「自分ではなく相手を大切に」、『Little Women』朝夏まなと&香寿たつき対談(上)

朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

2019年9月3日(火)開幕のミュージカル『Little Women -若草物語-』に出演する朝夏まなとさんと香寿たつきさんに、インタビューしました。『Little Women -若草物語-』は、世界的名作小説「若草物語」とその続編「続・若草物語」を下敷きに作られたミュージカルで、2005年にブロードウェイで初演されました。慎ましい生活の中にも喜びを見出し、助け合って困難に立ち向かう四姉妹とその母、そして彼らをとりまく人びとの物語を、美しいミュージカルナンバーに乗せて描きます。朝夏さんは次女ジョー役を、香寿さんは四姉妹の母親役を演じます。8月上旬に稽古場を訪ね、お話を伺いました。香寿さんが宝塚トップの作品で朝夏さんが初舞台を踏んだという間柄のおふたりの、和気藹々としたお話をお届けします。

朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

ーー稽古がはじまってもうかなり進んでいると伺いましたが、稽古の様子やカンパニーの雰囲気はいかがですか?

香寿:まずね、まぁちゃんが台本を全部覚えてきちゃうからねぇ……(笑)。

朝夏:(笑)。

香寿:まぁちゃんが「急にこんなに進めません」といえばみんなも……(笑)。演出家もあとでゆっくり練りたいだろうと思いますし、役者的にも安心して舞台に臨めると思うので、稽古が早く進むのはいいのですが、一番大変なのは出番の多いまぁちゃん。それもわかっているから、みんなもこの時間で覚えて次に挑もうとしている感じです。

ーーそのスピードは朝夏さんの通常モードなんですか?

朝夏:自分が覚えていないと稽古にならないので。台本を見ながらだとできないんです。

香寿:もうクセじゃない? 宝塚の外の舞台に出ると、ある程度はやくに台本をいただけるんですが、宝塚のときは顔合わせのときに初めて台本をいただいて、翌日から立ち稽古なので、覚えられるところまではとりあえず覚えていこうと思っちゃうよね。

朝夏:そうですね。前にも別の現場で、「まぁちゃんが覚えてくるからみんなが覚えなきゃいけないんだよ」って言われたことがあります(笑)。

香寿:絶対に事前に台本を覚えていかなければいけない演出家の方もいらっしゃるんです。例えば蜷川(幸雄)さんだったら、かなり前から台本をいただいて、稽古は衣装もつけて、舞台セットもあって立ち稽古をして、稽古時間は短いときは3時間程度しかないので、死ぬほどそこにみんなが集中する。それは珍しい現場ですね。大概は13時から22時までなど、長い時間をかけて稽古します。時間をかけて少しづつお稽古できるのは有難いですね。

ーー共演者の皆さんはいかがですか?

朝夏:村井(國夫)さん、久野(綾希子)さん、タータン(香寿たつき)さん、という先輩方がすごく和やかにいてくださるんですよ。だから若者たちはのびのびとさせていただいていると思います。

香寿:そして四姉妹(朝夏、彩乃かなみ、井上小百合、下村実生)。タイプがそれぞれ全然違う4人だから、本当に私が産んだ子なんだろうかと(笑)。

朝夏:(笑)。

香寿:同じように育てているのに(笑)。

朝夏:こうも違うかと!

香寿:私は三姉妹の真ん中で、自分がジョーのようなタイプだったんです。ジョーと違うのは、小さいときに一番引っ込み思案で、どこにいるかわからない子だったこと。でも蓋を開けたら、宝塚に入るなど、自分が一番目立つところにいたんですよね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『Little Women-若草物語-』の登場人物のキャラクターについてや、稽古にあたってのエピソードなど、インタビュー前半の全文と写真を掲載しています。9月3日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、宝塚の先輩後輩ならではのお話など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■香寿:お姉ちゃんはこうしてもらってたのに私はこれ……というエイミーの気持ちがわかる

■朝夏:(ジョーはベスを) すごくひいきしています(笑)。メグとエイミーはロマンチック

■香寿:自分はジョーに近いところもあれば、妹たちの気持ちもわかります

■朝夏:一回演じると一生分生きたくらいの気持ちに。絆や愛など、本当に大事なものがすべて入っている作品

<ミュージカル『Little Women-若草物語-』>
【東京公演】2019年9月3日(火)~9月25日(水) シアタークリエ
【愛知公演】2019年10月2日(水) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【福岡公演】2019年10月5日(土)~10月6日(日) 福岡市民会館
公式サイト
https://www.tohostage.com/littlewomen/

<関連リンク>
ミュージカル『Little Women-若草物語-』のページ
https://www.tohostage.com/littlewomen/
朝夏まなとオフィシャルウェブサイト
https://asakamanato.com/
朝夏まなと東宝芸能プロフィール
https://www.toho-ent.co.jp/actor/1040
朝夏まなとオフィシャル instagram
https://www.instagram.com/asaka_manato_official/
朝夏まなとマネージャー Twitter
https://twitter.com/asakamanatomg
香寿たつきホリプロオフィシャルサイト
https://www.horipro.co.jp/kohjutatsuki/
香寿たつきオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/tatsuki-kohju/

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朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■香寿:お姉ちゃんはこうしてもらってたのに私はこれ……というエイミーの気持ちがわかる

香寿:同じ親から生まれても、ひとりひとり外見も性格も全然違うんですよ。親は同じように育ててもね。私は姉のお下がりだったけれど、妹はそれが古くて着れなくなっているから、妹は新しいものを買ってもらったりする。いつも私だけお下がりで。お年玉は、姉が特別で、私と妹は絶対に同じ金額。いつになっても姉だけ特別で、私と妹はなんで同じなのって。

現場全員:へぇ!!!

ーー真ん中だといろいろあるんですね。

朝夏:お姉さんとも、妹さんとも格差があるんですね!

香寿:そう! 格差があるの! 妹は、私がバレエをやったり宝塚に入ったことで、「お姉ちゃんばっかり(特別で)と思っていた」と言っていたことがありましたが、私も「お姉ちゃんばっかり」と思っていましたね。だから、何歳かしか違わないのに、「お姉ちゃんはこうしてもらっていたのに……」と姉を羨むエイミーの気持ちがわかります。

ーー朝夏さんはご兄弟はいらっしゃるのですか?

朝夏:私は弟がいるだけなので、私のものは、私のものとして買ってもらっていました(笑)。

香寿:男の子と女の子は違うしね。でも、弟さんも小さい頃は女の子のものを着せられたりしてたかもよ。

朝夏:まだ赤ちゃんのときは着てましたね!

香寿:(笑)。

朝夏:弟は私の子分みたいなものだったので(笑)、いつも連れ回していました。

香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

■朝夏:(ジョーはベスを) すごくひいきしています(笑)。メグとエイミーはロマンチック

香寿:まぁちゃんはジョー役がぴったりです。ジョーは、この子はこうするだろうなというとおりにやる子だよね。四姉妹の中でも、ベスは自分の気持ちを外に出していくタイプではないけれど、実は一番心が広い。本当はそういう子に一番愛情をかけなければいけないんですよね。心に思っていることがあるけれど、表に出せなかったり、まわりの人を見て、自分は大丈夫かな?と気にしてしまったり。

ーージョーはそのベスをすごく大事にされているんですよね。

朝夏:はい! すごくひいきしています(笑)。

香寿:(笑)。

ーーそういう姉妹関係をご覧になっていていかがですか?

香寿:四人いるので、姉妹がふたつのグループになんとなく分かれるんだよね。

朝夏:そうですね。メグとエイミー、ジョーとベスですよね。メグとエイミーはロマンチックで、綺麗なものが好きだったり、すごく女の子なんですよ。だからそういう意味でも気が合うのかなと。役を離れた実際には、年齢差のある姉妹なので(笑)、自然な仲良し感が出るように、長女(メグ)と次女(ジョー)は頑張っています…

香寿:全然大丈夫! 四姉妹にみえるよ!

朝夏:大丈夫ですか? (笑)。

朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳

■香寿:自分はジョーに近いところもあれば、妹たちの気持ちもわかります

ーー世界的名作といわれる「若草物語」ですが、今回のミュージカルで触れる前や、今回ミュージカルで触れてみての印象などはいかがですか?

香寿:エイミーちゃんが鼻を高くするために洗濯バサミを挟んでいたエピソードの印象はすごくあります。幼いころの私は、どちらかというと引っ込み思案で、ゆめゆめしいものが好きだったので、「若草物語」についてはあまり覚えていないんですよね。物心ついたときには、「母を訪ねて三千里」などの、お母さんがいないとか、お母さんを探していく話を読んでいたことがすごく頭に残っています。母から愛情がもらいたいのに、三姉妹で、姉と妹がいるから自分は一歩引いていた、そういう気持ちの表れだったのかなと、今、自分を分析したときに思いました。

朝夏:なるほど。

香寿:だから「若草物語」の姉妹も四人四様だと理解できます。自分はジョーに近いところもあれば、他の姉妹の気持ちがわかる部分もある。母親役として、子供たちを見るという点では、すごくやりやすいです。なぜこんなことを考えるんだろうと思わないですからね。自分も三姉妹のなかでいつも周りを見て、ひとりで孤立しているタイプだったから、ベスの気持ちがすごくわかるし、エイミーの気持ちもわかります。

朝夏:すごい! 四姉妹の全部の要素を持っていらっしゃるんですね。

香寿:そう! 自分はジョーのように夢を追って宝塚に入っちゃって現在に至るから。

ーーそうするとお母さま役がぴったりですね。四人の気持ちがわかるんですもんね。

香寿:自分がもう少し理解を深めたいなと思うのはマーチ家の宗教観の部分ですね。マーチ家はクリスチャンで、自分たちが苦しい思いをしても人に施しをしたりする。自分だったら、せめてわが子の分を少しだけ貰っておいて残りを他の方に差しあげるという風になると思うのですが、マーチ家は全部あげてしまうんです。“お母さま”はそういう考え方が根底にある人。常に意識はしていますが、実際に表現するのはすごく難しいです。

ーー朝夏さんはこの物語についての印象はいかがですか?

朝夏:私は今回の役が決まるまで、お恥ずかしながらタイトルしか知らなかったんです。

香寿:世代の差もあるかも知れないよね。

朝夏:四姉妹の話であることと、多分、図書館などにある昔の世界的に有名な文学作品が漫画になっているようなシリーズで読んだ気がするのですが、あまり強い印象は残っていなくて。当時は『セーラームーン』や『エースを狙え』など、派手なものが好きだったんです。

香寿:『キャンディ・キャンディ』とかではないのよね。

朝夏:残念ながら……。なんとなくは知っていますよ!

香寿:『キャンディ・キャンディ』は、ゆめゆめしいよ(笑)。

香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

■朝夏:一回演じると一生分生きたくらいの気持ちに。絆や愛など、本当に大事なものがすべて入っている作品

朝夏:今回改めて「若草物語」に触れてみて、ただ家族とご近所の人の話ではないなと感じています。今回描かれる2年間ぐらいが、マーチ家にとって激動の期間なんです。

香寿:戦争もあるからね。

朝夏:ドラマがありますよね。小説でいう、「若草物語」「続・若草物語」を一本のミュージカルにまとめているので、3時間弱の間の物語の厚みがすごくて、なかでもジョーは浮き沈み激しいんです。そのなかで気づくことや、周りの人から受ける影響がすごくあって、一回演じると一生分生きたくらいの気持ちになります。人と人の絆や愛など、本当に大事なものがすべて入っている作品だなと思います。

香寿:今、見失われがちなことがこの作品に詰まっているよね。

朝夏:そうですよね。今は、お隣さんに誰が住んでいるのか知らなかったりするじゃありませんか。

香寿:いつ引っ越したのか、も知らないもんね。

朝夏:人との関わりが減っているなかで、相手に対して何をしたらいいのかとか、自分中心ではなく相手を大切にするとか、そういうメッセージが詰まっている作品。描かれている女性の生き方も、「若草物語」の原作者の方がご自身を投影して書いているんです。

香寿:100年ぐらい前に書かれているんだよね。

朝夏:この作品の女性の自立、そしてそれを支える男性たちという構図が、まさしく今現代にそういう人たちが増えてきているのは、すごい先見の明だなと思います。

ーーその作品が現代でミュージカルになるというのも面白いですね。

香寿:(小林)香さんもおっしゃっていたけれど、世界で経済的なものが発展してきたときには、何でも新しさを追求していく時代だったと思うんです。日本でいえば高度成長期がそうですよね。新しいものがいいとされて、古き良きものが後ろ向きに見られていた。でも、今はテロがあったり、戦争が本当に起こらなければいいなと思うような出来事がたくさん起こってきて、また世界の情勢が変わってきている。そういう時に、過去から学ぶという意味で歴史書を辿れといいますけれど、文学にもそういう力があると思います。人間が持っている心の拠り所だったり、家族愛や周りの人々への愛、人間が生まれて死ぬまでの間に起こる紆余曲折、そういうものがこの作品に集約されていて、そういえばと思い出した人が、現代にも通じるミュージカルにできるんじゃないかと考えたのかな、と。タイムリーに映画も公開されますよね。

朝夏:すごいですよね! 本当にタイムリー!

香寿:こういう時代だからこそ、昔の良い作品がリメイクされて出てくるのかなという気がします。

ーーなるほど。同じ作品が、同じタイミングで、いろんなカンパニーで上演されることもよくありますね。

朝夏:ミュージカルが上演される年に(アメリカで)映画が公開になると知って、タイミングって重なるんだ、すごいなと思いました。今上演する意味があるんだなと思っています。

朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(写真右)と香寿たつきさん=撮影・岩村美佳

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“「自分ではなく相手を大切に」、『Little Women』朝夏まなと&香寿たつき対談(上)” への 2 件のフィードバック

  1. なりたてまぁ様ファン より:

    ジョーとおかあさまの立場から他の姉妹の気持ちを感じるお話が興味深いです。お写真もお二人ともとっても綺麗(^^)で素敵なお写真です。

  2. なぎのすけ より:

    来週若草物語を観に行きます。四姉妹を包み込むお母さまの香寿たつきさん、周りを巻き込んで物語の中心となるジョーの朝夏まなとさんのインタビュー、特に香寿さんご自身の姉妹観など普段目にできないようなお話が新鮮で楽しく読ませて頂きました。宝塚ではなかったお二人の共演を拝見するのがますます楽しみになりました。

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