「他のペアとは稽古も別、あまり意識はしない」、田代万里生・新納慎也対談(下)

田代万里生さん(左)と新納慎也さん(右)=撮影・NORI

2021年4月1日(木)から5月2日(日)まで東京芸術劇場シアターウエストで上演されるミュージカル『スリル・ミー』(群馬・愛知・大阪公演あり)に出演する田代万里生さんと新納慎也さんのインタビュー、後半です。初演時と今の『スリル・ミー』を取り巻く状況の違いや、おふたりが最近出演されている大人数が出演するミュージカルと、俳優2人とピアニストの3人によるミュージカルの違い、キャストが三組いる『スリル・ミー』で他のペアを意識するのかなどについて伺いました。※このインタビューは『スリル・ミー』公演が開幕する前に実施したものです。

田代万里生さん(左)と新納慎也さん(右)=撮影・NORI
田代万里生さん(左)と新納慎也さん(右)=撮影・NORI

--この作品の魅力について、改めてどう思われますか?

新納:万里生は「いつかやる」と思っていたから、わりと、この作品を心の中にストックしていたけれど、僕はもう卒業と言われていたので、過去に葬り去っていて、心の中になかったんですよね。だから、本当に傍観者で、自分が初演の立ち上げに携わった作品が、どんどん立派に成長していって世間が騒ぎ出した。僕らがやっていたときは、そんな世間が騒ぎ出すことも想像できなかったですし。例えば、『スリル・ミー』と検索しても何も出てこない。

田代:当時はね。

新納:初演のときは、お客さんに観に来てもらうために内容をたくさん説明したりしなくてはいけなかったのに、今やお客さんが韓国までわざわざ観に行って劇評を書いていたりするので、そういうのを9年間徐々に見てきて、「作品が成長するというのは、こういうことなんだな」と、温かいご隠居の目で、素晴らしいなと思って見ていたんですが、やはり今回やってみて思うのは、それだけ蜜の味というか、なぜか引き込まれる中毒性のある作品だと思います。本当によくできた作品だなと。僕も、いろいろな作品をやっていますが、その中でもかなりの上位にあがります。少ない人数で、短い時間で、内容が濃いものをどんと届けられるというのは。コスパもいいですし。

--トリプルキャストで、1日3回公演上演できるのはすごいですよね。

新納:すごいですよ。しかも、今は立派なセットを組んでいますが、本当にやろうと思えばピアノと僕ら二人さえいればできる。今も、この椅子とテーブルさえあればできるので、お金がない学生とかもやればいいよね?

田代:リアル大学生でね。

新納:そういう作品は、すごくよくできていると思うんです。ものすごく心に残るというのも、お金をかければ、良いものはできるんですが、そうではないというところが、すごく優秀な作品だと思いました。

--田代さんは、いかがですか?

田代:『マリー・アントワネット』『エリザベート』などの大きなミュージカルだと、やはり役者としては作品のパーツになる感覚です。それぞれが、それぞれの仕事をして、それがまとめられていく感じなんですが、『スリル・ミー』は、僕と新納さんとピアニストの三人そのものが『スリル・ミー』という感じなので、作品の一部になるというよりは、作品そのものにならなくちゃいけないですし、そうじゃないと、この『スリル・ミー』にならない感覚があります。そういう意味では、自分がそのものになる感覚を、初めて体感した作品ですね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、キャストが三組いる『スリル・ミー』の稽古がどのような形で行われているかや、他のペアを意識するのかなどについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■田代:栗山さんがペアによって言っていることが全然違う。だから、観るのが楽しみ

■新納:『スリル・ミー』は初演から稽古も別。アイデアを盗む盗まれるとかもない

■田代:皆さんが抱いてくださっている期待を大きく上回ったステージをお届けしたい

■新納:「満を持して」「伝説の」と言われてプレッシャーですが、新鮮な気持ちで

<ミュージカル『スリル・ミー』>
【東京公演】2021年4月1日(木)~5月2日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
【群馬公演】2021年5月4日(火・祝)~5月5日(水・祝) 高崎芸術劇場 スタジオシアター
【愛知公演】2021年5月15日(土)~5月16日(日) ウインクあいち大ホール
【大阪公演】2021年5月19日(水)~5月23日(日) サンケイホールブリーゼ
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/thrillme2021/

<関連リンク>
田代万里生オフィシャルWEBサイト-Horipro
https://fc.horipro.jp/tashiromario/
田代万里生オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/mario-capriccio/
田代万里生ホリプロオフィシャルサイト
https://www.horipro.co.jp/tashiromario/
新納慎也 Official Web Site
http://www.shinya-niiro.jp/top/
新納慎也オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/shinya-niiro/
新納慎也Twitter
https://twitter.com/ShinyaNIRO

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田代万里生さん(左)と新納慎也さん(右)=撮影・NORI
田代万里生さん(左)と新納慎也さん(右)=撮影・NORI

※ここから有料会員限定部分です。

■田代:栗山さんがペアによって言っていることが全然違う。だから、観るのが楽しみ

--最近は、おふたりとも大型作品に出演されている印象があるので、そういう意味では観る方も新鮮かもしれません。

田代:今回のように客席が近い作品は、呼吸一つでも全て伝わってしまいますしね!

--ちなみに、キャストが三組いるというのは、おふたりは意識したりするんですか?

田代:全く稽古で一緒にならないんです。だから、三組ともお互いの稽古を見合ったこともないです。前回、伊礼さんとやったときも、栗山さんがペアによって言っていることが全然違うんですよね。演出の大事にしている部分や、ちょっとしたテーマ、何を重きに置くなどが結構変わっていたり、それぞれだったりするので、「向こうのチームがこうやっていたから、僕らもこうしなきゃいけないのかな」というのがないんですよね。だから、劇場に行って、純粋に観るのが楽しみです。

新納:ほかのチームの歌声すら聞いたことがないので。

田代:お客さんの方が先に観るかもしれない。

新納:初演のときは、松下洸平とカッキー(柿澤勇人)が、僕たちの稽古を見ているということがありましたが、彼らの公演を観たのも、だいぶ後だったもんね。

田代:そうだよね。

田代万里生さん=撮影・NORI
田代万里生さん=撮影・NORI

■新納:『スリル・ミー』は初演から稽古も別。アイデアを盗む盗まれるとかもない

新納:『スリル・ミー』は初演から稽古も別でやりましたから。僕はあまりダブルの経験がないですが、他の作品のダブルキャスト、トリプルキャストの作品は一緒の稽古場で、「じゃあ交代」みたいな感じでやると、自分のアイデアを盗まれる瞬間とか、盗む瞬間とかが結構繊細らしいですが、そういう嫌な感じもないよね。

田代:うん。

新納:だから、あまり意識はしないですね。

--観る方が好きに見分けてくださいと。

新納:そうですね。

--今回三組にインタビューさせていただいているのですが、お話も全然違う方向に行くので、すごく面白いです。役や相手が変わったりするのは、観る方としてはすごく面白いですが、どう思われるのかなと。

新納:この作品に関しては、あまり考えないですね。10年前の話ですが、「カッキーの演じるほうが『彼』だと思います」と、僕に投げつけてくるのは、「黙れ」と思う(笑)。

田代:(爆笑)。

--「黙れ」って残していいんですか? でも、面白いですね。

新納:そういうのはナンセンスで、見比べるのは勝手だけれど、それを本人にぶつけるなって言いたい。

--田代さんは、いかがですか?

田代:「誰々と比べて、万里生君の、こうだよね」と言われた記憶があまりないんですよね。ほかのペアを見ていても、全然違う感じがするので、何で新納さんには言うんだろう。

新納:何か、言われたよ。覚えてる。まあ、そういうのは好みだからね。別にどのチームが好きか、嫌いかについて正解もないですしね。

新納慎也さん=撮影・NORI
新納慎也さん=撮影・NORI

■田代:皆さんが抱いてくださっている期待を大きく上回ったステージをお届けしたい

--すでにチケット争奪戦で、皆様ワクワクして待っていると思います。最後に、今の思いの丈をお伝えいただけたらと思います。

田代:満を持して新納さんと、さらに、ピアニストも初演の朴(勝哲)さんがいらっしゃいます。一昨日、新納さん、朴さんと、ほぼ全幕当たって、すごく感慨深かったんですよね。10年も経って、僕は5回目の『スリル・ミー』です。同じ作品を5回やるのは最多作品になるので、僕にとっても大切な作品ですし、5回やってもお客さんがとても楽しみにしてくださっているのが、いわゆる需要と供給じゃないですが、こんなに楽しみに待ってくれるんだと、本当に嬉しかったです。皆さんが抱いてくださっている初演キャストへの期待を大きく上回ったステージをお届けしたいなと、今頑張っています。

田代万里生さん=撮影・NORI
田代万里生さん=撮影・NORI

■新納:「満を持して」「伝説の」と言われてプレッシャーですが、新鮮な気持ちで

新納:僕も本当に、「満を持して」「伝説の」など、いろいろなことを言われてプレッシャーでしかないですが、初心に返って新鮮な感じです。作品の特性でもありますが、お客さんに見せている意識が全く持てないんです。本当に、ピアニストを入れて三人だけの世界を、たまたまお客さんが勝手に観ているという感覚なんですよ。だから、見せているという感覚がなくなってしまうくらいで、毎回新鮮にできます。僕が知らない内に10年経っていて、やはり作品が大好きでいてくれているお客さんも多いと思いますし、その点、評論もされるのかなと。「この作品は、こうである」と、それぞれの方たちが思いながら、「それで、初演キャストはどうなの?」と観に来てきてしまう場合もあると思いますが、一緒に新鮮な気持ちで、あまり評論せずに(笑)、一緒に楽しんでいただけたらと思います。

新納慎也さん=撮影・NORI
新納慎也さん=撮影・NORI

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“「他のペアとは稽古も別、あまり意識はしない」、田代万里生・新納慎也対談(下)” への 2 件のフィードバック

  1. のの より:

    あと1週間あまりで東京千秋楽だったスリルミーは24日、突然の千秋楽になってしまいました。そして、突然高崎公演も残念ながらこのペアはキャスト変更になってしまいました。それでもファンは諦めずにずっと二人の公演を観る日を楽しみにしています。
    お二人のインタビューを読みながら、心待ちにしたいと思います。
    東京公演とても良かったので、より多くの人に二人のスリルミーを観て頂きたいです。

  2. カスミ より:

    私ももう観られることはないだろうと思っていたこの2人のペア、9年ぶりの今のインタビューを大変興味深く読ませていただきました。お二人の実際の9〜10年があっての今の再演への思いや、お二人ならではの作品への思い入れをじっくり読み知ることができました。劇場で観る時間がさらに特別なものになりそうです。

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