「肉体とは、衣裳を見てもらう存在でもある」、J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』尾上右近(下) | アイデアニュース

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「肉体とは、衣裳を見てもらう存在でもある」、J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』尾上右近(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2025年11月29日

J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』が、2025年12月29日(月)から31日(水)まで、東京国際フォーラム ホール B7で上演されます。J-CULTURE FEST は“伝統と革新”をコンセプトに、日本文化に親しみ、新たな価値発見の機会を提供することを目的に、東京国際フォーラム開館 20 周年記念事業として 2017 年にスタートし、日本古来の伝統芸能の良さを現代に生かす音楽や舞等の“公演プログラム”と、正月行事を中心に日本文化をさまざまな形で体感する“正月テーマパーク”を実施。2020年より、“公演プログラム”と“体験・企画展”を通して、日本文化を様々な形で体験できるイベントとして毎年開催しています。

須佐之男(すさのお)役の尾上右近さんのインタビュー後編です。「下」では、普段の歌舞伎の衣裳とJ-CULTURE FEST presentsシリーズならではの本物の装束を着用された時との違い、J-CULTURE FESTに出演されての思い、作品中で右近さんがライブで隈取をされるシーンのこと、そのシーンで尾上菊之丞さんが演出された音楽に乗って届けることについてのお話、芝居を届ける側としての責任について、年末年始に一瞬訪れるオフの時間帯についてのお話などを紹介します。

尾上右近さん=撮影・岩村美佳
尾上右近さん=撮影・岩村美佳

ーー本物の装束を着用される点も、J-CULTURE FEST presentsシリーズの特徴の一つかと思いますが、普段の歌舞伎の衣裳とはまた違いますか?

違いますね。着替えやすく作っていただいてるのだとは思いますが、とにかく着脱が楽ですし、着ていても動きやすく軽いです。かといって、見た目に重厚感がないかと言うと決してそんなことはなく、ズシッとした重厚感と、きらびやかさと、奥ゆかしさもある。これは僕らの言うところの衣裳とは全く違う、「装束」という表現がしっくりきます。神々しさがあると感じます。

ーー昔の方は、身につけて生活していたんですよね。

もちろんそうですね。狩衣は狩りをする時、直衣は室内にいる時など、今僕らがジャケットを着るのかスウェットなのか、みたいな選択肢で着ていたものを、装束として、見た目にも装飾を美しく施しているものを着させていただきます。

肉体表現というのは、体だけではないんですよ。総合芸術と言われる理由は、衣装、カツラ、音楽など、さまざまな要素があって、自分の体を使ってそこに参加していることなので、肉体とは衣裳を見てもらう存在でもあると改めて感じます。

歌舞伎もそうですよ。自分でコントロールして頑張ろうと思わなくても、裾は、足で円をシュッとかけば、衣裳がシュワンッ!っていくので、足を自分で大きく回そうと思わなくても、表現の最小公約数がありますから。自分一人で頑張るのではなく力を借りることの重要さというのも、この舞台ですごく感じますね。

ーー今回の公演で身につけられる衣裳と普段着ていらっしゃる歌舞伎の衣裳と、大きく違うところはどのあたりでしょうか?

重量です。

ーー素材の重さですか?

素材と中に着るものの厚さとか、(歌舞伎の衣裳は)重たいですねぇ……。

ーー同じ動きひとつ比べても、きっとだいぶ違いますよね?

違います。歌舞伎の場合は、大変な精神力が必要です。歌舞伎の衣装を着て演技をするとなると途方に暮れますし、閉所恐怖症の人は無理だと思います。着た時の視野がめちゃくちゃ狭くて、「これで行くの? これで歩くの?」となるでしょう。

ーー井筒さんの衣裳だと違うんですね。

荒事の衣裳も楽ですよね。軽い。動きやすくて、いくらでも動けます。5回公演でもいけますよ(笑)。

ーー衣裳によって制される動きってあるじゃないですか。そういうところが逆に自由になることで、表現が変わったりしますか?

それは確実にあるので、衣裳を着た時の自分の体の動く範囲と、衣裳がどれだけそれに制約をかけてくるかの体の感覚を、しっかり見つめることが大事ですね。「動くから動いちゃえ」ではなくて、「動けるんだったら動かない」という選択が必要な時もあります。

ーーJ-CULTURE FEST は“伝統と革新”をコンセプトとしているとのことで、きっと歌舞伎の皆様には、響く内容なのかなと思ったりするのですが、このシリーズに出演されて、何か思っていることはありますか?

改めて呼んでいただける感謝と、自分を育んできてくれている歌舞伎に感謝という、2つの感謝を感じます。差し障りがない言い方になってしまいますが、本当にまさに一直線上にあるものなので、自分がしたくてやっている歌舞伎の中に、文化発信もあるわけですし、「伝統と革新」というテーマに向き合う宿命もありますから、全てを網羅していますよね。自分がやりたいと思って歩んでいる道の中に。だから、脇目も振らずというのは一番真っ当だと思います。



<取材協力>
スタイリスト:三島和也(Tatanca)
ヘアメイク:Storm(Linx)
※その他スタイリスト私物

※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品中で尾上右近さんがライブで隈取をされるシーンのこと、そのシーンで尾上菊之丞さんが演出された音楽に乗って届けることについてのお話、芝居を届ける側としての責任について、年末年始に一瞬訪れるオフの時間帯についてのお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■隈取は、僕らにとっては当たり前。当たり前の美しさというものがあるが、その魅力には気づきづらい

■菊之丞先生の音に対するこだわり。隈取の場面は太鼓の「デンツク、デンデン、デケデンデン」に乗っかって

■2時間芝居を観ていただいたとしたら、24時間中の22時間が、より良いものになるように

■ずっと走っているが、大晦日の夜から元旦までは、完全にオンの時間を手放せる。その瞬間が大好き

<J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』>
【東京公演】2025年12月29日(月)〜12月31日(水) 東京国際フォーラム ホールB7
公式サイト
https://yakumo2025.com

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尾上右近さん=撮影・岩村美佳
尾上右近さん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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