「裏から登る」、『モーツァルト‥‥ ―オレは誰だ!!―』東山義久&中塚皓平対談(上)

東山義久さん(左)と中塚皓平さん(右)=撮影・NORI

ダンスの鬼才、上田遙さん作・演出・振付によるDramatic Super Dance Theater『モーツァルト‥‥―オレは誰だ!!―』が、2020年2月5日(水)から14日(金)まで、銀座博品館劇場で上演されます。ダンス・歌・セリフを駆使して、天才音楽家モーツァルトの光と影を、ゲーテをはじめとする同時代人との関わりの中で、独自の解釈で紐解く本作。この作品に出演する東山義久さんと中塚皓平さんにインタビューしました。インタビューは上下2回に分けて掲載し、「上」では作品について、役どころについて、共演者についてのお話を、インタビュー「下」では、東山さんが『ミス・サイゴン』にエンジニア役で出演することや、中塚さんが宝塚歌劇団の作品で振付をされていることについても伺いました。

東山義久さん(左)と中塚皓平さん(右)=撮影・NORI

東山義久さん(左)と中塚皓平さん(右)=撮影・NORI

――今回はモーツァルトを題材にした作品ですね。作・演出・振付の上田遙さんとのタッグは、これまでにも『FLAMENCO《マクベス》~眠りを殺した男~』(2018年)、『カルメン ─ ドン・ホセの告白 ─』(2016年)、『サロメ』(2014年・2017年)などの作品を思い起こすに、もう期待しかない! という感じですが、どのような作品になりそうでしょうか?

東山:上田先生とは『サロメ』、『マクベス』、『カルメン』、『サロメ』は再演したから、今回5回目なんですけど、いままで僕は結構踊りの方が多かったんですね。『サロメ』のときは一言もしゃべらなくて身体表現だけだったんです。今回の『モーツァルト‥‥』は、喜劇というか、コメディタッチの世界観の中にモーツァルトをぶち込んで、僕を中心に作品を創ってみよう、みたいな感じで、とても新鮮です。本当にミュージカルって感じになっていて。

中塚:そうですね。

東山:だから、本当に僕以外の登場人物全員が道化のような形で。リアルなお芝居というよりは、劇中劇のようなテンションで、それぞれの役が、誇張したような形だったりするんです。「ヴォルフガング・モーツァルト」って、「ヴォルフガング・モーツァルト」という像ができているカリスマ的なアイコンのひとつだと思うんですね。それを探求して登っていくとすれば、普通は例えて言うと狭い螺旋を下から上に描きながら登っていくところを、この作品では、狭い螺旋を囲むように、広い螺旋を下から上に描きながら裏側から登って行っている感じがある。みなさんが想像している「モーツァルト」ではない作品という感じですね。

――中塚さんの役名が「音符のド」というのに意表を衝かれたのですが…。

中塚:舞台に立つようになって15年、一番短い役名ですからね「ド」って。

――中塚さんは「音符のド」、和田泰右さんが「音符のミ」、新開理雄さんが「音符のソ」ですね。

中塚:モーツァルトが最初に弾いた音が「ド、ミ、ソ」だと。それで常にそばにいる役なんです。

東山:帝劇でやっている『モーツァルト!』だと、才能としてのアマデがずっと居ますが、この作品では、音符たちが、ずっと僕の周りに居るんです。だから僕が倒れていくときでも、みんながクッと支えているとか。

中塚:はいはいはいって、一緒に遊んだりとか。

――互いに会話はあるのですか?

中塚:話します。一緒に楽しく遊ぼうよ、というのもあるし、モーツァルトが苦悩しているときは一緒に落ち込んだりとか。喜怒哀楽を一緒に共有しているというのはありますね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品について、作・演出・振付の上田遙さんについて、共演する中西彩加さん、長澤風海さん、木村咲哉さん、植木豪さん、新開理雄さん、Homerさんらについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2月4日(火)日掲載予定のインタビュー「下」では、中塚さんが宝塚歌劇団の振付をされるようになって感じていることや、東山さんが『ミス・サイゴン』のエンジニア役で帝国劇場のセンターに立たれることなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■中塚:「ドミソ」はいたるところに出ています。モーツァルトと、ほぼほぼ離れない

■東山:チャップリンの喜劇を、モーツァルトで、僕を通してやってみたいって

■東山:13歳の中学生、木村咲哉にはリーダーやってもらいたいぐらい

■中塚:「どうなる!」「うわっ、なんだこれ?!」っていう。良い意味で虚をつかれる

<『モーツァルト‥‥ ―オレは誰だ!!―』>
【東京公演】2020年2月5日(水)~14日(金) 博品館劇場
公式サイト
http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2020_02_05.html

<STAFF>
作・演出・振付:上田遙
音楽:TAKA

<出演>
東山義久

D☆D
中塚皓平 咲山類 和田泰右
新開理雄 Homer

今井瑞 中西彩加 長澤風海 Jeity

木村咲哉
植木豪

<関連リンク>
東山義久 Instagram
https://www.instagram.com/yoshihisa_higashiyama/
中塚皓平 Instagram
https://www.instagram.com/kohhei_nakatsuka/
DIAMOND☆DOGS オフィシャルサイト
http://diamonddog-s.com/
DIAMOND☆DOGS Twitter
https://twitter.com/dd_official_jp

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東山義久さん=撮影・NORI

東山義久さん=撮影・NORI

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■中塚:「ドミソ」はいたるところに出ています。モーツァルトと、ほぼほぼ離れない

――その音符たちとモーツァルトは、片時も離れない。

中塚:「おい、ド!」とか、「ミ!」って(笑)。「ドミソ」も、いたる場面に出てますから。

二人:ほぼほぼ。

東山:ほとんど一緒ですね。

――別れて登場することもあるんですか。

東山:最後の最後とか。僕のソロのシーンだったり、そういうところは僕一人でやります。

――音符たちにもソロシーンがあったり?

中塚:今のところないですね。

東山:音符たちはないですね。

中塚:必ず3人居て。基本的に(モーツァルトと)4人で。

中塚皓平さん=撮影・NORI

中塚皓平さん=撮影・NORI

■東山:チャップリンの喜劇を、モーツァルトで、僕を通してやってみたいって

――上田さんは、いつ頃からこの作品の構想をお持ちだったのでしょう?

東山:僕に話してくれたのは一年以上前です。「次、こんなことやってみないか?」って。いままで物語を台詞で綴る作品はやっていなかったのですが、今回はすごくちゃんとした台本で、素敵な内容のお話です。

――上田さんの頭の中にはそれ以前から存在したテーマだったんでしょうね。

東山:上田さんの作品で一番最後が…。

中塚:『マクベス』。

東山:『マクベス』をやりながら、チャップリンの喜劇をモーツァルトで、僕を通してやってみたいというのが先生の中にあったそうです。

――上田さんとは?

中塚:僕は10年前、安寿ミラさん主演の『Piaf』(2011年)という作品の時からのつきあいです。

東山:僕より先。

中塚:たぶん、今回の出演者の中では誰よりも遙さんと長くて、良さも悪さも知ってもらっていると思います。でも、初めてなんですよ、こんなに明るい作品は。明るい場面がある作品はあったんですけど、『サロメ』も『マクベス』も『カルメン』もそうですし、『Piaf』という作品もそこそこ暗い作品だったので。今回は、すごく明るい作品で、ずっと舞台上に居るということで、遙さんが僕に「多分舞台上でいろいろなことを発見していけるだろうね」と。

――明るい作品に中塚さんが出るのも、楽しみですね。

中塚:「お前なら新しい人たちにも、いろいろ教えられる部分もあるから。先導きって、やってくれ」と。僕もお兄ちゃんというか、おじちゃんになったので(笑)。リーダーとは違うところで引っ張って、下の方からまとめていけたらなと思います。

――咲山類さんも公式ブログで作品について「今までと違うものになりそうだ」と書かれていましたね。

東山:喜劇は本当に芝居が上手な方がやらないと学芸会みたいになっちゃうし、恐いところはありますね。「DIAMOND☆DOGS」のメンバーもほとんど出るので、新しい挑戦だと思います。

東山義久さん(右)と中塚皓平さん(左)=撮影・NORI

東山義久さん(右)と中塚皓平さん(左)=撮影・NORI

■東山:13歳の中学生、木村咲哉にはリーダーやってもらいたいぐらい

――今回の共演者に、植木豪さんがいらっしゃいますね。

東山:「DIAMOND☆DOGS」の舞台でもゲストで出てくれたり、この前やったライブ(『Happy New Year Live 2020』)でも、Tシャツのデザインをしてくれたり、すごくあらゆる方向から携わってくれています。今回いろいろ心配だったけど、豪が出てくれて、稽古場もメンバーの雰囲気もすごく良くて。僕と同い年で、第一線で妥協なくやっている者同士お互いリスペクトしあっているので、彼が出てくれることが、すごく支えになっています。

――今回いろいろ心配だったけど、というのは?

東山:やったことがないことだから、作品の方向性というか。いつも挑戦するときは心配じゃないですか、どうなるんだろうとかって(笑)。

――たしかに。

東山:僕は他のメンバーよりは経験値が高いので、“こうなって、ああなって、こうなったら、こうなる” って予想ができるんですけど、今回のメンバーには初めて台詞をしゃべる者もいて、「DIAMOND☆DOGS」としてちゃんとできるのかな?と、リーダーとしては、そういう心配もありますね。去年は新しいスタートの年だったので、 「DIAMOND☆DOGS」はこれからどこ行くの? みたいなところがあって。「DIAMOND☆DOGS」としてどういう舞台をこれから打つのか、という見方は絶対にあると思います。作品に対しては、僕が全部責任を持って、座頭も務めて、そして「DIAMOND☆DOGS」も出て、他の方も出ているので、自分としてはそういうことを心配しました。

――中塚さんは「下の方からまとめていければ」とおっしゃっていましたが、新メンバーのおふたり、新開理雄さんとHomerさんについては?

中塚:理雄に関しては、今までに違うところで舞台作品を何作かやっているけれど、Homerは、お芝居の作品に出るのは初めてで、ドキドキだと思います。

――なにかお声をかけられたりとか?

中塚:彼は一生懸命やっているので、その彼の姿勢を崩さないようにして、見ていて本当に駄目なところはコソッと伝えます。自分も通ってきた道なので。誰しも、恥をかくという気持ちはわかるし。2行の台詞だけで汗がダーッてなるっていうのは、まぁ…。

東山:(笑)。

――Homerさんは、ベートーヴェン役ですね。

中塚:ベートーヴェンは、ココで! っていうときに出るので。「大丈夫ですよ!」って言いながらも、ガタガタ震えている感じ。でもやっぱり、メンバーとしては爆発力も期待してしまうというか。理雄は「ドミソ」の「ソ」なので、僕と泰右も一緒に居るから、二人で一番下の面倒を見るというか、一緒に和気あいあいとやっていれば一緒についてくる。でも、Homerも、全然大丈夫!(笑)。

――共演の女性陣、今井瑞さん、中西彩加さんは初めましてですか?

中塚:僕は初めてですけど、リーダーは…。

東山:彩加ちゃんとはミュージカル(『エルフ・ザ ミュージカル』2019年)でご一緒したことがあったんですけど、一緒に目を見て台詞しゃべったりするのは、初めてですね。

――そしてお馴染みのといいますか、長澤風海さん。

中塚:はい。

東山:準メンバーですから(笑)。

――男性陣には、13歳の木村咲哉さんもいらっしゃいます。

東山:咲哉には、「DIAMOND☆DOGS」のリーダーやってもらいたいぐらい。

中塚:(笑)。身長もね、男らしくどんどん大きくなってるし。

東山:この前9月に一緒にやったときよりも、また大きくなってる。

中塚:伸びてますねぇ。

東山:顔が精悍になってきたね。

中塚:うん。青年になっている。

――中学生ですね。

中塚:そうです、中学生。

――お兄さま方としては、目を細めながら木村さんの成長をご覧になっている感じ?

東山:お兄さまというか、僕、お父さんでいいくらい。

中塚:まぁそうですね。年齢的には。

東山:咲哉のお母さんと一緒くらいの歳やもん。

――Jeityさんとは?

中塚:初めてです。(「DIAMOND☆DOGS」メンバーの)和田泰右が、前に音楽ユニットの「THE DU」で一緒にやっているんですが、最初はどういう人かわからなかったです。歌う方で、身長も大きいし、優しい大らかなオーラがあるので、役にはすごくぴったり。

――常連メンバーと、新しい人が混ざって、化学反応が起きそうですね。

東山:喜劇というかコメディって、ずーっとテンション高く作らないと面白くないんですよ。今日はどんなことしてくれるのかなとか、してくれたことに僕が返したり、またそれぞれが返すのを見たり。お互いそういうキャッチボールを、いまは楽しんでやっています。

東山義久さん=撮影・NORI

東山義久さん=撮影・NORI

■中塚:「どうなる!」「うわっ、なんだこれ?!」っていう。良い意味で虚をつかれる

――冒頭からテンションが高いお芝居になるんですか?

東山:高くして居ないと、厳しいです。

中塚:モーツァルトと「ドミソ」は高くないと(笑)。「ドミソ」がきっかけといいますか、幕開きから「こういう世界ですよ!」っていうのを、ちゃんとお客さまに提示しなきゃいけないので。

――お客さまも一定のテンションではないですから、均一に巻き込まないと。

東山:そうそう、違うし。

中塚:チラシ見れば「モーツァルト」ってなっているから、「どうなる!」って思っていて、幕が開いたら、「うわっ、なんだこれ?!」っていうイメージ(笑)。良い意味で、虚をつかれるというか。

――フライヤーは、グワッと押し出した感じのモーツァルトと、シュッとした涼しげな佇まいのモーツァルトですね。

東山:モーツァルトってこういう人だって刷り込まれているものがあるじゃないですか。そういう見方はちょっと外してきてもらった方がいいですね。“上田先生が考えている新しいモーツァルトを観てくれ!” という感じです。だから王道の感じじゃなくて、裏から回って、でも行き着くところは、天才の孤独だったり、自分が保てなかったり、自虐だったり虚勢だったり、それがあのフライヤーです。自分はどっちが本当なのかわからなくなるということ。周りにゲーテだったりマリー・アントワネットだったりルイ15世だったりがいて、そういう人たちが創り上げてきたモーツァルト像に、モーツァルト自身が振り回されて、自分がわからなくなって…、みたいなことを面白可笑しく。つまるところ、「僕は誰なんだろう」っていうことなんです。

――従来のモーツァルト像は、映画『アマデウス』であったり、ミュージカル『モーツァルト!』かなと思いますが、この作品は?

東山:どちらかというと、映画『アマデウス』の方に近いですね。

――周囲とモーツァルトの関係は?

東山:どういう風に創っていったらいいかなっていうのは、これからですね。上田先生なので、『サロメ』のときも『マクベス』のときも、絵を描くようにナンバーを創られるんです。上田先生の中で作品の中の肝というか、最終目標地点のようなシーンがあって、それがまず「在りき」で、そこに到達するために逆算して「じゃあどうやって行こうか」って感じで創られるんです。『サロメ』の時も、ラスト15分くらいのソロで“塩を5分、上から落として、その中で踊り狂う” みたいな「絵」があって、それに至るには…、みたいな逆算。

中塚:過程がね。

東山:逆からなので。僕も今一緒に共有していってるところです。その最終地点のようなシーンがやっぱりダンスで、それぞれの得意分野が発揮されていくので、今は全然心配してないです。そこが見どころだし、先生を通した、僕ら「DIAMOND☆DOGS」がこういうこともできるんだっていうことを、モーツァルトとして、今回の作品として観ていただけたらなと思います。

中塚皓平さん=撮影・NORI

中塚皓平さん=撮影・NORI

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“「裏から登る」、『モーツァルト‥‥ ―オレは誰だ!!―』東山義久&中塚皓平対談(上)” への 4 件のフィードバック

  1. ジュリエット より:

    最初観たときはビックリしました。でも記事を改めて読むと「あーそういう…」と感じるところもあり。頭を空っぽにして、ドミソと共に楽しめる、そして東山さんのダンスと歌に涙する舞台でした。素敵な記事、ありがとうございました。

  2. きーちゃん より:

    こちらの記事を読み、モーツァルトなのに喜劇やコメディー??まさか~と思いながら、初日楽しみに(ちょっと不安も抱えながら)劇場へ足を運びました。幕が開いた途端に、えっ?と意表を突かれたモーツァルトにビックリでしたが、タイトルにとらわれず、見えるまま聞こえるままを楽しんだら、私の中の大好きな作品になりました。これからも益々素敵な作品に出合わせて欲しいです。

  3. かなみかな より:

    初日には行けませんが別日に行きます。毎回違う東山さんが観れるので楽しみにしています。

  4. るびー より:

    上田さんの作品はシリアスなものが多かったので、今回はすごく明るい作品とのことで楽しみにしています。想像を超えたモーツァルトを期待しています!

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