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女だけの共同体と母娘の愛を描く映画『クシナ』、7月24日にアップリンク渋谷で公開

筆者: アイデアニュース編集部 更新日: 2020年7月15日

女だけの秘密の共同体と母娘の愛を描いた映画『クシナ』が、2020年7月24日(金)からアップリンク渋谷で公開されます。この作品は2018年の第13回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTS Awardを受賞し、ニューヨーク・JAPAN CUTS 2018に正式出品された作品。監督はこの作品が長編監督デビュー作となる速水萌巴さんで、2年前に配給のオファーがあった時は「映画祭以外では上映はやめようと思って」断ったものの、このたび配給を承諾し「幻の映画」がベールを脱ぐことになりました。この記事では、監督の速水萌巴さんのQ&A、人類学者・蒼子役で登場する稲本弥生さん、その後輩・原田役の小沼傑さん、村長であるクシナの祖母・鬼熊(オニクマ)役の小野みゆきさんのコメントを紹介します。アイデアニュースでは、この映画の撮影当時9歳で、奇稲(クシナ)役で女優デビューした現在14歳の郁美カデールさんに独自インタビューした動画を近日中に掲載する予定です。

こちらは映画『クシナ』の予告編動画です。

<あらすじ>
深い山奥に人知れず存在する、女だけの”男子禁制”の村。村長である鬼熊<オニクマ>(小野みゆき)のみが、山を下りて、収穫した大麻を売り、村の女達が必要な品々を買って来ることで、28歳となった娘の鹿宮<カグウ>(廣田朋菜)と14歳のその娘・奇稲<クシナ>(郁美カデール)ら女達を守っていた。閉鎖的なコミュニティにはそこに根付いた強さや信仰があり、その元で暮らす人々を記録することで人間が美しいと証明したいと何度も山を探索してきた人類学者の風野蒼子(稲本弥生)と後輩・原田恵太(小沼傑)が、ある日、村を探し当てる。鬼熊<オニクマ>が、下山するための食糧の準備が整うまで2人の滞在を許したことで、それぞれが決断を迫られていく。

監督の速水萌巴(はやみ・もえ)さんは、立命館大学映像学部卒業後、早稲田大学大学院へ進学。在学中から映画やCMの現場で働き始め、助監督を務めた映画『西北西』(中村拓朗監督)は釜山国際映画祭ニューカレンツ部門、JAPAN CUTSで上映され、主人公の部屋のデザイン・装飾を担当した映画『四月の永い夢』(中川龍太郎監督)はモスクワ国際映画祭で批評家賞を受賞。『クシナ』で長編監督デビュー。『クシナ』では監督だけでなく、美術・衣装も担当しています。

こちらはニュースリリースに掲載された速水監督のQ&Aです。

Q.「リップグロスやマニキュアが欲しい」と言う女性がいるなど、想像と違った村でしたが、何か参考にした村はあるのでしょうか?

A.撮る上で調べることはしました。中国に母系制度の摩梭人(モソ人)がいて、女性しか住んでいなくて、男性は通い婚のように夜やって来るそうです。その村には夫や父親という概念がないんです。女性がきれいにするのって、男性に対してのアピールっていう部分もあるとは思うんですけれど、男性が排除されていたとしても、女性だけの価値観の中でも、美しくいるっていうことを女性にはしてほしいっていう私の願望でもあり、きっとするだろうな、決して男に対してやっているんじゃないぞ、という意思表示です。

Q.本作に手応えを感じたのはどのタイミングですか?

A.制作費の問題もあり、2日目にラストシーンを撮らなくてはいけなかったんですが、水辺のカグウのラストの表情を見ている時に私、泣いちゃったんです。この物語はフィクションだし、インディペンデントでやる内容としては挑戦的だったと思います。撮る前から「やめた方がいい」「アニメでやった方がいいんじゃないか」という意見ももらっていたんですが、そのラストカットが撮れた瞬間に、自分らしい意志を貫いてよかったと気持ちが温まりました。

Q.読者の方にメッセージをお願いします。

A.私は物語の力を信じていて、もちろんそれは教訓を知るためにも使われてきていますが、自分の人生をもっと彩り豊かにして、時には守ってくれるのは、自分自身で物語る力を持っていることにあると思うんです。本作はすごく個人的な映画で、2年前にも配給の話をもらっていたんですけれど、私にはあまりにもこの物語が自分のものに近すぎて、外には出せないと思って、映画祭以外では上映はやめようと思っていたんです。時間が経ち、この映画の存在自体が私の中で物語化されてきたこともありますが、公開すると決めたのは、私にはすごく勇気が要ったことでした。私の身を削ってでも物語ることの歓びだとか美しさだとかがみんなに伝わればいいなと思いますので、ぜひ劇場へ見に来てください。

<キャスト>

■奇稲<クシナ>役:郁美カデール
2006年7月8日生まれ。神奈川県出身。2012年6歳からモデルデビュー。小学館「ぷっちぐみ」専属モデルを4年間務めたのちTVCM、PVにも出演。2018年には映画『クシナ』で主演として女優デビュー。現在はショーを中心に活動の場を広げている。

■鹿宮<カグウ>役:廣田朋菜
1987年5月14日生まれ、東京都出身。映画主演作には、PFFアワード2011入選作『チョッキン堪忍袋』(2011/天野千尋監督)、『タカノの匂い』(2013/山岡大祐監督)、第48回モントリオール・ヌーボー・シネマ、第15回大阪アジアン映画祭正式出品作品『VIDEOPHOBIA』(2019/宮崎大祐監督)がある。その他、ドラマや舞台、MVにも出演。

■風野蒼子役:稲本弥生
1984年3月22日生まれ。宮崎県出身。ソニー主催の発掘オーディションで2万人の中から選ばれ、15歳で上京。数々のCM、舞台、映画などに出演。現在は、女優、モデル業の他にArt、Fashionの企画製造をおこなう有限会社トライヴェンティの代表を務める。

■原田恵太役:小沼傑
1988年5月16日生まれ。東京都出身。高校を卒業後、文化服装学院ファッション高度専門士科で4年間学ぶ。その後、自分自身を別の物に創るということに興味を覚え役者を志す。映画出演作に『予告犯』(2015/中村義洋監督)、『サバイバルファミリー』(2017/矢口史靖)などがある。

■鬼熊<オニクマ>役:小野みゆき
1959年11月17日生まれ。静岡県出身。1979年、資生堂サマーキャンペーン「ナツコの夏」でデビュー。主な出演作に『トラック野郎 熱風5000キロ』(監督:鈴木則文)、『戦国自衛隊』(監督:斉藤耕正)、『あぶない刑事』(監督:長谷部安春)、『ブラック・レイン』(監督:リドリー・スコット)、『ハサミ男』(監督:池田敏春)などがある。

<出演者からのコメント>

■人類学者・蒼子役:稲本弥生
秘境の地に足を踏み入れる部外者、そこで出会ったまだあどけない少女に心を奪われ自身が抱いた事もない感情に戸惑いを隠せないという役柄で、先ず研究者としての部分は監督とも相談しリアリティの部分を埋めました。そして部外者としてどう村の女性達と関わるのかイメージを膨らませました。自分自身も現在3児の母として育児奮闘中であり、我が子ほどの少女に惹かれる部分はなかなかの葛藤がありました。この作品では3世代に渡り母と娘の葛藤を、無垢で不器用で狂おしいそんな歯痒さを美しい描写とともに描かれており、見る人の心の奥底を擽るような作品となっております。ほろ苦い後味に浸って、大切な誰かを思って欲しいです。

■原田役:小沼傑
ぱっと見ほんわかとした監督が打ち合わせで語る様に、作品への溢れる想いを感じました。ああ自分はどうすればその気持ちに貢献できるだろうか。女性だけの村へ立ち入る唯一の男として、構造的には目立ちつつも物語に沿った、主張し過ぎない人物を想像しました。裏側には、彼なりの人への尊重の仕方があるだろうと。この映画に散らばるような歪みや偏りを、現実ではどう受け取るのか。近い関係だからこその摩擦。『私はあなたではないから、わからない。』で終わらずに、『だから想像する。』と言えれば。先に闘いがあるとしても、常にそこから始めていきたいです。

■鬼熊<オニクマ>役:小野みゆき
初めて会ったクシナは、全く飾り気のない、生まれたままのような幼い女の子でした。人里離れた山奥で、本当に毎日走り回っているかのような自然児に見えました。何の気負いもなく、感じたまま、素直にセリフを話すのも驚きました。無垢なクシナそのものだったからです。一見か弱く見えるけれども、そんな繊細さの中に一本のキリッとした強さが見える、そんなところが監督の姿とも重なりました。山村・そこを流れる川・広大な森・日本家屋、通常の撮影ではよく使うロケ場所ですが、どう撮ればこんな瑞々しい儚げな絵になるのか、完成した作品を観て不思議なのと同時に、作品に出演できた喜びを感じました。

映画『クシナ』ポスタービジュアル (c) ATELIER KUSHINA

映画『クシナ』ポスタービジュアル (c) ATELIER KUSHINA

映画『クシナ』チラシ裏 (c) ATELIER KUSHINA

映画『クシナ』チラシ裏 (c) ATELIER KUSHINA

<映画『クシナ』>
2020年7月24日(金)よりアップリンク渋谷で公開
映画『クシナ』公式 HP
https://kushinawhatwillyoube.com/
映画『クシナ』アップリンク渋谷
https://shibuya.uplink.co.jp/movie/2020/56254
出演:郁美カデール
廣田朋菜 稲本弥生 小沼傑
佐伯美波 藤原絵里 鏑木悠利 尾形美香 紅露綾
藤井正子 うみゆし 奥居元雅 田村幸太
小野みゆき
監督・脚本・編集・衣装・美術:速水萌巴
撮影:村松良
撮影助手:西岡徹、岩田拓磨
照明:平野礼
照明助手:森田亮
録音:佐藤美潮
整音:大関奈緒
音楽:hakobune
ヘアメイク:林美穂、緋田真美子
助監督:堀田彩未、佐近圭太郎、宮本佳奈
制作協力:村上玲、小出昌輝
協力プロデューサー:汐田海平
配給宣伝:アルミード
(c)ATELIER KUSHINA 2018/日本/カラー/70分/アメリカンビスタ/stereo

<上映劇場>(2020年7月16日現在)
【東京】アップリンク渋谷 03-6825-5503 2020年7月24日(金)~
https://shibuya.uplink.co.jp/
【岡山】岡山メルパ 086-221-0122 2020年8月14日(金)
http://www.merpa.info/
【愛知】刈谷日劇 0566-23-0624 近日公開
https://kariyanichigeki.com/
【神奈川】あつぎのえいがかんkiki 046-240-0600 2020年9月公開
https://atsuginoeigakan-kiki.com/
【大阪】シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416 2020年秋公開
http://www.cinenouveau.com/
【京都】アップリンク京都 075-600-7890 2020年秋公開
https://kyoto.uplink.co.jp/

<関連リンク>
映画『クシナ』Twitter
https://twitter.com/kushina_cinema
映画『クシナ』facebook
https://www.facebook.com/kushina.cinema/
映画『クシナ』instagram
https://www.instagram.com/kushina_after_4years/

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