2016年4月21日から23日までインテックス大阪で開かれた総合福祉展「バリアフリー2016」。今年も、福祉車両、車椅子、介護ベッド、入浴機器、トイレ設備など福祉・介護用品が一堂に展示されていました。その中でぜひご紹介したいと思った製品のひとつがこちら、けん引式車いす補助装置「JINRIKI」(じんりき)です。
コンピュータ制御の最新鋭機器、デジタル製品のたくさん並ぶ「バリアフリー2016」の中で、なるほどと膝を打ちたくなったアイデアは、究極のアナログ装置でした。電気も電池も要らない、どんな車椅子にでも簡単に装着できる「JINRIKI」です。
車椅子と言う器具は、なだらかな舗装道路なら、簡単に押すことが出来ますが、少しでも段差があったり、砂地だったり、雪道だったり、でこぼこ道だったりするととたんに機動力が失われます。車椅子のスムーズな移動を助ける装置が「JINRIKI」というわけです。これまで押すだけだった車椅子を、「JINRIKI」を装着して、人力車の要領でけん引します。その際、車椅子の前輪を浮かせるので、楽に走行できるというわけです。
こういうちょっとした段差を、車椅子の後ろから押してみると、小さな前輪が引っかかって、なかなか前に進むことが出来ません。ところが、車椅子に取り付けられているパイプを人力車のように引いてみると……。
早すぎて写真がぶれるくらい、あっという間に段差も坂も乗り越えてしまいました。
「JINRIKI」を製造・販売している「株式会社JINRIKI」の作った動画をご覧ください。
詳しくは、「JINRIKI」のホームページをご覧ください。→ http://www.jinriki.asia/
小さい頃から、障害のある弟さんの車椅子を押して一緒に遊びに行っていた中村社長は、「車椅子って不便だなあ」と思っていたそうです。どうしたら、原っぱや砂浜を車椅子で楽に行くことが出来るのだろうと考えていた中村社長。「JINRIKI」の原型となるアイデアは早くにもっていました。でも、モノづくりをしたことがなかった中村さんが、「そうだ、やっぱりあのアイデアを活かした製品を作ろう」と思ったのが2011年3月11日の東日本大震災の時。緊急避難をするときの役に立ち、人の命を救うような製品を作ろうと脱サラをして、会社を作ったのが始まりとお聞きしました。
「今使っている車椅子につけてもらうことが、一番のこだわりです。今あるものに着けるということであれば、資源を大事にすることにもなるし、無駄なコストをかけずにすみます」
熊本で大きな余震が続いていた4月、「JINRIKI」は被災地の、瓦礫が散乱している道で威力を発揮。車椅子ユーザーの移動だけではなく、水など重たい物を運ぶのにも重宝されているというお話もされていました。熱意あふれる説明の中に、暖かい優しい心が伝わってくるような、素敵な社長さんでした。
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■バーを跳ね上げたままにできる「JINRIKI」と簡易着脱型の「JINRIKI QUICK」
■パイプを持ち運びするため作られた専用バッグもあります
■震災の熊本でも威力を発揮。自分の車椅子で逃げられることが希望につながる
■市町村の窓口に相談すると、割安で入手できる場合があります
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