2022年3月31日(木)から5月8日(日)まで東急シアターオーブで(プレビュー公演あり)、5月20日(金)から6月6日(月)まで梅田芸術劇場メインホールで上演される、ミュージカル『メリー・ポピンズ』に、初演に続きメリー・ポピンズ役で出演される濱田めぐみさんのインタビュー後編です。「下」では、今回のカンパニーや演出のこと、メリーの演出で変化を感じるところと感じないところ、大貫勇輔さんと小野田龍之介さんそれぞれが演じるバートの違い、海外チームとのお仕事について、ご自身の中で『メリー・ポピンズ』という作品がどのような存在なのかなどについて話してくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは、2月中旬に実施しました)
――今回のカンパニーは、どのような雰囲気でしょうか?
初演メンバーが8割ほどいるのですが、みんな一斉に口を揃えて言うのが「4年ってやっぱり大きいね」ということです。スタッフさんも、演出家も、メンバーもほとんど変わらないのですが、みんなで一斉に4年歳を取るわけじゃないですか。やっぱり4年前って若かったんだねという感覚です。
でも、その分熟成されて、落ち着きがあって、懐が深くて、余裕があるというのでしょうか。前回は初演を成功させなきゃいけないという任務に駆られて、ある意味みんな前のめりでやっていたところを、今回はいかにいい状態で初日に持っていくかをコントロールしています。
大ナンバーが終わった瞬間に、いたるところで「4年って大きいよね」と合言葉みたいに言っています。その分、同じ釜の飯を食べて、大きな山を登ってきた仲間なので、信頼関係もありますし、新しく入ってきたメンバーにも、丁寧に「ここが大変だよ」などと率先して伝えています。その時点で、いいカンパニーですよね。からっとして、さっぱりしています。
――演出家やクリエイターチームからのリクエストで、印象に残っていることはありますか?
初演の時は、格式や当時のイギリスの階級制度など、メリーが子守り役として来た時の、家の中のパワーバランスが、かっちりと分かれていました。
お父さんのジョージ、お母さんのウィニフレッド、そして子供たち。そしてメリーがいて、ミセス・ブリルがいて、ロバートソン・アイがいるという序列が、舞台を見ながら、視覚的にもわかるように演出されていました。
今回は、より人間的な方向に、演出が解かれている部分があるなと思いました。例えば、正面を向いてしゃべることが多かった人が、互いを見合いながらしゃべるなど、格式や形よりも、人と人との関わりをとても深く掘り下げて見せようとしているのかなと。
――変更の意図は、演出家から伝えられましたか?
「ウィニフレッドの気持ちの流れも分かるように演じてほしいから、こういう風に変えた」などの、説明はありました。お芝居の部分に特化して、深めていこうと思われたのかもしれません。演出のJPさんが「前々から思ってたんだけどね」ということを今回全部試していらっしゃるみたいですね。
――前回は作り上げることが最優先で、今回はその次の段階に入っているということですね。
初演では、稽古の後半戦に『メリー・ポピンズ』の元々の演出家であるジェームズさんがいらして稽古をつけられ、さらに、キャメロンさんからの要望がゲネプロのラストの日にあった上で、初日を迎えました。
今回はJPさんが、全部一人でされていて「自分がもっと掘り下げてやりたいと思っていたところを、分かりやすく具体的にやらせてもらっている」とおっしゃっていました。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、メリーの演出で変化を感じるところと感じないところ、大貫勇輔さんと小野田龍之介さんそれぞれが演じるバートの違い、海外チームとのお仕事について、ご自身の中で『メリー・ポピンズ』という作品がどのような存在なのかなどについて話してくださった内容、お客さまへのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「そのラインに行かないとメリーじゃない」と。メリーの演出は、世界共通
■バートは真逆。「平気平気!」の大貫くんと「男は大変だよな」の小野田くん
■言葉が通じないほうが、演出の本当の意味を汲み取れると感じることも
■次の日の一歩をみんなで踏み出せるように。メリーさんが魔法を持って帰ってきます
<ミュージカル『メリー・ポピンズ』>
【東京公演】プレビュー公演:2022年3月24日(木)~3月30日(水)
本公演:2022年3月31日(木)~5月8日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2022年5月20(金)~6月6日(月) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/marypoppins2022/
https://marypoppins2022.jp/
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■「そのラインに行かないとメリーじゃない」と。メリーの演出は、世界共通
――より人間的なものが、さらに見えてきそうですね。
特にバンクス家のシーンでは、それを目指している節はありますね。お父さんとお母さんの交流も、もっと丁寧に、リアルに。「なぜジョージがそれを言おうとしたか」などを、長い時間をかけて細かく稽古しています。
――メリーに対しても、何か違いを感じられますか?
メリーは世界共通なので、ある程度のラインは変わらないんですね。でも「絶対にそのラインに行かないとメリーじゃない」というところがあって、演出も動きもそこに全部関連しています。
私自身は、メリーとしての大きな変化は感じませんが、今回、ウィニフレッドが変わっているので、その受けでメリーが前回と変わるところはあります。あと大きいのは、バートとの関係性がちょっと変化したというところですね。(笹本)玲奈ちゃんは初めてなので、「こういう感じで、こういう風に」と演出が入っています。
■バートは真逆。「平気平気!」の大貫くんと「男は大変だよな」の小野田くん
――おふたりのバートに、違いはありますか?
全然違いますよ。真逆です。アプローチの仕方も違うと思います。バートという役の積み上げ方が逆なのだと思います。
――真逆のバートとなると、それぞれへの気持ちの持って行き方なども違うものですか?
心に響く観点が違いますね。それぞれのバートが、台詞の中で要だと思っている部分が違うので、メリーの反応も変わります。でも、不思議とバートはバートなんですよね。
――大貫勇輔さんと小野田龍之介さんのバート、それぞれ具体的に印象に残っていることはありますか?
ジョージに対して、明るく「大丈夫だよ、心配しなくていいよ!そんなこと全然平気平気!ぽんぽん」というテイストで攻めてくるのが大貫くんで、一緒に寄り添って「男は大変だよな。酒でも飲みながら話聞くよ」というのが小野田くんかな(笑)。
――おふたりらしさが出ていそうな感じで、どちらの寄り添い方もいいですね。
どちらもありなんですよ。ジョージ役の役者さんの返し方も違ってくるので、なかなか面白いですよ。
■言葉が通じないほうが、演出の本当の意味を汲み取れると感じることも
――『メリー・ポピンズ』以外にも海外チームとお仕事することがおありだと思いますが、日本チームとここが違う、面白い、難しいと思うことはありますか?
逆に言葉が通じないほうが、頭を使わない分、何を言わんとしているかが伝わり、演出の本当の意味を汲み取れるところがあると感じます。相手に分かってほしいと思って、一生懸命におっしゃっていることを汲み取りやすいんですよね。そこには嘘がないですから。
日本語は共通言語なので、言葉が耳に入って来て、脳が勝手に処理してしまうと、違う意味にとってしまっていても、「ちゃんと意味を汲み取っている」と勘違いしていることが多いんです。英語などの分からない言語だと、それは絶対にあり得ないんですよね。「分かった?」と何度も聞かれるので、そこできちんと確認してから次に進む。
彼らも自分の母国語じゃない人たちと交流することに慣れていますので、風通しがいいですよね。必要なこと以外は「お互いに仲よく頑張ろう」という気持ちなので、気が楽です。
――必要なことだけに、集中できそうですね。
英語でもあらかた分かってしまいますが、聞こうとしなければわからないじゃないですか。でも日本語だと全部分かってしまいますから、頭がパニックになるんですが、それはお互いにそうだと思います。
演出家も私たちに日本語をしゃべられても、何も気にしていないですし、自分の世界観の中で仕事をします。こちらも向こうが英語でまくし立てても、全然気にしません。だから集中もできますし、私はそういうタイプの演出が好きです。
■次の日の一歩をみんなで踏み出せるように。メリーさんが魔法を持って帰ってきます
――これまでに、濱田さんが出演された作品は、たくさんありますが、その中でこの『メリー・ポピンズ』はご自身の中でどんな存在になっていますか?
自分の今までの歴史の中で大きいのは『アイーダ』『ウィキッド』で、次に来るのは『メリー・ポピンズ』ですね。三本柱ですね。
――あれほどのご出演作の中からの三本柱に入るというのは、すごいですね。
役との寄り添い方など、フィットする感じがするんです。少なくとも5本の指に入りますね。ただ、あとの2本が何の作品かと聞かれると、分からないのですが。
――最後に、読者の方に伝えたいメッセージをお願いします。
4年の歳月を経て、メリーさんが空から舞い降りてきます。コロナ禍でしんどかった時期もありましたが、皆さんにお元気になってほしくて、メリーさんが魔法を持って帰ってきますので、ぜひメリー・ポピンズの仲間たちに会いに来てください。次の日の一歩をみんなで踏み出せるように、同じ空間を分かち合いたいと思いますので、劇場でお待ちしています。
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バートの違いが読んでいて面白くにやけてしまいました。両バート観たいなと思ってしまいました。インタビューを読んでとても幸せな気分になりましたし、メリーさんにすぐにでも会いたくなりました。メリーさんを好きになる理由が分かった気がします。
是非、開幕後のメリー・ポピンズの舞台記事も掲載してくださると幸いです。
今いちばん楽しみなことが、メリーポピンズの観劇です。
様々なことが起きていて、息苦しさや悲しみを感じることが多い今だからこそ、背中を押してくれるようなメリーさんの一言、明るくて幸せを感じることができる作品が必要だと思います。
大好きなめぐさん、大好きなメリーポピンズの世界、ワクワクしながら開幕を待ってます!