2014年7月の辺野古の新基地建設着工から、11月の翁長沖縄知事誕生までを記録したのが、ドキュメンタリー映画「圧殺の海」でした。それから17ヶ月。その後、沖縄では何が起きていたのでしょうか。代執行裁判の「和解」という新たな段階に入った沖縄を、2016年5月6日まで撮影した映画「圧殺の海 第2章『辺野古』」が、大阪・十三の「シアターセブン」で上映中です。さっそく見に行ってきました。
沖縄での公開を皮切りに、今後は本土各地で上映されるこの映画が、関西では「シアターセブン」で2016年6月11日(土)から7月29日(金)まで長期間の公開です。
6月11日から19日までは、映画上映後、監督やゲストが連日トークイベントを開催するということで、大好きなきむきがんちゃんのミニライブが行われた6月16日(木)に鑑賞してきました。
10万票という圧倒的な差をつけて「辺野古に新基地は作らせない」という翁長知事が誕生したにもかかわらず、日本政府は工事を「粛々と」進めます。人々はキャンプシュワブのゲート前に座り込み、海ではカヌーに乗ってフロートを乗り越え、辺野古の海を守る行動に出ます。映画は、そんな人々の姿を丁寧にとらえ、伝えていました。撮影時間は1300時間に及んだそうです。
107分の映画上映の間、まばたきすることも惜しいほどの場面の連続でした。市民による非暴力の闘いは熱く、悲しいほど真摯でした。美しい辺野古の海の上で、小さなカヌーに乗って漕ぎ出す人。大きさも能力も圧倒的に違う海保のゴムボートにぶつけられ、転覆させられ、海水を飲んでも、また海に漕ぎ出す姿が目に焼き付いています。ゲート前では、最後の最後まで工事車両に指をかけ、互いに腕を組み、機動隊が排除しようとしても必死に抵抗を続ける人の顔、涙、悲鳴。映画は、海の場面、ゲート前の場面、集会の場面と巧みに切り替わり、息つく間もなくそれぞれの現場の緊迫した状況が示されます。よくこんな場面が撮れたなと感嘆し、脱帽しました。
「その場に、みんなと一緒にいることが当たり前になっていました。何かあってから行ったのでは遅い。私たちも一員として現場にいたから撮影できた。カメラも何台か、ダメになったり、海の底に沈んでいたりしますよ」と、共同監督の影山あさ子さん。
市民が非暴力で抵抗を続けていても、逮捕者が出ることがあります。そんなときは、なによりも仲間を取り返すことが第一。名護警察を取り囲み、声を張り上げて抗議をします。仲間を返せ!という叫びの中で、きむきがんさんは「人間をかえせ」という曲を歌っていたのだそうです。それを聴いた監督のあさ子さんは、「すごいなあ。この歌は今回の映画の主題歌にぴったりだ」と思ったといいます。
107分の映画のうち、実に7分がエンドロール。この映画に協力した人の名前が何百人と映し出される中、「人間をかえせ」が流れます。人間の尊厳を、平和をかえせと、低く強く、声をしぼりだすように歌うきがんちゃんの歌を聴きながら、その名前を見ていると胸が痛いような、何とも言えない気持ちになりました。
沖縄・辺野古に行かれた人も、まだ行ったことのない人も、圧倒的な映像の力に驚かれると思います。ぜひ、ぜひ、足を運んでいただきたい映画です。
6月19日までは上映後に監督の他、ゲストによるトークライブやミニコンサートが行われます。
詳しくはシアターセブンのホームページをごらんください→ http://www.theater-seven.com/
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