「意外に人間が好きじゃんと自分で思えて、ほっと」、廣瀬友祐インタビュー（下）

2020年9月12（土）から9月26日（土）まで東京・日本青年館ホールにて、続いて名古屋、大阪で上演される、ミュージカル『フラッシュダンス』に出演する廣瀬友祐さんのインタビュー、後半です。自粛期間を経て感じている今の思いや、新たに気づいたこと、その時間を経て取り組む舞台への思いなどを伺いました。

――『ファントム』でもご一緒された愛希れいかさんをはじめ、これまでに共演された方もいらっしゃるでしょうから、安心感はありそうですね。

そうなればいいなと思っています。愛希さんと植原卓也くん、秋園美緒さん、穴沢裕介くん、井出恵理子さん、織里織さんとは、これまでにご一緒しました。カンパニーがどういう雰囲気になるでしょうね。予想するに、ダンスが激しいから、踊るチームはすごいと思うんです。そこからスイッチを切り替えて芝居のシーンをやるとなった時に、その肉体的に迫るエネルギーに飲まれないようにしなければと思います。

――確かにダンスのエネルギーすごいでしょうね。

その切り替えも、自粛期間で絶対に鈍っているなと思いますし。でもシンプルに楽しみですし、すごく楽しみたいと思っています。

――自粛期間の数ヶ月間を経て、今、いろいろな人に会えたり、お仕事ができるようになって、気持ちはどんな風に動いていますか？

みんな一緒だと思いますが、嬉しいのと、感謝と、改めて恐怖とを感じました。ひとりでは何もできない無能さを痛感した時期でもあるので……。それと、今すごく良い疲労感を感じています。人と会えている、人と話していること。みんなの前で立ちたいステージがこの先にあって、そこに向かっている気持ちを話しているのが楽しいなと、すごく感じます。それと、「意外に、僕、人間好きじゃん」と。

――今までそうじゃありませんでしたか？

人間が嫌いだなと思っていた部分がありました。普段からそんなに人と飲みに行くわけでもないですし、しょっちゅう人と交流を持つタイプではないので、人と会わなくてもいいとどこか思っていたところあったんですが、こんなにも淋しいんだと。こんなにも普段、勝手に人とコミュニケーションをとっていて、そのバランスによって僕という人がいるんだ、ということを気づかされたんです。本当に、ほっとした部分でもありますね。意外に人間が好きじゃん、と自分で思えたところも。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、廣瀬さんのご自宅での断捨離の様子や、『フラッシュダンス』開幕の2020年9月12日（土）に向けて今考えていることなどについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

＜有料会員限定部分の小見出し＞

■映像ですらテンションが上がっている自分に「こんなに嬉しいんだ」って

■断捨離で、お芝居、演劇、音楽、絵が大事なんだというのが浮き彫りになって

■自分は表現しかできない。『フラッシュダンス』を与えられたことに感謝して

■無事に9月12日を迎えられることを心より願って。溜まったエネルギーを爆発させる

＜ミュージカル『フラッシュダンス』＞
【東京公演】2020年9月12日（土）～9月26日（土）　日本青年館ホール
【愛知公演】 2020年10月3日（土）～10月4日（日）　日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【大阪公演】 2020年10月8日（木）～10月11日（日）　梅田芸術劇場　シアター・ドラマシティ
公式サイト
http://flashdancethemusical-jp.com/

＜関連リンク＞
廣瀬友祐オフィシャルサイト
http://hiroseyusuke.info/
廣瀬友祐 twitter
https://twitter.com/hirose_yuusuke
廣瀬友祐 instagram
https://www.instagram.com/yuusuke_hirose.official/

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※ここから有料会員限定部分です。

■映像ですらテンションが上がっている自分に「こんなに嬉しいんだ」って

――「淋しいんだ」と自覚することって驚きますよね。ずっとひとりで、誰にも会えなくなってはじめて気づくというか。

しかも、最初の頃はテレビ電話すらしていなくて、本当にひとりの状態で、誰とも喋らなかったんです。でもそれが、映像ですら、知っている人の顔を見られて、喋っていることにテンションが上がっている自分に「こんなに嬉しいんだ」って驚いた。そういうことも、すごいなと思ったし、いろいろ考えすぎて、よくわからなくなりますよね。とにかく、仕事があること、仕事ができること、日常の当たり前が当たり前じゃないこと、みんな誰しも痛感したであろうことは、やはり僕も感じましたし、それでも舞台が好き、ステージで表現することが好きだと思いました。いつになったらできるだろう、またできなくなる瞬間があるかもしれない、そう思っていても、それでも好きと思えるから、自分は幸せなんじゃないかなと思いました。それだけ好きと思えるものが、僕のなかにもあったんだと。当たり前すぎて、今までそんなことを考えていませんでした。

■断捨離で、お芝居、演劇、音楽、絵が大事なんだというのが浮き彫りになって

――自分にとって、大事なものと大事でないものが、すごく明確になりませんか？本当に好きなものと、そうでなかったものとか。

それは見事に、家のなかの断捨離で現れています（笑）。やはり残っていくものが、ファッション、映画や演劇のDVDとか。やはり、お芝居、演劇、音楽、絵が大事なんだというのは浮き彫りになっていきました。その他の、ちょっと味見で手を出した趣味が、確かにあの時はちょっとやったけれど、もう使わないなというものがわかってくるんです。

■自分は表現しかできない。『フラッシュダンス』を与えられたことに感謝して

――本当に大事なものが揃ったというか、思いが強くなるものもありますよね。

とにかく、命を懸けているんだなというところに、より深いところでその意味を感じました。舞台ひとつを作るのに、どれだけの人が必要で、各セクションがあって。そうやって作っているからこそ、舞台ができているし、お客様が来てくれることもそうですし。本当にいろいろな人生が織り交ざって、本番の瞬間を迎えられている。やはり、それってすごいなと。もしコロナが終息して、以前のような感じに戻れたとして、戻ってからそういう日々がしばらく続いた時に、人って絶対に慣れると思うんです。だから、絶対に一瞬忘れてしまったり、抱いていた気持ちに靄（もや）がかかる日が来るかもしれませんが、今回の気持ちは、ふと立ち戻った時に思い出す瞬間にはなる時期だと思います。そして、痛感させられたのは、自分は表現が好きなんだなということ。それしかできないんだなと。まず『フラッシュダンス』があること、与えられているということに感謝して挑みたいですね。

■無事に9月12日を迎えられることを心より願って。溜まったエネルギーを爆発させる

――最後に読者の方へメッセージをお願いします。

この作品に関して言えば、やはり、無事に初日を迎えられることを心より願っていますし、そこに「会いたい」「観たい」と言ってくれる人たちがいることにまず感謝です。100％安全ということは言い切れない状況下で、それでも求め合って、集まることができていたその空間は、今まで以上に、本当に特別な瞬間になると思うんです。だから、初日の9月12日は、この世界に入って一番感謝する瞬間になるんじゃないかなと思います。今、もうそんな気がしているので、もしその日を無事に迎えられるなら、その時は存分に、自粛期間でふつふつと、滅茶苦茶に、ぐにゃぐにゃにされた、溜まっていた鬱憤とエネルギーを爆発させるので、お客様もその「会いたかった」「観たかった」「求めていたのはこれだよ」という瞬間になるように、お互いが思いをぶつけ合って、最高の時間を作れたらなと思っています。

まだまだ予断を許しません。本当に、自分を守ることが他人を守ることになります。とにかく自分のことだけを考えずに行動してほしいと思います。考えすぎると何もできなくなってしまいますが、ただただ皆さんの健康を祈りながら、それでも何か光を灯せるような、弱った心を優しく包めるようなエンターテインメントを、僕らはやっていきたいと思っていますので、一緒にこの辛い時期を乗り越えていけたらと思います。

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