作家も作曲家も女性。女脳と男脳は違う? 中川晃教&平野綾インタビュー(下)

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『マーダー・バラッド』に出演する中川晃教さんと平野綾さんの対談インタビュー後半をお届けします。(下)では新しい役へのチャレンジについてや、お互いの印象などについて伺いました。有料ページではインタビューの内容のほか、フォトギャラリー(写真15カット掲載)もご覧いただけます。(上)とはまた違った雰囲気の写真をお楽しみください。

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

<アイデアニュース有料会員限定部分の小見出し>

■中性的、可愛い感じで見られていました。でも、それは違うとどこかで思っていたんです

■今回は低音域もたくさんあって新鮮。近年、低い音が出るようになってきている

■喉を手術。仕組みはわかっているので、こうすれば出るぞなど、理解できて良かった

■計算しつくされたものが、何かの拍子に、ひとつの感情で突然変わってしまう気がしていて

■そうそう! アッキーさんも、さとしさんも泳がされていると思います

■男性のいないところで、女性同士で話す、あの感覚

■初めてちゃんと話したのは「東京暇人」でしたね

■一番最初は『SAMURAI7』です

■何か似てるよね

■フォトギャラリー

■プレゼント応募フォーム

<ミュージカル『マーダー・バラッド』>
【兵庫公演】2016年11月3日(木)~6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
http://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4282412351&sid=0000000001
【東京公演】2016年11月11日(金)~27日(日) 天王洲銀河劇場
http://hpot.jp/stage/murderballad

<関連サイト>
天王洲 銀河劇場 http://www.gingeki.jp/archives/2502
梅田芸術劇場 http://www.umegei.com/schedule/574/
中川晃教オフィシャルサイト http://www.akinori.info/
平野綾オフィシャルウェブサイト http://ayahirano.jp/

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中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

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中川晃教さんと平野綾さんに書いていただいたサイン色紙と写真1カットを、アイデアニュース有料会員(月額300円)3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員のかたは、ログインすると記事の末尾にプレゼント応募フォームが現れますので、そちらからご応募ください。また、有料会員のかたは記事下のコメント欄にメッセージを書き込むことができますので、ぜひ記入をお願いいたします。当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。応募締め切りは11月17日(木)です。(このプレゼント応募は終了しました)

※ここから有料会員限定部分です

■中性的、可愛い感じで見られていました。でも、それは違うとどこかで思っていたんです

――おふたりとも今までにない役だと思いますが、新しい役にチャレンジしていて、どんな感触ですか?

中川 例えば、ブロードウェイでトムを演じている方はガタイも良く、いかにもトムと思えるような感じですし、韓国版は同じアジア人ではありますが、イケメンでわかりやすく男っぽい感じです。さらに、イギリスはラミン(・カリムルー)さんが演じていますが、身長180cm以上、マッチョ、腕にタトゥー。やっぱりこういう人たちがトム役をやっているんだよなと頭でっかちになっていたんです。

自分が20代のときには、どうしても身長や体の線などできゃしゃに見られたりして、キャラクターとして繊細や中性的、可愛い感じで見られていました。でも、それは違うとどこかで思っていたんです。今30代になったことで、自分の感覚に当てはまるようになってきたと思った矢先にこの役と出会ったので、ビジュアルということだけではないんですが、感情をストレートに相手に伝えるときの伝え方が男っぽく、攻撃的な役をいただけたのはいいタイミングだと思っています。

■今回は低音域もたくさんあって新鮮。近年、低い音が出るようになってきている

さらに、ミュージカルですから音楽も大事です。中音域から高音域ぐらいの高いところで表現することは今までもありましたが、今回は低音域もたくさんあって新鮮です。人間の声は高い音が出れば出るほど、低い音も出るようになっていくんです。まさに、近年、高音を鍛えてきたことによって、低い音が出るようになってきている時期。いろんなものがハマってトムという役づくりにそのまま生かせるじゃないかと思っています。そう思ったときに、頭でっかちな感覚が消えて、今はわりとニュートラルにいられるようになりました。

今回、プロデューサーさんが、新しい今までに見たことのない役を僕にと、お話をくださいました。(橋本)さとしさんが演じる詩人のマイケル役か、トム役かと考えたときに、誰もがマイケル役を中川にと思うところを、あえて変えてみたという狙いも、稽古をやればやるほど実感が持てるようになってきています。キャスティングと自分のタイミングなど、いろんなものがハマっていて、トムという新たな中川を見せられたらと思っています。

――製作発表の歌を聞いた感じだと、中川さんのコンサートで歌を聞いている方はそんなに違和感を感じないと思ったんです。

中川 そうなんですよね! 僕の曲を聞いてくださっている方はそうだと思います。

――役として演じるのは新鮮だけれど、そこまでかけ離れた感覚はないんですね。

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

■喉を手術。仕組みはわかっているので、こうすれば出るぞなど、理解できて良かった

――平野さんはサラ役についていかがですか?

平野 今まで舞台では、わりと正統派の上品な役をいただくことが多かったので、今回すべてが真逆で、いかにそのイメージを崩していくかだと思っています。みなさんが持っているイメージと同様に、私も自分に対して自分の範囲を決めてしまっているところがあったので、それを取リ払いにニューヨークに行ったんです。

中川 おお!

――そういう目的もあったんですね。

平野 喉の手術をしたので、そのリハビリの意味も、語学学校に行く目的もあったんですが、そもそもの問題だなと思っていたんです。先日29歳になったのですが、20代最後の年にこの役が出来るってすごいことだなと。私もこのタイミングで、30代が楽しみになってくるような役をいただけて、すごくいい経験をさせていただいています。どのくらいずつ解放していくのか考えていますが、まだバランスを取るのが難しいです。

――手術をされて、新たに歌うのはいかがですか?

平野 久しぶりに地声で歌ってみて、もう一度鍛え直さなければと思っています。単純に、手術してなくなってしまったものが、歌っていてわかるんです。今までこの筋肉を使って出していたけれど、その部分がなくなってしまったので、今度は違う場所を使って出すしかないんだとか。声の仕事をしていたから自分で喉の仕組みはわかっているので、変わりに同じ音だったらこうすれば出るぞなど、理解できて良かったと思います。今、調整しながら鍛えています。

中川 話がプロだよね。さすがです。

平野 ありがとうございます。

■計算しつくされたものが、何かの拍子に、ひとつの感情で突然変わってしまう気がしていて

――本番でも日々いろいろと変化していきそうですね。

平野 毎日違うと思います。すごく楽しみなんですが、恐れも感じつつ……。

――その日の感情が影響しそうですか?

平野 すごく計算しつくされて、こういう風にと思い描いたものが、何かの拍子に、ひとつの感情で突然変わってしまう気がしていて。

中川 それもあるよね。相手がハマればハマるほど、見ていて楽なんですよ。この作品は、作家も作曲家も女性。ブロードウェイミュージカルでクリエイターがふたりとも女性というのは、結構珍しいんじゃないかと。もちろんあるとは思いますが、今まで経験してきた作品を振り返ると男性でしたから。クリエイターが女性というのも、もしかしたら理由にあるのかもしれないですが、稽古場で(平野)綾ちゃんとめぐさん(濱田めぐみ)は、演出の上村(聡史)さんから与えられた情報のなかで動いていて、僕たちが入って一緒にやりはじめたとたんに、パチンと何かがハマった瞬間に出てくるものが深いというか。こっちが燃えれば燃えるほど、理解してハマればハマるほど、どんどん鏡の奥の世界に、対極に行くような感覚になってくるんですよ。いい意味で見えているものの同じ愛、同じ憎しみ、同じ痛みでも、表現が全く違うというか、捉えているポイントが違う。嫌いと思っている質感も違うんじゃないかと。

平野 女脳と男脳の違いだと思うんですが、同じことについて、こうも男女だと見解が違うんだということが、この作品は本当に多くて。カップルで見にくるのは危険かもしれないなと。

中川 でも例えば、女性側が「私に対して興味ないでしょ」と不満を感じている時期に彼を連れてきたら、いい妙薬になるかもしれないかなとも思う。どう?

平野 あるかもしれないですね。

■そうそう! アッキーさんも、さとしさんも泳がされていると思います

中川 さらに、少しお年を召した方々が見たときにどんな風に思うんだろうと思ったりする。

平野 上村さんが私が歌う曲を説明したときに、林真理子さんの小説みたいな感じとおっしゃったんですよ。

中川 そのとき、ものすごく頷いてたよね。

平野 「ああ、なるほど!」と思いました。

中川 それはどんな感じなの? 知りたいと思ってたんだよね。

平野 日本独特の湿り気もある、女性が思い描いている秘め事みたいなことを仕掛けていくような感じ……と言えばいいんでしょうか。その駆け引きがちょっと泳がせてみようという感じなのかなと解釈しました。

中川 ということは、僕は完全に泳がされてるんだろうね。

平野 そうそう! アッキー(中川晃教)さんも、さとしさんも泳がされていると思います(笑)。

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

中川晃教さん&平野綾さん=撮影・岩村美佳

■男性のいないところで、女性同士で話す、あの感覚

中川 女性ふたりが「なるほど!」と言いながら納得すればするほど、その光景を見れば見るほど置いて行かれる感覚があるんですよ。

平野 だから、めぐさんと感覚がすごく会うんですよ!

――女性の観客はすごく納得するのかもしれないですね。

平野 そうだと思います! 私とめぐさんの役柄自体もリンクするところが後々出てくるんですが、それはすべての女性に当てはまることだよねと話しています。

――女性たちは抉られるかもしれませんね。

平野 抉られますね!

――言葉にはあまり出したくないようなところを抉られような?

平野 男性のいないところで、女性同士で話す、あの感覚があるじゃないですか? そういう感じです。

中川 どんな感覚ですか!?

――そこは男性にはわからないままにしておきましょうか(笑)。

平野 教えないです(笑)。

中川 えー! 知りたい……でも怖いな(笑)。

■初めてちゃんと話したのは「東京暇人」でしたね

――おふたりは舞台初共演ですが、以前TV番組「東京暇人」で共演されていますし、お互いのことをご存知だっただろうと思いますが、今回何か印象が変わったりしましたか?

中川 初めてちゃんと話したのは「東京暇人」でしたね。塚地(武雅)さんがいて、もう最高に面白いんですが、それを綾ちゃんがうまく進行しているナビゲーターの面を見て、すごく頭がいいんだなと思ったんです。話す独特な声が、声優の声だけじゃない、持って生まれた声のキャラクターも相まって、どんな方なんだろうと最後まで思っていました。でも、あまりこちらが詮索するようだと永遠に取っ付き合えないというか、リンク出来ないだろうと思っていたから、稽古のときに全く考えないで向き合おうと。そうしたら、結構真っすぐに、綾ちゃんの方が見てくる。

平野 (笑)。

中川 僕も基本的に人を見るので、逆に恥ずかしくて見れなくなるというか(笑)。自意識過剰だなと、自分で可笑しくなるぐらい面白い感覚になって、麻薬性がある独特のものを持っているなと。でも、すごく抜けているところもあって、そこがニューヨークから連れてきた風みたいなものも感じ、再会している平野綾という人間は、他には見たことのない無敵な感じがしますね。最初に会ったときから印象はかなり変わりましたね。トムとしてサラを愛し、サラという人間がいたことによって自分自身の人生が狂っていく、それがいいのか悪いのかは見る側に委ねられるんですが、少なくとも愛していると向き合う相手としては完璧です!

■一番最初は『SAMURAI7』です

平野 ありがとうごさいます。私は憧れから入ってしまっているので……。

中川 何を見てくれたの?

平野 一番最初は『SAMURAI7』です。

――意外な作品ですね!

中川 へぇ~!

平野 映像や歌ではその前から拝見していましたが、舞台はあの時が初めてで、ご挨拶もさせていただきました。

中川 そうだったね。

平野 その後も、何度か劇場でご挨拶はさせていただいていて。「東京暇人」の収録の後、『PIPPIN』を観に行ったときにもお会いしましたが、そのときには『マーダー・バラッド』が決まっていたんですよね。「楽しみだよね」と話しましたが、憧れの方過ぎて、この方と、しかも4人しかいないカンパニーで、そんな親密な関係の役を出来るのだろうかと思っていたんです。その感覚のまま稽古場に来たので、最初は距離感が本当にわからなくて。

中川 でも掴んだら早いんだよね? だから僕が先に行って良かったんだね。

平野 はい。自分からは行けないので……。

中川 いや、十分来てくれてるよ(笑)。

平野 ありがとうございます(笑)。

■何か似てるよね

中川 何か似てるよね。

平野 きっと深く知れば似てるところがすごくあるんだろうなと思います。(ちょっと体を離して)今はこのぐらいの距離で見ている感じです。

中川 お互いの印象がこの作品に向いていたという感じだね。

平野 そうだと思います!

中川 不思議なことに幼なじみ感もちょっとあって面白い。

平野 そうなんですよね。時間をおいて再会するところとか、色々とリンクしますよね。

■フォトギャラリー

■プレゼント応募フォーム

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中川晃教さんと平野綾さんに書いていただいたサイン色紙と写真1カットを、アイデアニュース有料会員(月額300円)3名さまに抽選でプレゼントします。この下のプレゼント応募フォームが現れますので、そちらからご応募ください。また、有料会員のかたは記事下のコメント欄にメッセージを書き込むことができますので、ぜひ記入をお願いいたします。当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。応募締め切りは11月17日(木)です。(このプレゼント応募は終了しました)

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“作家も作曲家も女性。女脳と男脳は違う? 中川晃教&平野綾インタビュー(下)” への 6 件のフィードバック

  1. たまご より:

    マーダー・バラッド拝見いたしました。
    沢山の写真のラブラブ振りに胸が痛くなり当初は観劇するのを躊躇っておりましたが一度拝見したら全身全霊をかけて役に向かうお二人の姿はそんな風に感じていた自分を打ち消し 4人の心情や細かい歌詞内容をもっと知りたいと今ではリピーター化しています。
    今更ですが1と2をじっくり読ませていただいています。
    難しい(かったであろう)記事をアップしてくださりありがとうございました。

  2. ひろ より:

    岩村さんのお写真に、ドッキドキしながら、インタビューを読ませていただきました。
    いつもありがとうございます。

    先日東京公演に行き、4人の歌声に、4人で奏でるロックサウンドに圧倒され、ズシズシと心に響き引き込まれました。

    その日の想い・感情で、日々変化する…進化するこれからの公演も楽しみです。

  3. 秋田りんご より:

    いつも読みごたえのあるインタビューとすてきな写真ありがとうございます。「マーダーバラッド」実はまだ見ていないんですが(笑)「少しお年を召した方」なので(笑)どんな感想をもつか楽しみにしているところです。二人のリラックスしたインタビューのやりとりに、ほっこりしたりにやにやしたり。来週綾ちゃんファンの友だちと一緒にようやく見ることができるのでどのへんが林真理子風なのか確認してきます。

  4. かのん より:

    いつも楽しい記事をありがとうございます。
    岩村さんと中川さんの信頼関係故の素敵で濃厚なインタビューになっているんだと思います。
    今回は平野綾ちゃんも加わり、男と女、変な意味でなくセクシャルでスリリングな記事になっていてドキドキわくわく読ませていただきました。
    セクシー炸裂のphotoの数々も、ちょっと尾てい骨に響いています。笑。

    マーダーバラッド、兵庫公演から毎週末追いかけていますが、セクシーさもワイルドさもラブラブぶりもどんどん進化しているようで、次の週末が楽しみです。

  5. Weeber より:

    マーダーバラッドを観る上でのヒントをたくさんいただいた気がします。
    泳がされている?中川さんと橋本さんを見るのが楽しみ。
    ざらっとした雰囲気の写真にも期待が高まります。
    いつもながら、気持ちの伝わるインタビュー記事楽しませていただきました。

  6. かず より:

    マーダーバラッド、どんな作品なのだろうと思っていたので、開幕前にこのようなインタビュー記事が読めて良かったです。
    平野さんが初めて観た中川さんの作品がSAMURI7で憧れを抱いていたという事、中川さんの平野さんへの印象なども興味深かったです。

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