YouTubeで学ぶ英語第15回をお送りします。今回の主人公は、Dillan Barmache(ディラン・バルマーシュ)さん。セラピストからも「最重度」と言われた自閉症を持つ少年で、言葉を発することができないため、知能が低く、深い想いや考えをもっていないのではないかと周囲の人から思われていました。しかし、ディランさんがiPadを手にすると、状況は一変します。iPadのような「コミュニ―ションツール」を使うことで、彼の中にずっと存在していた言葉はあふれ出ました。彼はようやく声を持つことが出来たのです。毎年4月は自閉症受容月間です。その時期に合わせてAppleが発表した2本の動画のうちの1本、”Dillan’s voice:ディランの声” をご覧ください。
短い動画なので、全部聞き取れるように頑張りましょう。まず、本文に使われている表現の中から、先に幾つか解説をしておきます。以下の単語8つ、知っている言葉でしょうか?知っている単語だったとして、耳だけでちゃんと理解できましたか?
◆語彙・表現
1 autistic (形) 自閉症の cf. autism(名)自閉症
本文にあらわれた表現:My name is Dillan and I am autistic. (僕の名前はディラン。自閉症です)
2 badly (副)大いに、非常に cf. badly (形)気分が悪い、病気の
本文にあらわれた表現:All my life I wanted so badly to connect with people.(僕はこれまでずっと人とつながりたいと強く強く願ってきました)
3 incredible(形)信じられない、驚くべき、途方もない
4 flow(動)流れ出る 循環する、なめらかに続く cf. flow (名)流れ
本文にあらわれた表現:I can feel incredible emotions, flowing from those I love.(僕は、愛するものたちから発せられる信じられないくらい素晴らしい感情を感じることが出来ます)
5 mind(名)心~知性の宿るところとしての心
本文にあらわれた表現:So many people can’t understand that I have a mind.(すごくたくさんの人たちにとって、僕に知性があるなんて信じられないことなのです)
6 in control 主導権を握っている 抑制している コントロールしている
本文にあらわれた表現:All they see is a person who is not in control.(そういう人たちが見るのは、自分をコントロールできない人間としての僕の姿です)
7 hold on to しがみつく 持ち続ける 手放さない
本文にあらわれた表現: to hold on to my thoughts.(僕の考えをまとめて持ち続けること)
8 isolation (名)孤独 孤立 分離
本文にあらわれた表現:No more isolation. (もう孤独ではありません)
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分では、英語全文のスクリプトと筆者による試訳、Apple が発表したディランさんのもうひとつの動画が載っています。英語を自習したい方も、ディランさんの物語をより深く知りたい方も、ぜひ有料ページをご利用下さい。
<有料会員限定部分の小見出し>
■Dillan’s voice 英語全文
■筆者による試訳
■もうひとつの動画、ディランさんのお母さんが語る”Dillan’s Path”(ディランの道)
- YouTubeで学ぶ英語:(108)これからもYouTubeで学習を続けてください 2021年12月25日
- YouTubeで学ぶ英語:(107)インドネシア・ジャワ島のスメル火山が噴火 2021年12月11日
- YouTubeで学ぶ英語:(106)性被害告発後の中国テニス選手、真実はどこに 2021年11月27日
※ここから有料会員限定部分です。
■Dillan’s voice 英語全文
- My name is Dillan and I am autistic.
All my life I wanted so badly to connect with people.
But they couldn’t understand
because I had no way to communicate.
I get to experience the world in a very unique way.
I could see the wind, hear the flowers,
I can feel incredible emotions, flowing from those I love.- So many people can’t understand that I have a mind.
All they see is a person who is not in control.
But now you can hear me.
The iPad helps me to see not only my words
but to hold on to my thoughts.
Having a voice has changed everything in my life.
No more isolation. I can finally speak with the people that love me.
I can say what I think and let them know I love them, too.- Hey!
Hi Dillan!
Hello, my name is Dillan Barmache.
We are the reality of our thinking life
and are capable of so much if we just open our minds.
■筆者による試訳
- 僕の名前はディラン、僕は自閉症です。
- 僕は生まれてからずっと、他の人たちとつながりたいと強く願ってきました。
- でも、みんなは僕のことを理解できないのです。
- 僕にはコミュニケーションの手段がないから。
- 僕はこの世界を、とてもユニークな方法で味わっているんです。
- 僕には風の姿が見えるし、花の声が聞こえます。
- 僕には、風や花のような僕が愛しているものから流れてくる素晴らしい感情がわかるんです。
- たくさんの人たちが、僕に知性があるなんて思えないみたいです。
- その人たちの目に移るのは、自分をコントロールできない人間ですから。
- でも、とうとう、みなさんは僕の言葉を聞けます。
- iPadは、僕に言葉を見せてくれました。それどころか、自分の考えを捉まえて形にするということを教えてくれたんです。
- 声を持つことが出来て、人生のすべてが変わりました。
- 僕はもう孤独じゃありません。僕はようやく、僕を愛してくれる人と話すことが出来るんです。
- 自分の考えを話し、僕もあなたを愛しているよと伝えることが出来るんです。
- 「こんにちは」
- 「こんにちは、ディラン」
- こんにちは、僕はディラン・バルマーシュです。
- 僕たちは考えます。考えを体現できるのが僕たちです。
- だから、心を開けば、ものすごくいろんなことが出来るはずです。
■もうひとつの動画、ディランさんのお母さんが語る”Dillan’s Path”(ディランの道)
Apple社は、もうひとつの動画”Dillan’s Path”も公開しています。ディランさんのお母さんが語る、1999年に彼が生まれてからの「ローラーコースターに乗っているようだった」日々のこと。ディランさんのセラピストが語る”the most challenged 最重度”とされたディランの学校での様子。誰にもディランの思いや考えが分からず、互いにフラストレーションを感じていたこと。iPadを使って、一文字一文字、自分の考えを言葉に変えていくことが出来て解放されたディランさんは、iPadでコミュニケーションを取る前を「地獄のようだった」と言います。誰にも分かってもらえず、自分のおもちゃの動物とだけつながっていたと。人は自閉症だけを見て、本当の僕を見ないと。
本当のディランさんはinsightful (洞察力がある)でsmart (賢い)でcreative (独創的)だとお母さんは語ります。そして、最後にこう言いました。
Everyone has to have a voice. And he wants everyone to have one. 誰もが声を持つべきです。ディランも、みんなに声を持ってほしいと願っています。
では、もうひとつの動画”Dillan’s Path:ディランの道”をご覧下さい。