ハッピーに宝塚星組マサラ・ミュージカル 『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演マサラ・ミュージカル 『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』が、2017年7月22日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで開幕しました。2017年1月の東京国際フォーラム公演からブラッシュアップしたこの作品。ボリウッド(インドのムンバイの旧称「ボンベイ」と「ハリウッド」を合わせてつくられたインド映画産業全般を指す言葉)テイスト満載のダンスはもちろん、時を超えての恋や、サスペンスもたっぷりある、ドラマティックでハッピーなミュージカルです。

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

今回の主演、オーム・プラカーシュ・マキージャー役とオーム・カプール役は、紅ゆずる(くれない・ゆずる)さん。脇役俳優と、スター俳優を見事に演じ分け、人気女優への切ない恋心を抱いた青年をひたすら明るく陽気に表現したかと思えば、敏腕プロデューサーの罪を暴くシーンではシリアスな迫力ある演技を見せ、紅さんの多彩な表情を楽しむことができました。

脇役俳優オームの憧れの女優、シャンティプリヤ(シャンティ)役と、30年後に現れるシャンティと瓜二つの今時の女の子、サンディ役は、綺咲愛里(きさき・あいり)さん。何をしてもかわいらしい綺咲さんですが、今回のインドの衣装もダンスも、そして歌もかわいらしく、美しく仕上がっていました。

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

敏腕映画プロデューサーのムケーシュ役は七海ひろき(ななみ・ひろき)さん。シャンティと結婚していますが、それを秘密にしています。ある時、シャンティから妊娠を知らされ、結婚の事実を公表したいと迫られますが、自分がようやく手に入れた映画界での地位を手放したくないと、シャンティをなきものにします。自分勝手で冷酷な役ですが、それでも七海さんはクールで魅惑的。シャンティが夢中になるのも納得の妖艶さでした。

2007年にインド国内で大ヒットし、その後世界各地で話題となったインド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』を原作としたこの舞台。ファラ・カーン監督は、このほどインドから来日して梅田芸術劇場での舞台をご覧になりました。振付の専門家でもある監督に「宝塚のダンスはどうでしたか?」と伺ったところ、監督は「この人たちをみんなボリウッドに連れていって、本物の映画で踊ってもらいたいぐらい、素晴らしかった」と答えられました。ファラ・カーン監督と、この舞台の脚本・演出の小柳奈穂子さん、紅さん、綺咲さんが参加した「囲み取材」の内容は、有料部分後半で詳しくご紹介します。

梅田芸術劇場公演では、公演のラストに新たな“アンコールフィナーレ”が加わり、観客も劇中のナンバーにのって一緒に楽しめる場面が登場します。出演者による振付のレクチャーもありますが、観劇される方は予習をしておくと余裕をもって楽しめるということで、公式サイトに出ている「振付レクチャー動画」を紹介します。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、公演レポートの全文と写真のほか、紅さん、綺咲さん、小柳さん、ファラ・カーンさんの「囲み取材」での発言の詳細を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■シリアスな場面も多い作品をグッと柔らかくした瀬稀ゆりとさんと十碧れいやさん

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■芸達者とはこの人のこと。全体を引っ張ったオームの母親役の美稀千種さん

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■自信満々のムケーシュを追い詰めるオーム、火花が散る紅さんと七海さんの対決

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■ファラ・カーン監督「次の映画は日本でと、今、考えています(笑)」

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』囲み取材より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』囲み取材より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

<マサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』>
【大阪公演】2017年7月22日(土)~ 8月7日(月)梅田芸術劇場メインホール
http://www.umegei.com/om-shanti-om/

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■シリアスな場面も多い作品をグッと柔らかくした瀬稀ゆりとさんと十碧れいやさん

シリアスな場面も多いこの作品の中で、それぞれの場面をグッと柔らかくしていたのは、映画監督であるスバーシュ・ガイ役の瀬稀ゆりと(せき・ゆりと)さんと、その息子で俳優のリシ・ガイ役の十碧れいや(とあ・れいや)さん。十碧さんは、1幕では恵まれた環境で俳優をしている青年を声高くコミカルに、2幕ではヒゲをたくわえて30年後の映画監督を演じ、最後のダンスシーンでは175センチの高身長で踊る姿に目が釘付けになりました。

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■芸達者とはこの人のこと。全体を引っ張ったオームの母親役の美稀千種さん

そして、芸達者な美稀千種(みき・ちぐさ)さん。脇役俳優オーム・プラカーシュ・マキージャー(紅さん)の母親のべラ・マキージャー役ですが、ただの母親ではありません。舞台全体を引っ張っていく魅力と余裕にあふれた歌、お芝居、ダンスで、大きく深い愛を持った母親を熱演し、オームの親友のパップー役の麻央侑希(まお・ゆうき)さんとともに、庶民の立場から舞台に広がりを持たせていました。

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■自信満々のムケーシュを追い詰めるオーム、火花が散る紅さんと七海さんの対決

30年後のムケーシュは、少し髪に白いものが混じり、メガネをかけて、ひげをたくわえていますが、七海さんはやっぱりクールで魅惑的。自分が脇役俳優オーム・プラカーシュ・マキージャーの生まれ変わりであることに気づいたスター俳優のオーム・カプール(紅さん2役)は、殺されたシャンティとそっくりな女の子サンディ(綺咲さん2役)に、シャンティが蘇ったかのような演技をさせて、ムケーシュの罪を暴こうと画策します。前世の記憶を持つオーム・カプール役の紅さんが、クールで自信満々のムケーシュ役の七海さんを追い詰めてゆくシーンのやり取りは、火花が散るようで、迫力満点でした。

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■ファラ・カーン監督「次の映画は日本でと、今、考えています(笑)」

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』囲み取材より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

宝塚歌劇星組公演『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』囲み取材より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

2017年7月21日に梅田芸術劇場で行われた、紅ゆずるさん、綺咲愛里さん、脚本・演出の小柳奈穂子さん、原作映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』監督のファラ・カーンさんの4人の「囲み取材」の詳細をご紹介します。(ファラ・カーンさんの発言は通訳の方の日本語で紹介します)

――公演に向けての意気込みをお願いします。

紅さん:初演の時は、がむしゃらにインドを求めてやっておりましたが、再演と言うこともありまして、出演者もガラリと変わっております。また新たなオーム・シャンティ・オームをお届けできますように、出演者一丸となりまして頑張ってまいります。宜しくお願い致します。

綺咲さん:本日はありがとうございます。再演ということで、もう一度このような素敵な作品に出演できることを、光栄に感じております。公演期間も短いので1回1回を大切にして、明日からの公演をつとめていきたいと思います。

――小柳先生から宝塚版ならではの見どころをお願いします。

小柳さん:原作がとてもゴージャスな作品なので、宝塚としては負けないように、ゴージャスさに迫れるように作りました。お芝居でお客様との距離が近いので、一緒に楽しむというインド映画の楽しさを伝えられるような場面をいっぱい入れました。お客様も一緒に楽しんで盛り上げていただいて、マサラパラダイスを作りあげられたらと思います。

――インドからお越しいただきました、本作品の原作映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』監督、ファラ・カーンさまより、舞台版をご覧になった感想をお願いします。

ファラ・カーンさん:本日は足をお運びいただきありがとうございます。私は何も言葉がありません。とってもすばらしくて、すばらしくて。タレントに男女はなく、タレントはタレントですということが証明されました。私も見てびっくりしています。日本の皆さまに大いに盛り上がっていただいた様子を観て、私も涙を流してしまいました。本当にありがとうございます。私は日本を愛しています。私の映画を日本の地でこのような形で舞台化いただけたのは、死ぬまで忘れません。ありがとうございます。

――紅さんにお尋ねします。今回再演ということでアンコールが加わっていますが、こちらにかける思いをお聞かせください。

紅さん:スカイステージなどでは、皆さんにお伝えしているのですが、お客様が演者を観にくるという感覚よりは、お客様と一緒になって「この空間をインドの世界にしたい」という思いがとてもあります。アンコールは客席の皆さんが一緒になってやってくださらないと場面が成り立たないというくらい、お客様の割合が相当あるんです。やるべきことが…(笑)。「ひと汗流してやるか」ぐらいの感じのアンコールになっておりますので、「観ようかな」という感じではなく、「よし、ちょっと立ってやるか」ぐらいの意気込みで来ていただけたらいいな、と思っております。お客様も一緒に楽しんでいただけたら…ではなくて、楽しんでください…という感じでございます。

――監督に伺います。宝塚のダンスを観て、どう思われましたか?

ファラ・カーンさん:コレオグラフィー(振付)はとても素晴らしくて、この人たちをみんなボリウッドに連れていって、本物の映画で踊ってもらいたいぐらい、素晴らしかった。

――次の映画の出演者に、いかがですか?

ファラ・カーンさん:日本で(笑)、次の映画は日本でと、今、考えています(笑)。

――星組、特に紅さんと綺咲さんのコンビがインド映画とマッチしていると思いましたが、今後もインド作品で何かやってみたいことはありますか?

紅:ここ2人(紅さんと綺咲さん)は関西出身。関西は、1番インターナショナルだと思っています(笑)。インドって「オーム・シャンティ・オーム」の冒頭に監督が出られるぐらい、熱いじゃないですか。タオルを振り回して(笑)。そうした発散型、お客様に一緒に楽しんでいただけるものを、客観的にみるというのではなく、お客様も一緒になって、汗水たらして一緒に観ていただきたい。そういうものを目指して、今後も演じていきたいなと思います。

――ありがとうございました。

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