YouTubeで学ぶ英語:(5)Happiness from Bhutan

写真家の関健作さんは、2007年から3年間、青年海外協力隊員としてブータンで体育の先生をしていました。体育を指導するかたわら、ブータンの人々の笑顔に魅せられて写真を撮っていくうち、関さんはフォトグラファーの道を歩むことに。今回は、そんな関さんの動画をご紹介します。「世界一幸福な国」と言われるブータンは、経済活動の水準を示す国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)ではなく国民総幸福量(GN­H:Gross National Happiness)という指標の増加を目指している国なのです。ブータンの子どもたちに、関さんはこんな質問をしてみました。「あなたにとって幸せとは何ですか?」

ゆったりと響く馬頭琴の音楽と、子どもたちの素敵な表情だけでも十分伝わってくるのですが、英語も聞き取ってみて下さい。

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サンゲ・ノルブくんが考える幸せとは?

I think my happiness is when the parents are not fighting. ぼくが幸せなのは両親がケンカしていないときです。

ジミ・レクシ・ヤンゾンさん

I feel happy when my old teachers come to meet us. And I feel happy  when our parents are happy. 昔の先生が会いにきてくれるとき、幸せを感じます。親が幸せなとき、私も幸せです。

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ウゲン・ツォモさん

I feel happy when I meet my old friends and when my birthday comes. 古い友だちに会うときと、自分の誕生日が来たとき、幸せを感じます。

お金や物を手に入れることではなく、周りの人が幸せだったり、友人や仲間と触れ合うことが幸せだと感じる子どもたちに、心が温まります。関さんが、講演の中でブータンでの経験を話されたとき、印象に残ったことがあります。ウゲンさんも、幸せは When my birthday comes と言っていますが、関さんのところに「先生、飴をもらって下さい」とある日生徒が来たそうです。「どうして?」と聞くと、その日が誕生日だからと答えた子ども。ブータンでは、誕生日は自分が生まれたことに感謝する日、お世話になっているまわりの人に感謝する日なのだそうです。ブータンの文化に尊敬の念を深めたと、関さんは話されました。

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シェラップ・ドルジさん

When I’m happy, that’s happiness and others are happy, that’s also happiness for me. ぼくが幸せな時が幸せ。他の人が幸せな時も、ぼくの幸せ。

ドルジ・ワンチュクさんの言葉を聞き取ってみましょう。

My happiness is ……I’m very happy to be born in this very (          ) and very (              ) Bhutan, a land of (                ) (                )

このとても美しくて、とても平和な国ブータンに生まれたことが幸せです。雷龍の国、ブータンに。

My happiness is ……I’m very happy to be born in this very  beautiful and very peaceful Bhutan, a land of thunder dragon. 

ビシュヌ・ライさんはどう言っているでしょう。

My happiness is when my mother (        ) me a (         ) to the world, in this beautiful world.  私の幸せは、お母さんが私を生んでくれたことです。この美しい世界に。

My happiness is when my mother gave me a birth to the world, in this beautiful world.

ビシュヌさんの「give me a birth  生んでもらった」という言い方よりも、give birth to me の方が慣用的で、よく耳にする表現だと思います。それと、不定冠詞 a は使わないことが多いです。give という動詞は目的語を二つ取れる他動詞なのですが、give +somebody(人) +something (物)は、プレゼントをもらうときの言い方、 例えばMy mother gave me a doll. 「お母さんがに私に人形をくれた」などで使われる語順です。ただし、この語順でも「生んでもらった」を、My mother gave me life 「お母さんが私に命を与えてくれた」と表現することは可能です。

とはいえ、ビシュヌさんの英語は十分通じるし、立派なもの。簡単な単語ですが、言いたいことをちゃんと伝えられて、コミュニケーションの能力がとても高いと思いました。12~3歳の少年少女たちが、自分のことよりも他の人のことを思う気持ちを英語で表現していることに感動しました。ブータンの教育理念は「良い人を育てること」なのだそうです。そして、ブータンの人が考える良い人とは、「人の幸せを自分の幸せと思える人」だとか。学びたいことがたくさんある国、ブータン。いつか必ず訪ねてみたい国になりました。

関健作さんのホームページはこちらです。美しい写真をぜひご覧ください→ http://www.kensakuseki-photoworks.com/

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2015年10月3日~4日、毎年恒例のイベント「かっこちゃんと遊んで学ぼうin岐阜羽島」が開催されました。そこに、講師のひとりとして関健作さんが招かれ、参加していた筆者も関さんの面白いお話を堪能したというわけです。関さんが沢山のことを学んだ魅力的な国ブータン、その中から特にこの3つを選んで「ブータンの幸せレシピ」を教えてくれました。(イベントの模様や、かっこちゃんこと山元加津子さんのブータン旅行に関してはこちらをご覧ください→https://www.facebook.com/katsuko.yamamoto?fref=ts

「辛い!」世界一辛いブータン料理

「視点を変える」

「周りを幸せにする」

「辛い!」世界一辛いブータン料理

ブータンで最もよく食べられている料理のひとつが、「唐辛子のチーズ煮込み」、大量の唐辛子にチーズと塩と少しの水を入れて煮込んだ料理。チーズで辛さがマイルドになるかと思いきや、やっぱり「熱い、痛い」と感じるほどの辛さなんだそうです。ブータンの人は、世界一唐辛子を料理に使う人たちだとか。関さんも、生徒が「先生、買ってよ」と売りにくる唐辛子を毎日買って、帰国するまでお腹は下痢気味だったということでした。

「視点を変える」

ずっと陸上競技をやってきた体育会系の関さんも、周りのアスリートたちも、「今日よりも明日、明日よりも明後日、成長していきたい」と努力することが大切だと考えていました。そんな関さんが体育の先生になったばかりの頃は、ブータンの人たちの、「このままでいいよ、カリカリすんなよ」というのんびりとした生き方、考え方とぶつかってうまくいかなかったと言います。自分の正しいと思うやり方を押し付けてしまったからだと気がついて、まずはブータンのことをもっと知ろうとした関さん。視点を変えて、上記の激辛ブータン料理を食べ、英語をやめてゾンカ語(ブータン語)を学んだところ、「ブータン人化してしまった日本人」としてブータンのテレビ番組に出るくらいになったそうです。そうしたら、うまくいっていなかったブータンの人との関係もどんどん良くなり、体育の授業もみんなが協力してくれるようになったのでした。「自分の視点も大事だけれど、周りの視点を受け入れることが大事だとブータンの人から教わったんですね」と関さんは言います。

「周りを幸せにする」

ブータンでは学校に行くと、まずお祈りの時間があるそうです。朝、お祈りし、国語の時間や道徳の時間には仏教について学ぶ。「人はどう生きるべきか、どうしたら幸せになれるのか」ということを学校で教えるブータン。そんなブータンの教育目標は「いい人を育てること」です。(ちなみに日本の教育目標は、「生きる力を育む」だそうです)仏教の教えが大きいと思われますが、「他の人の幸せを自分の幸せと思える人が良い人」だと、教育省のトップの人がズバリと答えられたそうです。他の人の幸せを、毎日毎日祈って、そうやって祈れることが幸せだと話す人がたくさんいる国、ブータン。

以前、朝日新聞で紹介されたブータンの算数の文章題はこんなものでした。「4個の卵のうち2個盗まれた。残りは何個?」と問うのはダメで「男性が4頭の牛を飼っていた。心優しい人だったので、生活に困っている娘に2頭を譲った。残りは何頭?」という風に教えるのだそうです。

関さんが考える幸せのレシピが詰まった動画、「Happiness from Bhutan」、何度見ても心洗われる美しい映像です。ご覧になったみなさんにも本当の幸せが訪れますように。

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