少女漫画雑誌「花とゆめ」に1975年から1981年まで連載され、熱烈なブームを巻き起こした漫画『はみだしっ子』を原作とする舞台『はみだしっ子』が、2017年10月から同年11月にかけて劇団スタジオライフによって初舞台化されました。これに続いて、続編となる舞台『はみだしっ子 ~in their journey through life~ 』が、2018年10月6日(土)~10月21日(日)まで、東京・シアターサンモールで、2018年11月2日(金)~11月4日(日)に大阪・ABCホールで上演されることになり、大阪では公演に伴い原画展の開催も予定されています。2018年7月4日に開かれた舞台『はみだしっ子 ~in their journey through life~ 』 製作発表会と座談会のオフィシャルレポートが届きましたので、ご紹介します。
劇団スタジオライフの舞台版『はみだしっ子 ~in their journey through life~ 』がこの秋、東京と大阪で上演される運びとなり、都内で製作発表会が行われた。この作品は2017年秋にスタジオライフが初めて舞台化した『はみだしっ子』の続編。早世のマンガ家・三原順により1975~1981年に発表された同名作品を原作としたもので、親に見捨てられたり親を見限って家出したりといった事情を抱え共同生活を送ることになった少年4人の、心の彷徨と成長を描く物語だ。原作の中から前回描き切れなかったエピソードの続きを、前回と同じ4人組が演じる。
製作発表会の前半は劇団の脚本・演出を務める倉田淳が、『はみだしっ子』および三原順にゆかりのあるゲスト3名を迎えて特別座談会を実施。まずは前作を鑑賞した感想から語られた。
三原と同年にデビューした元マンガ家であり、ファンとして三原作品の再版活動などを展開してきた笹生那実氏は「『大人が演じているんだよな~』と思いながら見ていたはずが、いつのまにか幼い子供4人がそこにいるようにしか見えなくなり、引き込まれました」と。
同じく三原作品の長年のファンで『はみだしっ子』の同人誌を64冊も刊行しているという柴咲美衣氏も、「セリフの一つ一つはもちろん、立ち姿や手の組み方、足の角度など細かい所まで原作のテイストを大切にされているのが伝わってきて、とても愛を感じました」と、スタジオライフ版ならではの舞台化のクオリティーに太鼓判。
とにかく大勢の熱狂的支持者を持つ『はみだしっ子』ゆえ、「最初はこわごわ初舞台化」したという倉田も、三原ファンを代表する2人から「不安はもうない。今回は期待のみです!」とのエールを受け取り、恐縮しつつも意欲を新たにしていた。
また、編集者として生前の三原に関わった白泉社出版部部長の前田太郎氏は、三原作品について「世代を超えて受け継いでいかれる力を持っていますし、人生のバイブルと仰ぐ方も多い。2015年に原画展を開いた時には来場者の熱い思いに感動し、人々がマンガというものをどのように思っているのか、すごく考えさせられました」と。
倉田は「何といっても三原先生の作品は“言葉”が素敵で深い」と原作への敬意を語り、続けて「今回の副題『in their journey through life』の life には、敢えて冠詞を付けていません。普遍的なニュアンスが狭まってしまうからです。人生という彼らの旅はまだまだ続きます」と挨拶した。
(文・上甲薫)
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、4人の主人公を演じるキャスト(トリプルキャストなので3チーム、総勢12人)が揃って登壇し、それぞれに抱負を述べた製作発表会のレポート後半部分と、【TRKチーム】のアンジー役・山本芳樹さん、【TBCチーム】のアンジー役・松本慎也さん、【BUSチーム】のアンジー役・宇佐見輝さんの、ソロ写真を掲載しています。
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■ベテランを擁する【TRKチーム】最年少の田中俊裕は「先輩方と4人で素敵な旅ができるよう頑張ります」
■【TBCチーム】で長男的存在のグレアムを演じる仲原裕之は「“4人で一人”を今回もっと深めていければ」
■グレアム役の中で最も若手の【BUSチーム】の久保優二は「メンバーと一緒に、僕も成長していけたら」
<公演データ>
スタジオライフ『はみだしっ子~in their journey through life~』
原作:三原順 「はみだしっ子」(©三原順/白泉社) 脚本・演出:倉田淳
【東京公演】 2018年10月6日(土)~10月21日(日) シアターサンモール
【大阪公演】2018年11月2日(金)~11月4日(日) ABCホール
[チケット]2018年8月19日(日)一般発売開始
[公式HP] http://www.studio-life.com/stage/hamidashi2018/
[キャスト] ※出演者は都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。
TRK TBC BUS
グレアム …… 岩﨑大 仲原裕之 久保優二
アンジー …… 山本芳樹 松本慎也 宇佐見輝
サーニン …… 緒方和也 千葉健玖 澤井俊輝
マックス …… 田中俊裕 伊藤清之 若林健吾
船戸慎士 牛島祥太 吉成奨人 鈴木宏明 前木健太郎 藤原啓児 他
<関連リンク>
劇団スタジオライフ
http://www.studio-life.com/
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- 劇団スタジオライフ、舞台『はみだしっ子 ~in their journey through life~ 』製作発表 2018年7月13日
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後半は、4人の主人公を演じるキャスト(トリプルキャストなので3チーム、総勢12人)が揃って登壇。それぞれに抱負を述べた。
■ベテランを擁する【TRKチーム】最年少の田中俊裕は「先輩方と4人で素敵な旅ができるよう頑張ります」
ベテラン俳優を擁する【TRKチーム】は、年齢的に「今回をもって解散」と倉田から通告されてしまうも、「残り少ない命だと思って(笑)、マックスと痛みや悲しみ、愛、喜びを分かち合い、先輩方と4人で素敵な旅ができるよう頑張ります」と最年少・田中俊裕から頼もしい言葉が飛び出した。
■【TBCチーム】で長男的存在のグレアムを演じる仲原裕之は「“4人で一人”を今回もっと深めていければ」
【TBCチーム】で長男的存在のグレアムを演じる仲原裕之は「前作では開演前、『4人で一人!』を合言葉に円陣を組んでいました」と明かす。サーニン役の千葉健玖もそれに呼応して「“4人で一人”を今回もっと深めていければと思っています。演出の倉田さんを信じていますし、仲間たちを信じていますので、舞台でやる意味を体現したい」と4人の結束力とバランスの良さを期待させた。
■グレアム役の中で最も若手の【BUSチーム】の久保優二は「メンバーと一緒に、僕も成長していけたら」
グレアム役の中で最も若手である【BUSチーム】の久保優二は、「この役をまた演じられることを改めて幸せだなって感じています。メンバーと一緒に一歩一歩、僕も成長していけたら」と爽やかに。またアンジー役の宇佐見輝は「基本的に他のチームとは演技のことで相談等しませんが、先輩方が演じるアンジーから盗める所は盗んでいこうという気はあります。でも人の稽古を見て自分の役作りが揺らぎそうだなと直感した時は見ないです(笑)」と場を和ませた。
『はみだしっ子 ~in their journey through life~ 』は10月6日(土)~21日(日)東京・シアターサンモール、11月2日(金)~4日(日)大阪・ABCホールにて。なお、大阪では公演に伴い原画展も開催される予定。
(文・上甲薫)