「その場に合った華やかさを出せる人に憧れます」、木内健人インタビュー(下)

木内健人さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『SMOKE』に出演する木内健人さんのインタビュー後半をお届けします。木内さんの子供の頃から、今に到るまでのお話を伺いました。チャーリー・チャップリンやフレッド・アステアが好きだった子供の頃、カナダ留学していた高校時代、演劇を目指したきっかけや、今後目指す役者像など、いろいろと伺いました。

木内健人さん=撮影・岩村美佳

木内健人さん=撮影・岩村美佳

――木内さんはどんな子供でしたか?

とても陽気な子供だったと思うのですが、母に聞くと、すごく泣き虫だったらしいです。保育園に行く時もめちゃくちゃ泣いているのに、行ったらずっと踊っていたらしくて。

――ずっと踊っていた!?

僕、小さい頃からチャップリンが好きで、その後アステアにハマったり。

――チャップリンとアステアにハマる子供なんて面白い! 何を見てハマったんですか?

多分BS放送か何かで見たんでしょうね。特にチャップリンは、TSUTAYAで借りまくっていました。

――そういうのが好きな友達はなかなか周りにいなかったでしょう?

いなかったでしょうね。チャップリンがやるようなことを、僕はずっと保育園で先生に対してやっていたんです。おやつの時間に出た牛乳の箱とかをずっと体で回したりして、それをなぜか先生に見せる(笑)。

――へぇ~(笑)。

かなり陽気な子どもでしたね。

――その頃は何かお稽古事とかはしていたんですか?

9歳ぐらいからダンスなどをやり始めたんですが。

――それは自分からやりたいと言ったんですか?

いえ、姉がやり始めたんです。母が元々ミュージカルや演劇的な事は好きだったんですが、姉がやりたいと言ったものだから「僕もやる!」と。気がついたら、姉はやめていて僕は続けているという感じですね。

――中学・高校は普通の学校ですか?

中学校までは普通の学校で、バスケットボールをやっていました。高校からは母の影響もあって、カナダに留学しました。

――だから英語ができるんですね。

一応、そうなんですよ。

――3年間?

正確には2年半ぐらいです。

――カナダを選んだのはなぜですか?

本当はスイスに行きたかったんです。スイス留学をされた方が知り合いにいて。でも、スイスは募集が終わっていて、行きたいといった時には行けなくて。アメリカの西海岸はものすごくたくさん日本人がいるという話だったので、それだと行く意味がない。逆に東海岸は、当時は9・11(アメリカ同時多発テロ事件)の数年後でしたが、ビザがまったく下りず、イギリスもダブルデッカーバスのテロが起きた後でダメでした。当時母が英語の先生で、塾の経営をしていたところに、カナダの先生が結構来ていて、カナダの方はものすごく優しいという話を聞いて、じゃあカナダのバンクーバーに行こうと現地の高校に入りました。

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■バンクーバーでの2年半、今までの人生で一番勉強したのはその時

今できることを目一杯自分に課してみようと思って、この道に

■「“ザ・ミュージカル”をやりたい」から、今は「ストレート・プレイがやりたい」

■ぜひ1回といわず、配役を変えて、観に来ていただけたら嬉しい



<ミュージカル『SMOKE』>
【東京公演】7月25日(木)~8月18日(日) 浅草九劇

公式サイト
http://musical-smoke.com/
<関連リンク>
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木内健人さん=撮影・岩村美佳

木内健人さん=撮影・岩村美佳

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■バンクーバーでの2年半、今までの人生で一番勉強したのはその時

――日本人は全然いないんですか?

全然ではないですが、2〜3人ぐらいですかね。

――バンクーバーでの2年半、向こうでの生活はいかがでしたか?

今までの人生で一番勉強したのはその時です。

――現地で高校の勉強もしなければいけないですもんね。

例えば「歴史」といっても、日本の歴史は知っていてもカナダの歴史は知らないじゃないですか。現地の人は小学校からやっているものを、全部覚えなきゃいけないんですよ。もう「意味わかんない」って(笑)。とりあえずテストに出るところだけは全部覚えて。あとは、ありがたいことに数学が割と得意だったのが良かったです。向こうの数学はちょっと簡単なので、英語ができなくても、数学ができると何とかなりました。向こうの高校は大学と同じ単位制で、単位を取らないと卒業ができないんですよ。だから、とりあえず数学で単位を稼ぎました。選択の理科も、初めはバイオロジー(生物)をとったんですがめちゃめちゃ難しくて。辞書で調べても全く出てこない単語ばかりだったのですぐやめて、フィジックス(物理)をとって。

――数字は世界共通ですもんね。

そうなんですよ。わからなかったら日本にいる姉に聞いて、教わって。

――先に学んでいるから、学ぶことは同じだから、聞けばわかる。

はい。そうやって頑張って乗り切って。でも英語の授業は、向こうでは国語じゃないですか……キツかったです(笑)。

――キツかった(笑)。言葉が一番難しいでしょうね。

シェイクスピアなどをやるので、もうぽっか~んです。僕、1回、100点満点中15点をとって、もう落ち込んで(苦笑)。

――でも、他の人にはなかなかできない経験ですよね。

そうですね。かなり大変でした。

――人生で一番大変なのをそこで味わった?

勉強という意味ではそうですね。

木内健人さん=撮影・岩村美佳

木内健人さん=撮影・岩村美佳

今できることを目一杯自分に課してみようと思って、この道に

――そこから日本に帰ってくるというのは、元々帰るつもりだったんですか。向こうで大学に行きたいとかはなかったですか?

大学に行こうとちょっとは思ったかもしれませんが、あまりにも勉強がキツかったので。

――日本に帰ってきて、今の道へ行きたいとなったのは、どういう経緯があったんですか?

いろいろな要因はありますが、元々は建築家になりたかったんです。A.O.入試、帰国子女枠などでそういう学校に入ろうかとは思って、手続きもしていましたが、小さい頃からやってきたことと、建築家の職業を考えた時に、演劇は目指せる時間が限られているなと。今できることを目一杯自分に課してみようと思って、この道に入りました。

――ちなみに高校の頃は、演劇をやりたいなとは思っていたんですか?

ダンス部みたいなものがあって、ちょっと入ってはいたんです。バスケなど、いろいろやっていましたが、演劇に携わろうとそんなに深く思ったかというと……。でも、向こうの演劇部はミュージカルをやるんです。今思うと、演劇部、ちょっと入りたかったのかもしれないですね。

――でも、入ろうという行動は起こさなかった。

思春期だったので、正直、あんまり入ろうという感じではありませんでしたね。恥ずかしかったのかなぁ、わかりませんが。でも、黒人のちょっとぽっちゃりした男の子で、めちゃめちゃ歌が上手い子がいたのをすごく覚えています。そういうのも、自分のなかではもしかしたらあったのかもしれません。

――あんなの無理、みたいな?

あんな風に自分を表現できたら楽しいだろうなと。

――でもその時は、それをやろうという風にはならないなと。

なりませんでしたね。

木内健人さん=撮影・岩村美佳

木内健人さん=撮影・岩村美佳

■「“ザ・ミュージカル”をやりたい」から、今は「ストレート・プレイがやりたい」

――演劇に進みたいと思って、具体的にはどんな行動を起こされたんですか?

僕が徳島でお世話になっていた先生がいて、その先生が「東宝ミュージカル・アカデミー」という養成所を見つけてくださいました。その時には演劇をやってみたいとは思っていましたが、歌よりはどちらかというとダンスで。でも、演劇とダンスとミュージカルという手があるんじゃないかと。それで受けてみたら、男子はやはり少ないので、ありがたいことに受かって、そこからどんどんミュージカルが好きになっていったのは事実です。

――そこでもしダンススクールだったらまた違ったということですもんね。

そうですね。自分では多分ミュージカルには行きつかなかったと思います。東宝ミュージカル・アカデミーに行かなかったら、今の事務所にも入っていませんし、『SMOKE』にも出演してなかったと思うので、東宝ミュージカル・アカデミーに入れたことは、もしかしたらすごくラッキーだったのかなと思います。

――卒業して、そこから今何年経ちましたか?

2009年に卒業したので、ちょうど10年ですね。

――最初に出演したお仕事としての舞台は何ですか?

『MY ONE AND ONLY』という、V6の坂本(昌行)さん主演の、川平慈英さんや鈴木壮麻さんが出演していたミュージカルが初めてで、その後が『ミス・サイゴン』です。

――当時、例えば10年後までにこうなりたいとか、明確な像は描いていましたか?

もちろんありました。ただ正直、「こういう役をやりたい」というのはなかなか難しいことではありますし、自分の年齢と共に、やはり難しいんだろうなとか。自分より年下の人たちがやっているのを見て、ああこれは多分だめなんだろうなとか、いろいろなことを思ったことはありました。でも面白いもので、自分がなりたい像というのがすごく変わってきて。

――スタートした時になりたいと思ったものと、今と?

そうです。なりたいと思うものはだいぶ変わりました。語弊がありそうで言いにくいんですが、どう変わったかをざっくり言うと、「“ザ・ミュージカル”をやりたい」と思っていたところから、今は「ストレートプレイがやりたい」という感じです。

――芝居をやりたいということですね。

木内健人さん=撮影・岩村美佳

木内健人さん=撮影・岩村美佳

■ぜひ1回といわず、配役を変えて、観に来ていただけたら嬉しい

具体名を出してしまうと、成河さんや松下洸平さん。あとは、事務所の先輩ですが吉野圭吾さん。グランドミュージカルもやりながら、例えば『宝塚BOYS』など、どんな現場に行っても対応し、自分の味を出し、その場に合った華やかさを出せる。あと『宝塚BOYS』の、山西(惇)さんなんてすごい。でも多分、18歳、19歳の僕はそこに憧れられなかったんですよ。

――その年で山西さんに憧れていたら、逆にすごいですよね(笑)。

渋すぎ!って(笑)。でもこの世界でどんどんいろいろな方と接するようになって、自分に足りないものを痛感するにつれて、ただ懸命に役や作品と向き合って、地に足を着いてバシッと立っている俳優さんを心の底から尊敬するようになって。単に「あ~かっこいい~」とかではなくなっている自分を感じますね。

――良いですよね。地に足が着く、こういうものがやりたいと思うって。

自分が地に足が着いていないからそう思うのかもしれませんが(笑)。でも、それはすごく感じます。

――この後目指すものは、やはり地に足の着いた役者ですか?

地に足の着いた、というと難しいかもしれないですが。何よりも作品のことを考え、周りの役と自分の役というのをちゃんと考えて、作品に向き合っていける俳優になりたいと思います。

――最後に『SMOKE』を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。

いろいろな組み合わせがありますし、今このご時世、この世界だからこそ、李箱という方の詩や生き様が、僕たちや現代の人たちにものすごく響くのではないかと思います。ぜひ1回といわず、配役を変えて、観に来ていただけたら嬉しいです。

木内健人さん=撮影・岩村美佳

木内健人さん=撮影・岩村美佳

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“「その場に合った華やかさを出せる人に憧れます」、木内健人インタビュー(下)” への 8 件のフィードバック

  1. うちゃこチャチャ より:

    SMOKEの舞台が終わり、新たにこの記事の上下を読み返しています。木内さんの舞台に対する姿勢がそのまま舞台に真摯にあらわれていました。すごい俳優さんにこの先なるんだろうなとすごく感じました。何度も読みかえしたくなる記事にお写真をありがとうございました。

  2. ミチルカ より:

    木内さん初めまして。先日SMOKEの公演を観劇させていただきました。木内さんが出演なさっている作品をこれ以外にも拝見したことがありますが、今回の作品が一番木内さんの魅力が存分に発揮されたように感じました。歌の素晴らしさ、ただ上手い訳ではない歌声が確実に心に響きました。細かい表情から読み取れる心情、動き、お芝居も素晴らしかったです。そして紅とのデュエットダンスですがうっとりするほど素敵でした。私は木内さん以外にここまで心のこもったデュエットダンスを見たことがありません。本当に今後の作品が楽しみですので、これからも素敵な役者さんでいて私たちを魅了してください。これからも応援しています。

  3. にゃごこ より:

    SMOKEを観て益々好きになった木内さんの、留学時代のことや、これから目指す俳優像を知ることができて、とても良かったです。SMOKEへのアプローチも興味深く読みました。知りたいことを深く取材して頂いていて、とても読み応えがありました。

  4. みどりのくま より:

    読みごたえのあるインタビューと素敵なお写真、ありがとうございました!『SMOKE』と木内さんのことがますます好きになりましたー!

  5. mion より:

    SMOKEで木内さんの海を拝見してからこちらのインタビューを読み、稽古の時のお話や留学時代などのバックグラウンドを知ることができて興味深かったです。SMOKEにもすっかりハマって、いろんな組み合わせで見る楽しみを知りました。
    楽しいインタビューをありがとうごがいます!また次回作のときにもインタビューを読めたらうれしいです。

  6. みかん1234 より:

    後半の記事も興味深く読ませて頂きました。
    留学時代のお話とか、聞いてみたかった事だったので楽しく読ませて頂きました。
    いろんな木内さんを知れて良かったです。
    今回のお写真もとっても素敵でした。
    有難うございます。

  7. おさるのジョージ より:

    カナダ留学時代のお話がとても興味深かったです。大変貴重な経験をされたんだなあと感心しました。これからもずっと応援しています。

  8. サリー より:

    後半の記事も興味深くじっくり、読ませていただきました!幼少の頃からのお話では、今の木内さんのお姿にすごく納得してしまいました。そして、これからの木内さんの姿も想像できてしまうくらい…読んでいてすごく楽しかったです。これから始まるSMOKEはもちろんですが、木内さんのご活躍がたのしみです。

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