ミュージカル『17 AGAIN』が、2021年5月16日（日）から6月6日（日）まで、東京建物 Brillia HALLにて、その後、兵庫、鳥栖、広島、名古屋で上演されます。「セブンティーン・アゲイン」（原題：17 AGAIN）は、アメリカで製作されたコメディ映画で、「ハイスクール・ミュージカル」シリーズのザック・エフロンが主演し、全米では2009年4月17日に公開され全米初登場1位を記録しました。（日本では同年5月16日公開）その後、映画会社主導によりミュージカル化されました。負け組として、人生を甘んじて受け入れていた35歳の男が、バスケットボールのスター選手だった17歳の頃の姿に戻り、もう一度人生をやり直そうと奮起する姿を描いたコメディー・ドラマです。

出演は、今回が初舞台となる竹内涼真さんをはじめ、ソニンさん、エハラマサヒロさん、桜井日奈子さん、福澤希空（WATWING）さん、有澤樟太郎さん、水夏希さんなど、様々なバックグランドを持つ実力派キャストが集結しました。翻訳・演出を手掛けるのは谷賢一さん。エネルギッシュなポップ・ロック曲に乗せたエンターテイメント作品です。アイデアニュースでは、いじめっ子のスタン役を演じる有澤樟太郎さんに、2020年11月末に行われた製作発表後にインタビューしました。2020年春に有澤さんがベルナルド役で出演予定だったものの開幕直前に上演中止になった『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3についてのお話も伺いました。上、下に分けてお届けします。

ーー『17 AGAIN』への出演が決まったときは、どんな印象でしたか？

どうして僕をキャスティングしていただいたのか驚きもありましたが、素直に嬉しかったですし、確実に盛り上がる作品になるなと思うのと同時に、頑張らないといけないという責任も感じました。

ーーこの映画は観たことがありましたか？

公開当時は観たことがありませんでしたが、ザック・エフロンが主演のミュージカル映画だと、タイトルは知っていました。僕はザック・エフロンが好きでしたし、ザック・エフロンが主演した『ハイスクール・ミュージカル』を文化祭でやったりする世代でしたから。スタン役をやるんだと、知った上で映画を観ましたが、改めて出演したいなと思いました。スタンは、結構自分と遠い存在だからこそ、その人物に対してリスペクトもあるので、演じる上ではすごく楽しい役だろうなと思っています。

ーー『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3のベルナルド、『17 AGAIN』のスタンと、敵役が続いてキャスティングされているというのは、ご自身でどう思っていますか？

結構、そちら側を演じることが多いんですよ。親友などの仲間内よりも、敵役が多く、割と楽しさを感じていますね。最初は自分とかけ離れているから割り切って演じていたんですが、最近はその役に対して、自分と共通している部分があるなと思うこともあります。

ーーこの人なりに考えているから、こういう行動になるみたいな。

だから、役作りをするときは、すごく楽しいですね。ベルナルドやスタンという敵役は、本当に演じがいのある、役作りのしがいがあるキャラクターだと思います。

ーーちなみに、ご自身とかけ離れた役を演じるときに、どこからアプローチするんですか？

まずは絶対的に殻をやぶらないといけないので、そういうリミッターみたいなものを解除していく。そこさえ、乗り越えられれば、あとはなんでもできちゃいます。なので、読み合わせから緊張しますね。まずは、リミッターを自分で外して、やっていくことからですね。あとは、こういう役に対して、どれだけ自分が偏見を入れられるか。例えば、不良だったら不良に対する自分の偏見を、どれだけ役に入れられるか。今でこそ演じてはいますが、僕は不良とかが苦手だったので。

ーーそうなんですか？

何に対しても反抗することが「カッコ悪いじゃん！」って思っていたんです。でも最近は、いろいろあるよなと思うようになりました。理由がちゃんとあるんですよね。そうならざるをえなかった人たちもいますし、もちろん影響されやすい人が悪い人の影響を受けて、そうなってしまうケースもありますが、男がかっこいいと思うものは、みんなそれぞれだと思うんです。でも不良がかっこいいと思うものが、かっこいいなと思うようになってきちゃって（笑）。

ーー（笑）。感化されてきたんですか。

いろいろなことに対して詳しかったりするんですよね。ヒップホップの文化だったり、ストリートの文化だったり。だから、人生を楽しんでいるんだろうなと思って。逆に、僕の学生時代は平凡な日常を、平凡なりに謳歌していたんですが、その人達なりの狭いコミュニティではありますが、その中で好きなものを極めているイメージがあって、今は羨ましいですね。何も趣味がないよりも。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、スタン役についての話の続きのほか、共演者に会っての印象などについて伺ったほか、『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3の稽古で感じたことや、ミュージカル『刀剣乱舞』などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2月19日（金）掲載予定のインタビュー「下」では、初めてミュージカルを観た時のことや、ミュージカル独特の役作りについてのほか、2020年を振り返っての今の想いなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

＜有料会員限定部分の小見出し＞

■『17 AGAIN』のスタンは、芯があるのか、ないのか。逆にすごいなと思います

■（共演者は）明るく、その上でストイックな方ばかりで、メリハリがしっかりしそう

■自分から仕掛けて、頭をフル回転させて稽古した『ウエスト・サイド・ストーリー』

■経験を経て、ミュージカル『刀剣乱舞』でも役はもっと深まるなと思いました

＜ミュージカル『17 AGAIN』＞
【東京公演】2021年5月16日（日）～6月6日（日）　東京建物Brillia HALL
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/17again2021/

＜関連リンク＞
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■『17 AGAIN』のスタンは、芯があるのか、ないのか。逆にすごいなと思います

ーーベルナルドは、まさにその筆頭で、あの狭いコミュニティの中のリーダーですよね。

そうなんです。だから、今回のスタンも楽しくて。今回はグループという感じではありませんが、ハイスクールの華やかなキングで、いじめっ子という感じなので、またどう演じるか。

ーースタンのいじめる理由や背景は、もう見えてきているんですか？

そうですね。「こういうヤツいるな」と。嫌なヤツというか。芯があるのかないのか、ちゃらんぽらんで、逆にすごいなと思います。

ーーお話を伺っていて、色濃い役をキャスティングしたくなる理由がなんとなく分かりました。今日初めて取材させていただきましたが、有澤さんの写真などを拝見してみると、かわいらしい写真も結構多いじゃないですか。

そうですね。

ーーブログなどの有澤さんご自身が発信するものを拝見しても、強いビビットな印象ではないと思ったのですが、撮影でレンズを覗いたら「強いな」と思ったんですよ。

ありがとうございます。

ーーあまり聞くことはないのですが、どういう気持ちで撮られていたんですか？

このスタンのビジュアルで、一度ビジュアル撮影もしていますし、こういう風にと求められているものが、そのときに結構はっきりしていたんです。今回もそのときの衣裳なので。

ーースタンの、そのときの印象が残っている感じですか？

そうですね。ヘアメイクさんも、すごくこだわって、やってくださっていますし、衣装さんもその役に見えるように、作ってくださるので、やはりそういう外見になると、自分のスイッチが入ります。容姿もモチベーションになるので、僕はすごく楽しいですね。

ーー普段とのギャップを楽しんで役を作っているような。

そうですね。普段の自分を撮影してもらうよりも、役になって撮る方が僕は好きかもしれないですね。

ーー撮影でも演じている。

そうですね。

■（共演者は）明るく、その上でストイックな方ばかりで、メリハリがしっかりしそう

ーー共演者の皆さんにお会いになって、印象はいかがでしたか？

明るい人が多いので、絶対におもしろいなと思っています。楽屋でも、話がすごく盛り上がっていましたし、その上でストイックな方ばかりなので、メリハリがしっかりしそうな現場だなと思いました。今日、竹内さんのパフォーマンスを見せていただきましたが、熱いなと思いました。エネルギッシュで、やはりミュージカルを観ている人も胸を打たれると思うので、竹内さんを筆頭にそういう作品になるんだなと、すごく希望が見えて楽しみになりました。

ーー今、明るい作品っていいですよね。

そうですね。目標を決めすぎず、行けるところまで行っちゃうみたいな（笑）。リミッターがない感じがいいなと思います。

ーー先ほども「自分のリミッターを外して」というお話をされていましたが、「リミッター」がテーマですか？

はい。みんなが限界突破していけるような現場になればいいかなと思います。「僕、どうなっちゃうんだ」というくらい、やれたらいいなと思います。やはり青春もので、年齢がテーマなので、ぶち上がっていきたいなと思いました。

ーー演出の谷さんとは、なにかお話されましたか？

谷さんとは、この作品の出演が決まる前にお話をさせていただきました。

ーーどんなお話をされましたか？

そのときは、台本を用意されていて、その台本を読むときに「スタンはこういう風に読んでください」と、いろいろ要望を頂いて、これは絶対楽しいなと。

ーーコミュニケーションは、まだ取れていないということですね。

そうですね。やはり演出家の方は、日常のコミュニケーションと演出卓に座ったときのギャップが、皆さんすごいじゃないですか。だから、お芝居モードになったときに、どうなるんだろうと。だから、僕もなんでも言ってもらえるように殻を破っていきたいなと思います。まず、言われるところまでには行きたいなと思いますね。

■自分から仕掛けて、頭をフル回転させて稽古した『ウエスト・サイド・ストーリー』

ーー『ウエスト・サイド・ストーリー』は上演直前まで稽古されて、経験としては、今までとまた違うものだったかと思います。ミュージカルで活躍されているキャストの皆さんが揃っている現場を経て、今回もまた新しい現場ですよね。2.5次元は同世代が多いと思うんですが、そこは、変わりますか？

変わりますね。やはり油断も隙もないというか。割と、2.5次元は仲間内で一緒になったりすることが多くて、僕もコミュニケーションを普段からよくとる方なんです。2.5次元も熱い子が多いので、やっていてすごく影響されることもありますが、『ウエスト・サイド・ストーリー』をやって思ったのが、受け身の人がひとりもいないなと。もう全員がアグレッシブで、なんだったら、ちょっと噛みつくくらいの自分を持っている。それが作品にとって大きく影響してくるんです。作品自体がギャングたちの話だったので。そういう現場がすごく新鮮で、僕も感化されて、受け身じゃいけないなと思いました。どんどん自分から仕掛けて、頭をフル回転させて稽古をやっていたので、もう本当に楽しくて。その作品が上演できなかったのは、すごく残念ですが、良くいえば幻の作品になったのかなと（笑）。

ーー確かに。

「上演できなかったけど、すごかったらしいよ」というお話も頂くので（笑）。僕はこの現場を経験できたことが何よりの収穫だったので、いつかまたできる機会があれば、やりたいなと思います。先ほどもソニンさんに、「もしやる機会があったらベルナルド絶対やってよ」と声をかけていただいたんです。「私は年齢的に絶対無理だから」って。

ーー有澤さんと木村（達成）さんは可能性が高いかもしれませんね。

それくらいにパワフルな現場でした。今日の製作発表での竹内さんを見て、『17 AGAIN』もそういう現場になると確信したので、すごく楽しんでやれたらと思っています。

■経験を経て、ミュージカル『刀剣乱舞』でも役はもっと深まるなと思いました

ーー私はグランドミュージカルと言われる作品の取材や観劇をすることが多いのですが、2.5次元作品では同世代の方々がたくさんいますよね。皆さんそれぞれに、作品ジャンルを超えて、活躍の場を広げていますが、ご自身では今どういう風に思っていますか？

2.5次元は自分の活躍の場を広げてくれたコンテンツだと思っています。ありがたいですし、感謝していています。自分が見てこられなかったいろいろな世界を見せてもらい、自分が携わっている中で、もっと世界に行けるコンテンツだと思っているので、さらに広げていきたいと、そう意気込んでやってきました。そして、『ウエスト・サイド・ストーリー』という世界的な作品に携わりました。根本のお芝居というところでは何も変わりませんが、実際に自分が客席で観ていて胸を打たれる作品は、グランドミュージカル系が多いかもしれません。

ーーキャラクターではなく、より人間を生きるような。

ベルナルドをやっているときに、その人のことを考える時間が、すごく楽しくて。きっとこういう人がモデルになっているんだろうなと考えながら演じて、毎回いろいろな発見があって、すごく刺激を受けたんです。2.5次元では、役に対しての掘り下げ方が全然違っていたので。

ーー今、ミュージカル『刀剣乱舞』を上演中ですよね（2020年11月時）。『ウエスト・サイド・ストーリー』を経て戻ってきたら、違いましたか？

やはり『刀剣乱舞』でも、役のことについてもっと深く掘り下げるようになりました。別の作品などで達成君や身近な人が、今さらに活躍していて、すごく刺激は受けています。そういう意味では、後を追いたい気持ちも、自分は自分で新しい道を切り開きたい気持ちもあります。どちらにせよ、そういう思いにさせてくれたのはやっぱり『ウエスト・サイド・ストーリー』です。

ーーしっかり稽古ができたのは、大きい収穫でしたね。

そうなんですよ。上演できなかったから残念と言われることもありますが、僕としては、大きい収穫でした。

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