2018年に読売文学賞を受賞し、世界中で翻訳された平野啓一郎さんの同名長編小説を原作とする、世界初演のミュージカル『ある男』が、2025年8月4日(月)から17日(日)まで東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で、8月23日(土)と24日(日)に広島文化学園HBGホールで、8月30日(土)と31日(日)に東海市芸術劇場大ホールで、9月6日(土)と7日(日)に福岡市民ホール大ホールで、9月12日(金)から15日(月・祝)までSkyシアターMBSで上演されます。
城戸章良を演じる浦井健治さんと、ある男・Xを演じる小池徹平さんと、小見浦憲男/小菅を演じる鹿賀丈史さんのインタビュー後編です。「下」では、鹿賀さんがデビュー53年であるというお話や、御三方それぞれに伺った「自分とは」というお話とお客さまへのメッセージを紹介します。

(※7月中旬に取材しました)
ーーおふたりは、この機会に鹿賀さんとお話ししたいことや、伺いたいことなどありますか?
鹿賀:いやいや、ないですよ。
全員:(笑)。
浦井:すでに今、たくさんいただいてますし、このインタビューでもらえた言葉がもう嬉しすぎて。
小池:重要だよね。
ーー「いい時期」という言葉ですか。
浦井:「嬉しくて」という思いでいっぱいです。
ーー逆に、鹿賀さんにお伝えしたいことはありますか?
鹿賀:僕は聞こえますよ。「お前も頑張れよ」って。
浦井・小池:いやいやいや! ぜっっったいに、思ってないです!
小池:1ミリも思ってないです。
浦井:頑張ろうという気持ちになっています。
鹿賀:ハハハ。でもね、歳とってうまくなるもんじゃないですからね、芝居ってね。
浦井:深い……。
鹿賀:だから歳をとっても、やっぱりね、こういういい時期の人たちと作っていって、刺激ももらえるし。そういう意味では同じですよ。
浦井:調べてくれば良かったことなんですけど、鹿賀さんは今、デビュー何周年なんですか。
鹿賀:えっと、53年かな?
浦井:(ため息まじりに)うわぁ……。
小池:長い……想像がつかないな。生まれてないね。
浦井:自分が30年後、これだけの鮮度とパッションを持って、先導しているのにこれだけピュアというか、可愛らしくて、楽しく、クリエイティブにできているだろうかと……。30年後か! どれだけの人との出会いと……言葉にはできないですよね。どう? 徹平、ここから30年って。
小池:長くステージに立つことって、毎日本番が始まったら公演があって。作品にもよると思うんですけど、映像とは体調管理も全然違いますし、相当な体調管理や体力とか、普段からの生活というのが、全部出るわけじゃないですか。それをずっと、何年経っても続けられるすごさへの驚嘆で、本当にもう……。
浦井:言葉が見つからないし、言葉になんてできないし。
小池:言葉にできないぐらい、すごいことなんですよ。まだ全然、鹿賀さんに比べたら浅いじゃん。
浦井:浅い。
小池:ここまでやってきたと思ってたけど、またどれくらい、偉大な方がいらっしゃるかと思うと、そんなことも言ってられないというか。
浦井:すごいね。
ーー53年続けるコツってあるんですか?
鹿賀:いや、あっという間になりますよ。やっていれば。
ーー「続けること」ということですか? やめないことというか。
鹿賀:そう。そして、好きでいることね。
小池:ああ! すごいな。
浦井:これ、『情熱大陸』でいいと思います。全役者が聞いた方がいい……。
小池:50年以上好きでいられるものって、なかなかね。
浦井:役者どうこうじゃない。すべての職業に言える。
小池:好きでいられるってね。すごいことですよね。説得力と重みがある。
浦井:いい言葉をまた貰えたね。
*
ーーこの作品には、「個人とは、個とは何か、自分とは何か」ということが描かれているということですので、今取り組んでいらっしゃる中で、ご自身についてどんなことを考えるのかなと伺ってみたいのですが、いかがでしょうか?
鹿賀:僕はもう74歳ですけどね、人間とは常に勉強しているわけですし、俳優なんていうのは特にそうですけれども、常に前向きでいなきゃいけないというか。そういう人は残っていく、ということだと思うんです。人との出会いというのが、やっぱり一番面白い職業じゃないかなと。このふたりとも10年以上ぶりにこうやって会って、「やぁ、久しぶり」なんて感じでね。
こうやって見ていると、ふたりともすごく成長している。親子程に年は違うわけですが、そうやって客観的に人との出会いというものを実感できるといいますか。その辺がやっぱり面白い職業だなと思いますし、言ってみれば鹿賀丈史のアイデンティティーというのはその辺にあるのかなというふうには思いますけどね。
ーー今みたいな考えには、いつ頃からなられたのでしょうか?
鹿賀:そうですね……60歳過ぎくらいからですかね。
ーー60歳過ぎになるとそういう考えが出てくるんですね。
鹿賀:体力とか発想力とか、ちょっと弱ってきたなと思っている時に人と会うと、やっぱり刺激を受けますからね。そういう意味で、さっきも言いましたけど、年を取ったから芝居が上手くなることなんてなくて、こうやって現場で一緒にいるということ自体で刺激を受けます。また逆に、ふたりが言ってくれるように僕のことを見てくれているのであれば、嬉しいですしね。それはお互い様ですよね。
<取材協力>
スタイリスト:飯田恵理子
ヘアメイク:山崎順子(浦井健治さん)、関谷美世(小池徹平さん)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、浦井さんと小池さんに伺った「自分とは」というお話とお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■小池:全てがつながって生きている。ダメなことというのもないし、全部が面白い
■浦井:「エンタメの力って、そういうことなんだ」と、今日改めて発見できた
■浦井:クリエイティブで密な時間を大切に 小池:みんなで一から作っている
■鹿賀:『ある男』では、日本のオリジナルミュージカルのレベルアップや成長も楽しみに
<ミュージカル『ある男』>
【東京公演】2025年8月4日(月)~8月17日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【広島公演】2025年8月23日(土)~8月24日(日) 広島文化学園HBGホール
【愛知公演】2025年8月30日(土)~8月31日(日) 東海市芸術劇場 大ホール
【福岡公演】2025年9月6日(土)~9月7日(日) 福岡市民ホール 大ホール
【大阪公演】2025年9月12日(金)~9月15日(月・祝) SkyシアターMBS
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/aman2025/
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読みごたえのある素晴らしい記事でした。観劇が、ますます楽しみになりました。お写真も、皆さん、自然体で素敵です。