮影・松中みどり

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