「涙、涙の初日でした」、『デスノート THE MUSICAL』柿澤勇人インタビュー(上)

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

『デスノート THE MUSICAL』インタビュー第2弾、夜神月役を演じる柿澤勇人さんのインタビューです。柿澤さんは、夜神月役を浦井健治さんとダブルキャストで演じます。再演がはじまっての思いなどについて伺いました。(上)(下)に分けてお届け致します。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

――富山公演が終わって、手応えはいかがですか?

富山の初日はいい初日でしたね。舞台は生ものなので、稽古中にアクシデントがあって、急遽初演に出ていた前島亜美ちゃんが、髙橋果鈴ちゃんの代わりに1公演だけ初日に代役として出演したのですが、台詞も変わったなかで、2年越しの舞台に3時間の場当たりで出たんです。彼女もとても成長していましたし、2年間ずっと自分の持ち歌をボイストレーニングで練習していたそうなんです。だから、涙、涙の初日でした。本役の(髙橋)果鈴も、僕の初日に間に合い、本当に僕たちの中では一生忘れることのない感動的な初日でした。芝居もみんな集中しましたね。とはいえ、台湾公演まで3週間空いてしまうので、稽古出来ないのが不安ですが、何とか良い方向に向かっているんじゃないかと思います。

――再演に取り組んでいて、ご自身についてはいかがですか?

初演の時は自分の役についてやることで精一杯でしたが、僕の大好きな尊敬する吉田鋼太郎さんとずっと付きっ切りだったんです。開演5分前まで、鋼太郎さんの楽屋に行ってたばこを吸わせてもらって、2人でああでもないこうでもないと言いながら、プライベートの話から芝居の話まで、鋼太郎さんが全部引き受けてくれたんです。それが僕にとってすごく財産でした。その初演を1ヶ月間やることが出来て、夜神月としての経験があったから、さらに2年間で僕は色々と経験出来たので、富山の初日の時にはとても冷静でいられました。緊張というか、ソワソワはしましたが……。

――冷静というのは今回が珍しいことなんですか? 今までは違った?

『ラディアント・ベイビー』を経て、自分の中では結構変わったことがあります。無理をしないようになったというか。「辛いものは辛いと言う」「嫌なものは嫌だ」「好きなものは好き」という風にしないと、体も心も酷使する職業なので、耐えられないんです。素直でいようというか、あまり大きく見せようとしないで、自分は自分だと考えるようになりました。それが大きいかもしれないですね。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、演出の栗山民也さんから再演にあたって言われたことや、共演者についてなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月15日掲載予定のインタビュー「下」では、『フランケンシュタイン』『紳士のための愛と殺人の手引き』など、この一年間の活動や、今後について伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■初演の時は不安で、誰よりも早く稽古場に行って、誰よりも遅く残って

■色々な人がいる日本のいわゆる普通の授業中の様子をリアルにやってくれと

■(L役の小池さんとは)目を見て深いところで対話出来ている感覚がある

■みんなプロ意識が高く、さっぱりしていて、やる時はやる。だから安心出来る

<デスノート THE MUSICAL>
【富山公演】2017年6月24日(土)~25日(日) オーバード・ホール(公演終了)
【台湾公演】2017年7月21日(金)~23日(日) 臺中國家歌劇院 大劇院(公演終了)
【大阪公演】2017年8月19日(土)~8月21日(月) 梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2017年9月2日(土)~9月24日(日) 新国立劇場 中劇場

<関連サイト>
梅田芸術劇場 http://www.umegei.com/schedule/641/
ホリプロ http://hpot.jp/stage/death-note

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柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■初演の時は不安で、誰よりも早く稽古場に行って、誰よりも遅く残って

――初演の『デスノート THE MUSICAL』の時はそうは思えなかったんですね。

不安で仕様がなかったので、誰よりも早く稽古場に行って、誰よりも遅く稽古場に残って練習していましたが、それをやれば芝居が上手くなる訳でもないですから。

――夜神月という役に、改めて向き合って、新たに感じていることありますか?

初演はある意味エネルギーを出し切ってしまう部分がありましたが、やはり再演の難しいところは慣れてきてしまうんですよね。僕はデスノートを何十回も拾っていて、このノートに名前を書けば死ぬと分かっている。でも実際は、物語のなかで初めて拾って、夜神月はそれを知らない訳ですよ。その再現は難しくて。そういうところにビビットに反応していかなければ、お客さんに分かってしまいます。「今、嘘をついた」とか「どうせ分かっている」というのが見えてしまったら、後は何もドラマが生まれないので、そこはやはりすごく新鮮に、ビビットにやらなければいけないというのは、僕の今回の課題ですね。

――演出の栗山(民也)さんから、再演にあたって言われたことはありますか?

やはり初演の時は鋼太郎さんが自由にやりすぎて、それは魅力的なリュークだったんですが、僕も悔しいから応えようと思って、色々とアドリブで返したりしたんです。今回カズ(石井一孝)さんはとても真面目で、「どうすればリュークになれるんだろう」とすごく誠心誠意向き合っているので、稽古場では僕から結構仕掛けてしまって。別に笑いを求めているシーンではないのですが、どうしても欲が出てしまい、僕がそういうことをすると、栗山さんから「いらない」と言われたり(笑)。

――(笑)。

「ちゃんとやれ」って言われました(笑)。だから、夜神月を真面目にやるようにしています。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■色々な人がいる日本のいわゆる普通の授業中の様子をリアルにやってくれと

――作品全体についてこうあって欲しいとか言われたことはありますか?

一番は「日本の今を映してくれ」と言われました。「君たちは日本の高校生なんだ」と。日本の高校生はアメリカの高校生のようにあまり議論をしないですし、日本のいわゆる普通の授業中の様子、スマホをいじっている人もいれば、喋っている人もいれば、寝ている人もいて、ずっと本を読んでいる人もいるし、ちゃんと先生の話を聞いている人もいる。色々な人がいるから、そういうところをちゃんとリアルにやってくれと言われました。作品に出てくる渋谷のスクランブル交差点でも、色々な人がいるから、そういうのをちゃんとリアルに作って欲しいと言われました。

――よりリアルに作るために、キャストの皆さんとやっていることや意識していることはありますか?

そうですね……曲がすごくロックなんですね。例えば一番最初に歌う「正義はどこだ」という曲は、結構ロックな曲ですが、日本人で「正義はどこだ」っていう高校生はなかなかいないですよね。偏差値が70ぐらいの子でも、そんなに熱い議論はしないと思うんですよ。結構冷めている。そこをロックでやらなければいけないから、すごく難しいですよね。消極的になりすぎてもロックは歌えないですし、かといって積極的にパッションでぶつけても、それは日本人ではなくなってしまうから。そこは何回も稽古しましたね。

色々な声があって、その意見に賛同しているのか。興味がないのか。言いたいけれど、言えないのかとか、色々な人がいるんです。一方そこで、一番ピュアで思ったことを言えてしまうのが夜神月で、そういう人も日本人の中にはいる。だから、夜神月が言ったことに対して、「うっせぇな」という人もいれば、「かっこいい」という人もいれば、「あいつ、言うこと言うじゃん」という人もいると見えるのが、日本の高校生の教室だと思います。それがいい感じに見えていると思います。だから、そういう細かいところも見ていて面白いですね。日本の若者文化のようなものが表現出来ていると思います。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■(L役の小池さんとは)目を見て深いところで対話出来ている感覚がある

――L役の小池さんと舞台上で対峙しますが、改めて向き合ってみて、小池さんとの芝居はどうですか?

初演の時は、もちろん楽しかったですが、戦うことに重きを置いていたんでよ。でも、今回はもちろん殺し合う2人なんだけれど、目を見て「こいつは何を考えているんだろう」というような、もっと深いところで対話出来ているような感覚があります。

うまく表現が伝わるかわかりませんが、本当に安心しているんです。たとえ、台詞を間違えても違うことを返してくれるだろう、動きを間違えてもきっと修正してくれるだろう、歌詞が飛んでも何とかしてくれるだろう、それぐらいの安心感があります。その2人が立っているだけで、もう空気は出来ていると思うので、後は何をしてもいいんじゃないかと思う程の信頼感がありますね。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■みんなプロ意識が高く、さっぱりしていて、やる時はやる。だから安心出来る

――Twitterを拝見していても皆さんの仲の良さが伝わってきます。浦井さん、小池(徹平)さんとの、3人の絆があるんじゃないかと感じますが、改めて集まってみていかがですか?

定期的に会っている訳ではないですが、徹平とは行く店がだいたい同じなので、飲み屋に行ったらちょうど徹平がいたから朝まで一緒に飲むということはあります。約束して会うことは一切ないんですが、何か2人とも安心感はありますよね。

――浦井さんも柿澤さんをとてもリスペクトしていて、安心して任せられるとおっしゃっていました。

そうですね。やはりみんなプロ意識が高く、性格的にもさっぱりしていて、やる時はやりますし。だからかな、安心出来るんですよね。今回の新しいカンパニーのみんなもそうなんですが、何もストレスを感じないで、のびのびとやらせてもらっています。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

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“「涙、涙の初日でした」、『デスノート THE MUSICAL』柿澤勇人インタビュー(上)” への 7 件のフィードバック

  1. ゆう より:

    初めて見たミュージカルのデスノートで、柿澤さんの歌、声、芝居、全部好きだなぁと思いました。セリフからスッと歌いだす姿や表情が忘れられず、それ以来目が離せない役者さんです。地方の為なかなか観劇に行けないので、貴重なインタビューを読むことができてとっても嬉しいです。

  2. コージー姫 より:

    台湾初日にカッキーラを拝見しました。初演大楽からの月日と経験値が、進化、深化となって帰ってきました。大阪、東京とワクワクが止まりません。

  3. ゆー より:

    再演と言うことで、ブラッシュアップした柿澤さんをはじめカンパニーを拝見出来るのを楽しみにしております。

  4. Yun より:

    待ち続けた
    『デスノート THE MUSICAL』再演

    どう変わったのか
    このような目で見届けます。

    そこには柿澤勇人の
    新たな進化が見えるはず。

  5. MARIA より:

    柿澤さんの色々な面が分かるようなインタビュー、興味深かったです。
    再演ですが、ミュージカル「デスノート」侮ってはなりませんね。
    いつも本音を引き出せるような岩村さんのインタビューに感謝します。
    ありがとうございます。今後も期待しています。

  6. リヤ より:

    柿澤さんの歌唱力が本当にすごいです。初演のCDを何度も聞きました。進化した柿澤月の演技力や歌唱力を期待しております。

  7. ユミ より:

    初演柿澤月の東京千秋楽を見て以来のデスノート、9月の東京公演まで待ち遠しくてたまりません。期待値マックスにしてお待ちしてます!

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