2019年2月8日から彩の国さいたま芸術劇場で上演される、彩の国シェイクスピア・シリーズ第34弾『ヘンリー五世』に、ピストル役で出演する中河内雅貴さんのインタビュー後半です。有料部分では、『ジャージー・ボーイズ』や自身が目指す俳優像について伺いました。
ーー台本をご覧になって作品の印象はいかがですか?
少ない登場人物で、セリフ量も多いですが、温かいというか。その時の、その場所に、イギリス人、フランス人が本当にいるような。脚本に力があるから、そんなに味付けをしなくてもいいなと思いました。つか(こうへい)さんのときも思いましたが、脚本そのものに力がある作品は、極端に言えば、棒読みでも伝わるんですよね。そこに身をまかせるというか、そのままサーフィンしていけば、ちゃんと乗っている体幹さえよければ、おのずとちゃんとしたゴールには辿り着くんじゃないかと思います。そして、言葉遊びがめちゃくちゃ面白いじゃないですか。黒にも、赤にも、オレンジにもなる、その一言一言の言葉遊びがとても面白いので、難しいけれどめちゃくちゃ楽しい、役者冥利につきるお仕事だと。やっぱりシェイクスピアの戯曲はすごいんだなと思いました。
ーー他に何か触れたことがあるシェイクスピア作品はありますか?
はっきり覚えていないですが、『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』など触れたことはあります。今まではどちらかというと膨大な言葉の量、文字数に躊躇していた部分はあると思います。岡本健一さんの出演されたものなど観劇した舞台はもちろんありますが。
ーー『ヘンリー五世』は、『ヘンリー四世』や『ヘンリー六世』などに比べると長い戯曲ではないですが、それでも言葉がとても多いですよね。台本をご覧になって、例えば入り込むようにご覧になるとか、量が多いなと思うとか、いかがですか?
もちろんセリフの量が多いなとは思いましたが、面白くて入り込んでいましたね。ヘンリー五世のセリフや、ナレーションなど、自分も他の舞台で経験したことがあるような構成になっていくんだろうなという想像を巡らせながら読みました。
ーー今稽古に向けて期待することはなんですか?
いつもハードルが高ければ高い作品ほど、終わった後に素敵な景色が待っています。それまでの道のりはものすごく大変ですが、頑張って耐えて乗り切りたいですし、貪欲に這いつくばっていく覚悟はしているので、稽古場でたくさん恥をかいて、情けない思いをしながら、でもみんなに何かを残して、最終的にはお客様の前で、爪痕を残せるような存在にならなければと思っています。ピストルが面白い役なので、役が助けてくれるのではと思っています。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、2018年に『ジャージー・ボーイズ』再演のシアタークリエから全国ツアーまで終えての思いや、全く違う世界となる『ヘンリー五世』に向けて、そして中河内さんが目指す役者像についてなどについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■『ジャージー・ボーイズ』ツアーは、それこそ「君こそ奇跡」で、いろんな奇跡がそこら辺に
■これは僕の勝手な思いですが、みんなが居心地のいいWHITEでいてほしかったんです
■(盛岡で、中河内さんが途中でギアを上げたなと)はい! 気づいてくださって嬉しいです
■『ヘンリー五世』は、ターニングポイントになると思います。目の当たりにしていただけたら
<彩の国シェイクスピア・シリーズ34弾『ヘンリー五世』>
【東京公演】2019年2月8日(金)~2月24日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【仙台公演】2019年3月2日(土)~3月3日(日) 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
【大阪公演】2019年3月7日(木)~3月11日(月) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
<関連サイト>
彩の国シェイクスピア・シリーズ34弾『ヘンリー五世』 公式サイト
http://saf.or.jp/arthall/stages/detail/5836
中河内雅貴OFFICIAL SITE
https://nakagauchi.com
中河内雅貴twitter
https://twitter.com/aminomasavital
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※中河内雅貴さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは2月21日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■『ジャージー・ボーイズ』ツアーは、それこそ「君こそ奇跡」で、いろんな奇跡がそこら辺に
ーー2018年後半は『ジャージー・ボーイズ』でしたが、再演のシアタークリエから、全国ツアーまで終えて、今どんな風に残っていますか?
幸せな期間だったなと思います。稽古場から含めて3ヶ月強、楽しかった記憶と思い出しかないです。もちろん新しくチームBLUEが出来たこと、海宝(直人)くんが遅れて稽古に入ってきたことなど色々とありましたが、そういえばそうだったねみたいな感じ(笑)。一気に家族になったというか。
ーー私も全国ツアーを拝見しましたが、東京だけで終わるのか、全国を回るのかで全然違ったでしょうね。
おっしゃるとおり、全く違ったと思います! 全国ツアーを回らせて頂いて、しかも秋田公演がすごかった。やっている僕達が自然と涙が出るぐらい、お客さんのパワーが冒頭からものすごかった。「俺達をこんなに有名にしてくれたのは民衆だ」というすべての答えが、ジャージー・ボーイズがそこにあったんですよね。ステージに立っていて良かったと思える瞬間でもありました。みんなで良かったよねと思いをひとつにして、全国ツアーのスタートに見えた頂だったので、素敵な光景をみせてくださったと思います。さらにオフの時間を使って、プライベートで集まる機会も多かったです。阿部(裕)兄と畠中(洋)さんが開いてくださった“野郎会”では、男子が全員来て、普段飲まない阿部兄がお酒を口にされていたり、居心地のいい時間だった。みんなで平泉へ旅行したりも。
ーーイレギュラーなことが起きるくらいの特別なカンパニーになったんですね。
そうなんです。それこそ「君こそ奇跡」で、いろんな奇跡がそこら辺にあって、集まった舞台だった。本当にやらせて頂いて良かったですし、光栄に思える作品でした。
■これは僕の勝手な思いですが、みんなが居心地のいいWHITEでいてほしかったんです
ーー藤田さんが神奈川の大千秋楽で、ファンの方まで関わった人すべてをふくめて“JF(ジャージー・ファミリー)”と総称していましたが、作り手、観客、みんなで盛り上がるすごい作品に成長していった感覚があります。
作品がそうさせたんじゃないでしょうか。だから、みんなが好きです。アッキー(中川晃教)さんと、他のメンバーはシングルキャストで、トミー、ボブ、ニックの3役だけダブルキャストでしたから、チームによってお芝居をみなさんが変えたりしてくださっていました。僕らはいつものとおりにやっているけれど、WHITEにいるときぐらい、みんながみんなでいてほしいというか。これは僕の勝手な思いですが、みんなが居心地のいいWHITEでいてほしかったんですよね。初演から色々ありましたし、稽古場で目にしたくない光景を目にすることもありました。色々我慢してきた、言わずにきた部分も、初演の頃にはあって。でもどしっと構えてくださっている福井(晶一)さんのおかげで、僕達がいろんなことを楽しくワイワイできました。直人くんも初演より心の壁がなくなって、ウエストエンドから帰ってきてから芝居もとてもナチュラルになりましたし、いらないものを脱いだ海宝直人のままで太刀打ちできるから、格好もつけていなくて尚更素敵で。アッキーさんは、やっと人間になったという印象なんです。『SAMURAI 7』『VAMP~魔性のダンサー ローラ・モンテス~』『ジャージー・ボーイズ』とご一緒しましたが、正直ここまで打ち解けられる間柄になれるとは思っていませんでした。アッキーさんは、一見関わるのが難しいイメージがあったりもしますが、僕自身は最初からあまりそういうイメージがなくて、いろんなことを素直に話せる関係をつくってくださったんだと思います。でも特に今回の再演では、「あれ? これアッキーさん?」と思うくらいに変化がありました。以前は宇宙人みたいでしたが、人間的だなって。
ーー理解できない感じですか?
理解はできるんですが、理解しようとしたらまたその先に行っていたり、違うところから来たり。あとは、アッキーさんの愛が、言葉を発さなくても、僕達にも伝わるようになりました。居方でわかる。
ーーそれって嬉しいですよね?
めちゃくちゃ嬉しいです!!! 芝居もやりやすくなりますから。一緒にお芝居していて、アッキーさんもとても楽しそうで。それって、すごくいいことなだって。シングルキャストでフランキー・ヴァリを務めているアッキーさんは、ある種、ひとりで背負わなければいけない。だったら、50公演の25公演だけでも、いい空間であってほしいと、それで最後まで乗り切れるなら、もちろんそんなことがなくても乗り切れる特別な俳優だとは思いますが、ちょっとでも拠り所があったら楽なんじゃないかなと思って、僕が動ける範囲のことをしたまでなんです。
ーーチームWHITEは、ファンの方からもその存在自体が好きという思いを感じます。
奇跡ですよね。初演ではREDと比較されて、REDの方が面白いと言われたこともあったり、WHITEはまだ味が薄いというイメージを持たれていたり。再演では、WHITEはWHITEだよねと、みんなが吹っ切れていたというか。初演で出来なかったことを稽古場から出しはじめて、それがいい作用になって公演が進んでいき、公演中も多分同じ芝居を1回もしていないと思います。それぐらい起きることを楽しめる関係性にもなっていました。
■(盛岡で、中河内さんが途中でギアを上げたなと)はい! 気づいてくださって嬉しいです
ーーシアタークリエの後、盛岡、大阪、久留米、神奈川と拝見しましたが、中河内さんのいろんなトミーがいて驚いたんです。劇場の大きさや空気によって違うんだなと。物語をはじめる“春”ってやっぱり大変なんだなと。
劇場が変わると本当に大変です。お客様の前に出ないとわからないことがたくさんあって、それをみんなが感じて“冬”まで行くので。大きい劇場でこれは今までどおりでは無理じゃないかと藤田さんに言ったくらい。
ーー盛岡で拝見したときに、中河内さんが途中でギアを上げたなと思いました。
はい! 気づいてくださって嬉しいです。劇場の感覚や、お客様の反応など、色々と感じて考えて、突き放してもいいかなとか、今はこっちだとか、変えざるを得ない感覚でした。藤田さんには「クリエサイズでやっていい」と言われていましたが、それでは無理だなと。「大枠ではそうしますが、僕の仕草とか、ちょっとしたところで足していいですか」と確認して、そうさせてもらいました。ちょっと上を見るときに、いつもより目線を上げたり。大きいサイズの劇場で、ここで喋っているような会話がどれだけ成立するのか、結構試したりもしました。それまでなら、もっと大きく表現する方法しかなかったですね。
ーーそれをあの場で瞬時で判断されていたんですね。盛岡や神奈川などの大きいホール公演でも、その感動がちゃんと届いていたというのはやはり『ジャージー・ボーイズ』だったからだと思いますか?
作品の力だと思います。もちろん各々の力もありますが、ひとりではあんなにお客様を呼べないですし、作品の力がいろんな人達を動かしてしまったというか。素敵な相乗効果。WHITEがずっと残って、ピロシ(矢崎広)は全チーム制覇するし(笑)。まさか、こんなことになるなんて思っていなかったですよね。これからは恐らくアッキーさんの代わりになる人を見つけていかなければいけないでしょうし、次の世代にも繋いでいける形をとれた公演にもなったのではないかな?と。そんな意味も含めていい思い出しかないです。
■『ヘンリー五世』は、ターニングポイントになると思います。目の当たりにしていただけたら
ーーそのみなさんがそれぞれに活躍される2019年も楽しみです。きっとファンのみなさんも、あの人はこんな作品をやるんだとか、色々と興味を広げていくんじゃないかと。全く違う世界の『ヘンリー五世』へ向けて、そして中河内さんが目指す役者像についてお聞かせください。
恐れ多いですが、吉田鋼太郎さんのような役者になりたいですね。世の中では遅咲きと言われているかもしれませんが、そんなことはなくて、20代からずっとシェイクスピアをされてきて、その頃から華がある役者だったと伺いますし、僕も共演させて頂いて思うこともあります。通ってきた道が違うので、鋼太郎さんとは変わるかもしれませんが、あんな役者人生を、あんな人に成りたいなと思います。
ーーとても楽しそうな50代を送ってこられた印象があります。
めっちゃ楽しそうでしたよ。こんなおじさんいます!? 『シラノ』も拝見しましたが、あんな体力ありますか?って(笑)。僕は鹿賀(丈史)さんのときのミュージカル『シラノ』に出演させて頂いているのでとても驚きました。今、スポーツなどを考えても、年々競技年齢が上がっているじゃないですか。そう考えると、僕らが60歳になるときにはどうなっているんだろうかと。横田(栄司)さんもそうですが、ひとつのことをやりとげながら、いろんな幅を利かせられる、でも最終的にそこにちゃんと辿り着く、そういう役者になりたいと思います。その思いがさらに強くなりました。
ーー『ヘンリー五世』は、その一歩でしょうか。
そうですね。たくさんシゴかれたいなと思っています。果たしてハードルを上げておいた方がいいのか、下げておいた方がいいのか悩むところですが(笑)。でも結局、誠心誠意、僕は僕らしく、どんな結果であろうと受け止めます。きっとターニングポイントの作品になると思いますので、皆様にも一緒にそれを目の当たりにしていただけたら嬉しいです。
※中河内雅貴さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは2月21日(木)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
中河内さんの”ジャージー・ボーイズ愛”に溢れてるインタビューにとっても良かった、感動です。
また中河内さんトミーに、逢いたい。
JF(ジャージー・ボーイズ ファミリー)最高です。
限定記事までしっかり読ませて頂きました。JBの感動が一気によみがえって来た気がします。なぜか憎めない中河内さんのトミー大好きです。素敵な記事をありがとうございました。
ジャージーボーイズへの中河内さんの思いを読ませていただいて、胸が熱くなりました。
「ヘンリー五世」でも魅力を発揮なさるのを楽しみにしています。
心が伝わってくる素敵な記事を有難うございました。