「涙が出なくても心が本当ならいい」、柚希礼音『マタ・ハリ』インタビュー(上)

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『マタ・ハリ』に出演する柚希礼音さんのインタビューさせて頂きました。(上)(下)に分けてお届け致します。カンパニー全体の稽古に入る前の、個別の稽古がはじまったタイミングでお話を伺いました。

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

――稽古が始まって、それまでに抱いていた印象と、今の心境の変化はいかがですか。

より地に足の着いた女性像を石丸(さち子)さんは求めていらっしゃるんだなと思いました。台本を読んだ時に、自分の中でイメージしたものはそれに近かったんです。石丸さんが描くもののほうがさらに上ですが、それを何とかはやく、自分が体感して思いっきり表現したいと思っています。石丸さんが情熱的で、一人一人に「これをやったら引き出しが増える、やりやすくなる」という材料をたくさんくださるんですよ。自分ではやっているつもりでも出来ていないことに対しては、こうしたらこういう風に見えるというやり方をたくさん教えてくださり、その情熱に感動しています。女性の演出家でこんなに勢いのある方は最高だなと思っています。まだ稽古がはじまったばかりですが、毎日色んな種をたくさんくださって、とても感動しています。

――具体的に、特に引っかかるような種はありましたか?

そうですね……。宝塚の時も色んなやり方の演出家がいました。ストレートプレイを作るような先生とご一緒した時に、「あぁ、なるほど」といつも思ったのですが、石丸さんはその方と仰ることが同じなんです。例えば、この前稽古の時に、ボロッボロに泣いたシーンがあったんです。そういうシーンは、次にやる時、ついつい人間は同じものを求めようとするので、「あの感情と同じにすればこう行けたはずだ」となぞってしまうのですが、その時点で、もうあの時とは違うからダメなんです。泣けたからいいわけでもないですし、涙が出なくても心が本当ならばいいと言ってくださって、本当にそうだなと思いました。

だから、舞台でも泣くことがメインではなく、その時に初めてあの昔を思い出していて、役の本当の心が流れていることが大事なんだと。なかなかそういうところまで突っ込んで言ってくださる方は少ないですが、「前もって言っておくけれど、次にあの場面をする時は、あれをなぞろうとしないでね」と、役者がこの後はどうしていくかということも全部、色んな経験で見てくださっているんですよね。変でもいいから、声が裏返ってもいいから、とにかく役者の思いをまず広げようとしてくれます。動きなどの外側ばかりを固めてから、後で心が成長するのを待つようなことではないですね。ですから、今のワークショップのような稽古が、10分でも、1時間でも、とても勉強になります。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ラドゥー役とアルマン役の3人について、また加藤和樹さんが反対の2役をすることについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。12日掲載予定のインタビュー「下」では、柚希さん自身が大きな変化があったという2017年について振り返ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■シュガーさん(佐藤)は癒し系、本当に良い人なんだろうな

■とんちゃん(東)は若いので、年齢設定を話し合いました

■和樹くん(加藤)はゾクッとするような目線をされるので、楽しみ

■私も本公演と新人公演で、逆の役の時は本当に難しかった

<ミュージカル『マタ・ハリ』>
【大阪公演】2018年1月21日(日)~1月28日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2018年2月3日(土)~2月18日(日) 東京国際フォーラム ホールC

<関連サイト>
梅田芸術劇場 ミュージカル『マタ・ハリ』
http://www.umegei.com/schedule/675/
ミュージカル『マタ・ハリ』」twitter
twitterhttps://twitter.com/matahari_2018
柚希礼音オフィシャルサイト
http://reon-yuzuki.jp
柚希礼音オフィシャルinstagram
https://www.instagram.com/reonyuzuki_official/?hl=ja
柚希礼音アミューズオフィシャルサイト
http://artist.amuse.co.jp/artist/yuzuki_reon/
柚希礼音 STAFF Twitter
https://twitter.com/yuzukireonstaff

<関連リンク>

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柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■シュガーさん(佐藤)は癒し系、本当に良い人なんだろうな

――楽しくて仕方ないというお顔をされてますね(笑)。

はい(笑)。

――今の稽古で、佐藤(隆紀)さんと東(啓介)さんとは少しお話をしたりする時間もあったようですが、みなさんと少しずつ交流されてみていかがですか?

シュガーさん(佐藤)は本当に癒し系です。そしてとても良い方なんだろうなと。例えば、石丸さんの話を聞いている時に、私が注意されているのを見ている表情とか、本当にそう思うんです。それをなんとか取り払ってラドゥーになるのに大苦戦されているのを見て、やはり本人と全然違う役をする時は、たくさんエネルギーが無いと飛躍できませんが、とても真摯に向き合ってる姿に、「ああ、悪い男になるんだろな」と(笑)。「こんなに良い人のシュガー様が!」と思っています(笑)。

――(笑)。

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

■とんちゃん(東)は若いので、年齢設定を話し合いました

とんちゃん(東)は若いので、年齢設定を話し合いました。私が年齢を下げてやったら、やはり説得力に欠けてしまうので。この作品のマタ・ハリは38歳という設定なのですが、稽古最初の頃の彼は本当に若くて、とても可愛い大型犬みたいな感じだったんです。結局、アルマンが大人の役作りをすることになりました。

私のなかでは、アルマンがもう少し明るい青年というイメージだったんですが、石丸さんの説明を聞いていると、こんなに屈折していたんだなと。「陽」のイメージだと勝手に思っていたのですが、やはりアルマンの過去にも、マタ・ハリと同じぐらいの過去があり、だからとても屈折した人物なんだということがわかってくると、より、マタ・ハリとしては惹かれるだろうなという気がしてきます。やはり和樹くん(加藤)と、とんちゃんは、全然違うアルマンだろうと思いますが、自分も腑に落ちるように作っていきたいと思っています。

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

■和樹くん(加藤)はゾクッとするような目線をされるので、楽しみ

――加藤さんとは、まだ一度みなさんで本読みをされただけと伺いましたが、今の稽古を踏まえて加藤さんとどう作れるか、何か思っていることはありますか。

ラドゥーは、戦争中ということもあって、兵士の責任も取らなければいけないですし、上司と兵士の間の葛藤があると思うんです。そのなかで、マタ・ハリに対する「自分が上で支配するような愛」のようなものを、どういう風に表現するんだろうと。稽古中も、シュガーさんはこういう感じだけれど、和樹くんはどうするんだろうなとか、想像は膨らませています。楽しみですね。

――秋に加藤さんと一緒に取材をされていましたよね。お二人で話されたこともあると思いますが、そのあたりの意思の疎通とかはいかがですか。

マタ・ハリという人も自分自身とは全然違いますが、稽古場ではやはりマタ・ハリとして過ごすので、取材の時のような、無邪気な二人では全然ないだろうと思います。でも、和樹くんは目線一つでゾクッとするような、とても色気のある目線をされるので、そのあたりもどうなるのか楽しみですね。アルマンの屈折した部分も、とんちゃんとは全然違うように出されるだろうなと楽しみで、早く稽古場に帰ってきてくれないかな~と思っています。

――待っている時間が長い分、そのあたりがより膨らみますね(笑)。

そうですね(笑)。

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

■私も本公演と新人公演で、逆の役の時は本当に難しかった

――宝塚時代も、柚希さんがダブルキャストをされることも、他のキャストがダブルキャストということも結構あったと思いますが、今回相手役がダブルキャストというのはいかがですか? シングル同士でやる時との違いはありますか?

ダブルキャストの方々も、お互いがお互いにちゃんとプライドを持ちつつ、でも切磋琢磨をして、良いところを持ちつつちゃんとやるという感じですね。やはり二人いると、どんどん良くなる様子をよく見かけます。一人だったら自分と演出家の方で最大限のところを作ると思いますが、自分だったら想像もつかないセリフの言い方をする同じ役の人がいると、全体的に活気が出て、みんなで切磋琢磨出来るのかなと思っています。

――混乱したりしませんか。稽古場だと場面を繰り返すごとに相手が変わっていくこともありますよね。

でも、和樹くんが一番混乱すると思う(笑)。

――加藤さんにインタビューした際も、ゼッケンをつけようかなと仰ってました(笑)。

私も新人公演で同じような経験をしました。昼の本公演と、夜の新人公演で、逆の役をやった時は本当に難しかったです。二人だけの芝居のシーンとかがあるじゃないですか。あやうく、どっちのセリフも言いそうになってしまうんです。あれを毎日するのかと思うと……。

――なるほど(笑)。お気持ちがわかるんですね。

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

柚希礼音さん=撮影・岩村美佳

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“「涙が出なくても心が本当ならいい」、柚希礼音『マタ・ハリ』インタビュー(上)” への 4 件のフィードバック

  1. m より:

    物腰は柔らかく、いつもの柚希さんの口調で語られる言葉の奥に、この作品との向き合い方、強い意思と決意を感じました。掲載されているお写真も可愛らしかったり、凛としていたり、シリアスだったり、色々な表情をされる柚希さんがマタハリへと変化していく様を楽しみに観劇させていただきたいと思います。素敵なインタビュー、お写真をありがとうございました。

  2. momo より:

    柚希礼音さん、この作品で完全に女優に脱皮するのだろうと期待が高まっています。
    お稽古場で感じた生の思いを拾っていただいてありがとうございます。

  3. まめ より:

    会員登録してよかった!と思える、読みごたえのある記事でした。公演まであと少しですが、マタ・ハリに挑む柚希さんにとても期待しているので、ますます楽しみになりました。

  4. yuki より:

    公演が始まる迄は、どんな舞台なのか?どの程度お稽古が進んでいるのかとても気になるのですが、それを知るすべがないので、お稽古中のインタビューは、とても嬉しく、どの様な舞台かワクワクしながら想像して、益々舞台が楽しみになるので、とても嬉しく思います。今後も色々なインタビューを楽しみにしてます。よろしくお願いします。

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