2009年から続いたシェイクスピア歴史劇シリーズの最終作『リチャード二世』が、2020年10月2日(金)~10月25日(日)に、新国立劇場 中劇場で上演されます。これまでイギリスの内乱、対フランスとの戦争や権力への執着など、様々な「争い」を通し人間の営みの愚かさや気高さを余すところなく描き切ったとして、高い評価を得てきた作品。『リチャード二世』は、歴史的には最も古い時代を扱った史劇で、全ての発端であり人々の争いの原因となったボリングブルック(後のヘンリー四世)による、リチャード二世からの王権奪取が描かれており、最終作にしてその出発点を解き明かす鍵となる公演です。出演は、岡本健一さん、浦井健治さん、中嶋朋子さんといったこのシリーズには欠かせない俳優陣で、演出の鵜山仁さんをはじめスタッフはほぼ同じ布陣。足掛け12年をかけた壮大な歴史絵巻がついに完結します。また、『リチャード二世』の上演を記念して、10月27日(火)~11月3日(火・祝)には、過去の上演作品から『ヘンリー六世』と『リチャード三世』の映像が、新国立劇場 中劇場で上映されます。
<あらすじ>
リチャード二世の王宮。王の面前に、反目しあう二人の貴族、モーブレーとボリングブルックが召喚される。ボリングブルックは先ごろ暗殺されたグロスター公の死に、モーブレーが関与していたと告発するが、モーブレーはこれを否定。王の裁定は後日、決闘によって黒白をつけるというものだった。その当日、いよいよ決闘開始という時に、突如、王は決闘の中止と二人の追放を宣告する。ボリングブルックは六年の追放に処されるのだが、やがて彼の父が死去すると、王はその財産を没収する。この暴挙に加え、それまでのリチャードの治世に不満を高まらせていた貴族たちのもとに、ボリングブルックが名誉の回復を求め、大軍を率いて帰国するとの報が寄せられる。次々とボリングブルックに靡く貴族たち。民衆の支持も得た彼は、籠城した王と対峙すべく兵を進める。ボリングブルックは自身の名誉回復だけを要求するのだが、気圧された王は自ら譲位を宣言してしまう……。
<演出・鵜山仁さんのメッセージ>
さて、『リチャード二世』。この作品をもって2009年の『ヘンリー六世』から始まったシェイクスピア歴史劇シリーズにも、一応のピリオドが打たれることになる。外つ国イングランドの、およそ100年にわたる戦乱の時代に、われわれなりの寄り添い方をしてきた10年。この間政権政党がかわり、元号がかわり、都知事が三人かわった。大震災があり、大水害があり、特定秘密保護法、安保法制が施行された。10年前には想像できなかったような地球環境の変化、再生医療や人工知能の発展を目の当たりにして、人間存在とドラマの根幹である「自」と「他」や「生」と「死」のボーダーラインですら、曖昧なものになりつつある。こうした社会の変化が舞台に影響を及ぼさないわけがない。夢見る心ではじめた演劇がいつの間にか変わりばえのしないルーティーンになり、エネルギーを失っていく、そんな退廃もそこここで目にしてきた。が、とにかく、幾多の荒波をかいくぐってきたわれわれのカンパニーの、この10年の「成長」、「成熟」もしくは「老 成」、「老化」に、改めて注目していただきたいと思う。中嶋しゅう、島次郎というカンパニーの常連との別れもあった。それでも僕にとっては、芝居を作る上での途方もない可能性、人の力の大きさと出会えた10年だった。かけがえのない出会いと別れに深く感謝しつつ、これがまた新しい始まりに連なるような作品の初日に、是非立ち会いたいと願っている。
【シェイクスピア歴史劇シリーズ映像上映】
2009年10月に開幕した、シェイクスピア作『ヘンリー六世』三部作から始まる歴史劇シリーズは、一昨年の『ヘンリー五世』まで、同一の役を同じ俳優が通して演じ、またスタッフも全員同じメンバーで上演されるなど、我が国演劇界の大きな話題となってまいりました。本国イギリスでも稀な機会にしか上演されることはなく、もちろん日本の演劇界では初めての壮大な企画として、演出の鵜山氏を始め、出演俳優やスタッフも数々の演劇賞を受賞し、歴史劇シリーズは数多くの栄誉に輝きました。今回、新国立劇場シェイクスピア歴史劇シリーズの掉尾を飾る『リチャード二世』の上演を記念して、過去の上演作品から『ヘンリー六世』と『リチャード三世』の映像をお届けします。
■Aプログラム:『ヘンリー六世』(2009年上演)
新国立劇場シェイクスピア歴史劇シリーズの開幕作品。9時間を超える長さとなった通し上演は世間の度肝を抜き、2010年の読売演劇大賞受賞をはじめ演劇界でも大きな話題となりました。
■Bプログラム:『リチャード三世』(2012年上演)
『ヘンリー六世』の出演俳優が再集結。同じスタッフ、同じキャストを引き継いでの上演が実現したのは、世界的にも稀で、日本では初めてでした。
<演劇『リチャード二世』公演概要>
【東京公演】2020年10月2日(金)~25日(日) 新国立劇場 中劇場(京王新線 新宿駅より1駅、「初台駅」中央口直結)
【料金】S席8,800円/A席6,600円/B席3,300円(税込)
【チケット申し込み・お問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス:03-5352-9999(10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス
http://pia.jp/nntt/
公式サイト
https://www.nntt.jac.go.jp/play/richard2/
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出:鵜山 仁
出演:
岡本健一、浦井健治、中嶋朋子、立川三貴、横田栄司、勝部演之
吉村 直、木下浩之、田代隆秀、一柳みる、大滝 寛、浅野雅博
那須佐代子、小長谷勝彦、下総源太朗、原 嘉孝、櫻井章喜、石橋徹郎、清原達之
鍛治直人、川辺邦弘、⻲田佳明、松角洋平、内藤裕志、椎名一浩、宮崎隼人
芸術監督:小川絵梨子
主催:新国立劇場
<『シェイクスピア歴史劇シリーズ映像上映』概要>
【東京上映】2020年10月27日(火)~11月3日(火・祝) 新国立劇場 中劇場
公演詳細
https://www.nntt.jac.go.jp/play/shakespeare-screening/
【料金】Aプロ『ヘンリー六世』:5,500円/Bプロ『リチャード三世』:3,000円/2作品通し券:7,600円(税込)
【チケットに関するお問い合わせ】新国立劇場ボックスオフィス:03-5352-9999(10:00~18:00)
※本公演は新型コロナウイルス感染予防、拡散防止対策をとって上演。詳細は下記URLをご参照ください。
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html
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