男子生徒による本格的な舞台芸術、カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

清く正しくヅカ男子 (5)】

2016年10月8日(土)は、日本で初めて3つの「エリザベート」が上演された記念すべき日になりました。東京宝塚劇場では9月9日から、宝塚歌劇団が宙組公演「エリザベート ~愛と死の輪舞~」を上演中(10月16日まで)。名古屋では、10月8日に東宝版「エリザベート」が中日劇場の初日を迎えました(10月23日まで)。そして同じく10月8日、名古屋の東海高校・中学では、男子生徒だけでタカラヅカを演じるカヅラカタ歌劇団が、第14期公演として「エリザベート」を上演しました。アイデアニュースでは、カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演の様子を詳しく取材させていただくことができましたので、レポートします。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団は、国公立大学医学部合格者数が9年連続日本一(2016年現在)の進学校、東海高校(名古屋市東区)で、2003年に生徒たちの発案により、久田光政先生を顧問に記念祭(文化祭)の企画として始まりました。初演は「ベルサイユのばら ~オスカル編~」。翌年にも「ベルサイユのばら ~フェルゼンとマリー・アントワネット編~」が続演され、記念祭の企画として定期公演が続けられるようになりました。

<カヅラカタ歌劇団上演史(「第14期公演・エリザベート」公演パンフレットより)>
1期2003年 ベルサイユのばら ~オスカル編~
2期2004年 ベルサイユのばら ~フェルゼンとマリー・アントワネット編~
3期2005年 風と共に去りぬ
4期2006年 ベルサイユのばら ~オスカル編~
5期2007年 ファントム
6期2008年 エリザベート ~愛と死の輪舞~
7期2009年 ベルサイユのばら ~オスカル編~
8期2010年 スカーレット・ピンパーネル
9期2011年 ファントム
10期2012年 エリザベート ~愛と死の輪舞~
11期2013年 ロミオとジュリエット
12期2014年 眠らない男・ナポレオン ~愛と栄光の涯に~
13期2015年 (新人公演「ゴールドスパーク」)
「維新回天・竜馬伝!」「Joyfull!!」
14期2016年 (新人公演「Shining Rhythm」)
「エリザベート ~愛と死の輪舞~」

■衣裳は貸衣装店から頂いたドレスをベースに、保護者がアレンジ

カヅラカタ歌劇団の公演は、宝塚歌劇団の舞台を模倣して作られます。団員は私立の男子校である東海高校と東海中学の生徒。本場タカラヅカが「女性」だけの舞台なのに対して、カヅラカタ歌劇団では男子高校生と中学生という「男性」だけの舞台になるので、「タカラヅカ」を反対から読んで「カヅラカタ」歌劇団と呼称しています。

衣装は貸衣装店から頂いたドレスをベースに、保護者がアレンジ。本番では専門家の協力も得てメイクを施し、小道具やフィナーレで手に持つ【シャンシャン】も手作りで作製します。クオリティーが高いと評判の公演パンフレット作成には、河合塾のデザイナーとカメラマンが協力しています。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演パンフレットより

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演パンフレットより

■楽譜は耳コピーで採譜し、東海学園交響楽団が生演奏。「銀橋」も設置

台本は宝塚歌劇団の公式誌とDVDから起こします。楽譜は全て宝塚歌劇団の公演DVDから耳コピーで採譜。演奏は、本編の多くが東海学園交響楽団(オーケストラ)の生演奏。音響や照明、視聴覚室でのサテライト上映には、名古屋工学院専門学校の生徒が協力し、本格的機材を使って行われます。

会場となった講堂には、舞台の前にオーケストラが配置され、オーケストラボックスを取り囲むように【銀橋】(エプロンステージ)まで設置される再現度の高さ!

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■入場無料。制作費はクラブ予算や寄付などで賄い、「お金をかけない」工夫を随所に

公演には毎回、一目見たいという観客が殺到し、応募多数で抽選。本場タカラヅカ並みに立見指定席にまで観客が押し寄せ、それでも外れた場合は視聴覚室でサテライト鑑賞というスゴさ。手作り感満載!それでいて超本格的なレベル。今では東海高校・東海中学を代表する活動の一つになっています。

入場は無料で、制作費は学校のクラブ予算、団員の団費(月2000円)、パンフレット(300円)の収益、寄付で賄っています。群舞の服は学生服の改造で、フランツ(皇帝)の衣装も黒いものは元は学生服。「100均」を頼りに「いかにお金をかけずに作ることができるか」を工夫しています。

もちろん中高校生ゆえの、時間がないゆえの足りない点もあります。プロの舞台興行と比較すれば百点満点の出来とまでは言えませんが、今回は「男子中高校生がタカラヅカを演じる」という興味本位な観点ではなく、「中高校生が創る一個の独立した舞台芸術を批評する」という観点からカヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演の様子を紹介したいと思います。

<東海高校カヅラカタ歌劇団 海組 第14期公演>
「エリザベート ~愛と死の輪舞~」
【愛知公演】2016年10月8日(土) 東海高校講堂 (この公演は終了しています)

<関連サイト>
東海高校カヅラカタ歌劇団  http://zuka08.blog121.fc2.com/
学校法人東海学園【東海中学校・東海高等学校】 http://www.tokai-jh.ed.jp/
名鶴ダンスカンパニー http://www.nazuru.com/
名古屋工学院専門学校 http://www.denpa.ac.jp/
松枝衣裳店総本店 http://matsueda.co.jp/
河合塾 http://www.kawai-juku.ac.jp/

<関連情報>
東海学園交響楽団 「第九」チャリティーコンサート
2016年12月18日(日)16時~18時(開場15時) 東海高校講堂
曲目:エルガー「威風堂々」第1番、ベートーヴェン交響曲第九番“合唱付”
指揮:曽我大介、ソリスト:平井香織・小山由美・松原陸・青山貴、合唱:東海学園交響楽団特別合唱団
チケット代:一般3,000円 学生1,000円 問い合わせ:東海高校(052-936-5112/5114)
チケット購入はオーケストラ部関係者or合唱団関係者から(学校事務室では取り扱っていません)

※ここからは、アイデアニュース有料会員(月額300円)限定とさせていただきます。出演者別などのさらに詳しいレポートと、多くの写真を掲載しています。なお、アイデアニュースでは、おもな出演者や顧問の久田先生にインタビューした記事を後日、掲載する予定です。舞台の裏話や、教育上の効果などをたっぷりうかがいましたので、掲載は少し先になりますが、ご期待ください。

<アイデアニュース有料会員限定部分の小見出し>

■トート役の伊藤侃さんの美しいリフト。本場に負けない見事な技量

■帝国劇場での一路真輝さんを彷彿とさせる、エリザベート役の鳥居留圭さん

■アドリブで返す余裕、歌唱力も演技力も最も輝いていたルキーニ役の武田達哉さん

■歌も芝居も終始、安定感があり、堂々たる演技のフランツ・ヨーゼフ役、川上龍人さん

■脇役の敢闘賞は皇太后ゾフィー役の須崎陽太朗さん。肝の座った演技で、エトワールも

■公演のお色気担当、マダムヴォルフ役の酒井智紀さんは熟女そのものの妖艶さ

■マックス公爵役の上園太一さんは優しい父を好演、高身長の廣瀬吾郎さんは市長役を端正に

■容姿抜群で今後が楽しみなエルマー役の門間大輔さんと青年ルドルフ役の安部隼也さん

■ホンモノを凌ぐ出来映えだった少年ルドルフ役の矢木俊也さん

■全体を通して特に印象的だったのが、「ミルク」のコーラスの上手さ

■「中階段」も登場した感動のパレード。シャンシャンを持って銀橋でそろい踏み

■総勢21人が舞台に。音響・照明などは名古屋工学院専門学校の生徒さんらが支える

■男子中高校生による宝塚の舞台の再現は、日本の舞台芸術にとって大きな価値がある

※カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演のパンフレット1部と、昨年のカヅラカタ歌劇団「維新回天・竜馬伝!」公演のパンフレット1部をセットにして、抽選でアイデアニュース有料会員3人にプレゼントします。有料会員になられている方がログインすると、記事の末尾に応募フォームが表示されますので、ご応募ください。ログインすると記事下のコメント欄にメッセージを書き込むこともできますので、ぜひ記入をお願いいたします。応募締め切りは10月29日(土)です。(このプレゼントは終了しました)

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※ここから、アイデアニュース有料会員限定部分です。

カヅラカタ歌劇団の公演時間は3時間近くにわたり、タカラヅカの本公演をほぼそっくりそのまま再現。午前、午後の2回の公演を行います。同じく本公演を模倣する宝塚歌劇団の新人公演が、約1時間半のダイジェストで、宝塚と東京でそれぞれ1回だけの公演なので、その上をいくことになります。本公演と同じ3時間近くの公演を、センターで演じる主要キャストたちは、ものすごいプレッシャーがあったと思いますが、それにも負けず見事に演じ切りました。

■トート役の伊藤侃さんの美しいリフト。本場に負けない見事な技量

主演・トート役の伊藤侃さん(高2)は終始、堂々たる演技。エリザベートに一目ぼれをするシーンもしっかりとした演技で、ラストでエリザベートを抱きしめる場面は「ようやく愛する人を自分の腕に抱くことができた」という胸中が、客席に伝わってくるようでした。フィナーレのディュエットダンスでは、非常に素晴らしい【リフト】の回転がとても印象的でした。ヒロインを軽々と持ち上げてクルクルと回す【リフト】は、かなり難しい技術を要するもの。本場タカラヅカでも、上手くいかないことがあります。伊藤さんの自然体の美しい【リフト】は、本場に負けない見事な技量と言えます。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■帝国劇場での一路真輝さんを彷彿とさせる、エリザベート役の鳥居留圭さん

ヒロイン・エリザベート役の鳥居留圭さん(高1)は、難しい楽曲のオンパレードの「エリザベート」にヒロインとして挑戦。男性が女声を歌う苦労がありましたが、歌舞伎の女形を思わせる、男性が作り出す女性の美を感じさせ、帝国劇場初演でやや低音のエリザベートを演じた一路真輝さんを彷彿とさせるものがありました。整った素顔は、舞台化粧をすると美しく映え、男性が女性を演じている違和感が感じられないほどでした。原作のストーリーでやや唐突な感じもあるラストのエリザベートの死(トート)の受容に、「アモーレ(愛)」とエリザベートが小さくつぶやくのは、顧問の久田先生の見事な創作。感動的な劇終となりました。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■アドリブで返す余裕、歌唱力も演技力も最も輝いていたルキーニ役の武田達哉さん

舞台回しルキーニ役の武田達哉さん(高2)は、この公演の団長(タカラヅカでいうところの「組長」)も務めました。子どもの頃から舞台経験があり、声楽の素養もある武田さんは、歌唱力も演技力も最も輝いていました。少々の舞台事故や失敗もアドリブで返すほどの余裕さえ見せるほど。開演前に客席降りをして、ルキーニの扮装で会場の写真を撮り、会場からは暖かい声援を受けます。そしてその撮った会場の写真を、2幕目の【世界の美女の写真】の場面で映写するのは、顧問の久田先生のアイデア。フィナーレでは、【夜のボート】のソロで銀橋を渡るオリジナルのシーンを挿入。【夜のボート】の寂しさを感じさせながらも伸びやかな歌声は、とても印象的でした。二番手に加え三番手もフィナーレでソロを歌うという演出は、ぜひ宝塚歌劇団でも取り入れてもらいたいと思ったほどです。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■歌も芝居も終始、安定感があり、堂々たる演技のフランツ・ヨーゼフ役、川上龍人さん

フランツ・ヨーゼフ役の川上龍人さん(高1)は、歌も芝居も終始、安定感がありました。2幕目の終盤では夜のボートの老年フランツから青年フランツに早変わりする難しい場面がありますが、堂々たる演技。来年は高2で主演の年になるので、とても楽しみです。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■脇役の敢闘賞は皇太后ゾフィー役の須崎陽太朗さん。肝の座った演技で、エトワールも

脇役の敢闘賞は皇太后ゾフィー役の須崎陽太朗さん(高2)。ゾフィーはタカラヅカ版、東宝版ともに、歴代キャストがかなり苦労してきた役。須崎さんは肝の座った度胸でこの迫力のある難役をこなし、美しいアルトの歌声はフィナーレでエトワールに起用されるほどでした。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■公演のお色気担当、マダムヴォルフ役の酒井智紀さんは熟女そのものの妖艶さ

マダムヴォルフ役の酒井智紀さん(高2)は、この公演のお色気担当。フィナーレでは投げキッスをするなど、熟女そのものの妖艶さを見せました。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■マックス公爵役の上園太一さんは優しい父を好演、高身長の廣瀬吾郎さんは市長役を端正に

マックス公爵役の上園太一さん(高2)も優しい父親役を好演し、アンサンブルでもしっかりとした演技が印象的でした。カヅラカタ歌劇団最高峰(最も背が高い)廣瀬吾郎さん(高2)は、ハンガリー市長役を端正に演じました。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■容姿抜群で今後が楽しみなエルマー役の門間大輔さん、青年ルドルフ役の安部隼也さん

エルマー役の門間大輔さん(高1)は、背も高く印象的な容姿で、男役群舞では目をひきました。主演の年となる来年が楽しみです。青年ルドルフ役の安部隼也さん(中3)は舞台映えのする容姿で、歌唱力にも安定感があり、今後の成長が楽しみです。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■ホンモノを凌ぐ出来映えだった少年ルドルフ役の矢木俊也さん

ホンモノを凌ぐ出来映えだったのが少年ルドルフ役の矢木俊也さん(中3)。容姿も愛らしく、声変わりがなければ、ヒロインもこなせる実力の持ち主であると感じました。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■全体を通して特に印象的だったのが、「ミルク」のコーラスの上手さ

全体を通して特に印象的だったのが、【ミルク】の場面でのコーラスの上手さ。東海学園交響楽団のオーケストラとも息が合っており、第1幕の大きな見せ場となりました。またフィナーレではダンスがとても見事だったのが印象的。特に出演者全員による【男役の群舞】は圧巻です。元タカラジェンヌの名鶴ひとみさんのダンス指導を受けていることに加え、昨年の公演で初めてのレビューショー「Joyfull!!」を上演したことや、今年4月の新人公演で、グランドレビュー「Shining Rhythm」を経験したことが、大きなプラスになったのだと思われます。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■「中階段」も登場した感動のパレード。シャンシャンを持って銀橋でそろい踏み

パレードでは【大階段】ならぬ5段の【中階段】が登場。これまで3段の小階段(幅60センチ)を使ったことはありますが、今年は5段(幅180センチ)の中階段となり、初めて電飾もつけました。本格的な装置の登場に、会場は大きな歓声に包まれます。パレードでは主要キャストや上級生たちが、シャンシャンを持って【中階段】降りていき、銀橋でそろい踏み。公演は感動のうちに幕を閉じました。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■総勢21人が舞台に。音響・照明などは名古屋工学院専門学校の生徒さんらが支える

メンバーは高校生を主体に中学生を入れて、今年は21名が舞台に立ちました。主要キャスト以外はアンサンブルで何役も掛け持ち。舞台袖の廊下では、修羅場のような衣装の早替えが行われますが、客席からはその壮絶さが想像できないくらい、舞台が自然な感じで進んでいくのは実に見事。音響・照明などを担当した名古屋工学院専門学校の生徒さんたちを含め、裏方で支える人たちのクォリティの高さを感じさせます。

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演の控室より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演の控室より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演の控室より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演の控室より=撮影:アイデアニュース・橋本正人

名古屋工学院専門学校の生徒さんらが音響・照明・中継などを担当=撮影:アイデアニュース・橋本正人

名古屋工学院専門学校の生徒さんらが音響・照明・中継などを担当=撮影:アイデアニュース・橋本正人

■男子中高校生による宝塚の舞台の再現は、日本の舞台芸術にとって大きな価値がある

男性がタカラヅカを観劇することさえ、まだまだ奇異の目で見られることがありますが、男子中高校生たちが、学業の合間を縫って時間も惜しんで、タカラヅカの華麗な舞台を再現していることは、日本の舞台芸術にとって大きな価値があることだと思います。そして多くの協力者の努力があって、この華麗なる舞台が作り上げられていることも、忘れることは出来ません。

今後の要望としては、カヅラカタ歌劇団で過去に上演した作品の再演だけではなく、新作にもどんどん挑戦していただきたいと思います。これまでの衣装を活用できるという点では「1789」や「ルパン三世」。昨年、和物を上演したという経験からは「星逢一夜」。レビューショーでは誰もが知るディズニーの「Love&Dream」。大劇場公演から離れた作品としては、永遠のラブストーリー「ローマの休日」は新人公演にうってつけかもしれません。

有名進学校なので、皆さんエスターブリッシュメントへの道を進まれるのでしょうが、カヅラカタ歌劇団という全国が注目する大きな舞台をやりとげた経験は、将来必ずプラスになると思います。そしてカヅラカタ歌劇団の生徒の中から将来、舞台芸術の道に進む人が輩出されることを願ってやみません。初演から14年、公演のたびに成長していくカヅラカタ歌劇団の未来に、更なる飛躍を期待しながら、ひとまずこの稿を閉じたいと思います。

※カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演のパンフレット1部と、昨年のカヅラカタ歌劇団「維新回天・竜馬伝!」公演のパンフレット1部をセットにして、抽選でアイデアニュース有料会員3人にプレゼントします。以下のフォームから、ご応募ください。応募締め切りは、10月29日(土)です。(応募は締め切りました)

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“男子生徒による本格的な舞台芸術、カヅラカタ歌劇団「エリザベート」公演” への 4 件のフィードバック

  1. MIMI より:

    ミュージカル・ファンですので、東宝の「エリザベート」は長年観続けていますが、こんな挑戦をしている男子中・高生が居るとは知りませんでした。ここまで出来るとはびっくりです!再演されたら観に行きたい!動画もっとありましたら見せてください。

  2. アン より:

    学生のひたむきな姿に胸が熱くなりました。
    今回は観劇出来なかったので、こちらの記事で詳細を知ることが出来て嬉しかったです。

  3. まつげん より:

    カヅラカタ歌劇団は、どんどんレベルを上げていますねぇ。素晴らしいです!
    また、わざわざ名古屋に出向き、彼らを取材したアイデア・ニュースの橋本さん、濱さんのフットワークも素晴らしい!

  4. MARIA より:

    噂に聞いていた「カヅラカタ劇団」の公演ですが、素晴らしいですね。
    これからも、続けていって欲しいと思います。
    ここから、未来の輝けるStarが登場しそうです。

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