ミュージカル『ボニー&クライド』が、2025年3月10日(月)から4月17日(木)までシアタークリエで、4月25日(金)から4月30日(水)まで森ノ宮ピロティホールで、5月4日(日)と5月5日(月祝)に博多座で、5月10日(土)と5月11日(日)に東海市芸術劇場大ホールで上演されます。
クライド・バロウ役をダブルキャストで演じる柿澤勇人さんと矢崎広さんのインタビュー後編です。無料部分では合同取材の内容を、有料部分ではアイデアニュース独自取材の内容を紹介します。「下」の無料部分では、ワイルドホーンさんとの関わりについて、ボニー役のこと、バック役の小西遼生さんについてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、お二人の芝居についての思いについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

(合同取材:後編)
――おふたりは同い年ですね。
矢崎:そうらしいですね。
柿澤:そうなんだ! そうなるとなぜ「カッキーさん」呼び?
矢崎:僕よりも先にいろいろと出演されているので、てっきり先輩だと思っていました。同じ映画に出演した時も共演の(尾上)松也さんと親しくお話していたから、松也さんくらいの年齢なんだろうなと思って、「松也さん、カッキーさん」と呼んでいて、後で同い年だと気が付きました。だからといって、僕の尊敬の念は変わらないんですけど。本当に尊敬する俳優のひとりで、参考にしている俳優さんというか、道を開いてくれる俳優さんというイメージなんです。
さっきも、僕が思っていることを、代わりに言っていただいたようなところもあって、それにプラスするなら、今、舞台『ハリー・ポッター』という作品に出演しているんですが、いろんなジャンルの出演者が集まっているんですね。その中で、僕は何を大事にしているだろうということに向き合う瞬間があるんです。やっぱり心が動いて何か行動がしたい、ちゃんと理由があって、芝居としてすべてを見てもらいたいという思いが強くなりました。ミュージカルはもちろん歌が大事ですし、大事にしたいと思いつつ、歌と芝居が一体であるべきだと思っています。
――ワイルドホーンさんとの関わりについても少し伺いたいのですが、柿澤さんはオフィシャルのコメントで「クライドをやらないか」と熱烈にラブコールを受けられたようなので、そのあたりのお話を伺わせてください。矢崎さんは『ドラキュラ』『スカーレット・ピンパーネル』に出演されていたので、その時の印象をお聞かせください。
矢崎:すごく気さくな、役者さんにも寄り添ってくれる作曲家さんで、声もかけてくれますし、話しに行けば温かく対応してくれますし、おおらかなオーラを持った作曲家さんだなという印象です。『ドラキュラ』の曲もすべて素晴らしくて、今でも家で口ずさんでしまうような曲ばかりで、『スカーレット・ピンパーネル』もそうですけど、本当に素晴らしい楽曲ばかりです。日本人の琴線にも触れるような曲をたくさん書かれる方だなと、すごく大好きな作曲家さんです。
柿澤:ワイルドホーンさんの作品は『アリス・イン・ワンダーランド』、『デスノートTHE MUSICAL』、『ジキル&ハイド』に出演させてもらいました。歌が本当に疲れるんですよ(笑)。「キーも高いし、本当にしんどいよ」とフランクに言うと、「それが正解だ」と言うんです。「エグゾースト(くたくた)になるように書いているから、ラクして歌う曲じゃないんだ」と。それくらい俳優に課している部分が多いから、それで正解だと言っていました。なので今回も大変なことになるんじゃないかと、本当に恐れていますね(苦笑)。
――『デスノート』の時からクライドをやらないかと言われていたそうですが、かなり前のことですね。
柿澤:そうですね。『デスノート』も犯罪系?のミュージカルなのでリンクしたのかもしれません。『ジキル&ハイド』をやった時にも、クライドをやらないかと言われたんですが、「疲れる役はもういいよ!!」と冗談で言っていました(笑)。彼は、楽譜通りに歌うことがすべて、という人ではなくて、ここをフェイクで上に行きたいんだったら、全然行ってくれと。作曲家によっては一音も変えてほしくないという人もいるだろうけれど、彼はそうじゃなくて、俳優の心が動いてもっと上に行けるんだったら、変えていいからねと言ってくれます。
歌唱指導の先生にも、「楽譜通りにやらなくていいから」とおっしゃっていたことを、すごくよく覚えています。「心の動きに従ってくれ」と。キーも人によって変えたりしていましたし、「もっと上にいけるんじゃないか」「もっと出るだろう」「上のキーもいけるでしょ」とか言いますね。俳優としては安全な音符でいきたい時もありますが、そういうのをあんまり許してくれない人だといういうイメージがあります。
――矢崎さんも、疲れるなどの気持ちはありますか?
矢崎:最初に僕がチャレンジと言いましたが、この楽曲とどう向き合っていくかということもひとつの課題だと思っています。長丁場の公演で歌っていく事にどう向き合っていくかも考えなければと思っています。
――『ボニー&クライド』における、ボニーの存在について、どのように捉えていらっしゃいますか?
矢崎:元々ボニーはクライドになびかなそうな生い立ちなんですよ。すごく勉強も頑張っていた子ですし。「怒らせたら大変」といった史実はあるみたいなんですが、基本的には真面目なおとなしい子で、女優を夢見る子だったボニーが、クライドと出会って、何か惹かれる部分があって恋に落ちるんです。クライドとしては、ボニーは自分にない洗練されたものを持った女性だったのかなと今思っていて、自分はどうしようもない人生を送ってきたけれど、ボニーに「好きだ」とか「共鳴する」と言われると、そういう自分を癒してくれるような、妹であり、お姉さんであり、母親のように感じていたんじゃないかなと思います。
柿澤:映画冒頭の、ボニーの気だるそうな表情が印象的ですね。そしてクライドと出会った瞬間に歯車が合うような、パズルがぴったり合致するような、動物的だなと思ったんです。もちろん理由はいっぱいあるんでしょうけど、言葉で言い表せることじゃなくて、肌が触れ合った瞬間とか同じ空気を吸った瞬間に、同じベクトルに向かっていくみたいな。
それは破滅なのかもしれないし、犯罪なのかもしれないですけど、ちょっと言葉では説明できない何か、シンパシーがあったから運命共同体になってしまったのではないのかなという印象はあります。ボニー役の桜井玲香さんと海乃美月さんは、今回まったく違うボニーになるんじゃないかなと思っています。
矢崎:おふたりとは初めましてです。親密なシーンも多いはずなので、ひとつひとつ話し合っていければと思っていますし、とても頼もしい存在です。これからもっといろいろ深めていければと思っています。
――お兄さんのバック役が小西遼生さんですが、いかがでしょうか?
矢崎:はしゃいでいるこにたん(小西さん)が、僕はまだ想像できない(笑)。(小西さんが演じる)バックって、クライドとギャングで「いぇ~い!」って言っているイメージなので、そんなこにたんを一番近くで見られるんだなと楽しみですし、先輩として本当に頼もしい存在なので、僕を支えていただきたいなと思っております。
柿澤:遼生くんは頼もしい先輩ですよね。いわゆる芝居馬鹿だし、稽古の時はどうやったらうまくいくかとか、この役はこうなんだとか、このシーンはこうなんだとか、すごく考える人で、共演した『フランケンシュタイン』の時もそうでした。稽古や本番が終わった後は、しょっちゅう一緒に飲みに行ってましたね。今回は兄弟の役。どうなるか楽しみです。すごく格好いいし綺麗だし、お茶目なところとか、ちょっと馬鹿になっちゃうところとかも見ていますし、今回はどんな面を見せてくれるのか、一緒に楽しみたいなと思います。
矢崎:本当に楽しみです。こにたんは同じフィールドの開拓者というイメージなんです。僕なんかより先に大変な思いをしている存在で、相談とかもできる人なので、そういうお兄ちゃんがいてくれるのは心強いです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、お二人の芝居についての思いについて伺った内容と、お客さまへのメッセージなどアイデアニュース独自取材後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■矢崎:僕、演技で後ろを向いたりとか、多分そういう芝居が好き
■柿澤:センターで前を向くんじゃなくてどこかハスを向いていたりね(笑)
■矢崎:ミュージカルとお芝居の楽しいところが、両方詰まっている作品
■柿澤:人間がここまでボロボロになって表現する姿は、日常ではなかなか(笑)
<ミュージカル『ボニー&クライド』>
【東京公演】2025年3月10日(月)〜4月17日(木) シアタークリエ
【大阪公演】2025年4月25日(金)〜4月30日(水) 森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】2025年5月4日(日)〜5月5日(月・祝) 博多座
【愛知公演】2025年5月10日(土)〜5月11日(日) 東海市芸術劇場大ホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/bonnie_and_clyde/
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※柿澤勇人さんと矢崎広さんのサイン入りチェキを、有料会員2名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは2月25日(火)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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上下ともとても読み応えのある記事ととても素敵な写真をありがとうございます
お2人のお芝居や作品に対する思いが伝わってきました
桜井さん海乃さんどちらのボニーも楽しみですし、小西さんとどういう兄弟になるのかも楽しみです
ミュージカルの楽しいところとお芝居の楽しいところが両方詰まっている作品とお聞きして観劇するのが更に楽しみになりました