「一緒に芝居を紡いでいくのは初めて」、『王と兵士と骰子の目』山田元・山野靖博(下) | アイデアニュース

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「一緒に芝居を紡いでいくのは初めて」、『王と兵士と骰子の目』山田元・山野靖博(下)

筆者: 達花和月 更新日: 2025年10月21日

山野靖博さんによる自主企画公演『王と兵士と骰子の目』(山野さん企画・翻案)が、2025年10月23日(木)から10月25日(土)まで、東京・世田谷の「ムリウイ」で上演されます。原作は大正期に高田保によって書かれた戯曲『王様と骰子の目』です。2025年3月に浅草九劇で上演した『TARRYTOWN』で、演出・翻訳・訳詞を担当した中原和樹さんが演出を務め、同じく『TARRYTOWN』に出演された、水野貴以さん、山田元さん、山野靖博さんが、王様と兵士の役を演じます。3名によるコミカルかつシリアスな、寓話的なお芝居です。

アイデアニュースでは、ご出演の山田元さんと山野靖博さんにインタビューしました。インタビューの後編をお届けします。「下」では、演出の中原和樹さんについて、お客さまへのメッセージと、2025年の『ジャージー・ボーイズ』出演についてお話ししてくださった内容などを紹介します。

(写真左から)山田元さん、山野靖博さん=撮影・NORI
(写真左から)山田元さん、山野靖博さん=撮影・NORI

――演出の中原和樹さんとのお仕事は、『ヤマガヒ』(2018年~2019年)、『TARRYTOWN』(2025年)に続いて三作目ですか?

山野:山田くんはね。

山田:僕はそうです。でもその前『ビューティフル』(2017年)の頃から、僕は山野くんを介して中原さんと知り合って、ずっと彼の開催するワークショップに行っていたんです。

――長くお付き合いをされているんですね。

山野:僕は付き合いは長いです。24歳のときぐらいからだから、もう10年以上ですね。

山田:彼の方が全然長いんです。

――それで今回の自主企画にあたって、演出をお声がけされたんですか?

山野:僕は「中原和樹という演出家」が売れるべきだと思っているんです。彼の素晴らしいところは何かというと「ミュージカルが好き」というところ。日本でミュージカルが本当に好きな演出家は、非常に少ないと思うんです。新劇系からミュージカルをやる方は増えていて、それがいけないというわけではないのですが、きちんとミュージカルをやるというのはどういうことかというと、やっぱり「台本」も読めて「楽譜」も読めなきゃいけないと僕は思っていて。やはり両輪だから。

ミュージカルを上演する上でのテキスト、第1資料として立ち返るべきところには「台本」と「楽譜」があって、その両方が理解できないとミュージカルはできないんじゃないかと、僕は本当のところは思っているんです。でもそれができる演出家は、日本だと非常に少ないです。「楽譜は読めない」と公言されている演出家もいるし、それはそれとして、素晴らしい演劇を作られる場合ももちろんありますし、一方で上演を観たときに「これ楽譜が読めてないな」というパターンもあるんですよ、僕にとっては。

その中で中原は、楽譜をちゃんと読もうとする演出家だし、ミュージカルが好きだから、自分でトニー賞にノミネートされた作品や、誰も全然知らないような作品のCDを、自分で輸入して聞いて「これ面白いよ」と言ってくるタイプで、僕よりも遥かにミュージカルのことを知っているという感じがあるんです。僕にはそんな演出家が、ミュージカルをつくる王道のところに来てほしいという思いがありまして、だからいろいろ一緒にやって、ちゃんと名前を知ってもらえるようになったらいいなと思っているんです。

山田:和樹さんは、台本の翻訳も手がけられるぐらい、英語もできるんです。

山野:そうそう。『TARRYTOWN』は演出と、翻訳と訳詞を中原がやりましたから。

――『TARRYTOWN』では、ライセンス獲得から携わられましたね。

山野:ライセンスも中原が取りましたね。交渉も自分で英語でやって。だから彼のようにミュージカルに向き合う演出家が、きちんと評価されたら嬉しいなと思いながら、なんとなーく一緒にやっています(笑)。演出家は、作品を作らないと評価されないので。

山田:そうですね。

――「台本」はもちろん「楽譜」も読めて、という観点は、お話を伺ってなるほどと思いました。

山野:「楽譜」が読めないと、やっぱり情報が半分以上欠落しているということなので…。中原はちゃんと「楽譜」も読もうとするし、「音符」のことをやろうとする人なんですよ。

山田:そうそう。

山野:そこは僕が買っていて、信頼している部分です。

――作品のみどころや、楽しみにしていただきたいことなど、お客さまへのメッセージをお願いします。

山田:戯曲自体に何か大きなドラマがあるものではないので、シンプルな舞台になると思います。ただそんな中で、3人の俳優が真剣に一生懸命、その瞬間を生きる滑稽さ、みたいなものが、多分一番お客さまがご覧になったときに面白いし、琴線に触れると思って頂けるところだと思うので、それを楽しみにしていただけたらと思います。

山野:自分としてチャレンジとかある? これまでは、ミュージカルをずっとやってきたわけじゃん。

山田:確かに。しかもそう考えれば、翻訳物ではない作品をやるのは、商業演劇というか、お客さまにお見せするものとしては2回目ぐらいだし、現代もの…これは現代ものではない?

山野:これは完全に現代劇ですよ。ミュージカルじゃない会話劇をやるのはいつぶりなの?

山田:2020年の『通りすがりのYouTuber』以来かな。ただ、少人数で日本の会話劇をやったことがないので、それはとても楽しみだしチャレンジだと思っています。やっぱり山野くんとお芝居を紡いでいくっていうのは……あれ、初めて?

山野:意外と初めてだね。『TARRYTOWN』は組が違ったし、『ジャージー・ボーイズ』はダブルキャストだったから。

山田:そうですね、初めてですね(笑)。付き合いが長いし、ことある度に一緒に何かをやってきたので、あまり違和感はないですが。ただそこにあるお互いの呼吸感を楽しみながら、お客さまにも楽しんでいただけたらと思っています。そこが一番見ていただきたいポイントかもしれないです。

山野:「演劇の楽しさ」は、舞台で行われていることを見るだけじゃなくて、たとえば「チケットを買ったから、何着て観に行こうかな」とか、そういう周辺的なことも「演劇の楽しさ」の一つだと僕は思っているんです。そう考えると、やっぱり「ムリウイ」さんという空間がすごく素敵なところなので、その空間に足を踏み入れることをまず楽しんでいただけたらいいなと思っているのと、祖師ヶ谷大蔵の商店街も素敵なんですよ。

僕は住んだことはないんですけど、祖師ヶ谷大蔵がすごく好きで、祖師ヶ谷大蔵の商店街に2、3ヶ月に1回通うビストロとか、蕎麦屋とか、半年に1回は行きたいピザ屋とかがあるんですよ。全然自分の生活圏とは離れているんだけど、たまに行ってそこでご飯を食べたりするのが好きな土地なので、まずその「祖師ヶ谷大蔵の商店街も楽しいよ」っていうのはすごく言いたいですね!

※アイデアニュース有料会員限定部分には、2025年の『ジャージー・ボーイズ』出演についてお話ししてくださった内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■山野:芝居を観に行くということにくっついている「生活」が、「芝居を観る楽しさ」

■山野:4回目の『ジャージー・ボーイズ』。「New Generation」は、すごい挑戦だった

■山田:初演から「焦がれ続けた」『ジャージー・ボーイズ』。 嬉しく、感慨深かった

■山田:「怖さ」を払拭できた 山野:「ジャージー」が入口だから、あれが普通だと思ってる

<『王と兵士と骰子の目』>
【東京公演】2025年10月23日(木)〜10月25日(土) ムリウイ
公式サイト
https://note.com/yamanononote/n/nb74341b37869

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(写真右から)山田元さん、山野靖博さん=撮影・NORI
(写真右から)山田元さん、山野靖博さん=撮影・NORI

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 遠方の友人を誘って観たお芝居との出会いをきっかけとして演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、さまざまな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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