「自分と向き合う作品」、『Now. Here. This.』壮一帆・彩乃かなみ・愛加あゆ鼎談(上)

(左から)壮一帆さん、彩乃かなみさん、愛加あゆさん

2020年11月28日(土)から12月13日(日)まで博品館劇場で上演されるミュージカル『Now. Here. This.』(フレキシブルバージョン。埼玉、大阪、名古屋公演あり)に出演する、壮一帆さん、彩乃かなみさん、愛加あゆさんの鼎談インタビューをお届けします。2012年にオフ・ブロードウェイで誕生したミュージカルで、自然史博物館のツアーというユニークな視点から生命の神秘と歴史に触れ、いつしか自分自身のアイデンティティにも思いをはせる……という物語。主演は浜中文一さんで、浜中さん以外のキャストは、earthチームと、waterチームの、2チームで上演されます。愛加さん、彩乃さん、壮さんは、共にearthチームです。立ち稽古が始まった11月初めにインタビューし、作品について、今の舞台への思いなどを伺いました。

壮一帆さん
壮一帆さん
彩乃かなみさん
彩乃かなみさん
愛加あゆさん
愛加あゆさん

ーーお稽古はどんな雰囲気ですか?

壮:和気あいあいとしています。晴れ時々くもりみたいな(笑)。

(一同笑)

彩乃:まさにね(笑)。

ーー台本を読ませていただいたのですが、どなたがどの役をされるのでしょうか?

壮:私は、色々な役で物語の主軸となる友人同士4人と関わっていきます。

彩乃:私は、その友人同士のひとりで、表現者を目指す女性です。

愛加:私も、その友人同士のひとりで、ワーカホリックの女性実業家です。

ーーどんな風にこの作品の魅力について考えながら稽古をしていますか?

壮:これといった起承転結がないんですが、すごく自分自身と向き合う作品だと思いました。それを地球の起源とシンクロさせて描くというところが、すごいなと。シンプルかつ壮大なテーマなんだろうなと思って読んでいました。

彩乃:たった1日の出来事なんですが、自然史博物館で目にした人類の起源や宇宙の創生の話などの中で、おのおのが自分の人生を省みる。それぞれに気付きがあって、小さなことなんですが、すごく壮大な話になっていると思います。例えば、話しているときは朗らかに喋っていても、個人個人ではいろいろな悩みや傷を抱えているじゃないですか。それが自然史博物館で、勝手にあぶり出されてくるというか。そこを見つめるおもしろい話になっていると思います。

愛加:初めて本を読ませていただいたときに、すごく難しいと思いました。時空を行ったり来たりしながら、それぞれの過去を描いたりするのは、1回読んだだけでは理解できなくて。深めれば深めるほど、いろいろなことを考えられる本だなと、読んでいくうちに改めて思っているところです。それぞれの過去を、博物館を通して思い出していくんですが、ちょっとしたことがこれから生きていくことに繋がっていったり、自分がすごく辛い経験をしたけれど、それもあってこその今なんだと、考えれば考えるほど内容の濃い本だなと思いました。初めに読んだときよりも印象は変わってきているなというのが、正直な感想です。

ーー先ほど壮さんが「起承転結がない」とおっしゃっていましたが、壮さんには、いろいろな役割がありますよね。考えさせられるおもしろさと、エンターテイメント的なおもしろさについては、どう感じられていますか?

壮:エンターテイメント的な作品ではあると思います。深みは観る人が感じるものだと思うし、感じさせるだけの余裕をもった作品だなと、すごく思いますね。私は、(鈴木)壮麻さんと一緒に、4人にとっての感情や思い出の起爆剤、きっかけを与える側です。それも一方的にぶつけるのではなくて、ほんのちょっと空気を揺れ動かすだけで、それを4人がそれぞれにキャッチして自分の中の物語が動き出す形になっているので、いい意味で「気楽」という言葉を使っていいかわかりませんが、責任も伴いますが、ある意味作品を動かしている的な、ちょっとした快感みたいなものは(笑)。

(一同笑)

愛加:転がされてる(笑)。

壮:そう。私だけじゃありませんが、みんな私の手のひらの上(笑)。みんなのことを操っているんじゃなくて、みんな自分の意思で動いているので、ちょっと覗き見しながらやってみたり。自分自身が楽しんでやっていけたらいいと思っています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、11月初めの時点での稽古の様子や、宝塚出身の方がひとつの作品に3人集まったこと、チーム制などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。11月27日(金)掲載予定のインタビュー「下」には、『Now. Here. This.』の楽曲や歌唱についてのお話のほか、コロナ禍でのリモートへのトライや自粛が開けてからの活動などについて考えていることも伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■壮:宝塚OGは、誰よりも修羅場に強い人種だと思うんです(笑)

■愛加:稽古場の席も遠くなので、そこに私は「壮さん!」って行っちゃう

■彩乃:ソーシャルディスタンスで稽古場の座るところがすごく点在しているんです

■彩乃:壮さんとご一緒していたときは私も下級生で、(小声で)「はいっ、はいっ」と

■壮:宝塚の人が多いとコーラスの質感が違う。歌の見せ方の質が違うなと感じます

■愛加:小此木麻里さんと同じ役同士で話して、深めていける。勉強になります

<ミュージカル『Now. Here. This.』(フレキシブルバージョン) >
【東京公演】2020年11月28日(土)~12月13日(日) 博品館劇場
【埼玉公演】2020年12月16日(水) 東松山市民文化センター
【大阪公演】2020年12月19日(土) COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール
【名古屋公演】2020年12月27日(日) ウインクあいち 大ホール
公式サイト:
https://www.nowherethis.jp/
出演:
[earth]浜中文一、木内健人、愛加あゆ、彩乃かなみ、壮一帆、鈴木壮麻
[water]浜中文一、寺西拓人(ジャニーズJr.)、小此木麻里、綿引さやか、今泉りえ、吉田要士
Book by Hunter Bell and Susan Blackwell
Music and Lyrics by Jeff Bowen
構成・訳詞・演出:西田直木、翻訳・訳詞:吉田英美、演出補:吉田要士、音楽監督:岩崎廉、振付:吉田潔
企画・製作:シーエイティプロデュース

<関連リンク>
壮一帆 オフィシャルファンクラブ「SO LUB」 
https://kazuho-so.tumblr.com
壮一帆 株式会社キューブオフシャルサイト
https://www.cubeinc.co.jp/archives/artist/sokazuho
壮一帆 公式FC SO CLUB Twitter
https://twitter.com/soclub82
彩乃かなみ オフィシャルブログ 
https://ameblo.jp/ayano-kanami-official/
彩乃かなみ * エフ・スピリット 
http://www.f-spirit.co.jp/f_artist_02ayano_03.html
愛加あゆ オフィシャルブログ 
https://ameblo.jp/manaka-ayu/
愛加あゆ | ワタナベエンターテインメント
https://www.watanabepro.co.jp/mypage/20000036/
愛加あゆ twitter 
https://twitter.com/manaka_ayu

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※ここから有料会員限定部分です。

■壮:宝塚OGは、誰よりも修羅場に強い人種だと思うんです(笑)

壮:でも、今月初日なんだよね?

愛加:そうそうそうそう!

彩乃:初日まで2週間くらいしかない。

ーー百戦錬磨のお三方だと思うので、2週間で開けるのは、よくあることでは?(笑)。

壮:そういう修羅場は強いんですよ(笑)。

(一同笑)

壮:誰よりも強い人種だと思うんです(笑)。

ーー宝塚という人種(笑)。

壮:そうです。OGという人種ですからね。

(一同笑)

ーー「OGという人種」って、すごくおもしろい表現だと思いますが、そんな宝塚出身の方が3人もひとつの作品に集まることって多くはないですよね。イベント的な作品などではあると思いますが。

3人:ないですね。

ーー壮さんと愛加さんは、退団後もびっくりするくらい共演されていますが(笑)。

彩乃:そうなんですか?

壮:3回目だから。

彩乃:え、すごい!

愛加:本当にそうなんです。ありがとうございます。

壮:だから、相手役というより、もうお互い女優同士。

愛加:私がついていってるんです(笑)。

壮:いやいや、そんなことはないけど。普通に芸談もしてるしね。ご飯食べにいって、普通に女優としてお互いに話す。

愛加:させていただいています。

彩乃:素敵!

■愛加:稽古場の席も遠くなので、そこに私は「壮さん!」って行っちゃう

壮:現役のころには、まったくなかった関係性になっています。

彩乃:このお仕事の前にリモートで壮さんとご一緒したことがあったんですよ。そこには、瀬奈(じゅん)さんもいらっしゃって、壮さんが「現役時代のみほこ(彩乃さんの愛称)とあさこ(瀬奈さんの愛称)さんのコンビの雰囲気を見ることが出来て楽しかった」っておっしゃっていたんですよ。

壮:そう。

彩乃:だから、おふたりはどうだろうと、今回すごく楽しみにしていたんです。当時と今の関係性って、どのコンビさんでも違うので、おふたりは対等というか……。

愛加:いや、そ、それはないです……!

壮:対等や!

(一同笑)

彩乃:ある意味でね。

壮:わかるよ。

彩乃:でも、みんな在団中よりもそうなると思うんですが、いい意味で気を遣いすぎない関係になっていくじゃないですか。

愛加:それは、壮さんが、そうしてくださっているからです。本当に!

彩乃:確かに。

壮:急に声のボリュームがあがった。

彩乃:(手を叩いて笑う)。

愛加:本当に。

彩乃:私もそこに入りやすいというか。現役時代は、コンビさんのおふたりがいるところに、よその者が入れない感じがあるんです。

壮:それはわかるかも。

彩乃:でも、今、おふたりはそういう感じがなくて。辞められてから何年も経っていらっしゃるので、当然かもしれませんが(笑)、それが私も楽しい。

壮:今回、絡まないしね。

愛加:そうなんです。

壮:ふたりは絡んでいるけれど。

愛加:稽古場で待っている席も、壮さんと壮麻さんが遠くに座っていらっしゃるので、そこに私は「壮さん!」って行っちゃうので、すごく邪魔だろうなって(笑)。

壮:昨日も稽古場に「おはようございます」って入ってきて、「プロテイン買ったんですけど、まずかったんですよ!」って言われて、「おお、そうかそうか」って(笑)。

(一同笑)

■彩乃:ソーシャルディスタンスで稽古場の座るところがすごく点在しているんです

愛加:何の意味もない……壮さんと話したいだけで(笑)。

壮:コミュニケーション取ってくれたんや、ありがとうって(笑)。

彩乃:かわいい(笑)。

壮:久しぶりにかわいいなって思います(笑)。

彩乃:ソーシャルディスタンスで、稽古場の座るところがすごく点在しているんですよ。

ーー普通だったら並んでいますよね。そうすると、意を決してコミュニケーションを取りにいかないといけないような。

彩乃:プロテイン(笑)。

愛加:すみません、くだらない話で(笑)。

■彩乃:壮さんとご一緒していたときは私も下級生で、(小声で)「はいっ、はいっ」と

壮:みほこは1期違いで、私がペーペーのピヨッピヨの下級生のときに、新進娘役として動き出していたんですよ。

ーー花組時代ですね。

壮:もうピンクを着て、キラキラで髪飾りをつけて。

彩乃:(爆笑)。

壮:そのみほこが今はダメージジーンズを履いて、グレーのセーターを着ていて、「みほこ、ピンク着てたやん!」って違和感を感じました。みほこが歌稽古でも足を広げてるんですよ。どこまで広がるのっていうくらい。

愛加:あの、すごい高い歌のときですよね。

彩乃:私、無意識かも。

壮:お子が産まれるのかと思って(笑)。

彩乃:(笑)。どうしよう。そんな風になってるって。もう音を出すことしか考えていないんですよね。

壮:踏ん張ってるよ。いい声出てるもん。

彩乃:壮さんとご一緒していた頃って、私も下級生の下級生で、できなかったり怒られていたりだとか、そういうことの印象の方が多分強くて、(小声で)「はいっ、はいっ」という感じ(笑)。

壮:そういうみほこしか知らない。

ーー下級生時代に組まれたことはありますか?

壮:組んではいないです。もう組むなんて恐れ多いです。

彩乃:ちょっと待ってください(笑)。

壮:だって、ヒロインだったから。

彩乃:何かでは組ませていただいた気がする……。

壮:15年以上前の話よね。

ーー2001年におふたりは、ほぼ同時期に組み替えされていますね。

壮:19年前か。最初の組み替え同期か!

愛加:そうなんですね。みほこさんが宙組にいかれたときに、壮さんは雪組ですか。

壮:あのときは割と大々的な組み替えだったんだよね。

■壮:宝塚の人が多いとコーラスの質感が違う。歌の見せ方の質が違うなと感じます

ーーそういう意味で、壮さんと彩乃さんは同じ時期を知っていらっしゃって、壮さんと愛加さんはコンビを組まれていた。OGが共演することになっても縁が深い人が共演することって多くないですよね。

壮:そうですね。制作の方が狙いはったんかな(笑)。earthチームはOG色が強いですが、waterチームは全然違いますし。

ーーチームごとにカラーは全然違うのかなと思いますが、waterチームの様子はご存知ないですか?

壮:観ています。

ーー全然違うカラーになりそうですか?

壮:すでになっていますね。

ーーどんな風に違うんでしょう?

壮:うちのチームがどういう風に見えているのかはよくわかりませんが、向こうを観ていると普通にミュージカルを観ている感じがします。宝塚の人が多いと、女子のコーラスの質感が違うと思います。

ーーどう違うんでしょう?

彩乃:音圧ですかね。

壮:音圧というか、パワフルさというか、多分歌の見せ方の質が違うなと感じますね。男子はそこまで大きな差は感じませんが。

■愛加:小此木麻里さんと同じ役同士で話して、深めていける。勉強になります

ーーちなみに、チーム制っていかがですか? 最近、多いなと思うんですが。

壮:多いですね。私は、この間の舞台もそうでした。刺激にはなりますよね。でも、これは役者側の意見ですが、稽古をもっとやりたいけど、時間的にできないというのは歯がゆいですね。仕方ないですが、お客さまにとっては2種類観られる楽しみはあるし、私たちにとっても観て刺激になるところはあるので、とても勉強になります。

彩乃:私は、すごく久しぶりのダブルで、シングルが続くと客観視して作品を見るということが、できなくなるじゃないですか。まだ、立ち稽古の頭をやったくらいなので、客観視できるところまで全然いっていないんですが、俯瞰して作品を見られる機会なのかなと思って、それを久しぶりに感じています。刺激も受けますし、いい部分として捉えようかなと思っています。

愛加:私もすごく久しぶりなので、ドキドキしていたんです。今回(小此木)麻里さんと同じ役でご一緒させていただいて、本もすごく難しいんですが、自分が「この解釈ってどうなんだろう」と思ったときに、同じ役を深めている者同士で話して、お互いに深めていける。多分、作っていくやり方によって違うと思いますが、麻里さんは疑問に思ったことをぽろっと言えるようなお人柄で、私も勉強になりますし、楽しくさせていただいています。

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“「自分と向き合う作品」、『Now. Here. This.』壮一帆・彩乃かなみ・愛加あゆ鼎談(上)” への 1 件のフィードバック

  1. はなちゃん より:

    お三人とも宝塚時代から大好きなスターさんで、今回の共演が本当に嬉しいです。
    お稽古場の様子、今回の公演に対する想い、そして変わらない「えりあゆ」のラブラブっぷり♡(笑)と、とても楽しく読ませていただきました。
    公演、本当に本当に楽しかったです!美しいお三人の舞台姿と素敵な歌声と作品のメッセージ性から、たくさんのパワーをいただいた、幸せすぎるひとときでした。

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