数々の賞を獲得したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、2018年9月7日から全国で再演されます。公演に先立って、5月12日~13日には『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートが開かれ、6月14日には、そのコンサートのダイジェスト映像が「『JERSEY BOYS』JAPAN 2018 Trailer」(Trailerとは予告編という意味)として公開されました。9月からの再演に思いを馳せ、心踊る毎日です。
トニー賞最優秀ミュージカル賞やグラミー賞などを受賞し、2014年には名匠クリント・イーストウッド監督による映画化も好評を博した伝説のミュージカル『ジャージー・ボーイズ』。2016年7月に日本人キャスト版がシアタークリエで初演され、第42回菊田一夫演劇賞や第24回読売演劇大賞をはじめとする数々の演劇賞を受賞した作品です。初演の千秋楽には2年先の再演が発表され、首を長くして待っていたその再演がいよいよ9月にやってきます。
コンサートは、初演のときめきを思い出させ、再演への待ちきれない思いを加熱させる素晴らしいステージでした。会場で発売されていたペンライトを片手に大いに盛り上がる、まさにコンサート。観客の熱狂に包まれた2日間でした。私は3回観賞しましたが、全く飽きることのない、コンサートでしか味わえない特別感に、ただただ幸せを感じました。
初演ではレッド(中川晃教さん、藤岡正明さん、矢崎広さん、吉原光夫さん)とホワイト(中川さん、中河内雅貴さん、海宝直人さん、福井晶一さん)の2チームでしたが、再演は続投組のホワイトと新チームのブルー(中川さん、伊礼彼方さん、矢崎さん、Spiさん)。コンサート版では、新旧チームが集結し、吉原さん以外の8名のボーイズが一緒にステージ上に立つことが、なによりもスペシャルなことでした。そのスペシャルなステージは、どこを見たらよいのか迷ってしまう贅沢な悩みも。千秋楽では、客席に駆けつけていた吉原さんも、会場中からの「ミ・ツ・オ」コールでステージに上がり大盛り上がり。会場全体が一体となった“ジャージー熱”に、胸がいっぱいになりました。
こちらは2018年6月14日に公式ページなどで公開された「『JERSEY BOYS』JAPAN 2018 Trailer」の映像です。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、コンサートの様子を詳しく紹介した文章と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■ミュージカル版と違うのは、トミーが3人、ボブが2人、ニックが2人いること
■3人、2人で語っていくことで、ひとりの人間の脳内を見ているような感覚に
■映像でみることで、初演当時を思い出して懐かしむという、また別の感情が
■印象に残った、海宝さんの「My Eyes Adored You」と、Spiさんの「Beggin」
■中川さんがさらにレベルアップ。どこでこんな凄みの域に行ってしまったんだろう
■9月からの公演が楽しみですが、コンサート版もまたぜひ開催して欲しい
<ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」イン コンサート>
出演者:中川晃教、藤岡正明、中河内雅貴、伊礼彼方、海宝直人、矢崎広、福井晶一、Spi、ほかのみなさん
【東京】2018年5月12日(土)~5月/13日(日) 東急シアターオーブ
(この公演は終了しています)
http://www.tohostage.com/jerseyboysconcert/
<ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』2018>
出演者:中川晃教、中河内雅貴、伊礼彼方、海宝直人、矢崎広、福井晶一、Spi、太田基裕、阿部裕、畠中洋、ほかのみなさん
【東京公演】2018年9月7日(金)~10月3日(水) シアタークリエ
【秋田公演】2018年10月8日(月・祝) 大館市民文化会館
【岩手公演】2018年10月11日 (木)~12日(金) 岩手県民会館
【愛知公演】2018年10月17日(水)~18日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大阪公演】2018年10月24日(水)~28日(日) 新歌舞伎座
【福岡公演】2018年11月3日(土)~4日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
http://www.tohostage.com/jersey/
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■ミュージカル版と違うのは、トミーが3人、ボブが2人、ニックが2人いること
倍の人数のボーイズの後ろ姿からスタートしたコンサート。演出は日本版ジャージー・ボーイズも演出している藤田俊太郎さん。ミュージカル版同様に、フォー・シーズンズの物語を、春、夏、秋、冬の4つの季節に分けて進んでいきます。春をトミー・デビート、夏をボブ・ゴーディオ、秋をニック・マッシ、冬をフランキー・ヴァリ、それぞれのモノローグで、彼らの音楽とともに進めていく、その構成はミュージカル版と同じ。違うのは、トミーが3人、ボブが2人、ニックが2人いること。そして、モノローグ以外の部分では初演の映像も使って進んでいったことです。
■3人、2人で語っていくことで、ひとりの人間の脳内を見ているような感覚に
このふたつの違いがコンサート版ならではの面白さを作り出していました。まず、複数人で同じ役を演じることについて。例えば、宝塚OGによる『エリザベート』TAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサートのアニヴァーサリーヴァージョンでは、場面を分けて複数人が演じつないでいくというスタイルでした。『ジャージー・ボーイズ』では、3人、ないしは2人でセリフをかけあいながら語っていくことで、ひとりの人間の脳内を見ているような感覚になりました。物事を考えるときに、「こうだよな」「あ、でもこういうこともあるか」「いや、ああなっちゃうかもしれないし」「うーん」…………などと、自問自答していく様に似ていると感じました。
そして、役の個性が出てくるのが面白い。藤岡さん、中河内さん、伊礼さんによる、3人のトミーは、俺が俺がと前に出てきて牽制しあいます。海宝さん、矢崎さんによる、2人のボブは、協力しあって仲良し。福井さん、Spiさんによる、2人のニックは、それぞれの道をマイペースに進むような感じです。ここに役柄の個性が出てくるところがフォー・シーズンズだなと。
■映像でみることで、初演当時を思い出して懐かしむという、また別の感情が
初演の映像を使って物語が進んでいくことについて。観客目線でいうと、映像でみることで、初演当時を思い出して懐かしむという、また別の感情が湧きました。この2年間の役者たちそれぞれの活躍に心震えたり、自分自身の2年間を振り返ったり。初演時から藤田さんがいろいろなところで言葉にしてきている「観客を描くミュージカル」だからこそ、自らを省みる時間となるのは、むしろ自然なことなのだと思います。また、日本版ならではの演出は、舞台上の役者たちと観客を映し出すリアルタイムの映像。その形は同様に踏襲されていて、今ここに集まっている私たちが物語のなかに映し出される。役者たちの映し方も含めて、そのカメラワークも絶妙でした。
■印象に残った、海宝さんの「My Eyes Adored You」と、Spiさんの「Beggin」
さらに面白かったのが、本編ではフランキーや他の人が歌う曲を別の人が歌うサプライズ。このコンサートでしか聞くことができないスペシャルな歌でした。特に印象に残ったのは、海宝さんの「My Eyes Adored You<瞳の面影>」と、Spiさんの「Beggin」。海宝さんは、甘さと切なさと色気が混在していて、Spiさんは、パワーとパッションに溢れていました。
■中川さんがさらにレベルアップ。どこでこんな凄みの域に行ってしまったんだろう
そして、この人がいなければ日本版は生まれなかった、日本のフランキー・ヴァリこと中川さん。初演時も、この役は中川さんにしかできないだろうと、それ程に素晴らしい歌の数々でしたが、2年を経て中川さんの歌がさらなるレベルアップをしていました。2年間、中川さんの歌を様々なところで聴き、様々な感動をし続けてきましたが、一体どこでこんな凄みの域に行ってしまったんだろうと、私は何か聴き逃していたんだろうかと不思議になるくらい。同じ歌を聴くと、その違いが明確にわかると思います。9月はミュージカル版ですから、芝居も含めてどこまで行くのか、さらに期待が高まりました。
■9月からの公演が楽しみですが、コンサート版もまたぜひ開催して欲しい
9月からの『ジャージー・ボーイズ』が楽しみなことはもちろんですが、このコンサート版もまたぜひ開催して欲しいと思うくらいに特別なステージでした。冷めることのないジャージー熱がますます加熱して、この先、ミュージカルとコンサートを交互に上演して頂けないだろうかと期待を込めて、レポートを終えようと思います。