「自分の殻を破らないと」、『ALTAR BOYZ』石川新太インタビュー(下)

石川新太さん=撮影・伊藤華織

“2019年世界ツアーの、日本ファイナル公演”日本初演から10周年の『ALTAR BOYZ』が、2019年3月20日から4月7日まで、東京・新宿FACEで上演されます。“team GOLD”のルーク役、石川新太さんに再演に向けての思いと、今後の活動ついてお話いただいたインタビューの後半です。

石川新太さん=撮影・伊藤華織

石川新太さん=撮影・伊藤華織

――新太さんから見て、ルークはどんな男でしょう?

「まっすぐ」です。とにかくまっすぐで、それでいて骨太で。すごい太いまっすぐな人なんですよね。で、そのまっすぐの方向が、おそらく小さい頃は違う方向のまっすぐに向いちゃってたんです。だから、それがなかなか曲げられないんだけど、いったんポコンとたたかれて軌道修正されると、そのままずっとまっすぐ進めるような。そういう人間だなと直感的に思ってます。

――違う方向にとは、いわゆる正道というか、あるべき人の道的な方向からちょっとズレちゃったという?

そうです、逸れた道に行ってたんだけれども、それを平たく言えば更生して、更生したあとは、逸れた方を向いていたエネルギーが、ちゃんと正しい方向に向けるような人なんだろうなと思っています。

――周りから干渉されてもブレない男ですか?

ぶれないですね。嫌なことは「ヤダっ!」って大声で言うし、楽しいことは、「楽しいっ!」って、大声で言う人。これは僕が考えることで、ルークが考えることではないかもしれないんですけど、それが実はチームのバランスをとってもいるんじゃないかな? って、思うんです。「おいおい、ルーク、なにやってるんだよ」って、チームの誰かがルークを止めることが、実は大事なことだった、みたいな。

――なるほど! そういう役割もありそうですね。

あと、「ルーク役」の役割で大切なのは、ルークの曲はコール&レスポンスをするんです。お客さまにソロの曲として、コール&レスポンスを投げかけるのは、ルークの曲が一番大きいんです。だからお客さまと、僕ら「ALTAR BOYZ」をつなぐというか、お客さまをステージに引っ張り上げていくような架け橋的な役割もあるなと、僕は初演を観たときから思っていて。だから、この人(ルーク)が居たから前のめりにライブに入れるみたいな部分があるので、僕は自分の殻を破らないと。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『JERSEY BOYS』再演を経験してからの『ALTAR BOYZ』再演出演について、2008年に『エリザベート』の少年ルドルフ役で初舞台を経験してからの声変わり、19歳になって音楽大学に通っていることとミュージカルの関係などについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■投げられたボールを「違うよ」って“自分の方向”に持って行くのは、エネルギーを使う

■再演で自分が同じ役を演じるというのは『JERSEY BOYS』が初めてだったんです

■『GEM CLUB』で顕著に感じた、「体力的に人間の限界を超える」玉野さんの演出

■声変わり前と、声変わり後って、まったく別の楽器を持たされてるぐらい違うんです

■19歳の役を19歳が演じることって少ない。実年齢に近いからこそ出せる“なにか”を

■モチベーションがあがりまくり。お客さまもモチベーションMAXで来てもらえたら

<『ALTARBOYZ』>
【東京公演】2019年3月20日(水)~4月7日(日) 新宿FACE
※3月20日(水)21日(木・祝)はプレビュー公演
新宿FACE:新宿区歌舞伎町1-20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町7F
http://shinjuku-face.com/
『ALTARBOYZ』公式サイト
http://www.altarboyz.jp/
出演:
team GOLD
大山真志、法月康平、松浦司、常川藍里、石川新太
team SPARK
良知真次、金井成大/北乃颯希、勧修寺玲旺/米原幸佑、反橋宗一郎/和田泰右、川原一馬/山本隼也

<関連リンク>
カオス・パフォーマーズオフィス 石川新太
http://kaosperformers.tumblr.com/post/101744189477/arata-ishikawa
あらたっぷ倶楽部 石川新太 OFFICIAL WEBSITE
http://arata-ishikawa.com/
石川新太 Twitter
https://twitter.com/aratap811

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石川新太さん=撮影・伊藤華織

石川新太さん=撮影・伊藤華織

※ここから有料会員限定部分です。

■投げられたボールを「違うよ」って“自分の方向”に持って行くのは、エネルギーを使う

――自分の殻を。

お芝居の話になると、普通の人間を演じることが一番難しいんです。だから、なにかを言われて、その人が投げかけてきた反応に対して、「あ、そうだね」って、投げてと言われた方向にボールを投げるというのは、お芝居としてはやりやすいんですけど、投げられたボールを、「違うよ」って投げ返す、“自分の方向”にそれを持って行くと言うのは、結構エネルギーを使うことではあるんですよね。

――「まっすぐ」は、投げかけられたものを、まっすぐ素直に相手の望む方向へ投げ返すという意味ではなく、その役自身が思う、まっすぐで普通なところに投げ返すことが難しい、と。

ルークだと、それは人が思う、人からすると違う方向ではあるんですね。だけど、ルークとしては、「それ」を返すのが普通であるということが(自分とは)相反するというか。僕自身が「イヤ、違うだろ!」と思うことをやっているんですけど、やっている最中は、ルークにとって「当たり前のこと」をしていなきゃいけない。…っていうのが難しくて、だけど面白い、一番演ってて楽しい部分ではあります。なにをやってもOKというか、はたから見たらやんちゃであったり、そういう人ではあるけど、どこかあったかい。なんか、憎めないという部分はありますね。

――やんちゃくれでどうしようもないんだけど、なんかかまっちゃうんだよなぁコイツ、というような?(笑)。

こんな人、友達に居て欲しくないよな、って思っちゃうけど(笑)、でも絶対居るし、居たら居たで欠かせない人なんですよ。

石川新太さん=撮影・伊藤華織

石川新太さん=撮影・伊藤華織

■再演で自分が同じ役を演じるというのは『JERSEY BOYS』が初めてだったんです

――新太さんにとっても今回は2017年についでの再演になります。作品は違いますが、『JERSEY BOYS』の再演を経験されたことで、『ALTAR BOYZ』の再演でも生かせる部分がありますか?

再演のところに初参加したりとか、初めて創りあげていくという経験しかなかったので、再演で自分が同じ役を演じるというのは、実は『JERSEY BOYS』が初めてだったんです。そこで思ったのが、「再演」は繰り返しでも、それを持った上で越していくということでもなくて、また1から創った上で、越えてなきゃいけないものだなと思うんです。

――前回積みあげていたものの上に、そのまま積むのではなく、1から。

1からまた積み上げていく、というのが再演の面白さであり、難しさなんだなっていうのを思いました。

――ということは、最低でも前回の水準を満たした上で、そこを越えようとする分、再演ではさらにやることも多くなりますね。

多いです、もちろん。だけど、自分が持っている材料が(前回より)多いから、同じ道でも早歩きできたりとかするんですよ。でも早歩きって疲れるじゃないですか(笑)。そんな感じなんです。

――なるほど! 今回の『ALTAR BOYZ』は、2017年と同じメンバーで、スタッフもほぼ同じですが、また1から新しく創る作品になるということなんですね。

そうです! だからそれがひょっとしたら(前回と)同じようには積み上がって行かないかもしれないですね。もしかしたら、全然違う形になっているかもしれないけど、「それはそれで好き!」と、思っていただけたり、前回を観て「またもう一度これを観たい」って思ってくださっている方ももちろんたくさん居らっしゃると思うので、その方にも楽しんでいただけるように、前回のエッセンスも残しながらも、また新しい「ALTAR BOYZ」に僕らがなれたらなと思っているんです。設定的にも、「2年の月日を経て新宿FACEに帰ってきたぜ!」っていうライブなので。

――2017年のライブを経て帰ってきたよ、というところから始まるんですね!

なのでやっぱり、アーティストで考えたら2年前にやったライブって、もう1回やらないじゃないですか。だから、それを思って演んなきゃなんないなっていう。

――「帰ってきたよ!」というのは、やはりずっと見続けてきたファンには嬉しい言葉ですし、その一言の有る無しで、親近感というか、客席の食いつきが大分違うのではと思います。

そうです!

■『GEM CLUB』で顕著に感じた、「体力的に人間の限界を超える」玉野さんの演出

――玉野和紀さんの演出については?

『GEM CLUB』(2016年)のときに、顕著に感じたんですけど、玉野さんの演出って、人間の限界を超えるんですよ、体力的な面で。あとは、皆さんご存知のムチャ振りであったりとかで(笑) 、メンタルの部分でも自分の限界を越えなきゃいけないんですよ。

――まんま『CLUB SEVEN』シリーズの後半というか…(笑)。

そういう感じなんですけど(笑)。でもそこがなんか、真髄!というか。その、普通人間が到達できないところに体力的にも行くから、そこにほかじゃ観られない感動があるというか(笑)。

――たしかに!(笑)。

あの、これはもう僕の1ファンとしての目線なんですけど(笑)。『CLUB SEVEN』の五十音メドレーとか、最後の最後みんなもう、ハァハァになってて(笑)、なんか涙出てくるんですよね!

――皆さん本当に肩で息していらっしゃいます。

そう、心打たれて!っていうのが、ほかでは絶対に体験できない、玉野さんならではのことなんですけど、もちろん『ALTAR BOYZ』でもそれがあって。限界を“超えて”、毎度、毎度演ってるので(笑)。

――では、フィジカルとメンタル双方において、前回2017年をさらに超えた「ライブ」になりますね!

そうなんですよね。だから、いまからちょっとビビってるんですけども。「前回を越えなきゃいけないってことは、…ってコトは、アレっ?! 越えなきゃいけない部分がデカいな」みたいな(笑)。

――なるほど! 「前回越え」というのは、観る側的にはワクワクするものですけど、演者的にはなかなか…。

気合い入れて、楽しんでいきたいと思います。

石川新太さん=撮影・伊藤華織

石川新太さん=撮影・伊藤華織

■声変わり前と、声変わり後って、まったく別の楽器を持たされてるぐらい違うんです

――新太さんは『エリザベート』の皇太子ルドルフの少年時代で初舞台を踏まれて、今年の8月で二十歳、芸歴としては12年になります。

そうですね、2008年の『エリザベート』からなので。

――この世界にお入りになるきっかけは?

最初のきっかけは、テレビでタップダンスを見たんです。明確に憶えているんですけど、歌番組(『うたばん』TBS)のトークコーナーで、歌手のBoAさんが「実は挑戦してみたいことがあって、タップダンス最近私やりたいと思ってるんですよね」っておっしゃったら、HIDEBOHさんが出てきて、その場でタップダンスをレクチャーするっていうコーナーがあったんです。それを僕、テレビの前で見てて。

――何歳の頃ですか?

6歳のときですね。で、HIDEBOHさんがBoAさんに教えている姿を見ながら、僕も一緒にやってたんですよ。で、「できる!」って。

――おおっ!

「これ楽しい。習ってみたい」って親に言ったんですよ。で、習いはじめたところに併設の今の事務所からミュージカルのオーディションの話とかもいただくようになって、という感じなんです。だから、きっかけは、タップダンスを見て、「やりたい」と思ったことからです。

――本当にご自身でタップをやりたいということで飛び込まれて、タップをやっているうちに、つながりとして歌とお芝居に入ってきたんですね。

はい。で、歌を歌うということを覚えて、大好きだなって思ったという感じです。

――子役からお仕事を続けてこられた上でのご苦労もありましたか?

あります、あります、もちろん。『GEM CLUB』の前、やっぱり子役からやっていくと、大人でもないし子供でもないという時を経過しなきゃいけなくて。で、そこってやっぱり、お仕事的には少なくなっちゃったりとかもするんです。自分の身体のバランス的な部分でも、やっぱり踊り辛さとかもありますし、もちろん声も変わって。特に僕はいま歌が好きでやっているんですけど、声変わり前と、声変わり後って、楽器で言ったら、まったく別の楽器を持たされてるぐらい違うんです。だから、またそれも1から練習しないと、新しい楽器って弾けないじゃないですか。だけど、お仕事しながらそれをやっていかなきゃいけないっていうので、自分の中で、ぶつかってた部分というのはあるんです。「この先、ちゃんとやっていけるだろうか?」って。

やりたい気持ちと、できるのかな? という気持ちが、自分の中で結構あったんですけど、とりあえず『GEM CLUB』のオーディションを頑張ろう、って思ってやって、『GEM CLUB』が決まって、そこでちょっと転機になった気がします。自分の中では、『GEM CLUB』以降、大人キャストとして扱っていただいているというか、「子役」としてではなく入れていただいたというので、そこから、それがまたきっかけになって、いろいろと続けさせていただいているので『GEM CLUB』は転機でした。やっぱりその、“子供でもない、大人でもない”、というところ、明確に言えばまだそうなんですけど、そこでの難しさというのはありますね。

石川新太さん=撮影・伊藤華織

石川新太さん=撮影・伊藤華織

■19歳の役を19歳が演じることって少ない。実年齢に近いからこそ出せる“なにか”を

――その難しい時期を抜けつつある今、これからチャレンジしてみたいことはありますか?

いま僕は音楽大学に通っていて、実は曲を創ったりとか、バンドやってみたいなという気持ちがあったりもして。やっぱり歌が好きなので、とりあえずたくさん歌いたい! と、思っています。

――では、これからは音楽活動も?

できたらいいなと思いつつも、でも「なにが好き?」と言われたら、やはりミュージカルが好きなので。いまは境界が明確に分かれている部分が少ないと思うんです。アーティストをやりながらミュージカル活動をされていたりとか、逆にミュージカルからアーティストにいかれたりというのが分かれてなくて。それがこう、つながっている気がするんですよね。アーティストで得てきたものをミュージカルで発揮する、ミュージカルで得たものをアーティストで発揮する。中川晃教さんとかまさにそうですし、そういう方を見ていると、自分も音楽大学に通って、音楽のことを勉強して、そうやってなにか違った方向、たとえばミュージカルソングじゃないところからのアプローチをミュージカルソングに持ってきたりとかで、マルチにというか、マルチなんだけど、音楽という部分に関して、なにか力強く進んでいけたらなとも思っています。

海外のミュージカルの事情を見ていても、いまはロックテイストなミュージカルであったりとか、それこそ『Dear Evan Hansen』とか、結構現代的な「これ、ミュージカルソングだよ」って言われないと、ミュージカルソングだとわからないような曲のミュージカルというのも普通に増えていて。で、それって意外と若い人がフィーチャーされている作品が多いんです。だから、やっぱり実年齢に近いからこそ出せる“なにか”っていうのが、僕は絶対にあると思っていて。テレビとかを見てると「え、まだ制服着るの?」ということが多かったりもするんですけど、リアルに制服を着る歳の人が制服を着てるときの説得力って、やっぱりあると思うんです。それをミュージカル業界でも起こせればいいなと思っていて。いま19歳だから言うんですけど、たとえば19歳の役を本当に19歳が演じることって少ないじゃないですか。でも、挑戦として演じていきたいなと思っているし、演じられるように頑張っていきたいなと思っています。

■モチベーションがあがりまくり。お客さまもモチベーションMAXで来てもらえたら

――それでは最後に、魂の浄化を求めて「ライブ」にいらっしゃるお客さまへ、メッセージをお願いします。

2年ぶりに帰ってきて、とても嬉しく思っていて、もうモチベーションがあがりまくっています。お客さまも、楽しみにしてくださっている気持ちをどんどん高めていただいて、モチベーションMAXの状態で劇場に来てもらって、心の汚れを存分に! 発揮していただけたらなと思います(笑)。

――有り難うございました!

石川新太さん=撮影・伊藤華織

石川新太さん=撮影・伊藤華織

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