玲乃愛(レノア)ちゃん、養護学校小学部を卒業しました!

卒業式直前のレノアちゃん=撮影・松中みどり

アイデアニュースで何度かご紹介したレノアちゃんこと古池玲乃愛ちゃんが、2017年3月、めでたく養護学校小学部を卒業しました。お母さんの敦子さんとレノアちゃんには、卒業式に描いていた大きな夢があったのです。「重度障がい児」というカテゴリーにあり、自分の足で歩いたり、言葉を発したりすることは出来ないと思われていたレノアちゃんが、”歩いて”卒業証書を受け取りにいくという夢。その夢がいよいよ実現するというので、3月16日、再び滋賀県に駆けつけ、卒業式に列席した次第です。レノアちゃんの卒業式の模様をぜひご覧ください(レノアちゃんは同じ養護学校の中学部に進学します)。

敦子さんからこのビデオが送られてきたのが2017年2月8日でした。納品されたばかりの歩行器に乗って、学校の廊下を”歩いて”いるレノアちゃんは、昨年5月の運動会の時に比べても、しっかりと足が前に出ています。運動会の様子はこちらの記事をご覧ください→ レノアちゃん、養護学校小学部最後の運動会に「歩いて」参加 でもこれで終わりじゃない

レノアちゃんの大躍進は、お母さんの敦子さんをはじめとするご家族、養護学校の先生方、かかりつけの医師、リハビリの方、そして大阪府箕面市にある福祉用具を作る会社PAS(ピーエーエス)さんの協力が生み出した大きな成果といえるでしょう。作業療法士である野村寿子さんがレノアちゃんの体の型をとり、快適に機能的に過ごせるオーダーメードの補装具をPASさんで作成。安定していてかつ動きやすい姿勢を常にとれるようになって、レノアちゃんの呼吸、嚥下、体の動き、発話がどんどん改善されていったのでした。こちらの記事もご参照ください→オーダーメード補装具が完成 レノアちゃんの新しいスタート また、アイデアニュースの取材がきっかけとなって、PASの野村さんのことを取り上げたドキュメンタリー番組が生まれ、その中でレノアちゃんも登場しました。ぜひ、こちらのページもご覧ください→BSフジ「一滴の向こう側」第56回人生を変える魔法の椅子

卒業式直前のレノアちゃん=撮影・松中みどり

卒業式直前のレノアちゃん=撮影・松中みどり

障害のある人が必要な補装具(車椅子、補聴器、意思伝達装置、歩行器など)を入手するためには、補装具支給制度を利用します。許可が下りれば原則1割負担で、用具が購入できる仕組みです。そのために必要な「かかりつけ医による意見書」が、レノアちゃんの体の負担を心配してなかなか書いてもらえなかったり、ようやく意見書が出ても、一般的な歩行器に対する許可しか降りずにがっかりしたりと、「マイ歩行器」をゲットする道のりは険しいものでした。それでもあきらめずに交渉し、一般の歩行器とレノアちゃんが使いたい歩行器:ペーサーゲートトレーナーの両方にレノアちゃんが乗ったところを見て再判定をしてもらい、特例補装具としての歩行器支給が認められたのが2016年12月末。滋賀県では初の快挙です。その後、レノアちゃんの「マイ歩行器」が到着したのが2017年2月6日。卒業式まであと1ヵ月というところでした。体への負担を配慮しながら練習を続けたレノアちゃんの卒業証書授与式をご覧ください。

レノアちゃんの中にある「無限の力」を信じて見守ってきた家族、友人、仲間がレノアちゃんの原動力だと敦子さんがいつもおっしゃいます。この記事を読んで下さる方が、レノアちゃんやレノアちゃんのような子どもたちの中に、無限の可能性を見て下さることを筆者も心から願っています。

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■卒業式で名前を呼ばれたレノアちゃんが、「はい」と言いました

■お母さんの敦子さんの願いは・・・

■20年後はレノアちゃん、ニューヨークに行きます

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卒業式で名前を呼ばれたレノアちゃんが、「はい」と言いました

レノアちゃんの卒業式で撮ったビデオを見直していて、嬉しい驚きがありました。撮っている時にはあまりにも自然で、気が付かなかった部分です。卒業証書授与式では、卒業生の名前が呼ばれて、それぞれ校長先生のところに進んでいくわけです。養護学校の生徒さんたちですから、自分で「はい」と答える人もいれば、先生が代わりに返事をする人もいます。ビデオのレノアちゃんは、なんと、自分で「はい!」と答えていたのです。繰り返しますが、お話をすることは出来ないと思われていた「重度障がい児」のカテゴリーにあるレノアちゃんです。指談や筆談を通してコミュニケーションが取れるようになって、お母さんも大感激したのはついこの間のこと。そして、『レノアちゃんはこちらの言うこともわかっているし、言葉を発しなくても思いがいっぱいある』とみんなが知ってくれたことで、レノアちゃんに言葉が出始めたのでした。こちらのビデオをご覧ください。「古池玲乃愛さん」と名前が呼ばれるとき、マイクを持った教員の方がレノアちゃんのそばに行きます。そして、レノアちゃんの「はい」という声が、聞こえます。

■お母さんの敦子さんの願いは・・・

レノアちゃんと敦子さん=撮影・松中みどり

レノアちゃんと敦子さん=撮影・松中みどり

「これを、一回限りのまぼろしの運動会にしたくないんです」昨年の運動会の後の敦子さんの言葉です。きっと娘は話が出来るようになり、立って歩くことも出来ると信じて頑張ってきた敦子さんは、小学部卒業式を大きな目標にしていました。株式会社PASさんが用意してくれたデモ器で、運動会に臨んだレノアちゃん。卒業式には「マイ歩行器」で卒業証書を受け取らせてあげたいと願ったお母さんの祈りは聞き届けられました。デモ器を返すときは残念で、貸し出された歩行器にレノアと名前を書いてしまいたいくらいだった敦子さん。ようやく「特例補装具」として認められ、晴れて「マイ歩行器」がやってきたのです。お母さんの喜びは歩行器の上にこんな風にあらわされていました。

華やかにデコレーションされたレノアちゃんの歩行器=撮影・松中みどり

華やかにデコレーションされたレノアちゃんの歩行器=撮影・松中みどり

アレンジフラワー、クレイフラワー、クレイクチュール、グラスアート、シルエットアート。敦子さんが持っている5つの講師免許です。卒業式では、レノアちゃんの歩行器を飾るだけでなく、卒業するクラスメイトとそのお母さんたち、そして担任の先生方にも、手作りのオリジナルコサージュをプレゼントしていた敦子さんです。レノアちゃんのためにも、母娘が依存しあって生きるのではなく、社会に触れて自立をしながら、明るく楽しく生きていきたいと願っている素敵なお母さんなのです。

  1. 敦子さん「行政からの依頼で、子供さんや婦人部の講師をさせて頂いたり、地域の子供会や婦人会でも講師をさせて頂いています。レノアが産まれてからは、福祉関係の方でもボランティアで講師をさせて頂いています。綺麗なものを作る作業は、いいリハビリになったり、心のケアに繋がったりしています。これからは、車イスなどをデコして子供達の笑顔が増える仕事をして行きたいと思っています」
お土産にいただいた敦子さんのコサージュ=撮影・松中みどり

お土産にいただいた敦子さんのコサージュ=撮影・松中みどり

敦子さんによる車椅子デコレーション=撮影・古池敦子さん

敦子さんによる車椅子デコレーション=撮影・古池敦子さん

■20年後はレノアちゃん、ニューヨークに行きます

アイデアニュースでご紹介した「にこたんソープ」をレノアちゃんにプレゼントしました。ソープの記事はこちらです→「にこたん♡ソープ」は手洗いの大切さと、夢をもつ素晴らしさを伝えます

「この石けんの中にはいっているメダルは、2036年8月9日、ニューヨークのセントラルパークにあるベセスダ噴水前に夢を叶えた子どもたちが集まるパーティへの招待状なんだよ」とレノアちゃんに伝えて、「だから、一緒にニューヨークに行こうね、英語も勉強しなくちゃね」と言うと、この笑顔を見せてくれました。

「にこたん♡ソープ」を手にしたレノアちゃん=撮影・松中みどり

「にこたん♡ソープ」を手にしたレノアちゃん=撮影・松中みどり

レノアちゃんが手に入れた翼は、日本を超えて世界に飛んで行ける大きなものでした。夢はこれからもどんどん広がって、現実になっていくことでしょう。中学生になるレノアちゃんの快進撃を、またレポートする日が来ると思います。お楽しみに!

卒業生が退場するとき、海上の天井から舞い降りた花びら=撮影・松中みどり

卒業生が退場するとき、海上の天井から舞い降りた花びら=撮影・松中みどり

昨年の運動会でもそうでしたが、様々なチャレンジを持っている子どもたちひとりひとりが、大切にされ愛されて育った学び舎なんだなあと思う温かい卒業式でした。先生方の心尽くしの演出に、レノアちゃん以外のお子さんとは面識のない私なのに、何度も涙があふれました。みんな、卒業おめでとう!

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