「あの頃は、手綱を全力で握る自信がなかった」、平方元基インタビュー(下)

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さんのインタビュー後半です。前回の『マイ・フェア・レディ』でやり残していたものについて伺いました。一番最近の舞台、『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜についても伺いました。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

――おひとりのインタビューは10ヶ月ぶりくらいになります。ちょうど前回のインタビューが終わってからの作品は、『レディ・ベス』、『平方元基 Music is Dandy』、『平方元基 プレミアム・コンサート 2017 ~Wonderful Memories~』、『TENTH』、『舞妓はレディ』、『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜です。

結構やりましたね。

――ちょうど前回にお話を伺ったときに、2012年から13年あたりに、自分でできなかった、やりきれなかったものが結構あったとおっしゃっていました。

ちょうど前回の『マイ・フェア・レディ』の時期じゃないですか。

――当時やり残したことが、今回はご自分のなかですっきりしたものがあるのかなと。

随分あるんだと思います。やっぱり役者だからといって何でもできるわけじゃないんですよね。もちろん仕事なんですが、たとえば「プレゼンしてください」と、会社で大人数の前でやるのと同じで、この役として「この世界観をプレゼンしてください」といわれているようなことだと思うんです。「こうしなければいけない」とか、「こうなっていなければいけない」とか、お客さんの大多数が感じている正解に近寄っていた方が攻撃されないんじゃないかと思っていました。攻撃というと言葉が乱暴ですが、やっぱり観に来て頂いて、「私が思ったのはこうなのに」とがっかりされたりする。それをおもしろかったと言ってくださる人もたくさんいるんですが、そういう違和感を感じたという意見に対して、その当時はものすごくネガティブに捉えていたんです。自分がやったこと全てがだめなんだ、僕がだめなんだと思っていましたが、そうじゃなくて今は、その人たちが思ったことと、自分が作ってきたことの差異はなんだろうと考えるようになりました。

その差異を演出家さんに聞いて、「でも俺たちと作ってきたものを信じてみようよ。そういうこともあるね」と。大抵は演出家さんと話して作ったプランのなかでやっていくんですが、多分あの頃はその手綱を全力で握る自信がなかったんだと思います。お客様や、舞台に立つことが、怖かったんです。以前自分が変わるきっかけになった(鈴木)裕美さんとの舞台についてお話させて頂きましたが、あの頃までは結構怖かったんだと思います。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、前回の『マイ・フェア・レディ』の頃と現在と、自分自身がどのように変わったかや、『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜上演時に、中川晃教さんも平方さんもお互いにぐしゃってなったときが一瞬あったけれども、それをどのように乗り越えていったかなどについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■役を全うするため「やりたいと思っているからやっています!」と思えるようになった

■行ける時間は稽古場に行って、どう作れば、バトンを渡せるんだろうと考えます

■『銀河鉄道999』は、「アッキーに、鉄郎に届け」と思って、毎日歌いこんで

■『マイ・フェア・レディ』、アクセサリーを買いに来る気分で観に来てくだされば

<ミュージカル『マイ・フェア・レディ』>
【東京公演】2018年9月16日(日)~9月30日(日) 東急シアターオーブ
【福岡公演】2018年10月6日(土)~10月7日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【広島公演】2018年10月10日(水)~10月11日(木) 上野学園ホール
【大阪公演】2018年10月19日(金)~10月21日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【愛知公演】2018年10月24日(水)~10月25日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大分公演】2018年10月31日(水)~11月1日(木) iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ

<公式サイト>
http://www.tohostage.com/myfairlady/

<関連リンク>
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』
http://www.tohostage.com/myfairlady/
平方元基 オフィシャルサイト
http://www.horipro.co.jp/hirakatagenki/
平方元基 Twitter
https://twitter.com/hirakatagenki

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平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■役を全うするため「やりたいと思っているからやっています!」と思えるようになった

昨年の『レディ・ベス』で小池(修一郎)さんとご一緒して、「君が腹を据えてこの仕事をするということを、僕は感じたよ。そういう風に君が思っているのか分からないけれど、僕はそう思うよ」と言ってくださったときに、ハッとしました。観て頂くお客様に対してや、自分がやることの責任などへの考え方が、ずっと作品をやらせて頂いてきて、常に考える時間があったからこそ、少しずつ変わっていけたのかなと思いますし、そういう風にあり続けたいなと思いました。

いろいろな人の自分のお芝居に対しての意見を聞いたときに、精査するということをしないといけないですね。せっかく頂いた役を丁寧に全うするために、「自分がやりたいと思っているからやっています!」と、自信をもって思えるようになりました。それが前回の『マイ・フェア・レディ』の頃には足りなかったことなのかなと思います。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■行ける時間は稽古場に行って、どう作れば、バトンを渡せるんだろうと考えます

――そうすると、今回G2さんとするお話も違ったりしますか?

G2さんはすごく優しいですし、苦手だなと思うこともないんですよね。例えば細かいことを言われても、自分の中で受け入れようとするキャパが広くなったのか、何にせよ受け取ろうとすることを覚えました。もし、その場で分からなかったら、「分からない」と言いますね。

でも、それが言えることでスムーズになりますし、万一そのまま抱えていて、本番直前の通しに分かっていないという状況だったらもったいないじゃないですか。だから、出来るだけ自分が行ける時間は稽古場に行って、どんな風に流れていて、どんな風に自分が作っていけば、後のシーンにバトンを渡せるんだろうと考えます。自分の力で出来ることではないかもしれないですが、やりたいと思うから、すごくがめつく見るようになったかもしれないですね。

――そういう稽古を経て、前回との違いがおもしろそうですね。観たお客さんも明らかに違うと思うかもしれないですね。

2013年の『マイ・フェア・レディ』を終えて、もうやらないと思っていたので、ほとんど覚えてなかったんです。歌はもちろんコンサートなどで歌わせてもらっていましたから、覚えていましたが、その前後の芝居はあまり覚えていませんでした。キャストが変わっているので、そこで生まれてくるものも変わってきたり、そういう新しい化学反応的なことは起きています。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■『銀河鉄道999』は、「アッキーに、鉄郎に届け」と思って、毎日歌いこんで

――『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜では、誰もが知る、キャプテンハーロック役でしたが、演じ終えていかがでしたか? 特にソロナンバーが素晴らしかったです。あの場面で1曲歌いあげて、伝えるというのが。

意地でしたね。やはりハーロックを演じるために大変なことはたくさんありました。稽古のなかではまだしっくり来ていないところもありましたが、舞台上でやったら、ものすごく通ったものがあって、それがあの歌だったんですよ。「行け、鉄郎」と。正直ものすごく難しかったです。よく歌っているねとおっしゃってくださるのはありがたかったですが、難しいということよりも、舞台上から袖にはけていくアッキーの背中を見て、「アッキーに、鉄郎に届け」と思って、毎日毎日歌いこんでいく中で、そう思う気持ちが大きくなっていったところもあるんです。その気持ちとリンクして先輩でも後輩でも見守ってみるとか、自分に出来ることに立ち返るとか、そういうものを勉強させてもらった現場だったなと思います。つらい、きついというのは、みんな一緒ですからね。その中で、あの歌は意地でした。

――なるほど。それを意地で、あの作品の中で成立させたということですね。

作品のなかの立ち位置も含めて やっぱり難しかったですよね。でも、あの作品を経てこの稽古場に入ったので、すごく切り替えが出来ました!(笑)。世界観が違えば、環境も違うので、全然空気が違いますし、いい切り替えが出来たと思います。

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

■『マイ・フェア・レディ』、アクセサリーを買いに来る気分で観に来てくだされば

――その世界観が違う『マイ・フェア・レディ』をお客さんも楽しみにしていらっしゃると思いますのでメッセージをお願いします。

僕なんか知らなくても絶対おもしろいと思います。音を聴くだけで、お金持ちになった気分がするというか、品があるというか、全編を通して高級なものを感じて頂けるんじゃないかと思います。いいものを観れたなと思える作品だと思うので、ちょっと高めなアクセサリーを買いに来る気分で観に来てくだされば、もっと幸せな気分で帰って頂けると思います。秋の気配を感じておしゃれして来て頂いて、自分がイライザになったら楽しいだろうなと思って観て頂ければと。

そして是非、男性にも観てほしいですね。この時代だから男尊女卑の風潮が色濃く残っていますし、そんな中、「男らしさとは」といまだに受け継がれているものがあるじゃないですか。それを気持ちよく、ヒギンズが表現していたりするので、当時はそうだったかもしれないし、今の時代はそうじゃないかもしれないし。そういうところが男性が観てもすごくおもしろいと思います。女性に尻に敷かれている男性も観た方がいいと思いますね(笑)。

――分かりました。楽しみにしています!

平方元基さん=撮影・岩村美佳

平方元基さん=撮影・岩村美佳

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“「あの頃は、手綱を全力で握る自信がなかった」、平方元基インタビュー(下)” への 5 件のフィードバック

  1. みんぺ より:

    平方さんのフレディの見所がつまっていて、より楽しみになりました。これからの平方さんがどんな役に出会うのかもより一層楽しみです。岩村さんいつも素敵なインタビューをありがとうございます。ききたいなと思うことが書いてあるので読み応えがあります。

  2. ゆずり葉 より:

    フレディ役、前回よりも素敵なフレディになっていると思います。
    インタビューに登場する度に、その役についてしっかりとしたものを感じさせてくださる平方さんが大好きです。
    応援していきます。

  3. まやます より:

    いつも丁寧にお話ししてくださる平方さん。今回のマイフェアレディ に向けてのインタビュー記事ありがとうございます。演目への熱い想いがうかがわれます。
    オードリーヘップバーンの映画で知ってはいますが日本ミュージカルとして見るのは初めてになります。
    映画では主役の2人に目がいったままでしたのでフレディの細かな演技にぜひ注目したいと思います。
    開幕がとても楽しみです。

  4. ヨシベエ より:

    平方さんの役に対する真摯な取り組みと、それによる役者としての成長が感じられるとても良いインタビュー記事でした。
    特に、直近の役であるキャプテン・ハーロックとの出会いと、それとどう向き合うかの自分や周りとの葛藤が彼自身を大きく進化させていったようにも思われ、彼のキャプテン・ハーロックに感銘を受けた人間としてはものすごく納得いきました。
    その経験や彼自身の「進化」が、絶対にこの『マイ・フェア・レディ』にも反映されると思います。
    ますますこの作品な対する期待が高まりました。
    (とっても魅力的なお写真とも合わせて!^^ )素敵なインタビューをありがとうございました!

  5. クリーム より:

    レディ・ベスしか観に行けてません
    マイフェアレディ楽しみにしています
    なかなかご縁がなくマイフェアレディ初観劇になります

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