「コメディはシリアス」、『サムシング・ロッテン!』中川晃教(上) | アイデアニュース

新着 予定 プレゼント 動画

「コメディはシリアス」、『サムシング・ロッテン!』中川晃教(上)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2025年12月28日

ミュージカル『サムシング・ロッテン!』が2025年12月19日(金)に開幕し、2026年1月2日(金)まで東京国際フォーラム ホールCで、1月8日(木)から12日(月・祝)までオリックス劇場(大阪)で上演されます。2018年の日本初演から7年の時を経ての再演で、出演は中川晃教さん、瀬奈じゅんさんら初演からのキャストに、加藤和樹さん、大東立樹さん(CLASS SEVEN)、石川禅さん、矢吹奈子さんらが新たに加わります。演出は福田雄一さんです。

<公式HPより>

タイトルの“Something Rotten!“=サムシング・ロッテン!とは直訳すると「何かが、腐っている!」という意味。これはハムレットの一節”something is rotten in the state of Denmark.”を思わせるタイトルですが、本ミュージカルはこのように複数の戯曲、ミュージカル作品へのオマージュが随所に登場するコメディミュージカルです。

1990年代にケイリーとウェインのカークパトリック兄弟のアイデアから始まり、2015年にブロードウェイにてオープンしました。当初はシアトルにて五番街劇場で試験興行する予定でしたが、内容が評価され、すぐにブロードウェイでの上演が決まり、現在は全米をツアー中です。『コーラスライン』、『アニー』、『レ・ミゼラブル』などの人気ミュージカル作品や、シェイクスピア作品を彷彿とさせるシーンの数々が、舞台·ミュージカルファンの心をくすぐるとして話題になり、2015年のトニー賞では9部門10ノミネート、うち1部門を受賞しました。

アイデアニュースでは、劇作家のニック役を演じる中川晃教さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」「下」それぞれの無料部分では作品の見どころや中川さんとコメディについて、楽曲の魅力、加藤和樹さんとの共演についてのお話など合同取材の内容を、有料部分では『フランケンシュタイン』と『ジャージー・ボーイズ』についてのお話、2026年に向けてのメッセージなど、アイデアニュース独自取材の内容を紹介します。「上」の無料部分では合同取材の前半を、有料部分では、アイデアニュース独自取材の前半『フランケンシュタイン』についての内容を紹介します。「下」の無料部分では合同取材の後半の内容を、有料部分では、アイデアニュース独自取材の後半『ジャージー・ボーイズ』についてのお話、2026年に向けてのメッセージを紹介します。

中川晃教さん=撮影・岩村美佳
中川晃教さん=撮影・岩村美佳

(合同取材:前半)

ーー7年を経ての再演ということですが、再び取り組む思いをお聞かせください。

世の中にはミュージカルだけではなくいろいろなコメディ作品があります。その中で、自分の笑いのルーツが幼い頃のどこから来ているのだろうと考えると、日本人だからだと思いますが、ドリフターズとか、吉本興業のなんばグランド花月で上演している作品とか、そういうところです。もう少し大人になってからは、『Mr.ビーン』のような、ちょっとシニカルな笑いも見るようになりました。笑いの方向性はキャラクターによって違ってきますが、「お客様が笑う」というゴールは一緒です。

たぶん、僕が出演させていただいた初めてのコメディ作品は『 I LOVE YOU, YOU‘RE PERFECT, NOW CHANGE 』で、米倉利紀さん、白羽ゆりさん、神田沙也加さんと、4人だけのミュージカルでした。今、その時の映像を自分では絶対に見たくないのですが(笑)、ブロードウェイのオリジナル版の演出家の方が来日されて、自分の中ではそれまでの経験とはすごく違ったものになりました。

コメディ作品としてはその次に、吉本興業さんの『吉本百年物語6月公演「舶来上等、どうでっか?」』という作品に出演しました。当時、100年目を迎えた吉本興業さんが、満を持して1年間、毎月なんばグランド花月で、昼はコントを、夜はミュージカルを上演するという、毎月に座長が変わる公演を上演されていて、僕は間寛平さんの兄弟役で、6月公演に出させていただいていました。関西を拠点とする吉本興業が東京にも進出していて、アメリカのレビューを浅草に招聘するという時代背景を、ミュージカルレビューで見せる作品でした。

この作品では、芸人さんのみなさんとご一緒したのですが、作り方も間合いも含めて、当然稽古の進め方も全て勝手が違っていたんです。ミュージカルですから、音楽はあるわけですが、分かりやすく言うと、全部が分業で進むところが違いました。振付、ショーシーン、歌と、「パン、パン、トン」みたいな感じで、演出の方のリズム感で、手でつけていくんです。作り込まれたお芝居の部分に、その場のお客様の空気感で生まれてくるものが、臨機応変に加わって、毎回何かが違っていきます。その醍醐味みたいなものを教わりました。

その後、コメディではないですが、渡辺えりさんの作品、地球ゴージャスの作品などを通じて、舞台上でどうしたら笑いが生まれるのだろうということをさらに追求するようになりました。こうした笑いに集中できる演目に向き合う中で、コメディって実はシリアスなんだなと思ったんです。

リアルに人物を作り上げていくことが、笑いに繋がるということに気づき、いろいろと試しながら、ここで自分の感情に委ねてはダメなんだ、ここは的確に毎回同じことを、寸分違わずにやった方が面白いんだとか、いろいろなことが分かってきました。

そんな中、山田和也さんとご一緒した『ファースト・デート』、さらに『プロミセス・プロミセス』が大きかったです。ブロードウェイの匂いのする、ミュージカルのコメディ作品を経験をさせていただいた時に、自分の中でちょっと自信がついてきたんですよね。

そうした中で、僕の中でも『サムシング・ロッテン!』の再演はすごく温めてきたものなので、僕にとって近年の作品の中でもこの作品が再演されるという意味は大きいです。

ーー役柄について感じていらっしゃることや、再演で深めたいと思われる部分がありましたら教えてください。

シェイクスピアと弟のナイジェルの二人が主に肩を並べるというか、作家であり、創作者、クリエイターたちです。僕が演じるニックが、「大嫌いだ」と言いたくなる存在であるシェイクスピアを加藤和樹さんが今回演じるというのは、やっぱり面白いです。というのも、実際のプライベートでは真逆の関係性で「大好き」ですし、和樹さんも仲良くしてくださっているので。今回、その真逆の役どころを演じるわけですが、和樹さんと僕って、実はこのような不思議な組み合わせをいただくことが多いです。

今回、初演からは瀬奈じゅんさん以外のメインキャストが変わります。和樹さんや(石川)禅さんとは、これまでのミュージカル作品で共演させていただいてきていますし、気心知れていて信頼関係を築いてきた方々や今回初めて共演する皆さんと一緒に、福田さんの演出によって深められたらと思っています。今回、この作品の面白さを再構築できるにあたって、進化させなければいけないのは、僕かもしれないと思っています。僕自身、前回はどちらかというと、乗っかるところも多かったですから。

ただ、僕が演じるニックは引っ張っていくような役ではなく、どちらかというと自分の不甲斐なさみたいなものにがんじがらめになって、「なんとかしなくちゃ」と焦るがあまりに、自分に何ができるんだろうと、その手立ての中で間違ったチョイスをしてしまう人物です。そういうところが、彼の人間臭いところでもあります。周りの皆さんとのバランスの中で、ニックのこういう人間臭さみたいなものが見えてくるのかなと思うと、今回全く違う新しいニックが生まれるような気もしますし、そのあたりも含めた進化をしていけたらいいなと思っています。

ーー改めて、作品の概要と見どころを伺えますか?

年末年始に上演される作品ですが、絶対観ないとダメです(笑)! 日本の歌舞伎や伝統芸能には、「年末年始に必ず観る」という素晴らしい文化があるじゃないですか。もちろん海外にもあるでしょうが。そんな中、ミュージカルは元々日本のものではないですから、どちらかというと、年末年始には、ミュージカルよりも他のイベントに行く方のほうが多いかもしれません。でも、この作品は子どもも大人も、家族でご覧になっても面白い作品です。福田さんの言葉をそのままお借りすると、ミュージカルの「ミュ」の字も知らない方がご覧になっても面白い作品です。

シェイクスピアの『ハムレット』という作品がありますが、『ハムレット』と『オムレット』を、大いに勘違いして間違ってしまった結果、一生懸命オムレツを作るミュージカルを作り、大失敗するという笑いにあふれていて、何も考えなくても楽しめるというのが、この作品の一番の見どころだと思います。群舞として全員がタップを踊る、とても華やかなシーンもあります。こういうスケール感もミュージカルの醍醐味ですし、ミュージカルのエンターテインメントの部分と、真髄みたいなところをしっかりとおさえた作品です。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、アイデアニュース独自取材の前半『フランケンシュタイン』について伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。インタビュー「下」の無料部分では楽曲の魅力、加藤和樹さんとの共演についてのお話など合同取材の内容を、有料部分ではアイデアニュース独自取材の後半『ジャージー・ボーイズ』についてのお話、2026年に向けてのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■『フランケンシュタイン』で、初めて韓国のミュージカル作品と出会ったことが大きい

■「答えはここにあったんだ」と、再演を重ねることでどんどん感じられている

■アンリに寄ったフランケンシュタイン博士に。「材料にしなければ」という思いの純真さ

■慈悲みたいなものを感じる島くんのアンリに向き合うと、子どものような幼いヴィクターに

<ミュージカル『サムシング・ロッテン!』>
【東京公演】2025年12月19(金)〜2026年1月2日(金) 東京国際フォーラム ホールC
【大阪公演】2026年1月8日(木)~1月12日(月・祝) オリックス劇場
公式サイト
https://www.s-rotten2526.jp

ミュージカル『サムシング・ロッテン!』 関連記事:

⇒すべて見る

中川晃教 関連記事:

⇒すべて見る

※中川晃教さんのサイン入りチェキを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは2026年1月28日(水)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

中川晃教さん=撮影・岩村美佳
中川晃教さん=撮影・岩村美佳

全文が読める有料会員登録にご協力を

アイデアニュースは、有料会員のみなさんの支援に支えられ、さまざまな現場で頑張っておられる方々の「思いや理想」(ギリシャ語のイデア、英語のアイデア)を伝える独自インタビューを実施して掲載しています。ほとんどの記事には有料会員向け部分があり、有料会員(月額450円、税込)になると、過去の記事を含めて、すべてのコンテンツの全文を読めるようになるほか、有料会員限定プレゼントに応募したり、コメントを書き込めるようになります。有料会費は取材をしてくださっているフリーランスの記者のみなさんの原稿料と編集経費になります。良質な取材活動を続けるため、どうか有料会員登録にご協力をお願いいたします。

    
<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

コメント欄

有料会員登録してログインすると、コメントを書き込めます(コメントを送信すると、すべての人が読める形で公開されます)。

最近の記事

■ 2025年12月掲載分
■ 2025年11月掲載分
■ 2025年10月掲載分
■ 2025年9月掲載分
■ 2025年8月掲載分
■ 2025年7月掲載分
■ 2025年6月掲載分
■ 2025年5月掲載分
■ 2025年4月掲載分
■ 2025年3月掲載分
 過去記事一覧は⇒こちら 有料会員登録は⇒こちら
お勧め商品
新着商品
Sorry, no posts matched your criteria.