小学生たちに助けられた子猫・夢之助くんの物語。カメラマン仲間が飼ってくれることになったのだが、彼女の仕事の都合で1カ月半ほど我が家で生活することになった。保護してから1週間の隔離期間が過ぎ、我が家の猫たちと対面。元気いっぱいの夢之助くんが加わって、賑やかな猫生活がはじまった。
とにかくやんちゃで、先輩猫たちにも全く物怖じしない夢之助くん。ゲージ越しの対面で、自分より大きな猫たちがやってきても、全く動じない。むしろ興味新々だ。ゲージの扉を開けても警戒心を持たずに、みんながいる部屋へまっしぐら。みんなが「なんだ? なんだ?」と距離を測っているのに、お構いなしでお部屋探検をしていた。なんだか見覚えのある光景だなと思ったら、ゆず吉とびわ吉がやってきたとき、ゆず吉が同じ行動をしていた。警戒心がなくて、好奇心旺盛なのだ。そんなゆず吉も、はじめて自分より小さい子猫に出会い、どうしようかといった感じだった。
大きいとはいっても、ゆず吉とびわ吉はまだ生後9カ月ほど。夢之助くんとは子猫どおし、すぐに仲良くなり、追いかけっこや取っ組み合いをして、一緒に遊ぶようになった。夢之助くんは2匹のお兄ちゃんができて楽しそうだった。3匹とも元気が良すぎて、手に負えない程だった。
割をくったのは、ぽんずだ。ゆず吉とびわ吉がやってきて、初めて一緒に遊ぶ友達ができて喜んでいたのに、夢之助くんに取られてしまった。4匹で遊べばいいと思うのだが、それは嫌なようで、肩を落としている様子がなんとも可愛い。キラキラと楽しそうだった顔が、しょんぼりと悲しそうな顔になっしまった。猫も顔に表情が出るところが愛おしい。
夢之助くんとすももが並ぶと、親子のように見える。ところが、猫嫌いのすももにとっては、嫌いな猫がさらに増え、ますますご機嫌ななめ。みんなが来ないところを探しては、ひとりで過ごす時間が増えた。一番変化がなかったのは政宗で、「我、関せず」といったマイペースぶりだった。
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■夢之助くんのやんちゃなエピソードの数々をご紹介
夢之助くんは我が家に今までやってきた猫たちのなかでも、とにかくパワフルでやんちゃな子だった。ゆず吉とびわ吉がいたこともあって、持ち前のパワーがさらに増幅していたかもしれない。何といっても、一番のやんちゃな出来事は、頭突きで襖をはずしてしまったことだ。猫たちが主に生活している部屋の隣がキッチン&リビングなのだが、とにかくみんなキッチン&リビングに出たがる。危険なものもあり、全員を野放しにはなかなかできないから、状況によってリビングには入れないようにしてあるのだが、どうしても出たいと力技で襖を外してしまった。今まで、手をつかって襖を開ける子は何匹もいたが、力技で開けた子は初めてで驚いた。
びわ吉は猫たちのなかでも動体視力が素晴らしい。私たちの限界の高速スピードでおもちゃを振って遊んでいてもついて来られる(ちなみにゆず吉はついて来れないスピード)。すごいなぁと思ってたら、その上をいくのが夢之助くんだ。だからどんな遊びもパワフル。ボール遊びも上手で、はじめてボールに触らせた日から、ボールを両手で転がしてドリブルする「ひとりサッカー」も完璧だ。フローリングはなぜか足を滑らせながらいつも全力疾走だ。
それでも、まだまだ子猫だなと思ったエピソードをひとつ。ゲージに取り付けたハンモックは、ゆず吉とびわ吉のお気に入りだ。生後6カ月で我が家にやってきたふたりは、ハンモックを取り合うように使っていた。おそらくふたりのように登りたかったのだろうが、生後5カ月でやってきた夢之助くんは、まだ小さくてのぼれなかった。ちょうど1カ月経った生後6カ月で、ようやく乗れるようになった。
いろいろとみんなの真似をしていたことも可愛かった。気づくと寝方も真似をするようになる。ゆず吉もぽんずの寝方を真似たりするのだが、猫も見て学ぶんだなと思った。お兄ちゃんたちと並んで同じ格好をして寝ている姿は特に愛らしかった。
我が家にやってきてから約1カ月半。新たなお家の状況も整い、旅立っていった。やんちゃな夢之助くんのために、気に入りそうな猫じゃらしと、マタタビの木が入った我が家で大人気のぬいぐるみのおもちゃをプレゼント。人懐こくて、やんちゃな夢之助くんは、愛嬌があってとても可愛い猫だった。1カ月半もともに暮らすと、さすがに手放すときは寂しい。友人に「パピーウォーカーみたいだよね。よく手放せるなと思った」と言われたり、獣医さんには「あまり手を掛けすぎると、手放しづらいですよ」とも言われた。もちろん、それはそうなのだが、振り返ってみれば、一番可愛い時期をともに暮らして楽しませてもらった。そして、夢之助くんがとにかく毎日楽しそうだったことが印象に残っている。我が家で社会性も学んで、きっといい時間を過ごせただろう。
次回は、夢之助くんを飼ってくれているカメラマン仲間の猫との出会いについて、そして夢之助くんの新しい生活をお届けする。
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※次回の岩村美佳さんのエッセイ「私と猫たち」(11)は、3/28掲載予定です。