クレアさんは今21歳。CFと共に生きてきました。CF=嚢胞性線維症は、体中の粘液や分泌液がネバネバになる難病です。でも、余命短い彼女が命いっぱいに生きるのを誰にも止めることは出来ません。
今日のYouTubeで学ぶ英語の題材は、アメリカのテレビ番組:My Last Days を丸ごと一本なので、30分以上の動画になります。そこで、こちらで選んだ箇所に集中して、しっかりと聴き取りをおこなっていきたいと思います。準備のための英単語をまずチェックして下さい。
■単語
- ★cystic fibrosis(名)CF、嚢胞性線維症 fibrosis とは、fibro「線維の」という言葉に、「異常な状態」を意味する接尾語osis が連結したものです。
- ★inevitable (形)避けられない、免れない
- cf. Death and taxes are the only things that are inevitable. 死と税金だけは免れることができない(イディオム)
すでにネット上で自らの番組を持ち、病気について語っていた18歳のクレアさんが、医師から余命宣告を受けて話した言葉を、次の質問に答えるつもりでお聞きください。
1.クレアさんは後どのくらい生きられると医師に言われていますか?
2.クレアさんにとって余命よりも大事な事柄は何ですか?そしてそれはなぜですか?
答え
1.医師からは余命およそ1年くらいと言われています。
2.クレアさんにとっては、誇らしく思えるような生き方をする方が、あとどのくらい生きられるのかということよりも大切です。なぜなら、誰にとっても死は避けられないもので、いつ死ぬかをコントロールすることは出来ないから。でも、どう生きるかはコントロールできると語っています。
英語のスクリプトをあげておきます。( )の中の単語を聴き取って下さい。
So I’m dying. Faster than everyone else.
Action ! My name is Claire Wineland. I am 18 years old. I’m living ( 1 ) something( 2 )cystic fibrosis. Doctors say I have around a year ( 3 ) to live. But that doesn’t really matter to me because death is inevitable, but living a life that we are proud of, that is something we can actually control.
<関連サイト>
YouTubeチャンネル Claire Wineland
CFを持つ人々のための慈善団体 Claire’s Place Foundation, Inc.
YouTube チャンネル SoulPancake
アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分では、聴き取りの答えと解説、クレアさんの夢だったパブリックスピーチの内容を紹介しています。筆者の試訳つきです。ぜひご利用ください。
<有料会員限定部分の小見出し>
■聴き取りの答え~弱い音を聴き取る~(松中みどり試訳つき)
■クレアさんのモティベイショナルスピーチスクリプト(松中みどり試訳つき)
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■聴き取りの答え~弱い音を聴き取る~
- So I’m dying. Faster than everyone else. というわけで、私は死ぬんです。他の誰より早くね。
- Action ! My name is Claire Wineland. 私の名前はクレア・ワインランド。
- I am 18 years old. 18歳です。
- I’m living with something called cystic fibrosis. 嚢胞性線維症と呼ばれてるものと一緒に生きてるの。
- Doctors say I have around a year left to live. お医者さんたちは、あと1年くらいは生きられるかなと言ってます。
- But that doesn’t really matter to me でもそれは私にとってあまり重要じゃないの。
- because death is inevitable, だって死ぬことってどうしようもなくて、避けられないことでしょう。
- but living a life that we are proud of, でも、自分が誇りに思える生き方をすることは、
- that is something we can actually control. それは自分でコントロールできることだから。
I’m living with something called cystic fibrosis. という文章が特に聴き取りにくいと思います。「~と一緒に生きている」という意味での前置詞with の最後のthの音も、「~と呼ばれている」という分詞形容詞のcalled の最後のed の音も、弱く早く発音されてほとんど脱落し、次の単語の最初の音に流れ込んでいるからです。何度も聴いて確認してみて下さい。
Doctors say I have around a year left to live. leave の過去分詞形のleft のt の音は、次の前置詞to と一緒になってひとつの単語のようになって聴こえてきます。こちらも何度も聴いて、自分でも発音してみて下さい。
■クレアさんのモティベイショナルスピーチスクリプト(松中みどり試訳つき)
クレアさんは幼い頃から、人前でスピーチをしたり、歌ったりするのが好きでした。病院にいる時間が長くなってからも、彼女はYouTubeを通じて多くの人に話しかけてきました。彼女のYouTubeを見て、死を目前にした人の生き方とその最後の日々をドキュメンタリーにしたテレビ番組「My Last Days」を作っているディレクター、ジャスティン・バルドーニさんが、クレアさんにスピーチの機会を作ろうと協力を申し出ました。そして、リチャード・グリーンさんを紹介。故ダイアナ妃を始め、多くの有名人のスピーチのコーチをしたリチャードさんは、クレアさんの資質を絶賛しました。そして、リチャードさんについて練習したクレアさんに、スピーチの機会が訪れます。
ジャスティンさんに促されて、毎年ラスベガスで行われる音楽と文化のフェスティバルLife is beautiful の舞台に上がったクレアさん。彼女のスピーチのスクリプトをあげておきます。
- クレアさん――Okay, hi, wow ! オーケー、こんにちは。わあ!Okay, hi. オーケー、こんにちは。
- As you all saw, my name is Claire Wineland. 見て下さったように、私の名前はクレア・ワインランドです。
- I’m 18 years old. 18歳です。
- I have something called cystic fibrosis. 嚢胞性線維症と呼ばれてる病気です。
- And I do have only a few years left to live. あと数年くらいしか生きられません。
- I mean that’s how the doctors see it. 少なくともお医者さんたちの見方はそうなんです。
- Let’s get the whole like death thing just like out on the table here, right ? 死ぬことに関しては、こんな風に全て表に出してしまいましょう、ね?
- Like all of us could get hit by a meteorite now, so let’s stop thinking about the death part of it because that doesn’t matter to me. 誰だって、今、隕石に当たって死んじゃうかもしれないんです。死ぬことばっかり考えるのは止めましょう。だってそれは私にとって重要じゃないんです。
- We have no control over it, but what we do have control over is whether we are proud of our own lives. 死ぬことはコントロールできないけど、自分の生き方を誇りに思えるかどうかは、私たちでコントロールできることです。
- I mean that’s something we have complete say over. これって、何回でも言っておくべきことですよね。
- クレアさんのお父さん――It’s kind of hard to even describe. 言葉にするのも難しいくらいです。
- You know, I feel really blessed. 本当に私は恵まれていると感じています。
- I’ve had the most remarkable experience of fatherhood that anybody could ever imagine. 誰も想像できないくらいの、父親として最も素晴らしい経験をしたんです。
- We’ve had these sublime moments and I’ve seen Claire grow into this incredibly beautiful, generous woman. 荘厳な瞬間でした。クレアが信じられないほど美しくて寛容な女性に成長する瞬間を見たんです。
- クレアさん――I think I’m just as confused as everyone else on how to make our lives a piece of art but I think that part of the joy is simply trying. 私もみなさんと同じように、どうやったら人生を素晴らしいものにするのか迷っているんです。でもただやってみるの。その中に喜びがあると思うから。
- クレアさんのお父さん――I know I wouldn’t be the man that I am without her and I’m just excited for what’s next for her cause I think that she’s got a lot longer than the doctors say and I think she’s got angels all around her. She’s just getting started. クレアなしでは、私は今の私ではあり得ません。クレアが次に何をするか、とても楽しみです。医師に言われているよりもかなり長く生きられると思うのです。彼女の周りには天使たちがいますから。クレアはやりたいことを始めたばかりなんです。
- クレアさん――I can stand up here and tell you I am genuinely proud of my life. 今、ここに立って皆さんに言うことが出来ます。私は本当に、自分の人生を誇らしく思っています。
- I am so proud to be alive. 生きていることを誇りに思います。
- Not saying that I don’t feel pain. 痛みがないと言ってるんじゃないんです。
- I’m not saying that I don’t feel sadness and suffering and loneliness because that’s what it means to be a human being. 悲しさや苦しさや寂しさがないと言ってるわけじゃないんです。だって(そういうことを感じることが)人間だってことでしょう。
- But I’m saying that that pain and that loneliness and that sadness is beautiful. 言いたいのは、その痛みも、その寂しさも、その悲しさも、美しいということ。
- クレアさんのお母さん――I think that people see in her this light. 人々はクレアの中に光を見ていると思います。
- I think that she was born with. クレアは光を持って生まれたと思うのです。
- Claire Lucia means clear light. クレア・ルシアという名前は、くっきりとした光という意味なんです。
- And I really think that really embodies who she is. (この名前が)彼女の人となりを表していると思います。
- She ‘s very real and I think some of these great things that are happening are because she relates to people on a different level. クレアはとてもリアルで、人々といろいろなレベルで共感し合えるから、素晴らしいことがいろいろ起きているんだと思うのです。
- クレアさん――We live in a society that benefits off of us continuously looking for happiness and dreams and goals out here, right ? 私たちは、幸せとか夢とかゴールとかが、このあたりにあるんじゃないかと絶えず探していて、そういうことから利益が生み出されるような社会に生きていますよね。
- If we say “no”, we’re not gonna go looking out there for our happiness, we are alive and that is all we need, we are beating the system, right ? もし、私たちが「ノー」と言ったら、もう幸せを探しにいかないとしたら、私たちは生きていて、それだけが必要なことだとしたら、社会のシステムをやっつけていることになりますよね?
- And we’re living lives that we’re proud of. そうすることで、私たちは、誇らしく思える生き方をしていることになるんです。
- We’re living lives that make us happy. 幸せになれる生き方をしているんです。
- クレアさんのお母さん――I think that the biggest thing Claire has taught me is stay in the moment. クレアが私に教えてくれた最も大きなことは、この瞬間に留まるということだと思います。
- She sees me worry about things. クレアは、私がいろいろなことを心配しているところを見ています。
- She sees me talk to the doctors and it gets heavy and I get scared, she’s like, “Right this minute, it’s awesome, we’re here together.” 彼女は私が医師と話して、だんだん深刻になって、怖がるところを見ています。彼女は例えばこんな風に言います。「この瞬間は、素晴らしいでしょ。私たちは一緒にここにいるのよ」と。
- Like she helps me bring my head back to right this second. 彼女は私の頭を今のこの瞬間に引き戻してくれるのです。
- I’m like, “Oh, you’re right. We haven’t got there yet. Right this second is great. Right this second is beautiful.” 私はこんな風に言います。「そうね。あなたが正しいわ。まだ恐ろしいことは起きてない。この瞬間は、素晴らしい。この瞬間は美しいわね」
- クレアさん――You’re never gonna be happy with what you get unless you’re happy with what you have. 持っているもので満足できないなら、これから得るもので満足することもできないでしょう。
- And that’s what you have to do with your life. これが、あなたが自分の人生でやるべきことなんですよ。
- You have to look at all of it. 全てを注意深く見つめること。
- All of the pain, all of the loneliness, all of the beauty, all of the friendship, and the family, you know, and the sickness and the health and you have to lay it all in front of you and you have to say, “Okay, this is what I have, it’s all wonderful and what can I make with it. ” 痛みの全て、寂しさの全て、美しさの全て、友情の全て、そして家族や、病気や健康、持っているものすべてを目の前に並べてみて。そして、こう言うのです。「オーケー、これが私の持っているものの全て。みんな素晴らしい。ここから何を生み出そうか」と。