2026年2月7日(土)から 2月15日(日)まで東京・シアターHで、2月20日(金)から 2月22日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで舞台『鋼の錬金術師』―闇と光の野望―が上演されます。脚本・演出の石丸さち子さんのもと、多様なジャンルのエンターテイメントで活躍するクリエイター、キャストが集結します。主演のエドワード・エルリックは一色洋平さん/廣野凌大さんがWキャストで続投。アメストリス全土を巻き込む大きな野望が明らかになり、新たな局面を迎えるエルリック兄弟の旅が描かれます。
アイデアニュースでは、一色さん、廣野さん、石丸さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。無料部分で作品についてのお話を、有料部分では、「役」との向き合い方、石丸さんが感じていらっしゃるお二人の成長についてのお話などを紹介します。「上」では、第三弾の稽古場で感じていること、石丸さんの「場面転換が美しい」演出のこと、一色さんと廣野さんの役との向き合い方についてのお話を紹介します。
「下」では、原作を大切にしながらも「舞台」として構築していく際に、大事にしていることについてのお話、石丸さんからお二人へのオーダー、公演を楽しみにされているお客さまへのメッセージ、石丸さんが感じていらっしゃる二人の成長についてのお話などを紹介します。



ーー今回、シリーズ第三弾ですが、第一弾、第二弾を経て、お客さまの反応はいかがでしたか?
一色:第一弾のとき、原作の「鋼の錬金術師」のファンの方がたくさんいらしているのが印象に残っています。凌ちゃんのエドのときに客席で観ていたのですが、本当にいろいろなお客さまが客席を通過していたんですよ。
廣野:外国の方がすごく多かったね。
一色:そうそう。その中で、僕が忘れられないのは荒川弘先生も観に来てくださったこと。僕はそのとき、荒川先生がどの座席かわからなかったのですが、同じ空間にいらっしゃるのだと思いながら「舞台ハガレン」を見ていたあの日のことが忘れられないです。
そうやって続けていく中で第三弾となり、「舞台ハガレン」自体を楽しみにしてくださる方がとても増えているのを感じます。「鋼の錬金術師」そのものだけではなく、「舞台ハガレン」という僕らが創っているこの新しいコンテンツを、楽しみにしてくださる方、愛してくださる方が増えた実感が強いです。ありがたいです。
廣野:その第一弾に来てくださったみなさんが応援してくれたおかげで第二弾となり、そして今回この「闇と光の野望」になぞらえて思ったのですが、もっと評価されたいなと。それは「なぜ評価してくれないんだよ!」という意味ではなく、「俺らはこんなにも素晴らしいことをしているんだ」ともっとお客さまに伝えたいというか。「すごいものを創ってるんだな」と今回の稽古場でも強く思っています。第三弾は、さらに過酷な稽古場になっているのですが、でもなんか…「慣れっこ」みたいな。
石丸・一色:(笑)。
廣野:そんな感覚になってきていて、僕らがそれを軽やかに越えていく様子が、お客さまにも伝わるのではと思います。第一弾より第二弾、第二弾より第三弾と、着実にステップアップしている手応えがあります。
ーー「過酷な稽古場」というお話がありましたが、演出家の視点ではいかがですか。
石丸:いやいや、本当に過酷です。
一色:あはは(笑)。
廣野:そんな爽やかに…(笑)。
石丸:元となる漫画のコマがあるので、俳優の動きに関しては、ある程度最初から想定はされているんですよ。でも、私の稽古場は「まず、自分でやってみて」から始まるので、最初の第一弾のときはみんな「ポカ~ン」だったんですね。
廣野:そうでしたね。
石丸:続投キャストが多いですし、「こういう段取り、枠組みをしたから、やってみるよ」と言うと、みんな生き生きと最初からやってくれています。ストーリーが今までよりも、かなり複雑になっているので場面転換が多く、シーンの組み立て方も演劇的に複雑です。でもそのあたりの理解力が、みんなぐんと上がっています。もし、第一弾で出会ったときのみんなの状態で今回の第三弾を進めていたら、みんなへこたれてしまって、稽古に来ていないかもしれません(笑)。
廣野:まぁー、そうですね。
一色:(笑)。
石丸:それくらい、みんなの中でどんどん演劇の理解度が上がっています。それはこのチームの強みになっていると思いますし、私も安心して、難しいことをみんなに笑顔で要求できるというか(笑)。
廣野:確かに、一緒に作れるようになったというか…。「これどうすればいい?」に対してのアンサーの精度が上がったような気がします。僕らも応えられるようになったことが嬉しいというか。第一弾、第二弾を「もっかいやりてぇなー」ぐらいの感覚になってきた(笑)。
一色:再演ね。
石丸:うん。
廣野:さち子さんが第一弾から求めていたものに対して「もっと体現したい」という意欲が強いというか。それができていくことが嬉しいです。
――前回のインタビューでは、石丸さんからのオーダーで「匂い立つ言葉」として、芝居の中の言葉の大切さを教えてもらったとお話されていましたね。
廣野:「言葉によって、本当の感情が心からどれほどにじみ出ているか」みたいなことを言っていただいたのが、すごく印象に残っています。今回も課題ではありますが、稽古が進む中で自分でそれに気づけるようになってきたというか、キャッチするアンテナを張れるようになったと自分でも最近感じています。でもそこをもっと上げていきたいと思っていて…。(石丸さんに)…どうですかね!?
石丸:うん、本当にそう思う。だからこそ、ありがたいことに、私がみんなに求めることも、第一弾の頃よりも上がってきています。
廣野:嬉しいです。
石丸:第一弾のときは、いろいろなニュアンスを込めた「匂い立つ言葉」みたいなものを求めてきましたが、今回の第三弾は、第一弾、第二弾を経てエドが旅をしてきています。旅をして経験してきたことが「彼の言葉から匂う」ことが大切になっているんですよね。エドの言葉が、時間の堆積と旅の記憶を内包した現在から発せられているということが、一番大事なんです。それができると、第一弾と第二弾を観ていなかった人にもわかることがありますし、言葉にはその力があると思っているので、今回は、みんなにそういうことを要求してると思います。(一色さん・廣野さんに)難しいでしょう?
廣野:難しいんですよ。マジで。
一色:本当に難しい。
廣野:難しいけど、全部繋がっていますよね。自分たちも大人になっていたり、明確に成長しているから、仕事や自分の人生とも繋がっていると思うんですよ。そこにリンクしますし、リンクさせる能力というか、キャッチしてどう「舞台上で届ける表現」に自分が思っているタイミングで出していけるか。そこまでできないと伝わらないこともあるので、そういう楽しさと難しさみたいなものと、今戦っている感覚があります。
――前回のインタビューのときの、一色さんの「劇団ハガレン」という言葉が印象的でした。
廣野:もう定着してますね。
一色:定着してますね(笑)。最初は半分冗談で「劇団みたいだね」というところから始まったのが、本当に「演劇集団」としてメキメキと成長していて。
石丸:ふふふ(笑)。
一色:第三弾ともなると、お互いの共通言語が増えてきて「あのときのアレね」で通じたりもしますし、さち子さんの「みんなで『時』を動かす」もそうですね。
廣野:確かに。
一色:舞台版では、漫画のこのシーンからこのシーンまではジャンプしなきゃいけない、みたいな部分がどうしても出てきます。そういうときに、「時」をジャンプする「体」を全員で作るんです。昨日、2幕の通し稽古を見ていたんですけど、本当に「時」が動いて見えるんですよ!
石丸:(笑)。
一色:稽古を見ながら「僕『舞台ハガレン』のファンになってる!」と思って。一員ですけど、この人たちの表現をめちゃくちゃかっこいいと思っている自分がいて。すごくスタイリッシュだったんですよ。
廣野:スタイリッシュだよね、マジで。
一色:潔いし爽やかだし、風が動くし、一気に転換するところもあれば、ねじれるように本当にネジがゆっくりはまっていくように転換するところもあるし、「当事者でありながら、こんなにも魅了されていたんだ」と感じたのが昨日の2幕の稽古でした。
廣野:転換、本当にかっこいいんですよね。
一色:本当に見事!
廣野:見どころだと思います。舞台だとどうしても暗転して、もう1回切り替えてなどの段取りを入れることが多いと思うのですが、さち子さんは「ここは絶対紗幕使いたくない」と。全部シームレスに繋げようとするんです。
一色:そうだね。
廣野:繋げているのである意味ストレスフリーというか、その転換の様子すらも舞台上で美しく見せてくれます。僕は暗転が入ったり、BGMやSEだけになると、「フッ」っと自分が素に戻る瞬間が結構あって…。もちろん、それも必要な演出だとわかってはいますが、さち子さんの演出は、なんというか「広告なしのYouTube」みたいな。
石丸:うまいな!(笑)。
一色:あはは(笑)。「(YouTube)Premium」ね。
廣野:そう。舞台は「Premium」がいい。素晴らしくて、携わっている一員としてすごく誇りに思っています。
石丸:私は「暗転」が、あまり好きじゃないんです。
廣野:さち子さんは、観客に優しいんですよ。観る側の視点にも立ってくださっているから。転換一つに対してのその丁寧さとシームレスさが、ね。
石丸:転換さえ、綺麗だったらいいなと思っていて。
廣野:いや、美しい。
一色:美しいですよね。
石丸:綺麗なのは、やっぱりいいので(笑)。
ーー観客側としても、暗転や音楽の転換で没入感が急に途切れるという経験はありますね。
廣野:「これ絶対、転換のための演出だろうな」となると、ノイズになってしまうというか。没入感があればいいと思うんですけど。でも、そういうノイズが1個でも走ると、演劇というか、その世界に没入できなくなります。
石丸:そうだね。どう「ドライブ」していくか、どう「時」が流れるのかというところを作るのが私の仕事だなと思う。
廣野:お客さまから「『舞台ハガレン』、結構ハイライトっぽかった」みたいなことを言われたんです。でも作っている側からすると、さほどハイライトではなく、要所要所を意外とがっつりやっていたりするんですよ。それでもハイライトみたいだと思わせられたのは、いいなと思いました。逆説的ですが。
石丸・一色:なるほど。
廣野:結構シーンをガッツリやっているのに、それすらもハイライトみたいに見えたということだから。「バーッ」と進んでいった、みたいな。実際には、中にはすごく濃縮したものが詰め込んであるんです。結構コッテリやっていたりするんですよ。
一色:印象としてそう見えたということだし、実際「イシュヴァール殲滅戦」とかもガッツリやっていたしね。
廣野:そう。それを「ハイライトだった」って言われるのはすげえなと思って。原作が持っているパワーもありますし。
一色:体感としてのリズムが、そうだったということだね。
廣野:そう。そう思わせてしまえるんだなと。
石丸:やる方は大変だよね。
ーー拝見しながら、「なんて高密度!」と思いました。
一色:でも嬉しかったのは「ハガレン」ファンの方からの、「大事にしてほしいところを、全部大事にしてくれた」という感想をいただいたんです。例えば、「イシュヴァール殲滅戦」では軍の背景が全部見えてくるし、ウィンリィがスカーに銃を向けたけれど、撃てない彼女から銃を手放させるところを時間をかけて表現しているところとか。そういう1個1個が「ハガレン」ファンにとってはすごく嬉しいみたいなんですね。僕らも、そういうふうに受け取ってもらえて嬉しいなって。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、一色さんと廣野さんの役との向き合い方についてのお話などインタビュー前半の全文を掲載しています。インタビュー「下」では、原作を大切にしながらも「舞台」として構築していく際に、大事にしていることについてのお話、石丸さんからお二人へのオーダー、公演を楽しみにされているお客さまへのメッセージ、石丸さんが感じていらっしゃる二人の成長についてのお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■一色:「役」といえども「他人」。「他者」の考え方を自分のものにするのは、すごく遠い作業
■一色:最後の最後で「役」と少し手を繋げた気が…手を繋ぐというより、僕が手を伸ばし続けている
■廣野:与えられた時点で自分には「役」の成分がある。エゴとエゴの融和の形を見せる技術・芸術
■廣野:ギリギリを攻めつつ、ふんぞり返れるようになったら、自分のキャラが板についたのかなと
<舞台『鋼の錬金術師』―闇と光の野望―>
【東京公演】2026年2月7日(土)~ 2月15日(日) シアターH
【大阪公演】2026年2月20日(金)~2月22日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
公式サイト
https://stage-hagaren.jp
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※一色洋平さん・廣野凌大さん・石丸さち子さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは3月6日(金)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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インタビューありがとうございます!今作をとても楽しみにしており、冒頭の石丸さんのお話を読んで益々ワクワクしてきました。観客として感じていたことと、御三方が話していらっしゃる内容がリンクしていると知った時「これが伝わってきていたんだ」と嬉しかったですし、さらに深いお考えや取り組みを知って興味が深まりました。有料部分の、一色さんと廣野さんのそれぞれのスタンスにもとても納得です。どちらのキャストも拝見します!とても楽しみにしています!