2017年1月8日開幕のミュージカル「フランケンシュタイン」にアンリ・デュプレ役で出演する小西遼生さんにお話をうかがった後半部分です。

■２役の性格が正反対なのではなく、相手から見て真反対になる

――演出の板垣恭一さんが「人間の中にいる悪魔と天使に向き合うのがこの作品のテーマだ」とおっしゃっていましたが。

いい面と悪い面、人間が持つ両極端を見せる作品だと思いますね。アンリと怪物も、それぞれの性格が正反対ということではなくて、ビクターから見たときに真反対な存在でないといけないんです。アンリはビクターにとって魂の片割れみたいな存在というか、唯一の理解者であるのに対して、怪物はアンリが一番理解していたはずの思いを真っ向から否定する側に回るので、ビクターにとって真反対な存在になってしまいます。

逆にアッキーとカッキー（中川晃教・柿澤勇人）がやるビクターとジャックも、僕から見ると正反対の存在になるわけです。アンリはビクターと運命のような出会いをして、かけがえのない唯一無二の存在になりますが、ジャックは怪物になった時にどん底に落としてくれる奴ですから（笑）。でも、たぶんアッキーカッキーにとってのビクターとジャックは、真反対の役ではないと思うんです。そういうところがこの作品の面白さですね。

■人間は複合的で、ひとりの人間の中に善も悪もある

――それぞれが真逆な二役を演じて、それをダブルキャストでやるって、すごく複雑な感じが……。

宣伝文句などで「それぞれが反対の２役をやります」といわれると、２つの役が真反対な性格だと思うでしょ。そうじゃないと思うんですよね。人間はもっと複合的というか、ひとりの人間の中に善も悪もあるので、誰かから見たときに正反対ということなんです。（鈴木）壮麻さんがやる、ルンゲとイゴールにしてもそうですよね。

――なるほど……。

だって、ビクターもアンリも完全な善ではないないはずだもの。世の中を諦めているし、自分を捨てているし。純粋に生きているという意味では善だけど、もうちょっと複雑な人間たちですよね。

――小西さんご自身の中での天使な部分と悪魔な部分も、何か感じたりしますか？

僕自身、どっちもあると思うし、役の中でもどっちもあります。だけど、僕から見たビクターとジャックはもう完全な天使と悪魔。アンリの時のビクターは１００％天使だし、怪物になった時のジャックは１００％悪魔です。そういう人間の両面の見え方も面白いですよね。

※アイデアニュース有料会員（月額300円）限定部分には、「これまで１０年ほどの間はどんな役であれ来た役を無我夢中でやってきた」という小西さんのこれまでとこれからについて、語っていただいた内容を掲載します。また、小西さんのサイン色紙と写真１カットを、アイデアニュース有料会員（月額300円）3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインすると、この記事の末尾にプレゼント応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは、1月17日（火）です。（このプレゼントの募集は終了しました）。

＜有料会員限定部分の小見出し＞

■「ダブリンの鐘つきカビ人間」を振ってくださったのは、ありがたかった

■全てのジャンルの中にある一本の筋が、今ちょっと、細く見えている

■これからは「お前、絶対できないだろう」というものに挑戦したい

＜ミュージカル『フランケンシュタイン』＞
【東京公演】2017/1/8(日) ～ 2017/1/29(日)　日生劇場
【大阪公演】2017/2/2(木) ～ 2017/2/5(日)　梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】2017/2/10(金) ～ 2017/2/12(日)　キャナルシティ劇場
【愛知公演】2017/2/17(金) ～ 2017/2/18(土)　愛知県芸術劇場大ホール

＜関連サイト＞
日生劇場　http://www.tohostage.com/frankenstein/index.html
梅田芸術劇場　http://www.umegei.com/schedule/565/index.html
キャナルシティ劇場　http://canalcity.co.jp/news/event/1249
愛知県芸術劇場大ホール　http://search-event.aac.pref.aichi.jp/p/event_month_kouen.php
小西遼生 OFFICIAL SITE　https://konishiryosei.com/
小西遼生　オフィシャルブログ　http://ameblo.jp/ryosei-konishi/

• キャスト全員が魂を削って描いた「孤独」、『フランケンシュタイン』４組の公演を観て 2019年8月9日
• メインキャスト全員が２役、真逆を堪能できるオイシサ　ミュージカル『フランケンシュタイン』 2017年1月11日
• 「作品ごとに変化が続き、心の動きが大きくなっています」　小西遼生インタビュー（下） 2017年1月3日
• 「フランケンシュタイン」出演、小西遼生インタビュー（上）　「丁寧に作っていかなきゃ」 2017年1月2日
• 逃げ場なく物語にのまれる「ブラック メリーポピンズ」 2016年5月24日
• 新生「ブラック メリーポピンズ」を作る気持ちで　小西遼生インタビュー 2016年4月8日
• ジュディ・ガーランドを描いた濃密な舞台、「エンド・オブ・ザ・レインボー」公演評 2015年9月7日
• 「エンド・オブ・ザ・レインボー」に出演、小西遼生×伊礼彼方対談（下） 2015年8月14日
• 「エンド・オブ・ザ・レインボー」に出演、小西遼生×伊礼彼方対談（上） 2015年8月7日

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• 「ブリッジを積み重ねて…」　ミュージカル『フランケンシュタイン』出演、相島一之インタビュー 2017年1月18日
• メインキャスト全員が２役、真逆を堪能できるオイシサ　ミュージカル『フランケンシュタイン』 2017年1月11日
• 「作品ごとに変化が続き、心の動きが大きくなっています」　小西遼生インタビュー（下） 2017年1月3日
• 「フランケンシュタイン」出演、小西遼生インタビュー（上）　「丁寧に作っていかなきゃ」 2017年1月2日
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• 「フランケンシュタインは、芝居で見せたい」　柿澤勇人インタビュー（上） 2016年10月19日
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■「ダブリンの鐘つきカビ人間」を振ってくださったのは、ありがたかった

――色々な舞台を拝見させていただいていて、今や日本のミュージカル界を代表する男優さんのお一人になられたなと思うのですが。

いやいや、やめてください（笑）。

――自分の中でも変化や成長を感じられますか？

毎作品ごとに変化が止まらずに自分の中で続いてくれているのはありがたいなと思います。上手くなったとか下手になったとかいうことはあまりないのですが、停滞することなくずっと心が動き続けていて、それが作品ごとに大きくなっています。演劇の楽しさとかやりがいを感じられるようになりましたね。

――私、個人的には「ダブリンの鐘つきカビ人間」の時にコミカルな役をされた小西さんがとても新鮮でした。やっぱりクールなイメージが強かったから、あれはすごく面白かったです。

役者というのは役や脚本によって生かされる存在であって、僕自身は普段と違うアプローチをしているつもりは全然なかったんです。暗い役をやっている時と、ダブリンのあの戦士の役をやっている時と、自分の心の内は何も変わっていない（笑）。でも、あのタイミングで、ああいう役を振ってくださる方がいたのは、すごくありがたかったですね。

――どっちもあるんですね、小西さんの中に。

ただ、ああいう役はやっぱり楽しいですね。これまでと違う役で舞台に立つ面白さを感じました。

■全てのジャンルの中にある一本の筋が、今ちょっと、細く見えている

――小西さん、次のステージとしてはどこを目指されるのでしょう？

僕自身は今、ニュートラルでいたいんです。３０代になるまでは下積みだと思っていました。どこか出身であると言えるところや師匠と言える存在もなく来ているので、下積み的なことをしたかったんです。だから、これまで１０年ほどの間はどんな役であれ来た役を無我夢中でやって、その中で学ぼうと思ってきました。それで「学ぶ」という姿勢の土台ができたので、これから先は、自分をできるだけニュートラルにしておいて、「もっとこういう役が見たい」という周りの期待に応えつつ、これまで乗り越えたことのないような課題に挑戦していきたいと思っています。

――ジャンルとしてはいかがでしょう。歌、芝居、ミュージカル、あるいは舞台もあれば映像もありますけど。

具体的にこのジャンルというより、全部ができるようにしたいです。全部の中に必ず一本の筋があって、たぶんそれさえつかんでしまえば、何でもできるはずなんですよね。舞台だろうが映像だろうが、歌だろうが芝居だろうが、大事な一本を見つけたい。そして、そういう筋を太くしていきたいです。今ちょっと、自分の中で細く見えているものがあるので。

■これからは「お前、絶対できないだろう」というものに挑戦したい

そのためにも、常に「うわ、これどうやって乗り越えるの？」みたいなことに挑戦していきたいんです。今までの自分のスタイルだと、それってやりづらいんですよ。できる役が来ちゃうから。ただ、これからは「お前、これ絶対できないだろう」というものも渡してもらって、もっともっと挑戦していきたいと思っています。

――では、次の展開を楽しみにしております！　でも、絶対できないことって何だろう？

人間の限界を超える、みたいなことかな？（笑）

――ありがとうございました。舞台も楽しみにしています。

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