2017年9月25日から10月29日まで、東京と大阪で上演されるミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』に出演する、青山航士さんと工藤広夢さんの対談インタビューの「下」です。有料会員限定部分には、お2人が共演された『王家の紋章』などについて伺ったお話も掲載しています。
――『パジャマゲーム』には、7分間踊って歌ってのナンバーがあるとお伺いしています。
青山:「Once A Year Day」。全キャストが踊って歌ってます。
工藤:観ていただけたら、「大運動会」っていう意味が分かります(笑)。
――すごいですね! 7分間ものワンナンバーということは、その間ずっと観客の興味を…。
青山:惹きつけなければいけない、僕たちの試練です(笑)。
工藤:そうですね。きっと目が足りないと思います。いろんなとこで、いろんな人がいろんなことをやっているというシーンです。
青山:おととい、振付終わったんですけど、観てて全然全く別なことをやってるっていう印象はそんなにないです。ちゃんとその7分の中でも何セクションかにシーンが演出されていて、いくつかの構成に分かれてるので、視覚的にはすごく見やすくなってます。でも本に例えると、自分の場面セクションのページをめくられて、他のセクションのページにチェンジしても、いつもテンションが高くないといけないから(笑)。
工藤:ははは(笑)。
青山:たとえ踊ってなくても! こっちが、他の場面セクションを見てるだけでも、テンション高くエネルギーを出してないと成立しないので休めない。…けど、今は休んでます(笑)。
工藤:航士さん、すごい休んでますね(笑)。
(一同爆笑)
――容赦ないツッコミが!(笑)。
青山:いつもこんな感じです(笑)。
工藤:でも本当に、ほとんどみんな肩で息してるので、あのナンバーは。
青山:でもそれが、本番でそれでもこういうことしてでも、自分が楽しんでいたら成立するんだと思います。そういうシーンなので。もう完全に“ダンスを見せなくちゃいけない”とか、“芝居を見せなくちゃいけない”というよりは、もう“いかにその日をその時を楽しむか”。多分その7分間を楽しむっていうことが根本だと思うので。
工藤:「年に一度」っていうタイトルですからね!
青山:そう。年に一度その日を楽しむ、と。
工藤:だからその年に1回楽しめばいいので。僕たちも1回ずつ頑張れば…(笑)。
青山:もうその時のために一生懸命仕事をして、嫌なことあってもこの日のために。
――その意味では、現実問題としてフィジカル的にはハードですけれど、メンタル的には、こう「ウキャー!」と発散出来るような?(笑)。
青山:そうです、そうです(笑)。そういう意味でのストレスは溜まんないです(笑)。発散出来ます。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、お2人が共演された『王家の紋章』などについて伺ったお話などインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■青山「トムの演出は絶対暗転は無いので大変。物を人が動かして、芝居も同時進行して」
■工藤「トムがキュートで。モウイチド、アタマカラオネガイシマスって日本語で言うんです」
■青山「(『王家の紋章』での共演は)裸の付き合いだね。温泉に一緒に行くようになって」
■工藤「(2幕のセチのダンスは)再演で平場になったので、よりセチに見えたかな」
■青山「曲を口ずさみながら帰って欲しい」、工藤「お客様をハッピーに引きずり込みたい」」
<ミュージカル『パジャマゲーム』>
【東京公演】2017年9月25日(月)~10月15日(日) 日本青年館ホール
【大阪公演】2017年10月19日(木)~10月29日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト http://pajama-game.jp/
<関連リンク>
青山航士 オフィシャルサイト http://www.f-spirit.co.jp/aoyama/aoyama.html
青山航士 ブルーマウンテンCafé http://aoyamakoji.jugem.jp/
Junction 工藤広夢 http://www.junction99.com/p_hiromu.html
工藤広夢 むぅの夢日記 https://ameblo.jp/mu-noblog-0305/
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■青山「トムの演出は絶対暗転は無いので大変。物を人が動かして、芝居も同時進行して」
――客席で観てても楽しいシーンですね!
青山:作品的にも楽しいし、トムが言ってたんですけど「今回は誰も死なないしね!」って。『タイタニック』でも『グランドホテル』でもね。
工藤:(笑)。初日に「船も沈まないしね」って言ってましたね。
青山:そう「船も沈まないし、だからホントに僕楽しいんだ」って。「こんな楽しい仕事ない!」みたいなこと言ってたんだよ(笑)。
――(笑)。近年人が死なないミュージカルというのが、なかなか。
青山:なかなかないですよね。日本人好きなんですよ、やっぱりそういう「悲劇」が。
――シド役の新納慎也さんも「日本人はそういうの好きなんだよね」っておっしゃっていました。その時に“何にも考えないで、終わった後には「楽しかったー! さ、ゴハン食べに行こっ!」っていうような明るく楽しいミュージカルです”、と教えていただきました。
工藤:「あのナンバー楽しかったね!」みたいな(笑)。
青山:その作品がもう半世紀以上、受け継がれてというのがすごいよね。トムも言ってたけど、他のミュージカルって、大体ニューヨークとかロンドンとか、大都市が題材となった作品が多いんですよ。でも、今回ほんとにオハイオ州の何にもない田舎の、別に派手じゃない町を題材にして、あと周りの人たちも有名な人じゃなくて普通の人なんですよ。それを題材とした作品がここまで大きくなる。1954年に初演で、次の年にトニー賞でしょ? それで、映画化もされて、2006年にリバイバルで、またトニー賞とってね。
工藤:すごいですね。
――普通に暮らしている市井の人々を描いて。
青山:ごく一般の派手でも何でもない人ですよ。ゴージャスでもないし、豊かでもない。
工藤:パジャマ工場で働いている人たち、っていうのが。
青山:多分ほんとに素朴な、みんな金持ちでもないし、必要最低限のものは持ってるかもしれないけど、それで十分に暮らせて幸せ、っていうのが。今は物が溢れているし、物を欲しがっちゃうし。でもそういうとこじゃない、この本当の幸せみたいなものを感じられる作品になって欲しいし、そういうのをお客様にも感じて欲しいし。
工藤:小さい枠組み、小さい村というか、小さい集団だからこそ、すごく人と人とのつながりが明確だし、個性も豊かだしっていうのが浮き上がってる感じはありますね、台本とか読んでても、稽古を見ていても。
――台本といえば、お話の中でお二人が絡むシーンはあるのでしょうか?
青山:今のところ芝居ではそんなに無いよね。ダンスでは絡んでます。あとトムがよく使うから(笑)、セットを動かす時に絡んでる。
工藤:そうですね、ハイ(笑)。
――登場人物がセットを動かすんですね?
青山:基本っていうか、絶対暗転は無いので。それがね、トムの演出は大変です(笑)。物を人が動かして、芝居も同時進行して、いろんなやり方があるので。タイミングだったり、動かす方も(きっかけの)台詞覚えないといけないし。音楽も覚えないといけないし。ヘタしたら、セット転換しながら、こっちも歌ってなきゃいけないし。
工藤:それが結構やりづらいんですけど、自分が出てない時に前から観てると「あ、なんか唐突で面白い」と感じたりするんですね。
青山:だから飽きさせない。
――実は観ている方も、暗転を使った場面転換も気持ちの切替がしやすいのでアリなんですが、ありのままを見せてくれる状態での場面転換は、舞台上の空気を変化させる演者の力をより感じられる気がします。役者さんの発する力がそのまま伝わってくるというか。
青山:そうなんですよね。そこがトムの魔法というか。ただ転換しているだけじゃないんですよね。
工藤:僕はトム作品は初めてなので、最初はわからなかったです。その、前から観て「お! 面白い」っていうのが。
青山:でもそこはもう、ほんと信用していい。
■工藤「トムがキュートで。モウイチド、アタマカラオネガイシマスって日本語で言うんです」
――その場面転換では、本当にもう隅々まで面白くてあちこち観てしまう、という経験を『グランドホテル』の時に、かなり(笑)。
青山:すごかったですよね『グランドホテル』。セット転換してても演じてないといけないんです。
――ですからお芝居の流れが途切れるような違和感はありませんでした。
工藤:だからこそ、タイミングは繊細です。「ここで(転換は)終わってくれ」とか。やっぱりトムの中のタイミングで「ここで動いたら、こっちの芝居成り立たないんだよ」っていうのが明確。だから、そこの練習を今すごくやっています。
青山:ベストタイミングがあるので。何回もいろんなパターンを考えて。昨日もあるシーンで、トムが「ごめんね。一番ここが大変なのはわかっている。でもごめんね」って言いながら何回も何回も。
工藤:でもトムがキュートで。「モウイチド、アタマカラオネガイシマス」って日本語で言うんですよ(笑)。ほんとに可愛い。
青山:もう、ゆるキャラだよね(笑)。
工藤:今どんどん日本語を覚えていらっしゃいます。数字もバミリ(立ち位置の印)の指示で「ヒロムサン、サン」、「コウジサン、イチ」みたいな。
青山:前来た時に、もう一生懸命教えたの(笑)。「1~10」とりあえず「じゅう」まで覚えられれば、そっから先も楽しいからって。「じゅういち」とか「じゅうに」とか。それを英語に例えて教えたの。「いち」は「itch(痒い)」、「に」は「knee(膝)」「さん」は「sun(陽)」とか。「し」は「shh」、「ご」は「go」,「ろく」は「lock」。
工藤:おー!(笑)。
青山:分かりやすくそうやって言ったら楽しく覚えてくれて。
工藤:すごい。そうなんですね。僕は一週間くらいトムと目合わなくて(笑)、人見知りなのかなと思っていたんです。でも今はようやく目を見て話せるようになってきた感じ。
青山:人見知り?そんなことないよ。あ、目線的な話?(身長の)高低差が(笑)。お腹しか見えない?
工藤:あ! そっちですか?(笑)。高低差もすごいですけどね。2メートルくらいありますか。
青山:2メートル以上あるから。見えてないんじゃない? トム。
工藤:見えてないのかもしれないですね(笑)。トムが座って、僕ちょうどくらいですからね。
青山:(笑)。トム座った時に話したらいいんじゃない? でもそれも個性だからさぁ!
工藤:そうですね、別に落ち込んでないですけどね!
(一同爆笑)
■青山「(『王家の紋章』での共演は)裸の付き合いだね。温泉に一緒に行くようになって」
――お二人は昨年夏の『王家の紋章』初演から今年春の再演と、長い期間ご一緒でしたね。
工藤:僕は『王家の紋章』で初演、再演やりましたけど、再演で航士さんとものすごく仲良くさせてもらうようになったんです。初演は、僕自身が初めての大きな舞台だったというのもあり、ちょっと周りを探っていたというか(笑)。なので、帰り道が一緒だったというのもあって、再演ではいろいろと。
青山:裸の付き合いだね。温泉好きで、日帰り温泉施設によく一緒に行くようになって。そこでやっぱりいろんな話をしたりね。
工藤:そこからいろいろ話せるようになって、本当に「尊敬」があったので。
青山:(笑)。
工藤:ホントです、本当ですよ! で、航士さんのその、筋肉の使い方とかメッチャ聞いてました、再演の時。僕は結婚式のシーンの航士さんが一番好きなんですよ! 4人「神」役のダンサーがいるんですが、航士さんはひとりだけ全然踊らないんです。
青山:あそこフリーなんです。振付もちょっとあるんですけど、でもほとんど「神」4人は結構自由に動いていいよ、みたいな。
工藤:で、航士さんは「神」のダンスなので、動けるのに手を胸に当てるだけとか。あんまり激しく踊らずに、ひとりで空間を支配している感じで踊ってたのが「やー、航士さん、カッコイイですねー!」って毎回言ってたポイントでした(笑)。
青山:ははははは(笑)。
工藤:3人の「神」はすごく激しく舞ってたけど、航士さんは、ふわっと回ったり、役者を肩でポンと触るだけとか、そういう“動かないダンス”みたいな。
青山:だって疲れちゃうからさぁ(笑)。
工藤:え?! そっちなんですか(笑)。
青山:うん。疲れちゃうんだもん、だって大変だもん。
工藤:あーそっちか…、じゃあ、さっきの「尊敬」って、取り消しお願い…(笑)。
青山:(爆笑)。だって、バトルでもうヘィヘィいっちゃってるのにさぁ、すぐ着替えて「波」やってさ。またすぐ「神」で疲れちゃうもんね。
工藤:(笑)。そうですね。
――確かに「波」のすぐ後がエンディングで結婚式でした。
青山:はい。で、「神」でも一番最初に出てくるから(笑)。
■工藤「(2幕のセチのダンスは)再演は平場になったので、よりセチに見えたかな」
――バトルと言えば、クライマックスでお二人が絡むシーンがありましたね。
工藤:お! ありました、ありました。
青山:ね、あったね。いや、セチファンにはね、もう本当に申し訳なかったね。
工藤:殺すとこですか? セチを。でもあれは、本当に感情をものすごく使うので、稽古中でも失敗はすごくたくさんありましたし。航士さんの上にガッと乗るシーンがあったんですけど、感情ばっかり前に行くと、足をズルッて踏み外したりとかあったので、航士さんが「ここは気持ちは冷静にいった方がいいよ」って、アドバイスをくれたり。
青山:広夢はね、初演ももちろん良かったんだけど、再演でグッて上がった、本当に。それこそいろいろ質問してくるから、僕も初演から自分の勝手な意見で「広夢だったらこういう方がいいよ」とか、「ここ大事にした方がいいよ」とか、「“踊り”だけじゃなくて、むしろ“踊り”にしない方がいいよ」って。
工藤:でもそれは、僕は航士さんだからちゃんと聞くんです。自分が尊敬している人だから聞きたいし、「ここどうなんですか?」って自分から聞きに行くし。僕にとって航士さんは、“本当に言ってくれるし、自分も聞きたいし”っていう存在です。
青山:素直に聞き入れて、次の稽古で試したりとか。風呂入りながらそういう話もしたり。僕は“踊り”は“踊り”じゃないって思っていて、“踊っているだけ”は好きじゃないので。やっぱりそこはシーンを表現しないといけないから。それこそセチはそういう役だったし。芝居からたまたま出てきたのが“踊り”で、だから踊りに感情が無かったらつまんない。
――感情といえば、2幕のメンフィスのソロ曲のシーンでのセチのダンスが、セチ自身のキャロルへの想いが切々と伝わって、毎回とても気持ちを掴まれました。実は初演では『ダンス・オブ・ヴァンパイヤ』のヴァンパイヤ・ダンサーのように、メンフィスの心情を表現したダンスと思っていたシーンだったのですが、再演では受けとる印象がガラリと変わりました。
工藤:僕、再演でそれを言われたんですけど、初演からそのつもりで演ってたんですよ。初演は台の上で、いわゆる「ヴァンパイヤ・ダンサー」のような振りがちょこっとあったので、だからそういう風に見えてたのかなって。でも、再演は台が全くなくなって、平場でのダンスになったので、よりセチに見えたかなっていうのはありました。
青山:構成がシンプルになったからっていうのもありますね。
――漫画ファン的にも、原作のテイストそのままに、よくぞここまで再現してくださったと!
青山:そうですよね、台詞ほぼ本当にそのままですもんね。
■青山「曲を口ずさみながら帰って欲しい」、工藤「お客様をハッピーに引きずり込みたい」
――稽古場の熱気と、お二人の普段の雰囲気が伝わる楽しいお話をありがとうございました。最後にお客様に向けてメッセージをお願いします。
青山:本当に、なにも考えずに来て欲しいし、絶対に何か口ずさみながら帰って欲しいし、それを与えられる演者になるので、とにかく楽しんで欲しいですね。名曲もいっぱいあるし。
工藤:悲劇系のミュージカルが多い中で、こういうハッピーな物を僕たちから提案する、みたいな気持ちで「こっち側も楽しいでしょ?」って、僕たちがお客様をハッピーに引きずり込みたいなっていう気持ちで今稽古しているので、皆さん本当に楽しみに劇場へお越しください。
※青山航士さんと工藤広夢さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは10月2日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
「王家の紋章」でお二人とも素敵だったので、それを思い出しながら読むことができてよかったです。
セチのダンスは、とても魅力的だったので、それについて書かれていたのも嬉しかったです。
パジャマゲームもこの記事を読んだ事で興味がわきました。ハッピーになれそうなので観に行こうと思います。