「『フランケンシュタイン』の歌は、難しかった」、柿澤勇人インタビュー(下)

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

柿澤勇人さんのインタビュー後半です。有料部分では『フランケンシュタイン』『紳士のための愛と殺人の手引き』など、この一年間の活動や、今後について伺いました。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

――小池(徹平)さんが、2人の夜神月が初演よりリアルで怖いとおっしゃっていました。

例えば狂気一つをとっても、ヒステリックな狂気もあれば、真顔で無表情で刺す狂気もあるし、色々な表現方法がありますよね。単純に声を一色にするのではなくて、モノトーンに棒読みのごとく言った方がヒヤッとする、逆に「この人何を考えているか分からなくて怖い」という怖さがあったりするので、そこを初演より感情を抑えるようにはしています。もちろん爆発させるところは爆発させますが、そればかりをやっていたらつまらないというか、一色になってしまうので、色々な声を使いたいなと思っています。

やはりそれは2幕にかけて、夜神月が新世界の神への階段を登っていく過程を表現するのに、色々な方法があると思います。僕もまだ定まっていないところもありますし、試してみたいところもあるので、富山公演は1回しか出来なかったから、早く台湾に行きたい思いもあります。大阪を経て、東京で大千秋楽を迎えられるというのもすごく嬉しいですね。

――東京で大千秋楽というのも珍しいですよね。

このスケジュールは珍しいですよね。色々な各地の空気をまとって、また新たな『デスノート THE MUSICAL』が出来ると思うので、それが東京で終わることが出来るのは嬉しいですね。

―― 新・父親役(夜神総一郎)の別所(哲也)さんはいかがですか?

僕の印象では、初演の鹿賀(丈史)さんは本当に「尊敬出来るお父さん」「警視総監」というイメージでしたが、別所さんは「パパ」という感じで、近い存在に感じますね。本当に居そうなお父さんという感じです。今回、台詞も若干変わったんです。お母さんはもちろん出てこないですが、台詞にはお母さんが出てくるようになったり、そういった夜神家の家族の描写が分かりやすくなるような台詞にマイナーチェンジされています。

――歌の技術的なところとかはいかがですか? 2年の経験を経て、さらにグレードアップするんじゃないかと期待もありますが。

そんなに変わらないんじゃないかな(笑)。月に関して言えば、細かく繊細に反応するように演出側からもダメ出しをたくさん頂いているので、自ずと歌い方も変わるだろうと思います。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『フランケンシュタイン』での共演者の印象や、WOWOWの『グリーン&ブラックス』、『紳士のための愛と殺人の手引き』などについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■『フランケンシュタイン』の歌は、少しでも調子が悪いとひっくり返る

■小西君は芝居が好きなんだろうなと。和樹はミステリアスで仲間思い

■『紳士のための愛と殺人の手引き』は、きつかった。セリフが飛んだら終わり

■30代になったら、新作をやることが多くなると思います。全部が挑戦

<デスノート THE MUSICAL>
【富山公演】2017年6月24日(土)~25日(日) オーバード・ホール(公演終了)
【台湾公演】2017年7月21日(金)~23日(日) 臺中國家歌劇院 大劇院(公演終了)
【大阪公演】2017年8月19日(土)~8月21日(月) 梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2017年9月2日(土)~9月24日(日) 新国立劇場 中劇場

<関連サイト>
梅田芸術劇場 http://www.umegei.com/schedule/641/
ホリプロ http://hpot.jp/stage/death-note

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柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

例えば『フランケンシュタイン』は歌のパワーで押し切るようなところがあると思うんです。それは韓国ミュージカルの特徴でもあるんですが、一方でこの『デスノート THE MUSICAL』は、芝居を見ているかのようなミュージカルなので、歌が上手くなることが正解だとは思っていなくて、その歌の中のドラマが伝わればいいかなと思っています。

そういう意味では、ドラマは伝わりやすくなっていると思います。めちゃくちゃ声が出るようになったかどうかは、僕は分からないですが、それが正解かどうかも分からないですし。でも、やはり本の読み込みと反応のレベルは確実に上がっていると思うので、自ずと歌の表現もいい方向に変わっているんじゃないかと思っています。

■『フランケンシュタイン』の歌は、少しでも調子が悪いとひっくり返る

――最近のお話も伺わせてください。お話をお伺いするのは約1年ぶりですが、その間に舞台作品は『フランケンシュタイン』と『紳士のための愛と殺人の手引き』がありました。私自身も『フランケンシュタイン』にハマり、4組レポも書かせて頂いたのですが、ものすごいアクセス数だったんです。

そうなんですか!

――開幕後、尻上がりにどんどん盛り上がっていったと思います。ご自身で『フランケンシュタイン』を振り返ってみていかがでしたか?

歌に関して言えば、過去最高レベルで難しかったです。フル音域を使わないと出なかったので、少しでも調子が悪いと声がひっくり返りますし、それはやはり怖かったですね。でも、声を潰さずに終えられたので良かったです。結構、絶叫したり発狂したりもするので、もつかなと思いましたが、案外出来てしまいましたね。僕自身の歌のレベルも『フランケンシュタイン』を経て、上がってればいいなと思いますが。

――『フランケンシュタイン』のインタビュー時に、中川(晃教)さんとのWキャストについて、歌の技術でかなうわけはなくて、何かを見つけてすごいことになる可能性もあるかもしれないけれど……というお話を伺いましたが、拝見している分には、何か開花されたのかなと。

開いていないですね、多分。

――そうですか。ご自身では開いてないと。

うん。やっぱりアッキー(中川晃教)は天才だから。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■小西君は芝居が好きなんだろうなと。和樹はミステリアスで仲間思い

――おふたりとも、それぞれに凄かったと思います。加藤(和樹)さんも、小西(遼生)さんも、皆さんそれぞれに素晴らしくて、どの組み合わせも見たくなってしまう。なぜ『フランケンシュタイン』があんなに盛り上がったと思いますか?

分からないです。でも、全員が1人2役っていうのは、あまりないですよね。全く対照的な役でしたから。ファンの方からしてみれば、好きな俳優の色々な面が観られるというのは大きいのかなと思いますね。あとは、いい曲もありましたよね……なぜそんなに盛り上がったんでしょうね(笑)。

――加藤さんと小西さんが相手役でしたが、お2人とやってみていかがでしたか?

小西君に関しては、本を「演劇」として捉えている人ですね。小西君との共通点は栗山さんなんですよね。栗山さんの世界観に似てるとか似てないじゃなくて、そういう纏っている感覚や考え方が似ているのかなと思いました。最初の出会いのシーンなどもすごく安心して出来ましたね。芝居が好きなんだろうなと思いました。和樹は最後までミステリアスでしたね。でも、話しているとすごく熱い男ですし、仲間思いの所があるので、アンリとしている時は涙が普通に流れ出てきました。そして、怪物として出て来た時の、出で立ちがかっこいい! 2人ともイケメンでしたよ(笑)。

――(笑)。柿澤さんもイケメンでしたよ。

いやいや(笑)。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■『紳士のための愛と殺人の手引き』は、きつかった。セリフが飛んだら終わり

――WOWOWの『グリーン&ブラックス』にも出演されていましたね。すごく伸び伸びしていらっしゃっていて。

もう福田さんは放し飼いにしてくれるので(笑)。とても楽しく参加させて頂きました。

――水を得た魚のようでしたね(笑)。

(笑)。

――『紳士のための愛と殺人の手引き』はいかがでしたか?

『紳士のための愛と殺人の手引き』は、きつかったですよ。

――どういう所が?

楽屋に帰れなかったですからね!

――舞台に出っ放しということですね。

もう、常に喋っていましたからね。物語を伝えなければいけないので、結構エネルギーを使うんです。少し気を抜いてセリフが飛んでしまったりしたら、もう終わりですからね。ずっと緊張を絶やさずに。コメディとはいえ、僕が笑わせる役ではないので、結果として笑いになればいいんですが、何かギャグをぶちかますとかボケるのではないので、しんどかったです。

――それこそダブルキャストでよかったですね。

本当に! そういう意味では、市村さんは本当に怪物です! 本当に市村さんの背中を見て、改めて怪物だなと思いました。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■30代になったら、新作をやることが多くなると思います。全部が挑戦

――10月12日の誕生日で30歳になって、これから脂がのっていく時期だと思いますが、楽しみにしていることなどお聞かせください。

30代になったら、ミュージカルもストレートプレイも含めて、新作をやることが多くなると思います。だから、そういう意味で全部が挑戦だと思います。その中にはめちゃくちゃ踊る役もありますし、生半可な気持ちでは出来ないような役ばかりですが、一方でめちゃくちゃ馬鹿みたいなコメディもあるかもしれないので、舞台上で色々な表情をお見せ出来ると思います。自分でも楽しみでもあり、一方では怖くもありますが、もう30代なのでアキレス腱も切りたくないので……無理のない範囲で頑張ろうと思います(笑)。

――辛いことは辛いと言って。

そうですね(笑)。

――今後も楽しみにしています。最後に『デスノート THE MUSICAL』を期待しているお客様へメッセージをお願いします。

富山の初日の公演でかなりいい感じに出来ましたので、初演をご覧になった方には新しいカンパニーの、確実にパワーアップした『デスノート THE MUSICAL』をもう1回観に来て欲しいと思いますし、ご覧になったことがない方も、ミュージカル初心者の方も、絶対に楽しめる作品だと思います。損はさせないとお約束しますので、劇場でお待ちしています。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

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“「『フランケンシュタイン』の歌は、難しかった」、柿澤勇人インタビュー(下)” への 6 件のフィードバック

  1. ruka より:

    とても素敵なインタビュー、写真ありがとうございます。興味深く読ませていただきました!!
    色々な作品について書いてあったので、思い出しながら読みました。
    中でも、「フランケンシュタイン」は凄く大好きだったので、懐かしいなと思いニヤニヤしちゃいました。
    今後の作品も発表され、30代も本当に楽しみな俳優さんだと感じました。一番最後の質問、凄くありがたかったです。またインタビューしてくださる事を期待しています!

  2. コージー姫 より:

    カッキーから目が離せなくなりそうです。
    困った(笑)

  3. ToMaTo より:

    デスノート初演では、柿ラには神と言うより殉教者のような印象を受けました。パワーアップした再演の柿ラにはどういう印象を受けるのか…楽しみです。
    そして、岩村様。素敵なお写真をありがとうございます!

  4. ぴよ より:

    富山の初日を拝見しました。台湾・大阪を経てさらにパワーアップした舞台を楽しみにしています。

  5. はるりん より:

    柿澤勇人さんの演技と歌が大好きです。
    デスノートも楽しみにしています!

  6. リヤ より:

    台湾公演時、そんな圧倒的な歌唱力に感動し鳥肌がとまりません。
    デスノートは見れば後悔しない作品です。
    今後柿澤さんの新作も期待しております!。

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